校内戦争
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#150 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「嘘だろ…まさか…」
「一体どうしたって言うんだ?司…」
愕然とする司に神田が近づく。
しばらく黙っていた司が、重々しく口を開いた。
「…最初に衝突し、三年を本気にさせたのは…何処の学年だ?」
「俺たち…二年だ」
「じゃあ…初めて死傷者を出したのは?」
「二年が一年を…」
「そうだ…つまり、一年と三年は二年に恨みがある。…俺たちは危険視されているんだ」
「そうか…三年は二年が自分たちに襲ってきた直後に、一年と二年が戦って一年に死者が出た情報が来た…二年を危険視するのも無理はない」
「一年は一年で二年に仲間が殺されたんだ…俺たちは要注意学年だろう…」
「それが…今後どう影響するんだ?」
「最悪の場合……俺たちは一・三年連合軍をまとめて相手をしなければならなくなる…」
:08/01/14 14:47
:N900iS
:☆☆☆
#151 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
二人の会話に、皆が黙り込んだ。
皆、理解し始めたのだ。
一ヶ所に三学年全てが集まるのは、皆無に等しい。
例えば、ここに仲の悪い三つの国があるとする。
そこで、二つの国が戦争を始めた。
すると残った一つの国は何をするだろうか?
もちろん、戦争を見ているのだ。
両国が潰し合って、弱った所を一気に叩く…そういう作戦をとるだろう。
しかし司たちのこの場には、三つの学年が集っている。
わざわざ『第三の国』が、両国の戦争に『自ら』参加したのだ。
考えられるのは一つ…
―――同盟であった。
:08/01/14 14:56
:N900iS
:☆☆☆
#152 [我輩は匿名である]
:08/01/16 02:53
:SH904i
:WAFXAw6g
#153 [ちぃ]
ホンマおもろぃ

楽しみにしてるんで、頑張って下さい

:08/01/16 15:49
:SH901iS
:FLPyz/gE
#154 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
しばらく黙り込っていた司が、ふと我に返る。
死体を目前にして、嘔吐感が込み上げてきたのだ。
慌てた口調で指示を出した。
「い、生き残りの確認を!まだ中にいるかもしれない!慎重に入るぞ!」
呆然としていた一同も、司の一言ですぐに意識が戻った。
各自、武器を持ち直して家庭科室への扉に近寄った。
屍が嫌でも目に入る道を慎重な足取りで歩を進める。
一つ、二つと死体を乗り越え、扉に近づく。
かなり多数の者が、放心状態になっていた。
先程すでに死体を見た三組と違って、二組の人たちは初めての体験に現実が飲み込めていないのだ。
明らかに動揺していた。
司の言葉がなければ、いつまでも動いてはいなかっただろう。
今でさえ、ただ司の指示に従っているだけなのだ。
今ここで、『走れ』と言えば走るだろうし『帰るぞ』と言えば素直に帰るであろう。
自分の思考を持たない状況であった。
:08/01/17 20:19
:N900iS
:☆☆☆
#155 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
後方から、何人かの呻き声が聞こえる。
おそらく司と同じくして、激しい嘔吐感に襲われたのだろう。
昨日までは平凡な高校生だったのだから、無理はない。
現に司は今も視界が霞んで見えた。
一度見たからといって慣れるものではない。
再び司に激しい嘔吐感が込み上げてきた。
:08/01/17 20:23
:N900iS
:☆☆☆
#156 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「司…大丈夫か?顔色、悪いぞ」
司の蒼白の顔を見て、心配そうに覗き込む。
「…あぁ」
「そうなるのも…無理はないだろうけど」
「おまえは…」
ふらつく足を進めながら、司は腹から声を出して言葉を切る。
「…ん?」
「…おまえは平気そうだな」
:08/01/17 20:27
:N900iS
:☆☆☆
#157 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
それを聞いた信一はふっと鼻で笑った。
「平気な訳あるかよ…痩せ我慢だっての。…実際はぶっ倒れそうだ」
「そうか…痩せ我慢が出来るだけ、すごい」
「ぶっ倒れていいなら今すぐ、遠慮なく倒れるけどな」
