校内戦争
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#1 [ふむ]
近い未来、日本はある男のクーデターにより民主主義は破壊され絶対王政の時代に突入する。
男は自らを王と名乗り、自衛隊本部を始めとする人々をクーデターの味方につけ、武力で人々を押さえ付けていた。
:07/12/31 23:27
:N900iS
:☆☆☆
#2 [ふむ]
内閣などの政治機関はクーデターで全滅し、男こそが法律だった。
虐殺も行われ人々は混沌に包まれ、誰もが日本の未来は暗黒時代に突入した、と噂した。
一方、王となった男はやりたい放題。
日々贅沢の限りを尽くしていた。
:07/12/31 23:33
:N900iS
:☆☆☆
#3 [ふむ]
だが…
この時代は長くは続かず、すぐに途絶えてしまう。
しかしその間に歴史に刻まれる地獄的な出来事が起きた。
これは、その事件の話である。
:07/12/31 23:34
:N900iS
:☆☆☆
#4 [ふむ]
東京都の中心に位置する場所に、とある宮廷があった。
日本とは思えない大きさの敷地に悠然と建つ堂々たる屋敷であった。
一ヵ月程前にクーデターを起こした男――鬼島彰一郎(キジマショウイチロイ)の屋敷であった。
敷地に外部内部ともに武装した兵士が多数見て取れる。
外の状態とは一変し、この屋敷内には平和な空気が流れていた。
:07/12/31 23:46
:N900iS
:☆☆☆
#5 [ふむ]
「暇だ」
広々とした王間にある、大きな椅子に頬杖をつきながら座る男、彰一郎が言った。
「は?暇…と申されますと?」
顔色を伺うように家臣…坂下が訊いた。
「暇だ、暇なのだ。人を使うのにも飽きた」
彰一郎は残忍でいて冷酷で恐ろしい男ある。
人を使う、と言っても踊らせたりする訳ではない。
それはとても悪趣味で『暇つぶし』と称しては人を殺している。
しかも残酷でむごい殺し方を。
彰一郎はそれを見て楽しむのだ。
:08/01/01 00:00
:N900iS
:☆☆☆
#6 [ふむ]
訂正
彰一郎は残忍でいて冷酷で恐ろしい男ある。
↓↓↓
彰一郎は残忍でいて冷酷な恐ろしい男である。
:08/01/01 00:01
:N900iS
:☆☆☆
#7 [ふむ]
この男は人間ではない…彰一郎に仕える坂下はそう感じていた。
「坂下」
不意に名前を呼ばれ驚いたように恐縮する。
「はっ!何でございましょうか!?」
にやりと悪質な笑みを浮かべ彰一郎は口を開く。
「…良い暇つぶしを思い付いた。手始めに…どこでもいい、高校を手配しろ」
「…は?」
坂下は到底理解の及ばぬ顔を向ける。
「聞こえなかったのか…?どこか高校を探せと言っている」
ぎろりと睨むと坂下は肩を竦ませる。
「い、いえっ!はっ!高校でございますね。すぐにでも用意させます」
逃げるように王間から去っていく坂下には目もくれず、一人玉座に座して不敵な笑みを浮かべる彰一郎の姿があった。
「楽しめそうだ…」
:08/01/01 00:15
:N900iS
:☆☆☆
#8 [ふむ]
埼玉県内にある月城高校という学校に通う一人の男子生徒がいた。
名前は西村司(ニシムラツカサ)。
長身で体格も良く、髪は綺麗に整えてあり好青年の印象を受ける。
司の通う高校では…いや、世間では、一ヵ月経った今でもクーデターの話題で持ちきりであった。
それもそのはず、日本の未来に関わる事だ。人々が話をするのも無理はない。
:08/01/01 00:52
:N900iS
:☆☆☆
#9 [ふむ]
実の所、生活に変わりはなかった。
現に今もいつも通り高校に通っている。
どうやらクーデターの被害は東京の一部のみで済んだらしい。
どういう訳か、自衛隊自体が反政府軍に味方したため、全国各地で交戦されなかった事が被害地が東京だけで済んだ原因のようだ。
とはいっても死傷者は数知れない程出たことには違いない。
:08/01/01 01:03
:N900iS
:☆☆☆
#10 [ふむ]
クーデターの主犯は人を殺すことすら何とも思わない男だそうだ。
人を集めては、虐殺しているらしい。
そうなれば、どんな政治をしでかすかわかったものじゃない…と国民は不安を抱えた。
しかし生活に関しては現状が変わらなかった。
高校がある、ということは学校に現金が今まで通りに出回っているからだ。
どうやらいきなり社会を変えることは出来ないらしい。
:08/01/01 01:22
:N900iS
:☆☆☆
#11 [ふむ]
重税が課せられる訳でもなければ、年金が支払われなくなった訳でもない。
変わったと言えば、保険であった。
保険が無くなったのだ。
家が燃えたり事故を起こしても、そんな事知ったことじゃない。そんな後まで面倒を見る気はない。
そんな感じであった。
:08/01/01 09:46
:N900iS
:☆☆☆
#12 [ふむ]
今の日本にとって保険は不必要なのだ。
例え人身事故を起こしても、どちらが悪いかは決まらない。
なぜなら、その判決を下す『法廷』が消滅してしまっているからだ。
慰謝料を払う必要が無くなった訳である。
保険で入院していた患者は現金の支給口を失い、次々に死んでいった。
病人は生きていても意味がない、とクーデターの主犯は言ったそうだ。
老人であっても元気ならば年金で生かしてやる、そういう考えらしい。
『人無くして国は無し』
この言葉の最低限は守っていた。
:08/01/01 09:53
:N900iS
:☆☆☆
#13 [ふむ]
治安を守る国…警察がいなくなったとはいえ、強奪・強盗・殺人といった犯罪が増えたりはしなかった。
むしろ、減ったくらいだ。
理由は自衛隊が代わりに各地に配置され、犯罪者は即射殺されるという形式になったからだ。
:08/01/01 10:04
:N900iS
:☆☆☆
#14 [ふむ]
さて…
だいぶ話が逸れたが、話を戻そう。
地獄的事件の舞台となったのは、この月城(ツキシロ)高校。
のちに『月城事件』として歴史に語り継がれる事となる。
その『月城事件』の話には、ある青年――西村司の名が必ずと言っていい程出てくる。
これはその青年のお話…。
:08/01/01 10:14
:N900iS
:☆☆☆
#15 [ふむ]
2024年6月12日。
日本史上最悪のクーデターが起きた5月11日から約一ヵ月が過ぎた。
月城高校に通う司は、いつもと変わらない生活をしていた。
司は人望が厚く、クラスのリーダー格であった。
休み時間のたびに周りには自然と人が集まってくる。
:08/01/01 11:14
:N900iS
:☆☆☆
#16 [ふむ]
時刻は午前9時。
特に変わった様子もなく一限目が始まろうとしていた。
この日もいつも通り、日本が壊れているのに平凡な生活を送っている、という複雑な心境で一日が過ぎていくはずだった。
そう…『はず』だった。
:08/01/01 11:17
:N900iS
:☆☆☆
#17 [ふむ]
「どうなるのかねぇ日本は」
司の前の席に座って、親友佐々木信一(ササキシンイチ)が窓の外に視線を送りながら言った。
「さぁな」
何の前振りもなく突然話題を持ち出す信一を知っている司は適当に流す。
「素っ気ねぇ返事だなぁ」
外に送っていた視線を司に戻すと、司の机に頬杖をつきながら小さく笑った。
:08/01/01 11:49
:N900iS
:☆☆☆
#18 [ふむ]
「ま、どう転んだって今より良くはならねぇんじゃねぇの?」
淡々とした口調で司が言った。
「今からが最悪だってのか?」
「少なくとも、俺はそう思うね」
「ふぅん」
「ま、いいや」と信一が言った所で、始業のチャイムが鳴った。
:08/01/01 11:49
:N900iS
:☆☆☆
#19 [ふむ]
「やべっ…一限目数学だったよな?福沢うるせぇからな…じゃあな」
数学担当教師をけなしつつ信一は自分の席へ戻っていった。
時間が過ぎた。
時計を見れば、授業開始から15分が経過していた。
しかし、先生はまだ来ない。
別に不思議なことじゃない。
担当教師が授業を忘れることはたまにある。
大抵は生徒が呼びに行くのだが、中には邪魔する者もいる。
今も、女子生徒が先生を呼びに行こうとしているが「余計なことするな」と他の男子生徒に邪魔されている。
:08/01/01 11:58
:N900iS
:☆☆☆
#20 [ふむ]
―――その時であった。
パァンッ!とタイヤが勢い良くパンクしたような乾いた破裂音が校舎内に響き渡った。
校舎の構造からか多少エコーがかかって、まだ耳に残っている。
「何だ…?今の音…」
司が言った時には、すでに教室中が騒ついていて、仮に教師が居ても静められないくらいあらゆる声が飛び交っていた。
:08/01/01 12:03
:N900iS
:☆☆☆
#21 [ふむ]
「おいっ!外を見ろ!」
クラスの誰かが叫んだ。
皆が窓に駆け寄り外を見る。
何人もの生徒が外を見たであろう、途端に再び騒がしくなる。
「悪い。俺にも見せてくれ」
周りの生徒を退かして司は最前列に出た。
「何だよ…!?これっ…」
目の前に広がった光景を見て、思わず絶句した。
:08/01/01 18:13
:N900iS
:☆☆☆
#22 [淫乱戦隊シルバーシウダー◆DQN////7IA]
おもしろいっす。
頑張ってください。
:08/01/01 18:17
:V803T
:1u4HBByU
#23 [ふむ]
目の前の光景に思わず目を疑った。
迷彩服に身を包み銃を持って武装した大勢の男たち、耳障りな重い機械音を立てつつ動く車の数々が…
学校を完全に包囲していた。
おそらく軍隊であろう男たちは忙しそうな様子もなく、銃も構えずに立って話していた。
初めは凶悪犯でも逃げ込んだか?とか考えたが軍隊を派遣して治安を維持しようとするほど今の日本はお人好しじゃない。
テロもまた然り、埼玉にいる理由がわからない。
:08/01/01 18:42
:N900iS
:☆☆☆
#24 [ふむ]
:08/01/01 18:45
:N900iS
:☆☆☆
#25 [ふむ]
皆が皆、一人の例外もなく同じ行動を取っていた時、ガラリと勢い良く扉が開いた。
周りが一斉に視線を向けるがただ司だけは食い入るように外を見ていた。
「おまえら、席につけ!」
男の声が響くと急に静かになった。
ぞろぞろと生徒が席についていくのを音で感じながらも、司は一人立ち尽くし外を眺めていた。
:08/01/01 19:06
:N900iS
:☆☆☆
#26 [ふむ]
「おい!おまえ、席につけ!」
従わない司に再び声がかかる。
皆の視線が一斉に司に集中するのを感じた。
「せ、先生…これは一体…」
司の問い掛けに対する返答はいつまで経っても返って来なかった。
不穏な空気を感じて振り返ると、そこにいたのは先生などではなかった。
「席に…つくんだ」
:08/01/01 19:14
:N900iS
:☆☆☆
#27 [ふむ]
そう低い声で言ったのは、迷彩服に身を包んだ男だった。
見たところ、明らかに外にいる人たちと同じ軍隊であった。
片手に持った銃を見ると、皆が静かになった理由も頷ける。
司は黙って男の指示に従った。
「事情の説明は後だ。放送が流れるまで待て。私語は厳禁、従わねば殺す」
淡々と言ってのけ、男は椅子に座った。
:08/01/01 19:20
:N900iS
:☆☆☆
#28 [ふむ]
これは明らかに状況がおかしい。
もはやテロではない。
どうみても月城高校に用があるとしか思えない。
今後の展開が全く予想出来なかった。
「一体何なんだ…」
小さな声で呟いた。
何がどうなっている?
司は思いつく限りのあらゆる可能性を考えていった。
:08/01/01 20:38
:N900iS
:☆☆☆
#29 [ふむ]
テロではない…。
おそらく奴らは月城高校に用がある。
基地か…?
月城高校を拠点とした基地を建設したいのか?
…いや、ならば今日は…否、今日から学校はないはずだ。
おそらく先生たちにすら伝えられていなかったのだろう。
それに奴ら軍隊はクーデター側の反乱軍のはずだ。
…何を考えている?
考えれば考える程わからなくなってくる。
それにさっきの音…当たってほしくないが銃声のような音は?
