.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#291 [桔妁]
 
「そう、だけどなー…」

頼弦がそう言う事は一理ある。繭は滅多に理不尽な理由で怒ることはない。

「けどさ、なんか俺したか?してないぞ?」

「……馬鹿だな。」

?」

頼弦が何らかの理由を察知してか呆れて言った。分からず天弥は声をあげるだけだが。

⏰:08/04/03 02:51 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#292 [桔妁]
 
「頼仲とは全然違う奴だからなお前は。…少し奴に取り憑かれてみればいいだろうに。」

ため息混じりに頼弦が言えば。そこで扉がカラカラと音を立て、開いた。


「天弥、は居るか?…あぁ、そこに居たか。」

美人な物書き、暁の登場だ。笠によって隠れた白い顔はある意味では男も女もどきりとする。

⏰:08/04/03 02:59 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#293 [桔妁]
 
「天弥殿、もう行くのか。」

この女の事は頼弦も少し知っていた。…というか天弥から聞かされていた。だからこれから洞窟について調べるのだということも分かった。

そして繭が何故怒っているのかも多少。

「あぁ。うん。」

「…………。それでは…今日の夜は一緒に呑まないか?…終わったらこっちに戻ってくれ。」

それに、繭殿には言っておくと付け加えた。

⏰:08/04/03 03:04 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#294 [桔妁]
 
頼弦が呑みに誘うとは珍しい。というか初めて。

なので何故か断れず頷いて、天弥は家を出た。


残された頼弦も家を出る準備をした。

「いつから世話焼きになったのだかな…。まぁ家で痴話喧嘩の話をされるのも嫌だしな。」


そう呟けば草履を履き、繭の家へと向かった。

⏰:08/04/03 03:08 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#295 [桔妁]
 

「くそ。天弥のあほんだら!………ひまだ…」

トントン、

「!」

繭が暇にして過ごしていれば、扉を叩く音が聞こえた。

それはよく知る頼弦であったので繭は快く出迎えてお茶を出した。

頼仲に比べ落ち着いた物腰の頼弦はやはり大人、といった感じで毎回少し緊張する。

⏰:08/04/03 03:13 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#296 [桔妁]
 
「相変わらず美味い茶を有難う。……時に…天弥殿を阿呆んだら、と言っていたようだが、何かあったか?」

「は、…聞こえてたんですか!」

ニコリ、と微笑む頼弦さんは兄貴分のようで隠し事は出来ない雰囲気にさせた。

「いや、ただ暇だったので…」

けれどもこのモヤモヤっとする気分を悟られたくはなくて苦しいけれど笑顔でそう言った。

⏰:08/04/03 03:18 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#297 [桔妁]
 
「そうかい?何かあるなら仏にでも愚痴をたらせば良い。…あ!」

「は!!」

ふいに頼弦は繭の後ろを指差した。

繭ははっと後ろをむき、その隙に頼弦は繭のお茶に酒を混ぜた。

いつぞやの正月のときの酒よりも酷いのを少し。


これは、頼弦の作戦であった。……青臭い二人の為の。

⏰:08/04/03 03:22 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#298 [桔妁]
 
――


「暁さん、今度は何かあったんですか?」

横から顔を伺うようにして天弥が暁に尋ねた。

暁はそんな天弥に対し、くすくすと笑いながら言った。

「嫌だな、兄さんでもいいぞ??」

悪戯っぽく言う声はやはり透き通っていて美しい。

⏰:08/04/04 00:52 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#299 [桔妁]
 
「えぇ!?…いや、あのときは失礼しました!」

初めて女だと気付いた日から比べればほとぼりは冷めていたので今では普通の対応は出来た。

それよりも今は素っ気ない繭についての方に思考回路は動いていた。


「……今日はだね、ほれ。物語の名前を考えたんだ。」

少しぽやっとしている天弥に対し、暁は一枚の紙を渡した。

⏰:08/04/04 00:58 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#300 [桔妁]
 
「…ん?……お伽村、鬼国の書、……?」

そこには綴られた沢山の本の題名たち。

この中から一つに絞るのであろう。余り達筆すぎて天弥には読みにくい。

「…うわー、こりゃ完成が楽しみですね、兄さ…暁さん!」

そう言えば暁は目を細めて微笑んだ。

「完成したら天弥と繭に一番に見せてやろう!」

⏰:08/04/04 01:04 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


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