にやりと歯を見せる信一に、司が静かに笑う。
足を止めれば、開いた家庭科室の扉があった。
:08/01/17 20:31
:N900iS
:☆☆☆
#158 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
開け放たれた扉を前に、司たちは再び衝動に駆られた。
内部の悲惨さにだ。
あまりの驚愕の光景に、一同言葉を失っていた。
決して広いとは言えない教室内に、大量に飛び散った血が、壁を、床を、教室にあるあらゆる物を汚していた。
それより目に入ったのは、大勢のすでに息のない屍たちであった。
ざっと見て、三十人は超えていた。
死体に死体が重なっているのである。
誰もが生存者の可能性を否定しそうになった。
―――その時、何処からか呻き声が聞こえた。
:08/01/17 20:40
:N900iS
:☆☆☆
#159 [ちぃ]
:08/01/18 16:07
:SH901iS
:0k78yh8c
#160 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
皆の動きが、一斉に止まる。
話し声すら消え去った。
しん、と静まり返る教室。
ごくりと音がして、生唾が喉を伝った。
目だけを動かして、辺りを探る。
出来るだけ音を拾うように、耳の神経を研ぎ澄ませた。
「……ぅ…」
聞こえた。
辺りにうめき声が、微かだが確かに響いた。
それは家庭科室独特の特殊な形状をしている机の数々の更に奥…
司たちとは反対側にある教室の片隅の机の影から、聞こえた。
「……っぁ…」
怪我をしているのか、苦しそうな声であった。
無意識に出ているに違いない。
いや、意識すら朦朧としているのかも知れない。
そうでなければ司たちの気配に気付かないはずがない。
武器を持つ手に力が入る。
司は、足を前に出した。
:08/01/20 12:59
:N900iS
:☆☆☆
#161 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
動きだした司に皆がついていこうとする。
それに気付いた司は立ち止まると右手を上げて制止させた。
「様子をみてくるだけだ…待機していてくれ」
体は正面のまま、首だけを後ろに向けて囁くような声を出した。
信一が代表して頷くと、視線で「気を付けろよ」と送る。
「大丈夫さ」
視線の意味を察してか否か、静かに微笑むと顔を正面へ戻した。
:08/01/20 13:07
:N900iS
:☆☆☆
#162 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
再び、歩を進めた。
息を殺して、ゆっくりと地面を踏みしめる。
物音を立てないように注意を配りながら前進していった。
数多の屍が司の行く手を阻んだ。
倒れている屍の隙間を探しては、その足場となるわずかな空間に静かに足を下ろした。
いくつも死体の山を乗り越えて、目的の教室の奥を目指す。
短い距離だが音を立てないように意識したため、時間が掛かってしまった。
ようやく、机が近づいてきた。
:08/01/20 13:19
:N900iS
:☆☆☆
#163 [春]
:08/01/23 13:10
:D903i
:☆☆☆
#164 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
申し訳ありません。
調子に乗って学校で携帯を弄っていたら(理由があるのですが)無実の罪で理不尽な理由を突き付けられた揚げ句没収されました。
Nでしか書けないヘタレですのでしばしお待ち下さい。
:08/01/23 21:09
:SH905i
:☆☆☆
#165 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
不意に、司の動きが止まった。
司の視線があるものを捉えたのだ。
――――人だ。
いや、正確には人の足であった。
机の影から、二人分の足が出ていた。
聞こえてくる呻き声に合わせて、時折動いている。
まだ、生きているのだ。
:08/01/24 19:47
:N900iS
:☆☆☆
#166 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ふと、司はある物に気付いた。
二人の履いている上履きのラインだ。
青色であった。
色褪せた上履きには青色のラインが入っていた。
二年か?…いや待て。
決め付けるのはまだ早い。
ここで飛び出して一年だったらどうする?三年だったら?
俺たちを欺くために履いているとしたら?