:08/01/01 20:44
:N900iS
:☆☆☆
#30 [ふむ]
結局何もわからぬまま、放送が流れだした。
《月城高校の諸君、状況が飲み込めず困惑していると思う》
機械から発せられる声は無機質なものであった。
クラス中の皆は驚きを隠せなかった。
なぜなら、クラスの大半はこの声を一度は聞いたことがあるのだ。
:08/01/01 20:52
:N900iS
:☆☆☆
#31 [ふむ]
それは約一ヵ月前の5月11日…。
そう、クーデターの日だ。
その日の夜、聞いた。
ある者はテレビで…、
ある者はラジオで…、
この声を聞いていた。
クーデターの主犯…鬼島彰一郎その人の声であった。
:08/01/01 20:53
:N900iS
:☆☆☆
#32 [ふむ]
《単刀直入に用件を言おう…》
放送は止まる事なく進む。
彰一郎本人が来ている可能性は低い。
恐らくテープか何かに録音して再生しているのだろう。
彰一郎の声を聞いた者のほとんどが、悪い予感がした。
《学年別に殺し合いをしてもらう》
言葉を、失った。
:08/01/01 20:58
:N900iS
:☆☆☆
#33 [ふむ]
生徒たちの騒つきを無視して放送は続く。
男が一喝して騒めきを静した。
その内容は予想を遥かに上回るものであった。
:08/01/01 21:09
:N900iS
:☆☆☆
#34 [ふむ]
ルールは…
一年vs二年vs三年で殺し合いをする。
期限は一週間。
その間に他学年を全滅させる事。
一週間を過ぎても他学年が一人でも残っていた場合、つまり二学年以上校内に残っていた場合は校舎ごと爆破する。
範囲はグラウンド等を含む学校の敷地内全域。
敷地から出ることは許されない。
出ようとすれば学校を2m間隔で囲んでいる兵士に射殺される。
食料は朝に学年別に支給される。
兵士に攻撃することはクラスの全滅を意味する。
:08/01/01 21:09
:N900iS
:☆☆☆
#35 [ふむ]
《初めに言っておくが…君たちに拒否権は無い!》
強い口調で言い放たれた。
その後、放送は注意事項に移った。
:08/01/01 21:12
:N900iS
:☆☆☆
#36 [ふむ]
二日を過ぎても殺し合いが開始されない場合、家族が殺される事。
武器等は支給されないため、各自で用意する事。
校舎内には超小型隠しカメラが593個ある事。
家族が殺される、というのが重く響いた。
これが拒否権が無い、の意味らしい。
汚い奴だ…!
司は思い切り拳を握った。
:08/01/01 21:16
:N900iS
:☆☆☆
#37 [ふむ]
《本日の午後12時から開始する。終了は一週間後の同時刻とする》
見れば、時計の針はすでに10時15分を指していた。
《それまでは開始時間までは作戦でも立てるといい。…健闘を祈る》
そこまで言うと放送が切れた。
:08/01/01 21:21
:N900iS
:☆☆☆
#38 [ふむ]
「これからは話しても良い。だが教室からは出るな」
男が大声で叫んだ。
一人、また一人と司の元に集まってくる。
中には信一の姿もあった。黙っている司の周りで話し合いが始まった。
:08/01/01 21:28
:N900iS
:☆☆☆
#39 [ふむ]
「どうするよ…」
「どうするも何もやるしかねぇだろ…」
「殺すんだぞ!?そんな簡単に出来るかよ!」
「んな事言ったってやらなきゃやられんだぞ!?」
「一・三年と和解すれば…」
「馬鹿かテメェ!放送聞いてなかったのかよ!?二日経っても殺し合わなきゃ爆破されて皆全滅なんだよ!」
:08/01/01 21:29
:N900iS
:☆☆☆
#40 [ふむ]
「俺は出来ねぇ!……兄弟がいんだよ…」
ある男子生徒が言うと「私も!」「俺も!」と何人か兄弟がいる者も出てきた。
「仕方ねぇじゃねぇか!!殺されんだぞ!?」
「他の二年を集めるしか…」
今まで黙っていた立ち上がって司が口を開いた。
「あんた…」
:08/01/01 21:33
:N900iS
:☆☆☆
#41 [ふむ]
>>39訂正
「二日経っても殺し合わなきゃ爆破されて皆全滅なんだよ!」
↓↓↓↓
「二日経っても殺し合わなきゃ家族が殺されんだよ!」
まぁどっちにしても説得力ありますが…一応訂正。
:08/01/01 21:35
:N900iS
:☆☆☆
#42 [ふむ]
>>40今まで黙っていた司が立ち上がって口を開いた。
でした。汗
もうグダグダ
:08/01/01 21:37
:N900iS
:☆☆☆
#43 [ふむ]
椅子に座って腕組みをしている軍隊の男を指差していった。
「あんた…自衛隊だろ?」
男は黙って司を睨む。
「あんたにも家族がいたはずだ…何で反乱軍に味方した?」
臆した様子はなく男に話し掛ける。
司の態度を見た男は「ほう…」と関心した声をこぼした。
:08/01/01 21:41
:N900iS
:☆☆☆
#44 [ふむ]
「どうやら…この教室には大したリーダー格がいるようだ…」
不敵な笑みを浮かべて男は言う。
司は黙って男を睨む。
「特別に教えてやる…この軍隊はほとんど訓練されたならず者集団さ」
「何!?」
「刑務所ん中にいた奴や、リストラされて社会を恨んでいる奴、ホームレスって奴もいた…」
「…なるほどな」
:08/01/01 21:45
:N900iS
:☆☆☆
#45 [ふむ]
「最初から自衛隊だった奴もいるがごく少数だ…質問は終わりか?」
「あと一つ」
「ほう…こいつは驚いたな。銃を持っている相手にこうも怖じけずに話せるとは…」
笑う相手にぎろりと睨みを強くする。
「…どうだ?今殺してやろうか?俺らにはおまえらを撃つ事が許可されている」
「つ、司…もうやめとけよ」
銃をちらつせる男を見て、信一が止めに入る。
:08/01/01 21:51
:N900iS
:☆☆☆
#46 [ふむ]
「何でもいい、質問を続けるぞ」
そう言った司に、男は本当に驚いた表情を向ける。
「こいつぁ凄い!大した肝っ玉だ。いいぜ小僧話してみな」
「さっきのあれは銃声だな?何があった?」
「こりゃあ頭がキれる奴だなぁ」
鼻で笑うと男は続ける。
「あれはな、おまえらの教師を撃った音だ。何の連絡も無しにいきなりやってきて、挙げ句の果てに生徒同士で殺し合いをさせるときたら…反対する奴もいてな」
:08/01/01 21:57
:N900iS
:☆☆☆
#47 [ふむ]
「…わかった」
司は短くそう返すと席に座った。
「質問は終わりかい?」
「あぁ」
男は足を組んで再び黙った。
「だ、大丈夫か?」
信一が心配そうに覗き込む。
「大丈夫…な訳あるか」
へっ、と小さく笑って司が言った。
:08/01/01 22:01
:N900iS
:☆☆☆
#48 [ふむ]
「殺されっかと思ったっつの…」
「え…?でも…」
「虎穴に入らずんば虎児を得ず…って言うだろ?」
大きく深呼吸をして司は再び立ち上がった。
:08/01/01 22:03
:N900iS
:☆☆☆
#49 [ふむ]
「皆!聞いてくれ!」
司は声を張り上げて叫んだ。
教室内の誰もが司を見る。
男も興味あるのか視線を送る。
「どうやら俺たちは戦いを避けられないらしい!…そうなれば『どうやって戦いを避けるか』ではなく『いかに生き延びるか』を考えるべきだと思う!」
「こうなれば先に生き延びる方法を考え始めた方が勝ちだ!しかし、俺も殺しはしたくない!よって、敵が攻めてきた時のみ正当防衛として戦うことにする!」
「異議がある奴は出てこい!」
辺りが静まり返った。
:08/01/01 22:10
:N900iS
:☆☆☆
#50 [ふむ]
「確かに…戦いを避ける方法は見つからない…」
「今はそれが良策かも知れないな…俺も殺したくない」
「防衛か…」
「生き残る方法を考える…か」
「仕方ない…」
口々に言う皆を見て司は一瞥した。
「異議無し…でいいな」
誰も返事をしなかった。
複雑な心境なのだ。
仕方ないとはいえ、守るためとはいえ、人を殺すのだ。
先程から泣きだしている者もいた。
:08/01/01 22:15
:N900iS
:☆☆☆
#51 [ふむ]
「じゃあやらなければならない事がある!」
司は作戦を話しだした。
司たちは2年3組である。
1年や3年は5組まであるが、2年は4組までしかない。
数では不利な状況にある、と話した。
:08/01/01 22:19
:N900iS
:☆☆☆
#52 [ふむ]
校舎は…
2階建ての北館
4階建ての本館
3階建ての南館に別れている。
北館は1年が、
本館には2・3年がいる。
南館は移動教室の時に使う美術室や家庭科室などしかないのだ。
ここで問題が浮上した。
本館だ。
1階は職員室など、
2階は3年の教室、
3階は3年の教室に2-4、
4階は2年の教室である。
:08/01/01 22:25
:N900iS
:☆☆☆
#53 [ふむ]
問題は3階。
3年生の中に2年4組が孤立しているのである。
これを救助しに行かなければならない。
「という訳で…開始してすぐに他学年が攻めてくるとは思えないが、2年4組の救助が第一、最優先だ」
皆が関心した目を司に向ける。
それもそのはず、こんな状況でこれほど冷静なのだ。
「メンバーはこの3組の男子総勢で行く。女子はその間に4階の2年を全て廊下へ出しておいてくれ」
時計を見れば、11時45分をきっていた。
:08/01/01 22:31
:N900iS
:☆☆☆
#54 [ふむ]
午後12時になった。
放送が入った。
《これより開始する!》
終わった直後、外で戦車の空砲が鳴らされた。
男子女子共に、すぐ行動に移った。
廊下に出たが誰もいない。
恐らく行動を起こしたのは自分達が一番であろう。
他のところは話し合いも進まなかったに違いない。
男子を引きつれた司は廊下を走った。
:08/01/01 22:36
:N900iS
:☆☆☆
#55 [ふむ]
各階を繋ぐ階段は2ヶ所ある。
司たちは2年4組に近い方の階段まで走って一気に掛け降りた。
「中に入れ!」
司は指示した。
ここは4階ではなく3階。
3年生の縄張りだ。
廊下に待機してると廊下に出てきた3年生が攻めてきたと勘違いして面倒なことになりかねない。
:08/01/01 22:39
:N900iS
:☆☆☆
#56 [ふむ]
説明すると3分で納得してくれた。
早々に4組全員を連れて廊下に出ると、外の様子が気になったのか3年生が出てきていた。
「気付かれたか…!」
4組総勢プラス3組男子総勢という50人近くの人を見れば、状況が状況なだけに勘違いするだろう。
案の定、それを見た3年は真っ青になって叫びながら教室に駆け込んでいった。
:08/01/01 22:45
:N900iS
:☆☆☆
#57 [ふむ]
「二年が攻めてきたぞーー!!!」
そう叫びながら教室に駆け込んだ。
三年の教室内に騒めきが広がるのがわかった。
司はちっ…と舌打ちして大声で叫んだ。
「走れ!!」
4組を先に行かせて男子を待機させる。
「司!来たぞ!」
信一の声に振り返れば三年の男子がキョロキョロと辺りを見渡しながらぞろぞろと出てきた。
:08/01/01 22:50
:N900iS
:☆☆☆
#58 [ふむ]
ほとんど素手だが、手に椅子や野球部がいるのかバットが握られている者もいた。
「急げ!!…ちぃ!計算ミスだ!丸腰で来たのは間違いだったな」
ふと何かを思いついた司は信一に耳打ちする。
「わ、わかった」
「頼んだぞ!」
信一は4組より早く階段を上っていった。
:08/01/01 22:54
:N900iS
:☆☆☆
#59 [ふむ]
「いたぞ!」
三年の方から声が上がった。
完全に狙いを定めたらしい。
皆が皆、こちらを向いている。
「慌ててるぜ!」
「逃がすかよ!」
どうやら三年には自分達は慌てて右往左往しているように見えているらしい。
「はっ…行くぞ!」
小さく鼻で笑って、4組が完全に行ったのを確認すると声を出した。
:08/01/01 22:59
:N900iS
:☆☆☆
#60 [ふむ]
「逃げてる間に後ろからやられちまうぜ!?」
すでに走りだしている三年を見て男子が言う。
中には勝ち目のない戦いに参加しようとする者さえ見えた。
「いいんだよ!手は打った!」
「でもよ…」
「いいから来い!俺を……信じろ!!」
「っ…わかった!!」
言葉を制すと、立ち止まっていた男子たちが階段を上がりだした。
:08/01/01 23:03
:N900iS
:☆☆☆
#61 [ふむ]
「急げ!」
階段の折り返し部分で司が叫ぶ。
その時だった。
「あっ…!」
「うおっ!?」
一人の男子が階段に躓いて転んだ。
それに躓いてまた一人転んでしまった。
また一人…合計4人が倒れた。
「何やってる!立て!!」
司が叫ぶもすでに階段の下に三年が来てしまった。
「くっ…万事休すか…!」
:08/01/01 23:08
:N900iS
:☆☆☆
#62 [ふむ]
三年が階段を上り始めた時であった。
「うぉおぉおおぉおぉぉおぉ!!!!!!」
鼓膜が震え耳が痛くなる程大音量の声と騒がしい足音と共に猪の如く現れたのは1・2組の男子連合軍であった。
その先頭には信一の姿があった。
「行くぞオラァ!!」
「ぶっ殺すぞゴラァ!!」
「生きて帰れっと思うなよカス共がぁ!!」
「三年上等じゃボケェ!!」
口々に気合いを入れつつ進軍してくる二年に三年は完全にびびっていた。
:08/01/01 23:18
:N900iS
:☆☆☆
#63 [ふむ]
「お、おいやべぇよ」
「しまった!誘きだして一気に叩く作戦だ!」
「逃げろ!殺されるぞ!」
「ひぃい…!!」
三年は蜘蛛の子のように散っていった。
司がほっとしたのも束の間、今にも三年に飛び掛かろうとしている集団の前に立ち静止させた。
:08/01/01 23:22
:N900iS
:☆☆☆
#64 [ふむ]
不満をもらす者もいたが、追撃する必要もなく引き上げる事となった。
「信一。俺さ『三年をひびらせるために人を集めて階段の上から騒げ』って言ったと思うんだけど」
「い、いや。なんかさ…その気にさせるために『喧嘩ふっかけてきた』とかある事ない事言ったら、いつのまにか本気に…」
「ま、終わり良ければ全て良しって言うけどよ。あれが一クラスじゃなくて他の三年も出てきたら戦わざるおえなかったな」
話ながら見れば、すでに廊下に人が集まっていた。
:08/01/01 23:28
:N900iS
:☆☆☆
#65 [ふむ]
「皆、話がある!とりあえず聞いてくれ!」
クラスで話した事を再び話した。
話し終えると皆納得しているようであった。
「実は俺たちはさっきの三年との衝突で、三年側に火を付けてしまったかも知れない!」
あれほど殺意剥き出しで向かってきた二年を見た三年は「あいつらは本気だ」と思っても仕方ないだろう。
「しかし誤解を解いてる暇はない!やらなければならない事がある!」
「まずは武器の調達だ!家庭科室に一組、刃物類を頼む!理科室に二組、使えそうな薬品を頼む!保健室に四組、薬品類を頼む!俺たち三組は野球部・剣道部部室に行く!」
:08/01/01 23:40
:N900iS
:☆☆☆
#66 [AOI]
すごくリアルで
ドキドキyしながら
読んでます!
