.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#61 [桔妁]
「そらや-っ!今日こそ団子屋小町の小夜ちゃんを……あれ?おまいさん、誰じゃ?」
(あなたが、だれです?)
玄関口から現れたのは、薄汚れた少年だった。
と、同時に裏口から声がした。
「「俺なら此処だ-!!!!!」」
「あ、天弥さんの声。」
:07/12/15 18:15 :SH903i :u/O9biFY
#62 [桔妁]
そのすぐ後に、天弥の姿が声の方から現れた。
「あぁもう、今日は行かな……あ、繭起きたのか。」
手に魚を持っているところを見ると、朝ごはんの準備をしていたようだ。
「あ、天弥さん。おはようございます。」
「…あぁ-、なんかそのお嬢さんみたいな喋り方やめろ。普通でいい。」
:07/12/15 20:47 :SH903i :u/O9biFY
#63 [桔妁]
お嬢さん?繭は首を傾げた。そして、すぐに気がついた。
(敬語の事?…あぁ、当時12歳のままで学問が終わってるからか…)
「う、うん分かった……て、いうか……
「おい!わしを忘れとるよな、お前ぇら…」
そう、そう。この人は誰なんだか……。気になりますよね、あれ?私だけ?
:07/12/15 20:58 :SH903i :u/O9biFY
#64 [桔妁]
「ん?…あぁ繭、こいつ
「わしは、頼仲(自称)という者じゃ!よろしくな、繭!」
彼の、第一印象はこうだ。
人の話を聞け。
それと同時に、いい人という感覚はある。
「…ははぁ、よろしく。……ていうか何、その目は。」
:07/12/15 22:05 :SH903i :u/O9biFY
#65 [桔妁]
「いや-、そらやもこんな女子を見付けるとは。中々のめっけもんだァ!…でも繭よ、絶対わしの方がいい!」
「え?」
ああ、それからこの人、きっと凄く女好きなんだろうな、と繭は感じずには居られなかった。
「……もう俺、ぶっちゃけコイツ嫌だ。」
頼仲の女好きには、天弥もため息モノらしい。
:07/12/15 22:10 :SH903i :u/O9biFY
#66 [桔妁]
(頼仲さんの目は、女見ると輝くんだろうな……。っていうか天弥!!
"ぶっちゃけ"って大分古いからね。…さすが当時12歳だよ……)
「は-あぁ-………」
「何じゃ繭、そのため息は。」
「ううん、なんでもないよ。」
たしかに、こんな人ばっかりじゃあ、現世に帰る希望はなくなるかもしれない。
:07/12/15 22:15 :SH903i :u/O9biFY
#67 [桔妁]
それから、幾分か時は経った。
半月、いや一ヶ月は経ったのだろう。
―――
――
―
「繭-!」
(来た…団子屋小町んとこ行けばいいのに……)
しばらく頼仲は繭を標的にし、誘い続けていた。
:07/12/15 22:18 :SH903i :u/O9biFY
#68 [桔妁]
「でもさ、もう怪我治っただろ。一回位付き合ってやれよ。」
なんてことを言うのかこの男!!
「一回位って!!!あんたね-!私には一途に好きな人が………――ァアア!!!!」
繭は、忘れていた。早川先輩を。
「うるさいな-。今のは頼仲よりうるせぇババァ。」
:07/12/15 22:22 :SH903i :u/O9biFY
#69 [桔妁]
最近、この小学生のまま途絶えた天弥のコミュニケーションにも、やっと慣れた所だ。
「うるさ…!?あぁ、分かりましたよぅ!いいもんね!美味いモノ、たくさん食べてやるんだからっ!!」
それでこんな返答をする私も、天弥並に下がったのかなと、最近思う。正直泣きたい。
「頼仲くん、町に行きたいな-、私っ♪怪我の快気祝いってことで。」
:07/12/15 22:28 :SH903i :u/O9biFY
#70 [桔妁]
「けっ、何が快気だかなァ?横に伸びる病にかかるぞ。」
「うるせ-ジジィ。」
こんな感じで、なんとなく過去の生活が成り立ってきた。
―――順応していた。
:07/12/15 22:31 :SH903i :u/O9biFY
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