司は思いとどまった。
罠かも知れない。
それが頭を過った。
警戒するに越したことはないだろう。
司は金属バットを握り直した。
バットを持つ手にじわりと汗が滲む。
確認しようと、一歩を踏み出した。
その時であった。
:08/01/24 19:52
:N900iS
:☆☆☆
#167 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「わ…わあぁぁぁ!!」
突然、机の影から何かが飛び出した。
人間であった。
司に背を向けて座っていた二人ではない。
―――三人目だ。
司からは死角となる机の影に隠れていたのだろう。
司と同じ制服に身を包んだ男子は、叫びながら司に突っ込んできた。
「何っ…!?」
司は完全に油断していた。
いや、警戒はしていたのだ。
しかし、人数は二人、しかも怪我人。と無意識に決め付けていたのだ。
その僅かな油断が、反応を鈍らせた。
:08/01/24 20:01
:N900iS
:☆☆☆
#168 [下痢ら]
:08/01/24 20:12
:P902iS
:☆☆☆
#169 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
至近距離に居たため、一気に間合いを詰められてしまった。
猛然と迫る男子の手には、小型のナイフが握られていた。
キラリと鋭い輝きを放って、司を襲う。
「くっ…!」
間一髪といった所で、反射的に体が動いて何とか避ける。
刃先が脇腹を掠め、制服をわずかに切り裂いた。
司は、体ごと突っ込んできた相手の手首を器用に押さえれば、あまりの勢いに歯止めが効かなくなったのか、男子は簡単にバランスを崩した。
それでも体を立て直そうと前のめりの上半身を捻るが、足元の死体に躓くと豪快に転んでしまった。
:08/01/24 20:13
:N900iS
:☆☆☆
#170 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ぐっ…!!」
かなり強く体を打ったのか、倒れた反動で男子の手からナイフがこぼれ落ちた。
司は相手より早くそれを拾い上げるとバットを振り上げた。
「ひっ…ひぃい!」
男子は両手で頭を庇い目を瞑ると、椅子を薙ぎ倒し死体を乗り越えながら大きく後ずさった。
司は這うようにして逃げる相手に間合いを詰める。
ふと、男子の様子がおかしい事に気が付いた。
体を縮こませらて、見てわかるくらい怯えていた。
浮言のように何かを呟いている。
見ていれば、ガタガタという音が聞こえてきそうなくらい小刻みに震えているのだ。
「殺さないでくれ…お願いだ…殺さないで…」
カタカタと震えながら、男子はぶつぶつと同じ事を繰り返していた。
「………」
司はバットを静かに下ろした。
:08/01/24 20:27
:N900iS
:☆☆☆
#171 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「裕也…?」
その光景を見ていた信一が、男子の顔を伺うように視線を送りながら口を開いた。
男子は依然として震えている。
目には涙さえ伺えた。
信一の声が聞こえないのか、かなり錯乱しているようだ。
「裕也?…裕也っ!」
信一は男子に駆け寄ると思い切り抱き締めた。
「嫌だ!やめてくれ!殺さないでくれ!頼む!!離せっ…離してくれ!」
男子は大声を上げると信一から逃れるように手足をばたつかせた。
信一はさらに抱き締める手に力をこめた。
「裕也!俺だ!三組の信一だ!もう大丈夫だぞ!助けにきたんだ!」
言うと、男子の動きが弱まった。
「…信一?」
男子は息を荒げながらも、ようやく目を開いた。
「もう安心しろ。おまえは助かったんだ…」
信一は安心させようと優しく抱き締める。
裕也と呼ばれた男子は糸が切れたように泣きじゃくり始めた。
「信一ぃ!…俺っ…殺されっかと思った…!」
:08/01/24 20:40
:N900iS
:☆☆☆
#172 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
その始終を見ていた者は、皆表情が曇った。
裕也の怯え方は尋常じゃなかった。
よほどひどい目に逢ったに違いない、と。
しばらく、沈黙が続いた。
裕也の啜り泣く声のみが、辺りに響いた。
「生き残りの…確認を」
重々しく口を開いた。
司の言葉に神田を含めた数人が教室内を捜索しだした。
司は裕也と信一を横目に見る。
だいぶ落ち着いてきたようだ。
その証拠に、信一と何度か言葉を交わしている。
「…大丈夫か?」
司が声を掛けると裕也の言葉に頷いていた信一が顔を上げた。
「何とかな…落ち着いてきたみたいだ」
「すまねぇ…な」
裕也がバツが悪そうに頭を下げた。
:08/01/24 20:49
:N900iS
:☆☆☆
#173 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
..続き
ってのが連続で見にくい!