頑張ってください!
:08/01/01 23:43
:W51SA
:MKPy7ewU
#67 [ふむ]
「武器の調達が終わったら集合だが、集合場所はここじゃない!誰もいない南館だ!ここは最上階という事もあって逃げ場がない!だから南館3階に集合してくれ!」
南館の方を左手で指しながら話す。
これで実質的に一年・二年・三年が北館・本館・南館に別れた訳だ。
「無益な戦いは避けろ!無駄な血は流すな!三年には特に注意しろ!必ず集団で動け!」
一度言葉を切り深呼吸すると続けた。
「最後に言うことは一つ…『生きろ』!!」
:08/01/01 23:47
:N900iS
:☆☆☆
#68 [ふむ]
「速やかに頼んだぞ!!…以上っ!!」
言い終えるとどこからか拍手が響いた。
一つ、また一つと拍手が大きくなっていく。
最後には盛大な拍手が鳴り響いていた。
「やっぱおまえただ者じゃねぇや」
信一が肘で司の脇を突く。
「何だよ、いきなり」
ははっと笑って照れ隠しする。
「別にぃー?さぁて、と。行きますか!大将?」
司たちは笑った。
いつものように笑った。
肩を組んで並んで歩きだした…
:08/01/01 23:55
:N900iS
:☆☆☆
#69 [ふむ]
>>66さん
そう言ってもらえると嬉しいです。
誤字脱字が多いですがよろしくお願いします。
:08/01/01 23:56
:N900iS
:☆☆☆
#70 [ふむ]
東京都鬼島邸。
書斎と思わしき部屋に彰一郎は座して大きなスクリーンを眺めていた。
傍らには黒いスーツ姿の坂下がいた。
赤茶色のスーツに身を包んでいる彰一郎は頬杖をつきながら食い入るようにスクリーンを睨んでいる。
:08/01/02 00:00
:N900iS
:☆☆☆
#71 [淫乱戦隊シルバーシウダー◆DQN////7IA]
わくわくします。
頑張ってください
:08/01/02 00:02
:V803T
:./0Qp9gA
#72 [ふむ]
《最後に言うことは一つ…『生きろ』!!》
スピーカーから声が流れる。
青年の声であった。
スクリーンには紺のブレザーを着た一人の青年が、同じ制服姿の男女に囲まれて拍手を貰っているところが映し出されていた。
「ふっ…」
睨むようにスクリーンを見ていた彰一郎が笑い声を洩らした。
:08/01/02 00:04
:N900iS
:☆☆☆
#73 [ふむ]
「ふははははは!!」
突然声を上げて笑いだす。
「聞いたか?坂下!!『生きろ』だと!?ふははは!いや愉快だ!!真に愉快だ!!」
「まだ誰も傷一つ負っておりませぬが…」
坂下が大変恐縮した様子で言う。
「あぁそうだ。それにしてもこの小僧は本当に楽しませてくれる。これからどうなるのか、楽しみだ…実に楽しみだ」
:08/01/02 00:11
:N900iS
:☆☆☆
#74 [ふむ]
>>71さん
駄文ですが頑張ります!
応援よろしくお願いします。
今日はそろそろ終わります。
:08/01/02 00:13
:N900iS
:☆☆☆
#75 [ふむ]
自サイトとの連携でやっているので更新が出来ない時があります
携帯小説ですらこんな駄文ですが小説家になりたいとか密かに願って頑張っています
そんな簡単な事じゃないですけど
:08/01/02 01:26
:N900iS
:☆☆☆
#76 [我輩は匿名である]
駄文なんかじゃないと思うよ
願って努力すれば立派な小説家になれるさ
:08/01/02 01:29
:P902i
:G0RlgUwY
#77 [ゆみ]
:08/01/02 08:23
:W43H
:9az/xWgk
#78 [ゆみ]
:08/01/02 08:25
:W43H
:9az/xWgk
#79 [ふむ]
>>76さん
やる気が芽生えてきました!ありがとうございます。
>>78さん
安価ありがとうです。
:08/01/02 11:51
:N900iS
:☆☆☆
#80 [ふむ]
「っしゃ!出来た!」
司たちは一度教室に戻り、出来る限りの武器を作り出した。
1・2・4組はすでに出かけたが、3組は別だった。
司たちは校舎内ではなく、外に出るからだ。
外に出れば目立つ、下手すれば襲われかねない。
それに今回は男子の留守中に女子がやられる、という最悪な状況にならないために女子も連れていく事になっているから、なおさらだ。
「よっ…と。こんなもんか」
箒を折って先端にハサミをガムテープで付けたり、
モップの布の部分を取って金属を剥き出しにしたり、さらにはガムテープに画鋲をいくつも付けてナックルのような物を作っている奴もいた。
:08/01/02 12:02
:N900iS
:☆☆☆
#81 [ふむ]
「司、これどうしたらいいかな?」
司の所にある男子生徒が駆け寄ってきた。
手にはカッターが握られていた、
「あー…カッターはな、刃が折れやすいから駄目だ。普通にナイフみたいに使うしかないと思うぜ?」
「おぉ、わかった」
「さて、そろそろ行くか」
時計を見れば、すでに午後3時30分を指していた。
あまり時間をかけるとまずい事になる。
他学年に心の準備、という猶予を与えてしまうからだ。
:08/01/02 12:08
:N900iS
:☆☆☆
#82 [ふむ]
「皆!必ずキャップを取ったボールペンをポケットに入れとけよ!」
そう注意を促すと、金属バットを片手に持ち扉を開けた。
「行くぞ!」
司の声に皆、気を引き締めた。
司たちは教室を出た。
辺りを警戒しながら3階へ下り、渡り廊下を渡って南館へ移動した。
そこから下へ下りて外に出るのだ。
遠回りになるが、一番安全なルートであった。
:08/01/02 12:15
:N900iS
:☆☆☆
#83 [ふむ]
「まず近い剣道場から行く」
外に出た3組一同は、目立たないよう日陰に身を潜めながら剣道場を目指した。
話をする者はおらず、多少強ばってはいるものの、皆真剣な表情であった。
「見えたぞ」
傍らにいる信一に呟いた。
:08/01/02 12:20
:N900iS
:☆☆☆
#84 [ふむ]
「まず俺と信一で様子見に行く。皆は待機だ」
振り返って普通の声で指示をだした。
「神田。おまえ確か剣道部部長だよな?鍵をくれ」
神田と呼ばれた体格の良い男子生徒が他の生徒を割って前に出る。
「気を付けて」
「わかってる」
「…待て。やっぱり俺も行こう」
「……」
「中に詳しい奴を連れていくんだ。…いいだろ?」
「…あぁ」
鍵を受け取ると三人は忍び足で剣道場に近づいていった。
:08/01/02 12:27
:N900iS
:☆☆☆
#85 [ふむ]
ガチャリ…、と低い金属音が響くと扉が開いた。
顔一つ分だけ開けて中の様子を確認する。
フローリングの床に太陽の光が当たっている。
中は物静かで、誰一人いなかった。
「…まぁ、普通は中を物色して丁寧に鍵までかけてく奴なんかいないよな」
ふぅ、と息を吐くと振り返って物陰で待機している仲間に合図を送った。
:08/01/02 12:33
:N900iS
:☆☆☆
#86 [ふむ]
全員を中に入れると鍵をかけた。
「よし、皆!中から手当たり次第使えそうな物を探してくれ!」
各自、行動に移った。
司は神田についていき部室に向かった。
「これは一体…!?」
部室のドアノブに手を掛けた時、神田の表情が凍った。
司が不審に思い覗き込む。
「どうした?これは…っまさか!!」
神田の出した手の先にドアノブは存在していなかった。
あるのは無数の傷跡。
嫌な予感がして勢い良く扉を開いた。
:08/01/02 12:42
:N900iS
:☆☆☆
#87 [ふむ]
開いた扉に当たり何かが勢い良く転がった。
―――ドアノブであった。
無残に破壊されたドアノブが地面に擦れ微かな金属音を出した。
しかし司たちはドアノブなどは見ていなかった。
「ち…っくしょ!」
司は眉を細め悲痛な声を上げた。
「おい、どうしたんだよ?」
様子がおかしい二人の元へ心配した信一が来た。
信一は二人の視線に促され、中を見るなり青ざめた。
「何だよ…これは…っ!?」
部室はひどく荒らされていた。
椅子が、置物が引っ繰り返され、衣類さえ引っ張り出されていた。
:08/01/02 12:53
:N900iS
:☆☆☆
#88 [ふむ]
恐らく竹刀が何本か立て掛けてあったであろう場所は跡形もなく消え去っていた。
「ちくしょう!!やられた!!!」
司は扉を拳で殴って怒りを顕にした。
その時、別の方向から声が響いた。
「司!裏口が壊されてる!」
それを聞いた司は自嘲気味に笑った。
「はっ…鍵をかける必要がない訳だ…まんまとしてやられた…先を越されちまった…」
:08/01/02 13:04
:N900iS
:☆☆☆
#89 [ふむ]
振り返って「引き上げだ!」と指示を出そうとした時、またもや別の声に遮られた。
見ると、別の部屋から出てきた男子の手に棒のような物が握られている。
「司ぁ!木刀があったぜ!」
朗報を耳にした司は驚いたように目を丸くした。
「ははっ…!あいつらめ…一番良い武器を忘れていきやがった」
男子生徒から木刀を受け取ると司は黙って神田に投げた。
「…司?」
「おまえのだ。下手な奴が持つより、経験者が持った方が良いだろ」
神田が何か言おうとしたが司がそれを遮った。
「引き上げだ!!」
:08/01/02 13:09
:N900iS
:☆☆☆
#90 [ふむ]
ぞろぞろと剣道場を後にしていく。
不意に神田が口を開いた。
「ありがとな」
「馬ー鹿。生き残るためだ。それより、期待してるぜ?」
神田は黙って鼻で笑った。
「おぉ、期待に答えられるよう頑張らさせていただきます」
調子良く言う神田に、はっ、と笑う。
「…馬ー鹿」
:08/01/02 13:17
:N900iS
:☆☆☆
#91 [ふむ]
皆が次々と日陰に入っていく。
歩きながら信一が口を開いた。
「どこの学年かな…剣道場を荒らしたのは」
目だけを信一に送り司が言う。
「さぁな…今は俺たちの影響で三年の方が行動が早そうだが、一年は館も違うから全く状況が掴めない状態だしな」
「…この木刀はな、先生のなんだ。だから違う部屋にあったんだよ」
それを聞くと二人はなるほど、と頷く。
日陰に入れば、すでに皆が待機していた。
:08/01/02 13:30
:N900iS
:☆☆☆
#92 [ふむ]
しゃがんでいる皆を一瞥して口を開く。
「次は野球部の部室に向かう。皆、さっきより気を引き締めろよ。見たと思うが、剣道場はすでに先を越されていた…つまり、奴らはまだこの辺にいる可能性があるんだ」
ぴくり、と皆の動きが止まった。
どうやら状況を理解してくれたようだ。
真剣な眼差しを司に向けている。
「よし…行くぞ」
司を始めとする3組は目立たないように最短ルートで向かった。
