校内戦争
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#212 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
口元に不敵な笑みを浮かべて、巧は北館へと帰ってきた。
集団も続いて中に入る。
巧は二階には上がらず、そのまま一階の突き当たりの教室を目指した。
一年三組、巧のクラスである。
三組に向かう間、廊下や教室といった至る所から痛い程の視線が浴びせられていた。
巧は大して気にする様子もなく、教室に歩を進める。
既に口元に微笑は微塵も残っておらず、鋭い眼光が光っているだけであった。

⏰:08/02/23 09:30 📱:N900iS 🆔:☆☆☆


#213 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ちらりと視線を送れば、皆が一斉に視線を逸らした。
内心で巧に恐怖を抱いてるという意志の顕れであった。
教室が近づいてきた時、そのまま通過とした横の教室から、突然誰かが飛び出してきた。

「待って…!」

声を張り上げて巧の前に立ちふさがったのは、艶のある黒髪が目立つ小柄な女子だった。

⏰:08/02/23 09:36 📱:N900iS 🆔:☆☆☆


#214 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
立ち止まった巧は、明らかに怪訝そうに目を細めた。
不機嫌ささえ伺える低い声色で口を開いた。

「…何だ」

女子は巧の声にびくりと震えるも強い眼差しを巧に向けた。

「何で崇史(タカシ)がいないの…?」

恐る恐るといった口調で尋ねた。

⏰:08/02/23 09:42 📱:N900iS 🆔:☆☆☆


#215 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「崇史は何処なの…?」

崇史、とは彼氏の名前だろうか、女子は今にも泣き出しそうな目で見つめ続けている。
巧は見下すように眺めた後、嘲笑うように鼻で笑った。

「死んだ奴の事なんざ…俺が知るかよ」

女子はそれを聞いた途端に、悲痛な声を上げながら泣き崩れてしまった。
巧は黙って近付くと女子の胸ぐらを掴み上げる。

「黙れ…」

巧が低く呟けば、女子はぴたりと泣き止んだ。
表情、瞳の両方に恐怖の色が浮かんでいた。

⏰:08/02/23 09:55 📱:N900iS 🆔:☆☆☆


#216 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
泣き止んだ女子を見た巧は満足げに鼻で笑うと、手を開いた。
倒れるように女子が崩れ落ちた。
地面に伏す女子の耳元に顔を近付ける。

「崇史…だっけか?」

巧の言葉にぴくりと肩を震わせて反応を示す。
俯いているためか表情は見えなかった。

⏰:08/02/23 10:03 📱:N900iS 🆔:☆☆☆


#217 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「死んだ奴の事は忘れたが…二年と闘いになった時、一番最初死んじまった可愛そうな奴がいてな…運が悪かったんだよ、そいつは。まぁ…結局、最後の最後まで使えない奴だったがな」

吐き捨てるように言えば上半身を元に戻した。
ゆっくりとした足取りで歩きだす。

「いや、役には立ったか…」

歩きながら、思い出すように小さく呟いた。

「本当、運が悪い奴だった…俺の傍にさえいなければな」

そう言い残し、教室へと消えていった。
そこには数人に囲まれて啜り泣く女子生徒の姿があった。
彼氏であろう名前を壊れた人形のように何度も口にしている。
その悲痛な泣き声は人々の胸に突き刺さった。

⏰:08/02/23 11:15 📱:N900iS 🆔:☆☆☆


#218 [我輩は匿名である]
<<150-210

⏰:08/02/23 16:02 📱:auKC3D 🆔:AcUgLcQo


#219 [我輩は匿名である]
>>150-210

⏰:08/02/23 16:02 📱:auKC3D 🆔:AcUgLcQo


#220 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「…おい」

使われていない空き教室に足を踏み入れた巧は、近くにいた男子生徒を呼び止めた。
声を掛けられた男子生徒は一瞬で引きつった表情になると悲鳴に似た声で返事をした。

「な、なんですか?」

恐々とした表情のまま、問い掛ける。
誰もいない教室の窓際に向かって歩く巧を目で追いながら、静かに返答を待っていた。

「二階から見張りをしてろ」

巧は男子生徒の言動を気にする様子もなく、顔すら見ずに言い捨てた。

⏰:08/02/29 20:18 📱:N900iS 🆔:☆☆☆


#221 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
男子生徒はその場から動けずにいた。
巧があまりにも『普通』すぎたからであった。
巧という人間を知らない人は、この学年には誰一人として存在しない。
そこまで有名な巧に、その誰もが恐怖を抱いていた。
普通なら、飛び抜けて喧嘩が強い不良ならそれに群れる仲間も多いだろう。
しかし巧は違った。
とてもじゃないが、群れられる状態ではないのだ。
『自分以外の者を頼らない性格』の巧には仲間はいらなかった、というのもあるが本当の理由はそんな簡単なものじゃない。
巧に仲間がいない原因は別にあった。
『自分以外の者を敵とみなし牙を剥く性格』の巧には仲間も恐れを抱いたからだ。
怒らせれば何をされるかわからない。
下手をすれば殺される。
そんな危険を犯してまで仲間になろうとする者など、存在するはずもなかった。
殺される、といっても半殺しなどではなく、文字通り本当に殺されるかも知れないのだ。
巧はそこまで恐れられていた。
『普通』じゃないのだ。
その巧の普通な態度に、男子生徒は固まっていた。

⏰:08/02/29 20:39 📱:N900iS 🆔:☆☆☆


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