-Castaway-
最新 最初 全
#186 [◆vzApYZDoz6]
登場人物の過去
-パンデモの一族・アリサと内藤-
:08/01/03 02:20 :P903i :7ZY8twyc
#187 [◆vzApYZDoz6]
―――…
地球とは違う異世界『ディフェレス』。
その世界の辺境、方角で言えば東の最果てに、ある一つの集落があった。
草が生い茂り、浅い小さな谷が連なる場所。周囲には高い山々が聳え立っており、その谷は盆地のようになっていた。
その谷には、木造の建物があちこちに点在している。その真ん中を突っ切るように真っ直ぐに大きな川が流れており、川の付近は谷の他の場所に比べ人が少し多い。小さな市場のようなものもできている。
パンデモの集落は、集落と言うには少し大きめで、村、或いは里と呼べるぐらいの大きさだった。
:08/01/03 04:48 :P903i :7ZY8twyc
#188 [◆vzApYZDoz6]
その谷の外れ、深い山の麓近くに空地のような場所があった。
そこは半径20m程の小さな草原となっていて、周囲は小さな崖に囲まれている。
修練場として使われているようで、中央には特に何もなく、端の方に撃ち込み用の丸太があったり、的のような丸い円が書かれた紙が崖に貼り付けられたりしている。
その場所で、1人丸太を相手に撃ち込みをしている若い男がいた。
(バニッシ。『内藤篤史』として京介と藍のクラスの担任になるのは、この4年後の事です)
:08/01/03 05:13 :P903i :7ZY8twyc
#189 [我輩は匿名である]
:08/01/03 13:28 :P902iS :☆☆☆
#190 [◆vzApYZDoz6]
>>189安価&支援ありがとうございます(^^)
今から更新します。
:08/01/03 14:59 :P903i :7ZY8twyc
#191 [◆vzApYZDoz6]
その頃、修練場から少し離れた場所で、辺りを見回しながら歩く1人の女性がいた。
(アリサ。この時は、まだ語尾に音符はつけていません。理由は後々明らかになります)
アリサ「もう…何処に行ったのかしらバニッシちゃん」
アリサは周囲の家の裏を除いたり、或いは集落のすぐそばに広がる雑木林をじっくり眺めたりしながら、集落の端を伝うように歩きバニッシを探す。
その最中に、撃ち込みの反響音が聞こえてきた。
アリサは嬉しそうに笑い、修練場に小走りで向かった。
:08/01/03 15:05 :P903i :7ZY8twyc
#192 [◆vzApYZDoz6]
バニッシが次々と拳を、または蹴りを撃ち、丸太が木片を撒き散らす。丸太はどんどんささくれ、ぼろぼろになってく。
撃ち込みの音は囲まれた崖に反射して反響し、辺りにこだました。
10合ほど撃ち込みを続けて、一旦手を休める。袖で汗を拭っていると、高く透き通った声が聞こえてきた。
アリサ「もー…またやってる。そんなに強くなってどうするのよ」
バニッシが修練場の入口に目を向ける。
アリサが呆れた顔をしながら、崖に挟まれた狭い道の真ん中に立っていた。
:08/01/03 15:21 :P903i :7ZY8twyc
#193 [◆vzApYZDoz6]
嬉しそうに手をふるアリサの元へ、バニッシが歩いていく。
バニッシ「別に意味は…」
アリサ「あー、また袖で汗拭いてる!汚いから駄目だっていつも言ってるじゃん!もー…ほらこれ使って」
バニッシの言葉を遮り、怒りっぽく言いながら、持っていたタオルを手渡した。バニッシが受け取り顔を埋める。
アリサ「ったく、いっつもそうなんだから」
バニッシ「いいじゃねーか、んなもん」
アリサ「よくない!汚い!」
:08/01/03 15:34 :P903i :7ZY8twyc
#194 [◆vzApYZDoz6]
アリサが腰に手を当てて、少し説教臭く喋る。バニッシは鬱陶しそうに視線を逸らし、耳を塞いだ。
アリサ「ちょっとー、聞いてるの?」
バニッシ「聞こえません」
アリサ「こらっ!」
バニッシ「あー、もーいいって。これありがと」
少し乱暴にタオルを返し、修練場を出ていく。アリサは不機嫌そうに頬を膨らませながら、振り返ってバニッシと肩を並べた。
集落までの道を歩きながら、バニッシが訊いた。
バニッシ「そういや、今日は何しに来たんだ?」
アリサ「やっぱり忘れてる!今日の御上祭り一緒に行くって約束したじゃん!」
:08/01/03 15:49 :P903i :7ZY8twyc
#195 [◆vzApYZDoz6]
御上祭り(みかみまつり)とは、パンデモで年に一度開催される祭り。
パンデモ一族にも族長という身分の人間が存在し、パンデモの初代族長の誕生日は、地球で言う元旦と同じ。その日に、その年の豊かな実りと安寧を願って開かれるのが御上祭りだ。
パンデモ一族の殆んどはこの行事に参加するが、バニッシは決まって毎年すっぽかしていた。
バニッシ「んー…そんな約束したか?」
アリサ「しました。あなたいっつもすっぽかすんだから、たまには参加しなさいよ?」
バニッシが眉間に皺を寄せながら後頭部を掻く。どうにかアリサにバレずにすっぽかす方法はないか、と考えていた。
:08/01/03 16:07 :P903i :7ZY8twyc
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194