:08/01/02 14:23
:N900iS
:☆☆☆
#93 [淫乱戦隊シルバーシウダー◆DQN////7IA]
熱く続き希望
:08/01/02 16:21
:V803T
:./0Qp9gA
#94 [ハムたろ◆Ribon8P572]
すごいおもしろいですね
続き気になります
頑張ってくださいね
:08/01/02 17:11
:N902i
:☆☆☆
#95 [神様モドキ]
頑張って下さい。
:08/01/02 17:22
:912SH
:8INlFaHk
#96 [ふむ]
校舎の影から辺りを見渡す者がいた。
信一であった。
ここからは野球部の部室が伺える。
校舎から野球部の部室に行くには、どうしても広く開けた見渡しの良い場所を通るため、注意が必要だった。
男子23人女子17人を完全に隠す物など全く置いていないため、そこはとても目立ち敵に見つかりやすいのだ。
「敵影無し…っと」
一人ぼそりと呟くと信一は小走りで来た道を戻っていった。
「司、大丈夫だ」
「わかった」
信一の確認を待っていた司は頷くと立ち上がり、しゃがんだままの皆に良く聞こえるように話した。
:08/01/02 20:34
:N900iS
:☆☆☆
#97 [ふむ]
:08/01/02 20:36
:N900iS
:☆☆☆
#98 [ふむ]
「皆、わかってると思うが野球部の部室に行くには目立つ場所を通らなければならない。これはある意味とても危険だ。だから皆の迅速な行動が求められる…いいな?」
異論を唱える者はいなかったが、中には不満げな表情をした者も見え始めた。
司の事を良く思ってない人や、我儘な人、皆が認めたから流れで認めちゃっただけ…みたいな人、様々であった。
司は複雑な表情で溜め息を吐くと信一に向き直った。
「…行こう」
「あぁ、行こう」
目前に迫った部室にゆっくりとした足取りで向かっていった。
:08/01/02 20:46
:N900iS
:☆☆☆
#99 [ふむ]
部室の前まで来ると鍵がないため思い切り金属バットを振り下ろして窓を割った。
豪快な破壊音がすると司は中に侵入して内側から鍵を開けた。
「今回は間に合ったみたいだな」
司の傍らで神田が言った。
腰にはベルトの間に黒い木刀が一本、刺さっていた。
「あぁ…」
「どうした?」
木製バットや金属バットを運びだしているのを見守りながら神田が尋ねた。
「いや、皆の中に状況を飲み込めてない奴らがいてな」
「状況を飲み込めてない奴ら?」
理解出来なかったのか復唱していると、外から信一が司を呼んだ。
:08/01/02 20:54
:N900iS
:☆☆☆
#100 [ふむ]
「どうした?何かあったのか?」
司の声に外に出る。
訊くと、信一はバツが悪そうな表情で言った。
「それが…足んねぇんだよ、人数が」
その言葉に司はぴくりと眉を細める。
「何!?」
「何度数えても何人かいないんだ…」
信一がそう言い、捜すように辺りを見渡すと司は壁を蹴り上げた。
「ちっ…あいつらめ…!」
「どういう事だ?」
会話を聞いていた神田が問う。
「さっき言った…状況を理解してない自己中な奴らだよ…手間ぁかけさせやがって!」
:08/01/02 21:03
:N900iS
:☆☆☆
#101 [ふむ]
「おい、あれじゃないのか?」
話を聞いていた神田が突然言うと、司は素早く神田の視線の先に目をやる。
見れば四人の男子が悠々とした態度でこちらに向かってきていた。
「おまえら!何処に行っていた!?」
怒りを顕にする司に四人は悪びれた素振りもなく歩いてきた。
:08/01/02 21:08
:N900iS
:☆☆☆
#102 [ふむ]
「おい!聞いて…」
「うっせぇよ!」
四人の内の一人…短髪でいかにも不良みたいな奴が司の言葉を遮った。
「何!?」
「テメェよぉ、さっきから何な訳?威張った態度ばっか取りやがって…あぁ?」
「おまえ…この状況がわかって言ってるのか?これは喧嘩じゃないんだ…殺し合いなんだぞ?」
司は喧嘩腰の相手に退けをとらない強気な口調で言った。
:08/01/02 21:16
:N900iS
:☆☆☆
#103 [ふむ]
司が言った瞬間、四人は大声で笑い出した。
「んなもん自分らで何とかするわ!」
「誰がてめぇの力なんざ借りっかよ!」
「俺らぁ好きにやらせてもらうぜぇ」
言うだけ言って四人は再び歩きだした。
皆の横を通り過ぎていく。
「待て…!おいっ!死にたいのか!?」
「てめぇの世話になるくらいなら死んだ方がマシかもなぁ?」
司の言葉に耳を貸さず、ぎゃはは!と笑い飛ばしながら歩を進める。
:08/01/02 21:25
:N900iS
:☆☆☆
#104 [ふむ]
「くっ…!」
通り過ぎていく四人を見て司は唇を噛んだ。
その時、神田が口を開いた。
「司…」
猛獣を前にした時に横の仲間に問い掛けるような、とても小さな声だった。
「司…司っ!!」
怒鳴るように言うとさすがの司も異変を感じたのか、四人から神田へ視線を送る。
神田は目を細め正面をずっと見据えていた。
「こりゃあ…まずいぜ…」
続いて信一の声も聞こえた。
:08/01/02 21:33
:N900iS
:☆☆☆
#105 [ふむ]
二人の目線を追うと、その正体が明らかになった。
―――――敵だ。
「ちぃっ…!」
恐らく一年であろう。
男子だけのようだ。
手には武器を持っていた。
特に目立つ武器は竹刀。
司は剣道場の荒れ様を思い出していた。
「女子は後ろへ下がれ!」
直ぐ様指示を出した。
ザッ…、と男子が前へ出る。
:08/01/02 21:38
:N900iS
:☆☆☆
#106 [ふむ]
「大変だなァ?ま、せいぜい頑張ってくれや」
後ろから短髪の声がする。
他の男子はすでに構えて司の指示を待っていた。
「頼む、手を貸してくれ」
敵に視線を送ったまま司が言った。
正直、このメンバーだけでも負ける気はしない。
ただ怪我を最低限減らすためにも数は多いに越したことはない。
「はっ、知るかよ」
嘲笑うかのように歩きだす音が耳に届いた。
「馬鹿め…」
呟くように低く言う。
言った時には、すでに足音は聞こえなかった。
:08/01/02 21:46
:N900iS
:☆☆☆
#107 [ふむ]
両軍は完全に対峙した。
どちらも動く気配はない。
最悪のタイミングに現われた敵に司は頭にきていた。
「どうする?」
同じく視線を敵に送りながら信一が訊いた。
「…逃げ場はない。さっきの四人が通った道は狭すぎて全員が逃げる前に叩かれちまう」
それを聞いた信一は深く溜め息をついた。
「やるしかないって訳ですか…」
「向こうが諦めてくれりゃいいんだが……どうやら、その気は無いらしい」
司の言葉が終わる頃には、敵はこちらに歩きだしていた。
:08/01/02 21:54
:N900iS
:☆☆☆
#108 [ふむ]
「いいか!負けた奴の骨は拾わねぇからな!!」
司は勢い良く言い放った。
士気を高めるためか、内容は変わったものだった。
「だが安心しろ!線香くらいは上げてやる!!やらなきゃやられる!!肝に命じとけ!!!」
信一と目があった。
笑っていた。
喧嘩の時が頭に巡る。
二人は頷き合った。
「テメェの血路はテメェで切り開け!!!」
ぴったり信一の声と重なった。
途端に辺りは気合いに満ち溢れた。
:08/01/02 22:03
:N900iS
:☆☆☆
#109 [ふむ]
両軍は中央で衝突した。
第一撃で負傷者が出た。
しかし片手であれば殴り倒し、武器があれば振り回し、両手をやられれば蹴り倒し…凄まじいものであった。
「くっ…そがぁぁあ!!!」
司の勢い良く振り下ろした金属バットが敵の後頭部に当たり、重い音とともに力なく地面に倒れた。
「はぁ…っ…はぁ…!っ…うらぁぁあ!!」
信一も負けじと金属バットを振り回す。
思い切り突きを繰り出して鳩尾(ミゾオチ)に当てると、よろめいた敵の顔に横薙の一撃を叩きこんで、一人倒した。
土煙が舞う乱闘の中で、勝機は三組に向きつつあった。
優勢になり始めたのだ。
:08/01/02 22:15
:N900iS
:☆☆☆
#110 [ふむ]
「ぐぅっ…!」
「がっ!」
「がはっ!」
ガスッ!ガスッ!ガスッ!という三つの低い音と立て続けに悲鳴が聞こえた。
三組の中でも司と信一は喧嘩が強い方だが、それを凌ぐ強者が現われたのだ。
「ぎゃあっ!」
どさり、とまた一人倒す。
無造作に転がった六人の屍の上に立ち尽くす修羅の如く一人の男。
―――神田であった。
ギロリ、と睨みを効かせると一年はびくりと怯んだ。
「ひぃ…っ!!」
「ひ、退け!退けぇ!!」
一年は散り散りになりながらも北館に引き返していった。
:08/01/02 22:23
:N900iS
:☆☆☆
#111 [ふむ]
「深追いするな!」
司の声に追撃は中止された。
「司…」
信一の言いたい事はわかっていた。
倒れている敵をどうするか、である。
「息のある奴も…放っておけ」
司の言葉に安心した表情を浮かべた。
「そのうち一年が引き返して助けに来るだろう」
:08/01/02 22:28
:N900iS
:☆☆☆
#112 [ふむ]
「怪我人は?」
信一に尋ねた。
「七人、傷だけだ」
信一の言葉にほっと胸を撫で下ろした。
骨折ならまだしも、傷だけなら軽いからだ。
「…死者は?」
司は真剣な表情で恐る恐る訊いた。
「いない」
司と目が合うとにいっ、と笑い信一は言葉を続ける。
「大勝利だな、大将!」
肩を叩きながら言った。
:08/01/02 22:34
:N900iS
:☆☆☆
#113 [ふむ]
「あぁ…」
司は複雑な表情を浮かべる。
「どうした?元気ねぇな?」
「まぁな…」
視線を倒れている一年に向ける。
「あぁ…」
その意味を察したのか、信一も表情を歪めた。
「理由はどうあれ、仕方ないにしても…俺たちは人を殺してしまった…」
:08/01/02 22:38
:N900iS
:☆☆☆
#114 [ふむ]
一人の一年に駆け寄って脈をとる。
腹部には刺し傷のようなものから流れ出ている鮮血がブレザーの下の白のワイシャツを紅に染めていた。
「脈は…?」
信一の問い掛けに司は首を振った。
「んな暗い顔すんなって!するなってのが無理かも知れねぇが…皆…同じ気持ちだ…。だから!リーダーの司が明るくしてくれねぇと俺たちもやりきれねぇよ!」
信一は肩に手を置いて精一杯笑顔を作った。
「ありがとよ…信一」
「よせよ水臭ぇ。友達だろ?」
:08/01/02 22:48
:N900iS
:☆☆☆
#115 [我輩は匿名である]
面白いよ完結させてね
:08/01/02 22:58
:N902i
:fctmpf0U
#116 [ふむ]
>>115さん
頑張ります。
自分の持つ文才を絞りだします!
