Castaway-2nd battle-
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#171 [◆vzApYZDoz6]
とにかく知っている事を子細に説明していく。
ハルトマンは、確認するように何度も小さく頷きながら、2人の話を聞いていた。

「……なるほど、そんな事が起きておったのか。しかしまた、随分とダッシュな展開じゃのう…」
「そのくせ更新遅いしね。作者は絶対やる気ないんだって」
「……2人とも、一体何の話をしているの?」
「え、何の話って現状の話じゃん。何言ってんの姉さん?」
「……何でもありません」

ふぅ、とリーザは1つ小さなため息をつき、煎茶を1口すすった。
ハルトマンが昔を語り出してから今まで1度も手をつけていなかったので、少しぬるくなっていた。

⏰:08/07/22 21:36 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#172 [◆vzApYZDoz6]
「ハルトマンさん…私達がここに来た理由なんですが」
「おお、まだそれは聞いていなかったな。どうしてじゃ?」

リーザは一度ためらうように湯飲みに視線を落とした。
しかし、すぐに決意のこもった顔でハルトマンを見据えた。

「シーナが無くした血風丸が、敵の手に渡っていました」
「…それは本当か!?」

どんな話をしていても笑顔を保っていたハルトマンまでもが、神妙な顔つきになる。

「祖父の仕業という確証はありません。しかし、敵がリリィと呼ぶバイクに…『SED』が搭載されています。恐らく、としか言えませんが」
「そうか…厄介な事になったのう」

⏰:08/07/22 21:37 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#173 [◆vzApYZDoz6]
2人が重苦しい雰囲気を出す中、シーナは明らかに不機嫌になっていた。
もはや話についていけていないのは自分だけだろう。
その疎外感が苛立ちの元になっていた。

次第に耐えかねて、とうとう口を開く。

「ねぇ、一体何の話をしてるわけ? そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「今はあなたが知る必要は無いわ」
「うむ…知ってしまうと、おまえさんにまで危険が及ぶ」
「はぁ、またそれ? ずーっとそればっかりじゃない」

もういい、とシーナは1人立ち上がり、部屋の扉へ向かってドスドスと歩いていく。
相当に不機嫌らしい。

⏰:08/07/22 21:38 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#174 [◆vzApYZDoz6]
「ちょっと、待ちなさい!」

リーザが声を張り上げたが、シーナは聞く耳を持たない。
扉を開け、ずかずかと部屋から出ていってしまった。
自分だけ蚊帳の外なのが、気に入らないのだろう。

肩を落としながら席に戻るリーザを、ハルトマンが目を細めて眺めた。

「もう…仕様がないわね」
「仕方ないじゃろう。今はまだ言えない事じゃ」

どっこいしょ、という要らぬ掛け声と一緒にハルトマンが立ち上がり、全身を使って伸びをする。

おもむろに壁掛け時計を見て時間を確認した。既に午後11時を回っている。
些か話しすぎたようだ。

⏰:08/07/22 21:38 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#175 [◆vzApYZDoz6]
「おまえさん達の寝床はわしが用意してやるが…敵が現れたりせんかのう」
「既に地球にも刺客が送りこまれてる、と敵は言ってましたけど」
「しかし、内藤からは何も聞いて…」

言いかけたところで、デスクに置かれた電話が鳴り響く。
ハルトマンが受話器を取り上げた。

電話の相手は、リーザにも聞こえる程の大声で。
その叫びは、ハルトマンの背筋を凍らせるには十分すぎた。


『すぐに来てくれ! 川上が敵に拐われた! すでに街の郊外まで敵が来ている、とにかくすぐに来てくれ!』


予想外に早い敵の進軍。
それを知らせた声の主は、内藤だった。


⏰:08/07/22 21:39 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#176 [◆vzApYZDoz6]



