.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#72 [桔妁]
「繭の奴、電話も繋がらないし、メールの返事も無い…。」
「早川部長、心配じゃないんですか、一応部員だし。」
「……まぁ、それなりに。」
「時枝は、依然として捜索が続けられている。皆も情報があったら先生に言うんだ。わかったね。」
:07/12/15 22:39 :SH903i :u/O9biFY
#73 [桔妁]
「天弥と同じような子が出るなんて……あの村は何なんだ……」
「神隠しだって。」
「繭ちゃんが?見つかるといいんだけど。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
順応している繭に対して、現世では日本国内で知る者は居ない程の話題になってしまっていた。
:07/12/15 22:43 :SH903i :u/O9biFY
#74 [桔妁]
―――
――
「…頼仲くん。町って、いつ着くの?」
しばらく歩いていた二人だが、中々町には着かない。
「あれれ-、おまいさん。町の女じゃないのかい?鬼道村から町までは二里あるんだけどな。」
「二里!?」
二里といえば、たしか8キロメートルくらいだっただろうか。確か小学生の時に習った気がする。
:07/12/16 14:33 :SH903i :tZ4U.oSM
#75 [桔妁]
だから天弥が町に行くと言う日は、朝早く出て日が落ちた後帰ってくるのだろう。
「…あぁ-私、村の崖の上から来た者だから……。分からなくて。」
「何、おまいさんもか!」
急に声をあげられたので、少し驚く繭。
「あ、いや。天弥もわしが偶然、鬼道洞窟の近くに居たときに助けたんじゃ。…まぁ、見つけたのはわしで助けたのは父上だがの!」
:07/12/16 14:39 :SH903i :tZ4U.oSM
#76 [桔妁]
あんな餓鬼拾う位なら、繭みたいなべっぴんを拾いたかったと笑う頼仲だ。
「…へぇ、そうだったんだ。……ていうか、鬼道洞窟って何?」
鬼の道の洞窟なのだ。相当な言い伝えがあるに違いない。
といっても繭はそんなものには何の興味がないので、ただの話題の種なのだが。
「あァ、あそこか?あそこァちょっとした昔話みたいなものがあるね。」
:07/12/16 14:45 :SH903i :tZ4U.oSM
#77 [桔妁]
「昔話?……むっ」
急に口を塞がれた。
「繭、向こうから誰か来る。」
しばらく二人で固まっていると、本当に誰かが来た。……侍みたいな人が。
しかも、相当お怒りの御様子。
:07/12/16 14:50 :SH903i :tZ4U.oSM
#78 [桔妁]
頼仲は、すたすた繭の手を引き、足をすすめた。だが、侍の言葉で足をとめる。
「今お前ェ-、睨んだよなァ?…んだ!野郎が!!」
頼仲は、侍の方を向いた。
威勢のいい奴だなぁ、しかも自意識過剰…。
繭は少し呆れ顔で見ていた。が。
:07/12/16 14:54 :SH903i :tZ4U.oSM
#79 [桔妁]
「んだ餓鬼がアァァ!!」
急に刀を頼仲に振って来たではないか。
これにはさすがに繭も青ざめる。
「キャアアアア!!!」
だが、頼仲はそれをするりとかわして、逆に短刀を侍に向けた。
:07/12/16 14:57 :SH903i :tZ4U.oSM
#80 [桔妁]
「お侍さん、間違えちゃいけんよ。わしはもう19だ。なめるな。
だが…今日は繭が居るから無駄な殺生はせんよ。…鬱憤が溜まっているなら遊郭にでも行けや。」
頼仲はそういって短刀を侍から離すと、繭の方へ駆け寄った。
侍は、すぐに森の中へと姿を消した。
「さぁ、町までは後少しじゃ!」
:07/12/16 15:03 :SH903i :tZ4U.oSM
#81 [桔妁]
「う、うん。」
「何じゃ-?ちょっとか男前で惚れたか?」
繭は、はぁとため息を付いた。
無邪気に笑う彼は十九歳だったのか、と。
そして意外と強いのねと。
「まぁ、絶対惚れないけど。」
そう繭が呟けば、次は残念そうなため息が隣から聞こえた。
:07/12/16 15:08 :SH903i :tZ4U.oSM
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