:08/01/02 23:17
:N900iS
:☆☆☆
#117 [ふむ]
「さ、締めを頼むぜ」
司は頬笑んで立ち上がった。
「引き上げるぞ!」
いつも通りの声で司が叫んだ。
この時、耳を澄ませば遠くの方から音が聞こえていた。
大勢の声に様々な音が。
しかし、誰一人としてそれに気付く事はなかった。
司たちはその場を後にした…。
:08/01/02 23:29
:N900iS
:☆☆☆
#118 [мェ]
:08/01/03 00:52
:SH903iTV
:☆☆☆
#119 [ふむ]
>>118さん
ありがとうございます。
まだ一日目ですが…
:08/01/04 10:58
:N900iS
:☆☆☆
#120 [極]
ハマりましたぁ咐~
:08/01/04 13:28
:W51S
:☆☆☆
#121 [ふむ]
時間がとれずにレスに返事をするのがやっと…
でも今日更新します!
:08/01/05 11:15
:N900iS
:☆☆☆
#122 [ふむ]
辺りを警戒しながらも、校舎内に戻っていった。
司たちは慎重な足取りで非常階段を上がっていた。
他学年との遭遇を避けるためだ。
今は怪我人も出ているため、正直他学年との接触は避けたかった。
「静かだな…」
ぽつりと信一が呟いた。
今までの学校とはまるで違って、確実に人がいるにも関わらず、誰一人いないかのように校舎内は静まり返っていた。
:08/01/05 20:40
:N900iS
:☆☆☆
#123 [ふむ]
「あぁ…。やっぱり皆嫌なんだよ…殺し合いなんて…」
司の言葉に信一は先程の光景が頭に甦ってきた。
司を見れば、同じく思い出したのか、眉を歪めていた。
「待っていろ」
司の指示に一同がぴたりと止まった。
三階に到着したようだ。
司はゆっくりとドアに近づく。
:08/01/05 20:47
:N900iS
:☆☆☆
#124 [ふむ]
素早く壁に張りつくと、頭だけを乗り出してガラス越しから内部を伺う。
しばらく真剣な目で様子を見ていたが、不意に、緊張した表情が消えるとガラスを何度かノックした。
「何してるんだ?」
司の行動に信一が独り言のように言うが、隣にいる神田はさあな、と首を傾げるのみだった。
しかし、興味ありげに見つめていた信一は、すぐにその行動の意味を理解した。
:08/01/05 20:54
:N900iS
:☆☆☆
#125 [ふむ]
中側から誰かがドアに近づいてきたのだ。
一瞬敵かと思ったが、司の行動からして自ら呼んだように見えたので指示通り動かなかった。
見れば、二組の男子であった。
男子はドアに近づくと鍵を開けた。
「驚かせんなよ。敵かと思ったっつの」
男子は扉を開けながら言った。
「悪い悪い」
司は振り向いて皆に指示を出した。
皆が中に入っていく。
:08/01/05 21:00
:N900iS
:☆☆☆
#126 [これって]
ばとろあのぱくり?
:08/01/05 21:04
:W51T
:mOHA.HYY
#127 [ふむ]
「何でまた非常階段なんかから…」
「怪我人が出てな。極力無益な戦いを避けたかったんだ」
「戦いになったのか!?」
「あぁ…」
司は表情を歪めた。
「…死者が出なくて良かった…それで、相手は?」
「一年」
淡々と言葉を連ねる司の両脇に信一と神田がやってきた。
:08/01/05 21:05
:N900iS
:☆☆☆
#128 [ふむ]
「違ぇよ。相手に死者は出たのかって聞いてんだよ」
司の表情を見て聞きにくそうに言ったものの、結局は声を荒げた。
「…あぁ」
「そうか…辛かったろ」
「それより、おまえらは?」
これ以上思い出したくないのか、司は話題を変えた。
「死者・怪我人無し。任務無事達成だ」
:08/01/05 21:09
:N900iS
:☆☆☆
#129 [ふむ]
「そうか…良かった」
司は安堵の表情を浮かべて胸を撫で下ろした。
「ただ…」
男子が頭を掻き困った表情を浮かべた。
「どうした?何か問題か?」
司は怪訝そうに眉を潜める。
「いや、それがさ…一組が遅ぇんだ」
その言葉に司は目を見開いた。
「何!?様子見は!?誰かに行かせたのか!?」
司は噛み付くように男子に言い寄った。
司の豹変ぶりに信一たちも驚いた。
:08/01/05 21:15
:N900iS
:☆☆☆
#130 [ふむ]
「ま、まだだ…遅いからこうして待ってんたんだ…」
男子は司の勢いに圧され、ハの字に眉を下げながら言った。
「馬鹿野郎!!敵と遭遇したかも知れないって考えなかったのか!?」
司は舌打ちをして信一に向き直った。
「俺ら三組以外は武器を用意せずに出発した。敵と接触したら面倒な事になっているはずだ…。確か一組は家庭科室だな」
「あ、あぁ」
「三組男子に急いで出発準備をさせろ!」
信一は早急に皆がいる使われていない教室に駆け込んだ。
:08/01/05 21:22
:N900iS
:☆☆☆
#131 [ふむ]
「悪かった…おまえが悪い訳じゃねぇのに怒鳴っちまって…」
司はバツが悪そうに男子に振り向いた。
「いや大丈夫だ…それより!俺らも連れていってくれよ!!ちょっとは戦力になるはずだ!」
男子は司に真剣な眼差しを向けた。
「…わかった。すぐに出る。急いで準備をさせてくれ」
男子は頷くと教室に駆け込んでいった。
:08/01/05 21:26
:N900iS
:☆☆☆
#132 [ふむ]
>>126さん
ぱくりではないでしょう。
確かに似ているように感じますが、よく考えると同じ場所はほぼないはずです。
似ていると言えば主人公たちが高校生なだけです。
設定、舞台、形式ともにまったくのオリジナルです。
:08/01/05 21:32
:N900iS
:☆☆☆
#133 [ふむ]
「司、収集できたぜ。指示さえあればいつでも出れる状態だ」
信一が教室から出て歩み寄ってきた。
「すまないな信一。あぁ、それとな、二組も連れていく事になったからバットを半分分けてやろう」
「わかった。四組は?」
「女子の護衛のために置いておこう」
司と信一は教室に入っていった。
司の後ろにいた神田は動かなかった。
窓に近寄り外を見る。
依然として軍人が学校を囲んでいた。
「…なんだ?さっきから胸騒ぎが…」
神田は司たちが戻るのを一人廊下で待っていた。
:08/01/05 22:23
:N900iS
:☆☆☆
#134 [ふむ]
「司、急ごう!」
二・三組の男子が教室から列を成して出てくると神田は司の前に走り出た。
「あ、あぁ…」
神田の様子に疑問を感じながらも司は頷いて二・三組連合軍に向き直る。
「今から南館一階つきあたりの家庭科室に向かう!戦闘になるかも知れない!皆、心してかかれ!!」
司の声が響いた。
一同の眼の内に、覚悟の色が宿った。
「…行こう」
踵返した司は神田と信一を一瞥すると歩きだした。
:08/01/07 14:13
:N900iS
:☆☆☆
#135 [ふむ]
「…どうした?」
心なしか、焦っているように見える神田に、司が目を光らせた。
早歩きにも、先に行こうとするスピードが見て取れる。
「…嫌な、予感がするんだ…すごく…嫌な予感が…」
司に目をやると、重々しく口を開いた。
「…その予感、当たる自信は?」
司は正面に向き直って歩を進める。
「ある」
「…こりゃあ…急いだ方がよさそうだな…」
司たち一行は、一段と歩調を早めて家庭科室を目指した。
:08/01/07 14:20
:N900iS
:☆☆☆
#136 [あい]
続き読みたいです

頑張って下さい

:08/01/08 02:06
:SH904i
:nxjeP2pc
#137 [ゆみ]
:08/01/08 14:31
:W43H
:TNnsY4tI
#138 [ふむ]
>>136応援ありがとうございます!
やはり応援されると嬉しくなりますね。
>>137安価ありがとうございます!
自分じゃなかなかやらないので助かります。
:08/01/08 16:12
:N900iS
:☆☆☆
#139 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
明日から余裕が出そうです
:08/01/09 02:34
:N900iS
:☆☆☆
#140 [ゆみ]
楽しみに待ってます!!
ちゃんと見に来ます☆
頑張って下さい♪
:08/01/09 22:28
:W43H
:bN3K3JuQ
#141 [もこ]
たのしみあげ

:08/01/10 12:36
:D704i
:b.kl4JU2
#142 [我輩は匿名である]
書いてください!!
:08/01/11 18:53
:V803T
:s6kZcyHE
#143 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/01/12 00:47
:N900iS
:☆☆☆
#144 [もこ]
かくなら早くかけ
:08/01/13 23:46
:D704i
:US.ZRlFs
#145 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>144さん
残念ながら私にも生活があります。
急用があったりと暇ではなかったのです。
ここ数日更新出来なかったことはお詫びしますので、お待ちください。
:08/01/14 10:02
:N900iS
:☆☆☆
#146 [我輩は匿名である]
待ってました!!
楽しみにしてるんで頑張ってください!
:08/01/14 10:32
:V803T
:6ZZQsL1.
#147 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
司たちは最低限の注意を辺りに配りつつ、一階を目指した。
二階の階段を一気に下り、早くも一階に到達した。
突き当たりの家庭科室に向き直る。
不意に、司たちの動きが止まった。
皆が、目を見開いた。
「これは…!?」
そこには驚愕の光景が広がっていた。
…人が倒れていた。
血まみれの人間が何人も。
ある者は床にうつ伏せに倒れ、地面に血の海を作り…
ある者は壁に無気力に体を預け、鮮血を滴らせ…
またある者は深々と腹部に包丁を突き立てられ、鈍い輝きを放つ刄を血で汚していた。
そんな屍が道を築いていた。
道の先には、目的地の家庭科室があった。
:08/01/14 13:58
:N900iS
:☆☆☆
#148 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
見た限りでは、息のある者は見受けられなかった。
「司…こいつ、真吾だ…」
一人の遺体に近寄って、信一が悲痛な声をあげた。
見れば、一組の生徒であった。
無造作に横たわる変わり果てた友の姿に、一同は言葉を失った。
「相手は…三年か」
司は傍に朽ち果てている男の緑のラインが入った上履きを見て、判断した。
月城高校は学年別に上履きの色が違うのだ。
黙り込んで司たちが表情を歪めていると、男子集団の中から声が漏れた。
:08/01/14 14:13
:N900iS
:☆☆☆
#149 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「こいつ…一年だ…」
何処からか、呟くように聞こえてきた。
静まり返った空間の中では、その呟きは十分すぎるくらい辺りに響いた。
その言葉に、眉を歪めていた司の表情が一変した。
「そんな馬鹿な…!」
ありえない、といった様子で、ある一つの遺体に近寄る。
「こんな…馬鹿な事が…」
司の降ろす視線の先には、無惨にも首を掻き切られた男子生徒が横たわっていた。
すでに息はないその屍の足には、赤色のラインの入った上履きが履かれていた。
確かにそれは一年の物であった。
:08/01/14 14:22
:N900iS
:☆☆☆
#150 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「嘘だろ…まさか…」
「一体どうしたって言うんだ?司…」
愕然とする司に神田が近づく。
しばらく黙っていた司が、重々しく口を開いた。
「…最初に衝突し、三年を本気にさせたのは…何処の学年だ?」
「俺たち…二年だ」
「じゃあ…初めて死傷者を出したのは?」
「二年が一年を…」
「そうだ…つまり、一年と三年は二年に恨みがある。…俺たちは危険視されているんだ」
「そうか…三年は二年が自分たちに襲ってきた直後に、一年と二年が戦って一年に死者が出た情報が来た…二年を危険視するのも無理はない」
「一年は一年で二年に仲間が殺されたんだ…俺たちは要注意学年だろう…」
「それが…今後どう影響するんだ?」
「最悪の場合……俺たちは一・三年連合軍をまとめて相手をしなければならなくなる…」
:08/01/14 14:47
:N900iS
:☆☆☆
#151 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
二人の会話に、皆が黙り込んだ。
皆、理解し始めたのだ。
一ヶ所に三学年全てが集まるのは、皆無に等しい。
例えば、ここに仲の悪い三つの国があるとする。
そこで、二つの国が戦争を始めた。
すると残った一つの国は何をするだろうか?