ミスですね…
ともあれ休憩したらまた書きます。
:08/01/24 20:50
:N900iS
:☆☆☆
#174 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「あっちに二人…倒れてる。まだ、生きてるはずだ…」
裕也は信一に体を預けたまま、右手を上げ先程隠れていた机を差した。
「…残りは?」
信一の問いに裕也は眉を歪めると首を横に振った。
「そうか…」
「あいつら…いきなり現われて…」
裕也は思い出すように言うと、表情が強ばった。
「その時の事…詳しく聞かせてくれ」
司はその言葉に反応すると二人の近くに片膝を付いた。
「あぁ…」
裕也は深くため息を吐き、ぽつりぽつりと話し始めた。
:08/01/24 21:40
:N900iS
:☆☆☆
#175 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
二十分程前の事である。
丁度、司たちが野球部の部室から移動を始めた頃であった…
一組……裕也たちは家庭科室付近の廊下に待機していた。
家庭科室からは見えない、本館と南館を繋ぐ廊下であった。
実は、十分以上も前からここにいるのだ。
何故早く中に入らないのか。
それには理由があった。
閉めきられた扉の向こうである目的地、家庭科室にあった。
:08/01/24 21:48
:N900iS
:☆☆☆
#176 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
どうやら、先客がいるらしいのだ。
一年か、三年かはわからない。
どちらにせよ、最悪なことには変わりはなかった。
何にしても家庭科室には確かにいるのだ。
先程から、閉めきられた扉のスモークガラスにちらちらと黒い影が映っていた。
さらには耳を澄ませば話し声すら聞こえる。
どうするか…。
不意を突いて突入するか。
または諦めるか。
その二択で悩まされていた。
小声で議論を始めてから、かれこれ十分以上経っている。
:08/01/24 21:55
:N900iS
:☆☆☆
#177 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
これからどうするか、話し合いを始めた。
しかしこうしている間にも相手が出てきてしまうかも知れないのだ。
ゆっくりしている暇はない。
その焦りが、皆の思考回路を狂わせているのも事実であった。
お陰で、一向に話が進まない。
自分の意見を言って、実際にその通りに行動して全滅でもしたら…と、皆口をつぐんでいた。
「…突入しよう」
皆が右往左往している時、ようやくはっきりと意志を表示する者が現われた。
:08/01/24 22:05
:N900iS
:☆☆☆
#178 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
しかし、言ったは良いものの、意に反する者も出てきた。
「待て、よく考えろ。家庭科に先を越されたって事は、先にやつらに刃物類を取られたって事だ」
「確かに…このまま戦ったら確実にこちらの方が被害が大きいだろうな」
「司も無益な戦いは避けろって言ってたしな」
さらさらと反論を唱える。
しかし、ならば諦めるか、と言えば、否定派は言葉を詰まらせてしまった。
やはり下手に自分の意見が間違っていたら、と思うと意見を言えないのだ。
:08/01/24 22:09
:N900iS
:☆☆☆
#179 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ここで戦えば被害が出る…最悪の場合は全滅だ。
しかし、戦わなければ戻った所で仲間たちに何を言われるかわからない。
負け犬、臆病者、と罵られるのか。
あるいは司なら「よく無事で帰ってきた」と笑顔で迎えてくれるかもしれない。
:08/01/24 22:19
:N900iS
:☆☆☆
#180 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
どちらにしても、戦わない方が良いに決まっている。
しかし自分の「諦めよう」の一言で戦わなかったとしよう。
仲間の所に戻って臆病者扱いされた時、その矛先は誰に向くだろうか?