時間軸は少し戻る。時刻でいえば8時半、ちょうどシーナとリーザが地球にやって来た頃。

家の近所にある自動販売機の前に、京介はいた。

「寝ようとは思っても、あんな話を聞いた後じゃなー…」

呟きながら、投入口にコインを入れる。
百円玉を1枚、十円玉を2枚。入れ終わったら『つめた〜い』のエリアにあるボタンを押す。

どうでもいいが、最近は英語表記が多く『つめた〜い』とか『あたたか〜い』とか書かれている自販機が少なくなった気がする。
いや、本当にどうでもいいんだけど。

出てきたファンタフリフリシェイカーを普通に振って、蓋を開ける。

⏰:08/08/29 22:03 📱:P903i 🆔:saOknxQ2


#177 [◆vzApYZDoz6]
ちなみにファンタフリフリシェイカーと言うのは、缶を振らないと飲めないという『炭酸ゼリー』。

食感はゼリーだが炭酸のようにシュワシュワしていて、作者はわりと好きなのだが、作者の周りでの評判は今ひとつ。
最近はリアルキアイダーと共に自販機でよく見掛けるようになった。

ちなみにリアルキアイダーと言うのはアニマル浜口とリアルゴールドがコラボレーションって話が逸れましたね、ごめんなさい。

とにかく、なかなか寝付けなかった京介は気分転換も兼ねてフリフr…ジュースを買いに外に出た、というわけだった。

ジュースは既に飲み干してしまったが。

⏰:08/08/29 22:04 📱:P903i 🆔:saOknxQ2


#178 [◆vzApYZDoz6]
「しっかし、明日からどーするかなぁ…」

飲み終えたスチール缶を、自販機の隣の空き缶入れに投げ捨てる。
が、惜しくもフチに当たって弾かれ、カラカラと音を立てて地面を転がった。

悔しそうには見えない舌打ちを1つ。
携帯電話を見て時間を確認すると、家とは反対の方向に歩き出した。
ついでに地面に横たわるスチール缶を蹴りだす。

「…よっ…と…ああ、そっちに行くなよ!」

カランカランと音を立てて、スチール缶でドリブルする京介。
思いのほか楽しそうだが、時間的に近所迷惑にはならないのだろうかと心配してしまう。

⏰:08/08/29 22:04 📱:P903i 🆔:saOknxQ2


#179 [◆vzApYZDoz6]
そうして向かった先はコンビニ。
空き缶ドリブルもあるし、気分転換はまだ続くようだ。
よくよく考えれば、寝るにはまだ早い時間だ。

表通りではなく路地からコンビニに向かうため、裏にある駐車場を通らないとコンビニには入れない。

「…ん?」

そのために駐車場に入ると、コンビニの裏にある煙草の自販機を睨む男が見えた。

手には吸いかけの煙草、足元にも煙草の吸い殻が数本落ちているというのに、まだ買うつもりなのだろうか。
男は無精髭を生やしていて、よく見るとリアルキアイダーを持っていた。

リアルキアイダー片手に煙草の自販機を睨む、無精髭の男。

⏰:08/08/29 22:05 📱:P903i 🆔:saOknxQ2


#180 [◆vzApYZDoz6]
それがよほど不自然に見えたのか、空き缶ドリブルをやめて不審な目で男を見る京介。

その視線に気付いたのか、空き缶ドリブルの音がうるさかったのか、男が軽く驚いたような様子で京介に振り返った。

「……いよぉーう」
「…? ど、どうも…」
「誰だ? ってぇ顔してるから教えてやるぜぇ。俺はウォルサーの雇われモンのロモ。あんたと、もう1人のお嬢ちゃんの身柄を頂きに来た」
「…っ!!」

とっさに身構える。
内藤から忠告を受けたその日にこれだ。

正直、戦いだとかそんなものに関わりたくなかった京介にとっては、まったく馬鹿馬鹿しい事この上なかった。

⏰:08/08/29 22:06 📱:P903i 🆔:saOknxQ2


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