もちろん、戦争を見ているのだ。
両国が潰し合って、弱った所を一気に叩く…そういう作戦をとるだろう。
しかし司たちのこの場には、三つの学年が集っている。
わざわざ『第三の国』が、両国の戦争に『自ら』参加したのだ。
考えられるのは一つ…
―――同盟であった。
:08/01/14 14:56
:N900iS
:☆☆☆
#152 [我輩は匿名である]
:08/01/16 02:53
:SH904i
:WAFXAw6g
#153 [ちぃ]
ホンマおもろぃ

楽しみにしてるんで、頑張って下さい

:08/01/16 15:49
:SH901iS
:FLPyz/gE
#154 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
しばらく黙り込っていた司が、ふと我に返る。
死体を目前にして、嘔吐感が込み上げてきたのだ。
慌てた口調で指示を出した。
「い、生き残りの確認を!まだ中にいるかもしれない!慎重に入るぞ!」
呆然としていた一同も、司の一言ですぐに意識が戻った。
各自、武器を持ち直して家庭科室への扉に近寄った。
屍が嫌でも目に入る道を慎重な足取りで歩を進める。
一つ、二つと死体を乗り越え、扉に近づく。
かなり多数の者が、放心状態になっていた。
先程すでに死体を見た三組と違って、二組の人たちは初めての体験に現実が飲み込めていないのだ。
明らかに動揺していた。
司の言葉がなければ、いつまでも動いてはいなかっただろう。
今でさえ、ただ司の指示に従っているだけなのだ。
今ここで、『走れ』と言えば走るだろうし『帰るぞ』と言えば素直に帰るであろう。
自分の思考を持たない状況であった。
:08/01/17 20:19
:N900iS
:☆☆☆
#155 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
後方から、何人かの呻き声が聞こえる。
おそらく司と同じくして、激しい嘔吐感に襲われたのだろう。
昨日までは平凡な高校生だったのだから、無理はない。
現に司は今も視界が霞んで見えた。
一度見たからといって慣れるものではない。
再び司に激しい嘔吐感が込み上げてきた。
:08/01/17 20:23
:N900iS
:☆☆☆
#156 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「司…大丈夫か?顔色、悪いぞ」
司の蒼白の顔を見て、心配そうに覗き込む。
「…あぁ」
「そうなるのも…無理はないだろうけど」
「おまえは…」
ふらつく足を進めながら、司は腹から声を出して言葉を切る。
「…ん?」
「…おまえは平気そうだな」
:08/01/17 20:27
:N900iS
:☆☆☆
#157 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
それを聞いた信一はふっと鼻で笑った。
「平気な訳あるかよ…痩せ我慢だっての。…実際はぶっ倒れそうだ」
「そうか…痩せ我慢が出来るだけ、すごい」
「ぶっ倒れていいなら今すぐ、遠慮なく倒れるけどな」
にやりと歯を見せる信一に、司が静かに笑う。
足を止めれば、開いた家庭科室の扉があった。
:08/01/17 20:31
:N900iS
:☆☆☆
#158 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
開け放たれた扉を前に、司たちは再び衝動に駆られた。
内部の悲惨さにだ。
あまりの驚愕の光景に、一同言葉を失っていた。
決して広いとは言えない教室内に、大量に飛び散った血が、壁を、床を、教室にあるあらゆる物を汚していた。
それより目に入ったのは、大勢のすでに息のない屍たちであった。
ざっと見て、三十人は超えていた。
死体に死体が重なっているのである。
誰もが生存者の可能性を否定しそうになった。
―――その時、何処からか呻き声が聞こえた。
:08/01/17 20:40
:N900iS
:☆☆☆
#159 [ちぃ]
:08/01/18 16:07
:SH901iS
:0k78yh8c
#160 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
皆の動きが、一斉に止まる。
話し声すら消え去った。
しん、と静まり返る教室。
ごくりと音がして、生唾が喉を伝った。
目だけを動かして、辺りを探る。
出来るだけ音を拾うように、耳の神経を研ぎ澄ませた。
「……ぅ…」
聞こえた。
辺りにうめき声が、微かだが確かに響いた。
それは家庭科室独特の特殊な形状をしている机の数々の更に奥…
司たちとは反対側にある教室の片隅の机の影から、聞こえた。
「……っぁ…」
怪我をしているのか、苦しそうな声であった。
無意識に出ているに違いない。
いや、意識すら朦朧としているのかも知れない。
そうでなければ司たちの気配に気付かないはずがない。
武器を持つ手に力が入る。
司は、足を前に出した。
:08/01/20 12:59
:N900iS
:☆☆☆
#161 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
動きだした司に皆がついていこうとする。
それに気付いた司は立ち止まると右手を上げて制止させた。
「様子をみてくるだけだ…待機していてくれ」
体は正面のまま、首だけを後ろに向けて囁くような声を出した。
信一が代表して頷くと、視線で「気を付けろよ」と送る。
「大丈夫さ」
視線の意味を察してか否か、静かに微笑むと顔を正面へ戻した。
:08/01/20 13:07
:N900iS
:☆☆☆
#162 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
再び、歩を進めた。
息を殺して、ゆっくりと地面を踏みしめる。
物音を立てないように注意を配りながら前進していった。
数多の屍が司の行く手を阻んだ。
倒れている屍の隙間を探しては、その足場となるわずかな空間に静かに足を下ろした。
いくつも死体の山を乗り越えて、目的の教室の奥を目指す。
短い距離だが音を立てないように意識したため、時間が掛かってしまった。
ようやく、机が近づいてきた。
:08/01/20 13:19
:N900iS
:☆☆☆
#163 [春]
:08/01/23 13:10
:D903i
:☆☆☆
#164 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
申し訳ありません。
調子に乗って学校で携帯を弄っていたら(理由があるのですが)無実の罪で理不尽な理由を突き付けられた揚げ句没収されました。
Nでしか書けないヘタレですのでしばしお待ち下さい。
:08/01/23 21:09
:SH905i
:☆☆☆
#165 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
不意に、司の動きが止まった。
司の視線があるものを捉えたのだ。
――――人だ。
いや、正確には人の足であった。
机の影から、二人分の足が出ていた。
聞こえてくる呻き声に合わせて、時折動いている。
まだ、生きているのだ。
:08/01/24 19:47
:N900iS
:☆☆☆
#166 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ふと、司はある物に気付いた。
二人の履いている上履きのラインだ。
青色であった。
色褪せた上履きには青色のラインが入っていた。
二年か?…いや待て。
決め付けるのはまだ早い。
ここで飛び出して一年だったらどうする?三年だったら?
俺たちを欺くために履いているとしたら?
司は思いとどまった。
罠かも知れない。
それが頭を過った。
警戒するに越したことはないだろう。
司は金属バットを握り直した。
バットを持つ手にじわりと汗が滲む。
確認しようと、一歩を踏み出した。
その時であった。
:08/01/24 19:52
:N900iS
:☆☆☆
#167 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「わ…わあぁぁぁ!!」
突然、机の影から何かが飛び出した。
人間であった。
司に背を向けて座っていた二人ではない。
―――三人目だ。
司からは死角となる机の影に隠れていたのだろう。
司と同じ制服に身を包んだ男子は、叫びながら司に突っ込んできた。
「何っ…!?」
司は完全に油断していた。
いや、警戒はしていたのだ。
しかし、人数は二人、しかも怪我人。と無意識に決め付けていたのだ。
その僅かな油断が、反応を鈍らせた。
:08/01/24 20:01
:N900iS
:☆☆☆
#168 [下痢ら]
:08/01/24 20:12
:P902iS
:☆☆☆
#169 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
至近距離に居たため、一気に間合いを詰められてしまった。
猛然と迫る男子の手には、小型のナイフが握られていた。
キラリと鋭い輝きを放って、司を襲う。
「くっ…!」
間一髪といった所で、反射的に体が動いて何とか避ける。
刃先が脇腹を掠め、制服をわずかに切り裂いた。
司は、体ごと突っ込んできた相手の手首を器用に押さえれば、あまりの勢いに歯止めが効かなくなったのか、男子は簡単にバランスを崩した。
それでも体を立て直そうと前のめりの上半身を捻るが、足元の死体に躓くと豪快に転んでしまった。
:08/01/24 20:13
:N900iS
:☆☆☆
#170 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ぐっ…!!」
かなり強く体を打ったのか、倒れた反動で男子の手からナイフがこぼれ落ちた。
司は相手より早くそれを拾い上げるとバットを振り上げた。
「ひっ…ひぃい!」
男子は両手で頭を庇い目を瞑ると、椅子を薙ぎ倒し死体を乗り越えながら大きく後ずさった。
司は這うようにして逃げる相手に間合いを詰める。
ふと、男子の様子がおかしい事に気が付いた。
体を縮こませらて、見てわかるくらい怯えていた。
浮言のように何かを呟いている。
見ていれば、ガタガタという音が聞こえてきそうなくらい小刻みに震えているのだ。
「殺さないでくれ…お願いだ…殺さないで…」
カタカタと震えながら、男子はぶつぶつと同じ事を繰り返していた。
「………」
司はバットを静かに下ろした。
:08/01/24 20:27
:N900iS
:☆☆☆
#171 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「裕也…?」
その光景を見ていた信一が、男子の顔を伺うように視線を送りながら口を開いた。
男子は依然として震えている。
目には涙さえ伺えた。
信一の声が聞こえないのか、かなり錯乱しているようだ。
「裕也?…裕也っ!」
信一は男子に駆け寄ると思い切り抱き締めた。
「嫌だ!やめてくれ!殺さないでくれ!頼む!!離せっ…離してくれ!」
男子は大声を上げると信一から逃れるように手足をばたつかせた。
信一はさらに抱き締める手に力をこめた。
「裕也!俺だ!三組の信一だ!もう大丈夫だぞ!助けにきたんだ!」
言うと、男子の動きが弱まった。
「…信一?」
男子は息を荒げながらも、ようやく目を開いた。
「もう安心しろ。おまえは助かったんだ…」
信一は安心させようと優しく抱き締める。
裕也と呼ばれた男子は糸が切れたように泣きじゃくり始めた。
「信一ぃ!…俺っ…殺されっかと思った…!」
:08/01/24 20:40
:N900iS
:☆☆☆
#172 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
その始終を見ていた者は、皆表情が曇った。
裕也の怯え方は尋常じゃなかった。
よほどひどい目に逢ったに違いない、と。
しばらく、沈黙が続いた。
裕也の啜り泣く声のみが、辺りに響いた。
「生き残りの…確認を」
重々しく口を開いた。
司の言葉に神田を含めた数人が教室内を捜索しだした。
司は裕也と信一を横目に見る。
だいぶ落ち着いてきたようだ。
その証拠に、信一と何度か言葉を交わしている。
「…大丈夫か?」
司が声を掛けると裕也の言葉に頷いていた信一が顔を上げた。
「何とかな…落ち着いてきたみたいだ」
「すまねぇ…な」
裕也がバツが悪そうに頭を下げた。
:08/01/24 20:49
:N900iS
:☆☆☆
#173 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
..続き
ってのが連続で見にくい!