もちろん、「諦めよう」と言いだした自分であろう。
自分の発言で助かったくせに、一組の連中は他の組に味方するかも知れない。
そうなれば自分は学年を追い出されるだろう。
それは野獣がうろつくジャングルに裸で放り出されたようなものだ。
:08/01/24 22:20
:N900iS
:☆☆☆
#181 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
それを考えると、自分の意見を言えないのだ。
しかし、どんなものであろうと、行動を起こさない者に女神は頬笑まない。
焦りから冷静さを失っていた彼らには、それを見極めることは出来なかった。
そして、最悪の出来事が起こった。
:08/01/24 22:23
:N900iS
:☆☆☆
#182 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
今日は目が痛いのでこれで終了です。
見てくれている方、ありがとうございます。
:08/01/24 22:25
:N900iS
:☆☆☆
#183 [我輩は匿名である]
面白いです。
作者さんのペースで頑張ってください
:08/01/26 22:53
:V803T
:7gi9Y.5Y
#184 [我輩は匿名である]
:08/01/27 01:35
:W51CA
:v/7zddrU
#185 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>183ありがとうございます。
そう言ってもらえるのが何より嬉しいですね。
>>184安価ありがとうございます。
つい忘れてしまうので助かります。
:08/01/27 22:10
:N900iS
:☆☆☆
#186 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
突然、隊列の後方に騒めきが広がった。
議論を交わしていた先頭集団を含む最前列の者たちは、何事かと立ち上がる。
視線がそれを捉えた瞬間、皆、目を疑った。
自分たちのいる廊下の本館側に抜ける廊下の突き当たりに、一クラス分ほどの黒い集団が立ち止まって偵察するようにこちらを見ているのだ。
各自、手には武器のような物が伺えた。
話では、本館に行ったクラスはない…つまり、仲間ではない。
瞬時に、敵だと察した。
:08/01/27 22:25
:N900iS
:☆☆☆
#187 [我輩は匿名である]
:08/01/27 22:32
:SO902i
:0Qfk0p3w
#188 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「逃げろ!」
誰もが硬直状態にある時、不意に、誰かが叫んだ。
その言葉に、飛んでいた意識が戻ってくる。
同時に、底知れぬ恐怖心が駆り立てられた。
皆がわらわらと、蜘蛛の子の散ったように走りだした。
我先にと廊下を駆ける。
死にたくない、そう恐怖していた。
止まれば殺される。
今にも後ろから手が伸びてきて肩を掴まれるような、そんな感覚に陥っていた。
周りを見れば戦おうとする者はおらず、それが戦意を失わせ恐怖心を更に深くしていった。
:08/01/27 22:35
:N900iS
:☆☆☆
#189 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
戦意を喪失した者に残っているのは、逃げることであった。
仲間などに気を配っている暇はなかった。
とにかく逃げなければと、後ろから怒濤の如く押し寄せる足音から逃げるのに必死だった。
守らねばならぬ存在である女子でさえ、邪魔だと感じた。
一人追い越せば、そいつの死と引き換えに自分は死から遠退き助かる。
しかし一人追い越されれば死に近付き恐怖する。
『生』を巡って全力で駆けていた。
:08/01/27 22:44
:N900iS
:☆☆☆
#190 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
多数の足音と悲鳴が混沌する中を、裕也は走っていた。
不意に、前方を走っていた女子が転んだ。
巻き込まれるように二、三人が横倒しになる。
それを横目に見ながら、裕也はほくそ笑んだ。
俺のために死んでくれ。
無意識にそう思っていた。
生への執着心が生み出したその思考に、誰よりも裕也自身が驚いていた。
自分はこんな汚い人間だったのかと、葛藤した。
後方から響く足音に、はっと我に返る。
思考を吹き飛ばすように頭を振った。
裕也は倒れている集団の横を全力で駆けていった。
:08/01/27 22:55
:N900iS
:☆☆☆
#191 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「マジかよ…」
