Castaway-2nd battle-
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#102 [◆vzApYZDoz6]
「俺らもパンデモに?」
「足が要るからな」
「てめぇ!」

大振りに激昂するフリをする兄弟をうさんくさそうにかわし、ハルキンが歩き出す。
エレベーターのボタンを押して、振り返った。

「まぁそれは冗談だが…途中でラスカを拾うぞ」
「あら、その必要はないわよ」

すぐに上がってきたエレベーターの扉が開く。
そこには腕を組み、仁王立ちするラスカがいた。

「ラスカ? 家に帰ってたんじゃなかったのか」
「こんなことだろうと思ってね」

ハルキンは満足げに鼻で笑い、全員エレベーターに乗り込んだ。

⏰:08/04/11 22:26 📱:P903i 🆔:zCCoSRx2


#103 [◆vzApYZDoz6]

ジェイト兄弟が先に巨人形態のバイクに乗り込み、エンジンを吹かす。
その間、ハルキンとラスカは本部の裏手にまわり、スティーブのいる小屋へ行っていた。

「ラスカ、スティーブを連れていくからな」
「了解。任せといて」

巨大な犬のスティーブをハルキンが引き連れ、ジェイト兄弟の元へ戻る。
スティーブを見た兄弟が普通に嫌そうな顔をしたが、ハルキンとラスカは構わずにバイクに乗り込んだ。

「よし、出発だ!」

ハルキンの声を合図に兄弟がスロットルを回し、巨人はパンデモに向けて走り出す。
間を置かずにスティーブが身をかがめ、後を追って駆け出した。

⏰:08/04/11 22:26 📱:P903i 🆔:zCCoSRx2


#104 [◆vzApYZDoz6]

「なーんか、後発が多いよね私達」

一足先に行ったハルキン達を見送りながら、シーナが呟いた。
隣にいるリーザが少し考えてから、呟く。

「まぁ…最近はね」
「ずっとじゃない?」
「いいから行きますよ」

どうでもいいといった声を出しながら、リーザが先程ハルキンに渡されたものを1つ取り出す。
とても薄い立体映写機のようなそれを地面に置いた。

「あれ? お姉ちゃんのゲートキャバじゃないよね、それ」
「でも行き先にはちゃんと祖父の住む場所が記録されてますわね…どういう事かしら」

⏰:08/04/11 22:28 📱:P903i 🆔:zCCoSRx2


#105 [◆vzApYZDoz6]
「んー、まぁ何でもいいじゃん」
「あら…言い出したのはあなたでしょう」

2人は言いながら、ゲートキャバと呼ばれたそれの上に乗る。
途端にゲートキャバを中心に、地面から淡いピンク色をした光の筒が噴き上がる。
シーナとリーザが完全にその光に包まれると、光の筒が徐々に細くなっていく。

やがて完全に光がしぼんだ頃には、ゲートキャバ、そしてシーナとリーザの姿は、そこから消え失せていた。


⏰:08/04/11 22:28 📱:P903i 🆔:zCCoSRx2


#106 [◆vzApYZDoz6]


時間軸は少し戻る。ハルキンが、かつての仲間がいる丘へ向かっていた頃。

地球では、それぞれが日曜日の午後を満喫していた。

⏰:08/04/15 03:55 📱:P903i 🆔:u1DQTzs.


#107 [◆vzApYZDoz6]

─有紗の場合─

「う…ん、ちょっと、うるさいわよ……ふぁー……」

内藤の自宅を間借りして生活している有紗は、階下からの物音で目を覚ました。

時刻はちょうど午後1時を過ぎたあたり。
普通に寝すぎだが、布団から体を起こしても目が開いていないあたり、就寝するのが遅かったらしい。

しかし次の日が休みで、しかも恋人と同棲状態なんだから、まぁ当然と言えば当然……いやいや。

有紗が寝ぼけまなこをこすりながら隣を見ると、普段なら爆睡しているはずの内藤がそこにいない。

単純に1階にいるのは内藤だろうと考え、ゆっくりとベッドから立ち上がった。

⏰:08/04/15 03:56 📱:P903i 🆔:u1DQTzs.


#108 [◆vzApYZDoz6]
体に巻いた掛け布団のすそを引き摺りながら階段を下りると、案の定すでに身支度を整えた内藤がいた。

「どっか行くの?」
「たまの休みぐらい1人でゆっくりさせてくれ」
「まぁいいけど。浮気じゃないでしょーね?」
「今から愛車とデートだから、浮気だな」
「はいはい…行ってらっしゃーい」

ごきげんな様子で家を出る内藤にヒラヒラと手を振って見送る。
シャワーを浴びるか遅めの朝食を摂るかで迷ったが、眠いのでもう少し寝ることにした。

鍵も閉めずに2階へ上がり、身を投げるようにベッドイン。そのまますぐに寝息が聞こえてきた。

まったくいい御身分である。

⏰:08/04/15 03:57 📱:P903i 🆔:u1DQTzs.


#109 [◆vzApYZDoz6]

鳴り響くインターホンのチャイム。

最初は1分に2、3回。だが次第に音が鳴る間隔が短くなっていき、終いには間を空けずに連続で鳴り響く。

「…あーもう、うるさいわねぇ!」

有紗がそれに耐えかねて目を覚ましたのは、もう陽も傾きかけた夕方5時半。

有紗は再び体に掛け布団を巻いて、欠伸をしながら1階に下りていく。

せっかくの休日を無駄にしすぎじゃないかと思ってしまうが、ぶつくさと文句を垂れているあたりを見ると、本人には別段そういう気はなさそうだ。

その間も、寝ぼけまなこがぱっちり開かれる気配はない。

まったくあきれた低血圧である。

⏰:08/04/15 03:58 📱:P903i 🆔:u1DQTzs.


#110 [◆vzApYZDoz6]
1階に下りる間に、インターホンが鳴りやんだ。
さすがに連打は失礼だとでも思ったのだろうか。

となると、ドアの先にいるのは知り合いだろうか。

もし宅配便のお兄さんだったりしたらどうしよう、とかなり今更な心配をしながら、玄関のドアノブに手を掛ける。
そのまま遠慮がちにドアを開けた。

来客の顔を見て、少し不機嫌そうだった顔がたちまち嬉しそうな表情に変わる。

それはもう、声も上機嫌になるというものだ。

「……あらー、いらっしゃい♪」

その来客があわてふためいている事などお構いなしに、家へ招き入れようと振り返った。

⏰:08/04/15 03:59 📱:P903i 🆔:u1DQTzs.


#111 [◆vzApYZDoz6]

─藍の場合─

「ちょっと、ケツ! 丸見えだから!」
「京ちゃん…顔がやらしいよ」
「それなら有紗さんになんとか言ってくれ」
「……ヘンタイ」

『ヘンタイ』に対しなにやら必死に弁解する京介を無視して、藍は招かれるままに家へ入っていった。

京介と藍は、担任にディナーでもご馳走してもらおうという魂胆でインターホンを押していた。

それなのに、出てきたのはすっぽんぽんにタオルケットを適当に巻いただけという格好の、しかもわりと美人の分類に入る保険医だったのだから。
京介がたじろぎまくるのは当たり前だった。

「なんだよ…俺は悪くないじゃん…」

⏰:08/04/15 04:00 📱:P903i 🆔:u1DQTzs.


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