ミスですね…
ともあれ休憩したらまた書きます。
:08/01/24 20:50
:N900iS
:☆☆☆
#174 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「あっちに二人…倒れてる。まだ、生きてるはずだ…」
裕也は信一に体を預けたまま、右手を上げ先程隠れていた机を差した。
「…残りは?」
信一の問いに裕也は眉を歪めると首を横に振った。
「そうか…」
「あいつら…いきなり現われて…」
裕也は思い出すように言うと、表情が強ばった。
「その時の事…詳しく聞かせてくれ」
司はその言葉に反応すると二人の近くに片膝を付いた。
「あぁ…」
裕也は深くため息を吐き、ぽつりぽつりと話し始めた。
:08/01/24 21:40
:N900iS
:☆☆☆
#175 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
二十分程前の事である。
丁度、司たちが野球部の部室から移動を始めた頃であった…
一組……裕也たちは家庭科室付近の廊下に待機していた。
家庭科室からは見えない、本館と南館を繋ぐ廊下であった。
実は、十分以上も前からここにいるのだ。
何故早く中に入らないのか。
それには理由があった。
閉めきられた扉の向こうである目的地、家庭科室にあった。
:08/01/24 21:48
:N900iS
:☆☆☆
#176 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
どうやら、先客がいるらしいのだ。
一年か、三年かはわからない。
どちらにせよ、最悪なことには変わりはなかった。
何にしても家庭科室には確かにいるのだ。
先程から、閉めきられた扉のスモークガラスにちらちらと黒い影が映っていた。
さらには耳を澄ませば話し声すら聞こえる。
どうするか…。
不意を突いて突入するか。
または諦めるか。
その二択で悩まされていた。
小声で議論を始めてから、かれこれ十分以上経っている。
:08/01/24 21:55
:N900iS
:☆☆☆
#177 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
これからどうするか、話し合いを始めた。
しかしこうしている間にも相手が出てきてしまうかも知れないのだ。
ゆっくりしている暇はない。
その焦りが、皆の思考回路を狂わせているのも事実であった。
お陰で、一向に話が進まない。
自分の意見を言って、実際にその通りに行動して全滅でもしたら…と、皆口をつぐんでいた。
「…突入しよう」
皆が右往左往している時、ようやくはっきりと意志を表示する者が現われた。
:08/01/24 22:05
:N900iS
:☆☆☆
#178 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
しかし、言ったは良いものの、意に反する者も出てきた。
「待て、よく考えろ。家庭科に先を越されたって事は、先にやつらに刃物類を取られたって事だ」
「確かに…このまま戦ったら確実にこちらの方が被害が大きいだろうな」
「司も無益な戦いは避けろって言ってたしな」
さらさらと反論を唱える。
しかし、ならば諦めるか、と言えば、否定派は言葉を詰まらせてしまった。
やはり下手に自分の意見が間違っていたら、と思うと意見を言えないのだ。
:08/01/24 22:09
:N900iS
:☆☆☆
#179 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ここで戦えば被害が出る…最悪の場合は全滅だ。
しかし、戦わなければ戻った所で仲間たちに何を言われるかわからない。
負け犬、臆病者、と罵られるのか。
あるいは司なら「よく無事で帰ってきた」と笑顔で迎えてくれるかもしれない。
:08/01/24 22:19
:N900iS
:☆☆☆
#180 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
どちらにしても、戦わない方が良いに決まっている。
しかし自分の「諦めよう」の一言で戦わなかったとしよう。
仲間の所に戻って臆病者扱いされた時、その矛先は誰に向くだろうか?
もちろん、「諦めよう」と言いだした自分であろう。
自分の発言で助かったくせに、一組の連中は他の組に味方するかも知れない。
そうなれば自分は学年を追い出されるだろう。
それは野獣がうろつくジャングルに裸で放り出されたようなものだ。
:08/01/24 22:20
:N900iS
:☆☆☆
#181 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
それを考えると、自分の意見を言えないのだ。
しかし、どんなものであろうと、行動を起こさない者に女神は頬笑まない。
焦りから冷静さを失っていた彼らには、それを見極めることは出来なかった。
そして、最悪の出来事が起こった。
:08/01/24 22:23
:N900iS
:☆☆☆
#182 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
今日は目が痛いのでこれで終了です。
見てくれている方、ありがとうございます。
:08/01/24 22:25
:N900iS
:☆☆☆
#183 [我輩は匿名である]
面白いです。
作者さんのペースで頑張ってください
:08/01/26 22:53
:V803T
:7gi9Y.5Y
#184 [我輩は匿名である]
:08/01/27 01:35
:W51CA
:v/7zddrU
#185 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>183ありがとうございます。
そう言ってもらえるのが何より嬉しいですね。
>>184安価ありがとうございます。
つい忘れてしまうので助かります。
:08/01/27 22:10
:N900iS
:☆☆☆
#186 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
突然、隊列の後方に騒めきが広がった。
議論を交わしていた先頭集団を含む最前列の者たちは、何事かと立ち上がる。
視線がそれを捉えた瞬間、皆、目を疑った。
自分たちのいる廊下の本館側に抜ける廊下の突き当たりに、一クラス分ほどの黒い集団が立ち止まって偵察するようにこちらを見ているのだ。
各自、手には武器のような物が伺えた。
話では、本館に行ったクラスはない…つまり、仲間ではない。
瞬時に、敵だと察した。
:08/01/27 22:25
:N900iS
:☆☆☆
#187 [我輩は匿名である]
:08/01/27 22:32
:SO902i
:0Qfk0p3w
#188 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「逃げろ!」
誰もが硬直状態にある時、不意に、誰かが叫んだ。
その言葉に、飛んでいた意識が戻ってくる。
同時に、底知れぬ恐怖心が駆り立てられた。
皆がわらわらと、蜘蛛の子の散ったように走りだした。
我先にと廊下を駆ける。
死にたくない、そう恐怖していた。
止まれば殺される。
今にも後ろから手が伸びてきて肩を掴まれるような、そんな感覚に陥っていた。
周りを見れば戦おうとする者はおらず、それが戦意を失わせ恐怖心を更に深くしていった。
:08/01/27 22:35
:N900iS
:☆☆☆
#189 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
戦意を喪失した者に残っているのは、逃げることであった。
仲間などに気を配っている暇はなかった。
とにかく逃げなければと、後ろから怒濤の如く押し寄せる足音から逃げるのに必死だった。
守らねばならぬ存在である女子でさえ、邪魔だと感じた。
一人追い越せば、そいつの死と引き換えに自分は死から遠退き助かる。
しかし一人追い越されれば死に近付き恐怖する。
『生』を巡って全力で駆けていた。
:08/01/27 22:44
:N900iS
:☆☆☆
#190 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
多数の足音と悲鳴が混沌する中を、裕也は走っていた。
不意に、前方を走っていた女子が転んだ。
巻き込まれるように二、三人が横倒しになる。
それを横目に見ながら、裕也はほくそ笑んだ。
俺のために死んでくれ。
無意識にそう思っていた。
生への執着心が生み出したその思考に、誰よりも裕也自身が驚いていた。
自分はこんな汚い人間だったのかと、葛藤した。
後方から響く足音に、はっと我に返る。
思考を吹き飛ばすように頭を振った。
裕也は倒れている集団の横を全力で駆けていった。
:08/01/27 22:55
:N900iS
:☆☆☆
#191 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「マジかよ…」
裕也が葛藤していた時、絶望すら伺える声が、隣から聞こえた。
その言葉の意味がわからずに横に目をやると、声の主であろう男子は光を失った目で、正面を見据えていた。
不審に思い自らも視線を正面に送れば、そこに立ちふさがっていた思わぬ壁に、思わず足を止めてしまった。
「嘘…だろ」
やっと出た言葉がそれだった。
:08/01/27 23:03
:N900iS
:☆☆☆
#192 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
いつの間に出てきたのか、その集団は先程の家庭科室から出てきていた。
その証拠に各自手には鈍い光を放つ刃物がしっかりと握られている。
そんな集団が、廊下を塞いでいるのだ。
しかも仲間の元へ行ける唯一の逃げ道である南館の階段さえも塞いでいた。
「ちっくしょおぉぉ!!!!」
一組の先頭の一人が、叫びながらバット片手に突っ込んでいった。
もはや覚悟を決めたのか、次々と男子の後に続く。
:08/01/27 23:13
:N900iS
:☆☆☆
#193 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「……ちっ」
裕也も鉄パイプを握り締める。
心臓が高鳴るのがわかった。
ドクドクと血液を送り出して全身に行き渡らせる。
手が微かに震えていた。
深く深呼吸をしてわずかに乱れた息を整えると、しっかりと正面を見据えた。
もう、怖くない…。
意志とは裏腹に震える足を前に出せば、裕也は敵陣へと消えていった。
:08/01/27 23:20
:N900iS
:☆☆☆
#194 [我輩は匿名である]
:08/01/28 08:15
:W51CA
:GXnLqWTY
#195 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「…そうか」
話の内容に表情を険しく歪めていた司は静かに俯いた。
「辛かっただろ…よく頑張ったな」
「何人も…やられた。俺たちは追いやられるように家庭科室に転がり込んだんだ…だけど、奴らも入ってきて…皆は残り少ない戦力で玉砕覚悟で戦った」
「それで皆は…」
信一の言葉に裕也は黙って頷く。
「…死んだ。俺たち三人だけが何とか隠れて生き残ったんだ…」
言い終えると裕也は再び震えだした。
表情がみるみるうちに凍りついていく。
蒼白の顔には恐怖が浮かんでいた。
「すまない。思い出させちまったな…」
司は一旦言葉を切った。
怯えている裕也をゆっくりと抱き締める。
「よく…生きててくれたな」
:08/01/30 22:00
:N900iS
:☆☆☆
#196 [
]
おもしろい

アゲ
:08/02/03 11:03
:D704i
:JjpTVdAM
#197 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「叫び声が…何人もの叫び声が耳から離れないんだ」
裕也は現実から逃げるように固く目を閉じる。
両手を耳に当てて一切の音を遮断した。
「裕也…」
信一は裕也を支える手に力を込めた。
「耳をつんざくような…悲痛な叫び声が…たくさんの人が目の前で殺されて行った…!」
「助けてくれ…あいつがっ…あいつがくる!」
信一の手に小刻みな震えが伝わる。
裕也が怯えきった様子で身を縮こませていた。
「…あいつ?」
今まで心配そうに眺めていた司が、その言葉に表情を歪めた。
「裕也、あいつって誰だ?」
司の声に反応を示せば、静かに顔を上げた。
乱れた精神を落ち着かせると、ゆっくり話し出した。
:08/02/03 14:09
:SH905i
:☆☆☆
#198 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「わからない…。ただ、わかってるのは一年ってことだけだ…。あいつは…人間じゃない…」
「…特徴は?」
「頭から返り血を浴びて…目についた奴から殺す…圧倒的な強さだった…何人もの男子をたった一人で倒していった…。真っ赤に充血した目…鬼のような形相……そして…」
裕也は言葉を切る。
苦しそうに目を細めると、言葉を繋げた。
「笑ってた…」
その内容に黙って話を聞いていた司は眉を歪めた。
「…笑ってただと?」
:08/02/03 14:17
:SH905i
:☆☆☆
#199 [ゆう]
この小説面白いです
最後まで頑張って下さいP
:08/02/06 21:44
:M-SKIN
:PZjO7AN2
#200 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「馬鹿な…」
この理不尽な戦いを楽しんでいるとでもいうのか?