裕也が葛藤していた時、絶望すら伺える声が、隣から聞こえた。
その言葉の意味がわからずに横に目をやると、声の主であろう男子は光を失った目で、正面を見据えていた。
不審に思い自らも視線を正面に送れば、そこに立ちふさがっていた思わぬ壁に、思わず足を止めてしまった。
「嘘…だろ」
やっと出た言葉がそれだった。
:08/01/27 23:03
:N900iS
:☆☆☆
#192 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
いつの間に出てきたのか、その集団は先程の家庭科室から出てきていた。
その証拠に各自手には鈍い光を放つ刃物がしっかりと握られている。
そんな集団が、廊下を塞いでいるのだ。
しかも仲間の元へ行ける唯一の逃げ道である南館の階段さえも塞いでいた。
「ちっくしょおぉぉ!!!!」
一組の先頭の一人が、叫びながらバット片手に突っ込んでいった。
もはや覚悟を決めたのか、次々と男子の後に続く。
:08/01/27 23:13
:N900iS
:☆☆☆
#193 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「……ちっ」
裕也も鉄パイプを握り締める。
心臓が高鳴るのがわかった。
ドクドクと血液を送り出して全身に行き渡らせる。
手が微かに震えていた。
深く深呼吸をしてわずかに乱れた息を整えると、しっかりと正面を見据えた。
もう、怖くない…。
意志とは裏腹に震える足を前に出せば、裕也は敵陣へと消えていった。
:08/01/27 23:20
:N900iS
:☆☆☆
#194 [我輩は匿名である]
:08/01/28 08:15
:W51CA
:GXnLqWTY
#195 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「…そうか」
話の内容に表情を険しく歪めていた司は静かに俯いた。
「辛かっただろ…よく頑張ったな」
「何人も…やられた。俺たちは追いやられるように家庭科室に転がり込んだんだ…だけど、奴らも入ってきて…皆は残り少ない戦力で玉砕覚悟で戦った」
「それで皆は…」
信一の言葉に裕也は黙って頷く。
「…死んだ。俺たち三人だけが何とか隠れて生き残ったんだ…」
言い終えると裕也は再び震えだした。
表情がみるみるうちに凍りついていく。
蒼白の顔には恐怖が浮かんでいた。
「すまない。思い出させちまったな…」
司は一旦言葉を切った。
怯えている裕也をゆっくりと抱き締める。
「よく…生きててくれたな」
:08/01/30 22:00
:N900iS
:☆☆☆
#196 [
]
おもしろい

アゲ
:08/02/03 11:03
:D704i
:JjpTVdAM
#197 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「叫び声が…何人もの叫び声が耳から離れないんだ」
裕也は現実から逃げるように固く目を閉じる。
両手を耳に当てて一切の音を遮断した。
「裕也…」
信一は裕也を支える手に力を込めた。
「耳をつんざくような…悲痛な叫び声が…たくさんの人が目の前で殺されて行った…!」
「助けてくれ…あいつがっ…あいつがくる!」
信一の手に小刻みな震えが伝わる。
裕也が怯えきった様子で身を縮こませていた。
「…あいつ?」
今まで心配そうに眺めていた司が、その言葉に表情を歪めた。
「裕也、あいつって誰だ?」
司の声に反応を示せば、静かに顔を上げた。
乱れた精神を落ち着かせると、ゆっくり話し出した。
:08/02/03 14:09
:SH905i
:☆☆☆
#198 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「わからない…。ただ、わかってるのは一年ってことだけだ…。あいつは…人間じゃない…」
「…特徴は?」
「頭から返り血を浴びて…目についた奴から殺す…圧倒的な強さだった…何人もの男子をたった一人で倒していった…。真っ赤に充血した目…鬼のような形相……そして…」
裕也は言葉を切る。
苦しそうに目を細めると、言葉を繋げた。
「笑ってた…」
その内容に黙って話を聞いていた司は眉を歪めた。
「…笑ってただと?」
:08/02/03 14:17
:SH905i
:☆☆☆
#199 [ゆう]
この小説面白いです
最後まで頑張って下さいP
:08/02/06 21:44
:M-SKIN
:PZjO7AN2
#200 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「馬鹿な…」
この理不尽な戦いを楽しんでいるとでもいうのか?
