.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#349 [桔妁]
「男女鬼穴…?何だ、それは。」

「もう、資料見てないんですか??…鬼穴…そこ、今は恋愛成就の洞窟とされているんです。」

柳園は本の題名、そして夢を頼りにそれを部長に言った。部長は、それを部長なりに読み取ったらしい。

「成る程、じゃあその本を探そうか。…昔の文章は読めるね?」

その質問に柳園は大きく、はい!と答えた。

⏰:08/11/15 19:34 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#350 [桔妁]
 
――しばらく歩いていると、資料で見知っている景色が見えてきた。皆、一緒に周辺の家屋を見て回る。

と、柳園がある家屋の、倉の前で立ち止まった。

「あ―…此処よ。」

それだけで部員は分かった。ポイントになるその本がここにあるのだ、と。

そして、繭の祖母の家であることを知るのは少し先のこと。

⏰:08/11/15 19:40 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#351 [桔妁]
 
 一同は繭の祖母に暖かく迎えられた。家の中も暖かく、さらに食事まで分け与えてくれた。

「さぁ、たんと食いさね!こんな山奥までまぁ!」

「うぉぉ!暖かいご飯!ありがとうっス!」

慶なんて泣きながら食べている。そんな中、吉原は本題に入った。

「御祖母様の、蔵についてなのですが。」

にこりと、彼女は笑って、了解してくれた。

⏰:08/11/15 19:47 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#352 [桔妁]
 

蔵を見た柳園は何故か愕然としていた。

「―違う、」

そしてただ一言、そう言った。

「な、似てる家屋だからか?柳園でも外れるときがあるんだな!」

慶は笑いながらそう言う。柳園は悔しくて泣きたくなった。

「――はぁ…、御祖母様、他に蔵のある家はこの村に幾つありますか?」

⏰:08/11/15 19:52 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#353 [桔妁]
 
部長は目前にしたミステリーのカケラをまた引き離された落胆で、溜息をつきつつ聞いた。

「あるよ、何なら私が貰い受けた他の蔵でも見せますよ?」

また彼女は笑顔で言ってくれた。


「あ、溝浦天弥の、祖母の家…とか――?」

そんな慶の呟きは、当たっていた。

⏰:08/11/15 19:56 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#354 [桔妁]
 

その第二の蔵に入って辺りを調べるという名目で漁る。

「…此処は多少、日当たりがいいんですね。」

吉原の他愛ない会話に繭の祖母は笑顔で答える。

と、柳園が一冊の本を見つけた。

それは、心霊非科学研究会の全員が求めていた本、


「男女鬼穴物語―――…!!」

⏰:08/11/15 21:17 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#355 [桔妁]
 
―第9章―
  ――そして
     僕等は知った―

_

⏰:08/11/15 21:21 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#356 [桔妁]
 
――――――――
――――

「男女物語?」

繭は達筆なのか違うのかよく分からない文字のそれを、ようやくそうやって読んだ。

「そう!なかなかの出来だと思っているよ!何しろ頼りになるお兄さんが教えてくれたのだからね!」

笠から覗く口がニッと笑う。

「…書物?繭とか俺の名前ばかりじゃないですか?」

じっと中身を読んでいた天弥が不思議そうに暁の顔を見た。

⏰:08/11/15 21:27 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#357 [桔妁]
 
「だから二人の物語だからだよ!」

暁はそれを乱暴に天弥から受け取る。するとそこに、何故か頼弦もやってきた。

「暁殿、それが完成か?」

きっと暁の言う兄さん、とは彼であると繭は確信をもって思うのだった。だって暁さんの笑顔が輝いてる。

「書けました!いやもう!本当に恋物語そのままのような二人ですね!」

小説(?)を語る様子を嬉しそうに語る暁、そこにまた繭は女の勘も見た。

⏰:08/11/16 17:15 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#358 [桔妁]
(あ、暁さんはきっと頼弦さんに……)

私達の事を聞いているうちに、恋に落ちたに違いない。頼弦さんは気がきくし、落ち着いた物腰だし、恋する要素ならいくらでもあるのだから。

「…―じゃあ、私達も洞窟行こうか!二人の邪魔しちゃあ悪いし!」

気を遣ったつもりだったが、逆に赤くなり黙る暁さんを見て少し楽しくなったりして。

(可愛いな、)

率直にそう思えた。

⏰:08/11/16 17:23 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


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