司はさらに表情を険しくした。
…注意する必要がありそうだな。
頭の中で思考を凝らした結果、好戦的という言葉しか浮かばなかった。
「…今日はもう終わりにしよう」
ぽつりと呟くと静かに立ち上がった。
辺りを一瞥してから口を開く。
「皆、引き上げだ。三階に戻ろう」
:08/02/06 22:06
:SH905i
:☆☆☆
#201 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ゆっくりとした口調で言えば、皆がぞろぞろと家庭科室を出て行く。
見れば、皆、眉を寄せてバツの悪そうな表情をしていた。
大半が家庭科室からいなくなった頃、再び司が信一に向き直る。
「俺達もそろそろ行こう」
その言葉に信一は静かに頷くと、立ち上がった。
裕也を支えるように肩を貸しながら、扉に向かう。
司はそれを見ると室内を見渡した。
:08/02/06 22:12
:SH905i
:☆☆☆
#202 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
無言でゆっくりと首だけを動かして一瞥する。
目に映るのは血溜まりと悲惨な死体ばかり。
そのほとんどが同志の者だった。
裕也の話によれば、どうやら一年と三年の連合の線は薄いようだ。
…よく頑張ってくれたな。
散っていった仲間たちに心の中で呟けば、拳を強く握りしめた。
まだ、生きたかっただろう。
死にたくはなかったに違いない。
俺は…。
…助けて、やれなかった。
司の頬に一筋の雫が伝って、下に落ちた。
:08/02/06 22:23
:SH905i
:☆☆☆
#203 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「皆をここへ送ってしまった俺を恨んでくれ…」
司は後悔の念に駆られるように肩を震わせる。
俯いたまま、もう誰もいない家庭科室の中心で一人呟いた。
「恨んで恨んで…呪い殺すくらい、俺を責めてくれて構わない…」
不意に面を上げる。
正面を見据えれば、いつもより凛々しい表情がそこにあった。
覚悟の色さえ、伺えるように思えた。
低くはっきりとした声で絞り出すように口を開く。
:08/02/06 22:35
:SH905i
:☆☆☆
#204 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「俺は皆を…皆の魂を、一人一人の想いを!」
司は声を張り上げた。
拳を握ったまま再び一瞥する。
言葉を切ると、落ち着いた静かな口調に戻った。
「…この背に背負って生きていくよ。ずっと…。だから、見ていてくれよな…?俺の、大切な戦友たち…」
凛とした表情を残しながら言えば、司は踵を返して歩き出す。
「仇は…取るからよ」
先程とは違う低い口調で、聞こえない程の音量で小さく呟いた。
正面を見据える眼光には、今までにない鋭い色が宿っていた。
司は、一度も振り返ることはなく家庭科室を後にした。
:08/02/06 22:47
:SH905i
:☆☆☆
#205 [匿名]
主サン頑張ってファイトォ
:08/02/11 19:22
:SH902i
:oevwK532
#206 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
申し訳ありません!
現在自サイトの編集及び改装作業中につき忙しく更新が出来ない状態ですので…
暫くおまちください!
:08/02/13 16:06
:SH905i
:☆☆☆
#207 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/02/14 13:18
:SH905i
:☆☆☆
#208 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
一年生の居城である北館へと続いている渡り廊下を歩く集団があった。
恐らく一年生であろうその集団は、悠々とした態度で北館に向かっていく。
顔触れは男子ばかりであり、女子は見当たなかった。
見れば、十数人のブレザーを汚している返り血が、行き先で何があったかを物語っていた。
:08/02/23 08:57
:N900iS
:☆☆☆
#209 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
集団から少し離れて、先頭を歩く者がいた。
他の人とは明らかに違う雰囲気を漂わせた青年だった。
青年は自らの作り出した殺伐とした雰囲気の中心にいた。
凛と整った顔に、鋭い眼光を放つ切れ長の瞳。
その瞳の奥には、自分以外の者を全て見下す、そんな色があった。
:08/02/23 09:03
:N900iS
:☆☆☆
#210 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
――荒川巧(アラカワタクミ)。
青年の名であった。
巧は俗に言う不良であった。
家庭内暴力に始まり、喧嘩の絶えない日々を送っていた。
自宅では家族から怖れられ、学校や私生活においては常に一目置かれている。
その理由は、人並外れた喧嘩の強さにあった。
だからといって巧は何か格闘技をやっていた経験はなかった。常人とは比べものにならない腕力と瞬発力を生まれついて持っていたのである。
:08/02/23 09:14
:N900iS
:☆☆☆
#211 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
巧の喧嘩する姿を見た者は、例え仲間であっても震え上がらせた。
鬼のような形相に、修羅のような強さで敵を薙ぎ倒し、夜叉の如く速さで戦場を駆っていく。
返り血を浴びた姿は人間とは思えない雰囲気を放っていたという。
自ら闘いを好む性格であった。
:08/02/23 09:19
:N900iS
:☆☆☆
#212 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
口元に不敵な笑みを浮かべて、巧は北館へと帰ってきた。
集団も続いて中に入る。
巧は二階には上がらず、そのまま一階の突き当たりの教室を目指した。
一年三組、巧のクラスである。
三組に向かう間、廊下や教室といった至る所から痛い程の視線が浴びせられていた。
巧は大して気にする様子もなく、教室に歩を進める。
既に口元に微笑は微塵も残っておらず、鋭い眼光が光っているだけであった。
:08/02/23 09:30
:N900iS
:☆☆☆
#213 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ちらりと視線を送れば、皆が一斉に視線を逸らした。
内心で巧に恐怖を抱いてるという意志の顕れであった。
教室が近づいてきた時、そのまま通過とした横の教室から、突然誰かが飛び出してきた。
「待って…!」
声を張り上げて巧の前に立ちふさがったのは、艶のある黒髪が目立つ小柄な女子だった。
:08/02/23 09:36
:N900iS
:☆☆☆
#214 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
立ち止まった巧は、明らかに怪訝そうに目を細めた。
不機嫌ささえ伺える低い声色で口を開いた。
「…何だ」
女子は巧の声にびくりと震えるも強い眼差しを巧に向けた。
「何で崇史(タカシ)がいないの…?」
恐る恐るといった口調で尋ねた。
:08/02/23 09:42
:N900iS
:☆☆☆
#215 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「崇史は何処なの…?」
崇史、とは彼氏の名前だろうか、女子は今にも泣き出しそうな目で見つめ続けている。
巧は見下すように眺めた後、嘲笑うように鼻で笑った。
「死んだ奴の事なんざ…俺が知るかよ」
女子はそれを聞いた途端に、悲痛な声を上げながら泣き崩れてしまった。
巧は黙って近付くと女子の胸ぐらを掴み上げる。
「黙れ…」
巧が低く呟けば、女子はぴたりと泣き止んだ。
表情、瞳の両方に恐怖の色が浮かんでいた。
:08/02/23 09:55
:N900iS
:☆☆☆
#216 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
泣き止んだ女子を見た巧は満足げに鼻で笑うと、手を開いた。
倒れるように女子が崩れ落ちた。
地面に伏す女子の耳元に顔を近付ける。
「崇史…だっけか?」
巧の言葉にぴくりと肩を震わせて反応を示す。
俯いているためか表情は見えなかった。
:08/02/23 10:03
:N900iS
:☆☆☆
#217 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「死んだ奴の事は忘れたが…二年と闘いになった時、一番最初死んじまった可愛そうな奴がいてな…運が悪かったんだよ、そいつは。まぁ…結局、最後の最後まで使えない奴だったがな」
吐き捨てるように言えば上半身を元に戻した。
ゆっくりとした足取りで歩きだす。
「いや、役には立ったか…」
歩きながら、思い出すように小さく呟いた。
「本当、運が悪い奴だった…俺の傍にさえいなければな」
そう言い残し、教室へと消えていった。
そこには数人に囲まれて啜り泣く女子生徒の姿があった。
彼氏であろう名前を壊れた人形のように何度も口にしている。
その悲痛な泣き声は人々の胸に突き刺さった。
:08/02/23 11:15
:N900iS
:☆☆☆
#218 [我輩は匿名である]
<<150-210
:08/02/23 16:02
:auKC3D
:AcUgLcQo
#219 [我輩は匿名である]
:08/02/23 16:02
:auKC3D
:AcUgLcQo
#220 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「…おい」
使われていない空き教室に足を踏み入れた巧は、近くにいた男子生徒を呼び止めた。
声を掛けられた男子生徒は一瞬で引きつった表情になると悲鳴に似た声で返事をした。
「な、なんですか?」
恐々とした表情のまま、問い掛ける。
誰もいない教室の窓際に向かって歩く巧を目で追いながら、静かに返答を待っていた。
「二階から見張りをしてろ」
巧は男子生徒の言動を気にする様子もなく、顔すら見ずに言い捨てた。
:08/02/29 20:18
:N900iS
:☆☆☆
#221 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
男子生徒はその場から動けずにいた。
巧があまりにも『普通』すぎたからであった。
巧という人間を知らない人は、この学年には誰一人として存在しない。
そこまで有名な巧に、その誰もが恐怖を抱いていた。
普通なら、飛び抜けて喧嘩が強い不良ならそれに群れる仲間も多いだろう。
しかし巧は違った。
とてもじゃないが、群れられる状態ではないのだ。
『自分以外の者を頼らない性格』の巧には仲間はいらなかった、というのもあるが本当の理由はそんな簡単なものじゃない。
巧に仲間がいない原因は別にあった。
『自分以外の者を敵とみなし牙を剥く性格』の巧には仲間も恐れを抱いたからだ。
怒らせれば何をされるかわからない。
下手をすれば殺される。
そんな危険を犯してまで仲間になろうとする者など、存在するはずもなかった。
殺される、といっても半殺しなどではなく、文字通り本当に殺されるかも知れないのだ。
巧はそこまで恐れられていた。
『普通』じゃないのだ。
その巧の普通な態度に、男子生徒は固まっていた。
:08/02/29 20:39
:N900iS
:☆☆☆
#222 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
むぅ…
今日は調子が出ませんね…
文章もめちゃくちゃだ…
:08/02/29 20:40
:N900iS
:☆☆☆
#223 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
動き出さない男子生徒を見てか、巧は窓際の学習机に腰を下ろすと表情を険しくした。
「み、見張りですね!」
それに気付いた男子生徒は危険を察して焦ったように振り返る。
その時、男子生徒の後方で腹の底から低く響き渡るような声が発せられた。
「待て…」
その言葉に、まるで魔法に掛かったかのように男子生徒の動きが止まる。
血の気が一気に引いていくのがわかった。
音を立てて生唾が喉を伝う。
強ばった表情にある二つの瞳には恐怖の色が浮かんでいた。
瞬きさえ忘れ、恐怖を含んだ虚ろな眼差しは絶望感に打ち拉がれるようにただただ前方を見つめていた。
だが、蒼白の表情から送られているその視線は何も捉えてはいなかった。
頭の中が真っ白に埋め尽くされ、思考という機能を失った。
見れば、じわりと額に脂汗が滲んでいた。
不意に、後方から机と木製の床が立てた耳障りな音が聞こえれば、動けずにいた男子生徒の背中を舐め上げるようにびくりと肩を震わせた。
:08/02/29 21:21
:N900iS
:☆☆☆
#224 [紫陽花]
:08/03/10 20:00
:F905i
:☆☆☆
#225 [観客さん]
書かないんですか?
:08/03/21 18:48
:W43H
:UMB73xgw
#226 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
申し訳ありません
私も書きたいのですが長期に渡る不調続きで…
不調と言っても体調ではないですが;
どういう訳か文章が書けないのです
毎日のように小説を書こうと挑戦してるのですが、文もまとまらず…書けないのです
書けなければ書けないほど
書こうとすればするほど
焦ってしまうのです
更新のない小説にファンが集まることなど有り得ないですから
私も書き手の端くれなのでそれはわかります
私とて読者様に読んで欲しいと思っています
更新しなければ読者様は集まるどころか減少していくでしょう…
そう思うと凄く焦ります
一ヶ月もの長期間更新が滞るなどおかしいと思われるかも知れません
そこは感想板を見て頂き、理解して頂けたら幸いです
長期に渡る放置状態…
深くお詫び申し上げます
:08/03/21 21:23
:SH905i
:☆☆☆
#227 [蜜月◆oycAM.aIfI]
保守あげ(・ω・)ノ
:08/04/12 01:31
:SH903i
:xQx.Xh9k
#228 [ゅぅ]
あげます
:08/04/12 19:30
:F705i
:☆☆☆
#229 [紫陽花]
保持あげ

:08/04/19 22:00
:F905i
:☆☆☆
#230 [我輩は匿名である]
:08/04/19 22:02
:D903iTV
:/pyHB7u2
#231 [我輩は匿名である]
ホント中途半端
:08/04/21 01:28
:D904i
:UwWpC8qc
#232 [我輩は匿名である]
>>231確かに
てか主が書くか書かないかも分からないのに保持あげとかいらね
:08/04/21 02:14
:SH905i
:☆☆☆
#233 [蜜月◆oycAM.aIfI]
定期あげ
:08/05/14 02:26
:SH903i
:GAsvctc6
#234 [蜜月◆oycAM.aIfI]
定期あげ
:08/06/09 21:59
:SH903i
:cyvMeUuo
#235 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age
:22/10/07 11:59
:Android
:GR1soPvw
#236 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/07 12:14
:Android
:GR1soPvw
#237 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑
:22/10/19 06:59
:Android
:A4ZzuHng
#238 [ん◇◇]
:22/10/26 19:41
:Android
:AtV/.tU6
#239 [ん◇◇]
:22/10/26 19:42
:Android
:AtV/.tU6
#240 [あげ]
あげ(´∀`∩)↑age↑
:26/04/26 18:20
:Android
:KZfGZ9u2
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