司はさらに表情を険しくした。
…注意する必要がありそうだな。
頭の中で思考を凝らした結果、好戦的という言葉しか浮かばなかった。
「…今日はもう終わりにしよう」
ぽつりと呟くと静かに立ち上がった。
辺りを一瞥してから口を開く。
「皆、引き上げだ。三階に戻ろう」
:08/02/06 22:06
:SH905i
:☆☆☆
#201 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ゆっくりとした口調で言えば、皆がぞろぞろと家庭科室を出て行く。
見れば、皆、眉を寄せてバツの悪そうな表情をしていた。
大半が家庭科室からいなくなった頃、再び司が信一に向き直る。
「俺達もそろそろ行こう」
その言葉に信一は静かに頷くと、立ち上がった。
裕也を支えるように肩を貸しながら、扉に向かう。
司はそれを見ると室内を見渡した。
:08/02/06 22:12
:SH905i
:☆☆☆
#202 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
無言でゆっくりと首だけを動かして一瞥する。
目に映るのは血溜まりと悲惨な死体ばかり。
そのほとんどが同志の者だった。
裕也の話によれば、どうやら一年と三年の連合の線は薄いようだ。
…よく頑張ってくれたな。
散っていった仲間たちに心の中で呟けば、拳を強く握りしめた。
まだ、生きたかっただろう。
死にたくはなかったに違いない。
俺は…。
…助けて、やれなかった。
司の頬に一筋の雫が伝って、下に落ちた。
:08/02/06 22:23
:SH905i
:☆☆☆
#203 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「皆をここへ送ってしまった俺を恨んでくれ…」
司は後悔の念に駆られるように肩を震わせる。
俯いたまま、もう誰もいない家庭科室の中心で一人呟いた。
「恨んで恨んで…呪い殺すくらい、俺を責めてくれて構わない…」
不意に面を上げる。
正面を見据えれば、いつもより凛々しい表情がそこにあった。
覚悟の色さえ、伺えるように思えた。
低くはっきりとした声で絞り出すように口を開く。
:08/02/06 22:35
:SH905i
:☆☆☆
#204 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「俺は皆を…皆の魂を、一人一人の想いを!」
司は声を張り上げた。
拳を握ったまま再び一瞥する。
言葉を切ると、落ち着いた静かな口調に戻った。
「…この背に背負って生きていくよ。ずっと…。だから、見ていてくれよな…?俺の、大切な戦友たち…」
凛とした表情を残しながら言えば、司は踵を返して歩き出す。
「仇は…取るからよ」
先程とは違う低い口調で、聞こえない程の音量で小さく呟いた。
正面を見据える眼光には、今までにない鋭い色が宿っていた。
司は、一度も振り返ることはなく家庭科室を後にした。
:08/02/06 22:47
:SH905i
:☆☆☆
#205 [匿名]
主サン頑張ってファイトォ
:08/02/11 19:22
:SH902i
:oevwK532
#206 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
申し訳ありません!
現在自サイトの編集及び改装作業中につき忙しく更新が出来ない状態ですので…
暫くおまちください!
:08/02/13 16:06
:SH905i
:☆☆☆
#207 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/02/14 13:18
:SH905i
:☆☆☆
#208 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
一年生の居城である北館へと続いている渡り廊下を歩く集団があった。
恐らく一年生であろうその集団は、悠々とした態度で北館に向かっていく。
顔触れは男子ばかりであり、女子は見当たなかった。
見れば、十数人のブレザーを汚している返り血が、行き先で何があったかを物語っていた。
:08/02/23 08:57
:N900iS
:☆☆☆
#209 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
集団から少し離れて、先頭を歩く者がいた。
他の人とは明らかに違う雰囲気を漂わせた青年だった。
青年は自らの作り出した殺伐とした雰囲気の中心にいた。
凛と整った顔に、鋭い眼光を放つ切れ長の瞳。
その瞳の奥には、自分以外の者を全て見下す、そんな色があった。
:08/02/23 09:03
:N900iS
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#210 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
――荒川巧(アラカワタクミ)。
青年の名であった。
巧は俗に言う不良であった。
家庭内暴力に始まり、喧嘩の絶えない日々を送っていた。
自宅では家族から怖れられ、学校や私生活においては常に一目置かれている。
その理由は、人並外れた喧嘩の強さにあった。
だからといって巧は何か格闘技をやっていた経験はなかった。常人とは比べものにならない腕力と瞬発力を生まれついて持っていたのである。
:08/02/23 09:14
:N900iS
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