Castaway-2nd battle-
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#274 [我輩は匿名である]
パンデモに害すると判断されたもの全てを『非接続』に切り替える。

『非接続』となった現象・事象等は、その名の通りパンデモに“接続”する事ができず、パンデモに一切の影響を与える事が不可能になる。

スキル発動下では、マシンガンだろうがミサイルだろうがパンデモに着弾する事はなく、
スキルによる攻撃・監視等は、その効力が発現される事はない。

また、例えそれらの攻撃を受けた後であっても、その全てを『無効化』し修復する。

⏰:11/03/06 18:15 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


#275 [我輩は匿名である]
 
敵の性質・総量に左右される事なく、それが“パンデモに害為す物”であれば、
どんな攻撃であろうと絶対的な防御を可能とするスキル。


『管制役』が代々受け継いできたそのスキルの正式名称は、Block and Outcast Tactics。

その頭文字を取って、BOTと呼ばれた。
 

⏰:11/03/06 18:15 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


#276 [我輩は匿名である]
「結界を消滅…というか正しくは無効化させたのは、BOTを持つ管制役だろう。
人形共もBOTの効果で“パンデモに害為す効力”のみが非接続状態になっていたんだろうな。
俺たちが突入した時に動かなくなったのは何故か知らんが…」

ハルキンは腕を組み、少し考えるような動作を見せる。
ハルキンに続くように、話を聞いていたラスダンが顎に手を当てた。

「なるほど…それなら例え人形以外に敵がいたとしても被害は出ないだろうし、戦闘の痕跡が無かったのも頷けるけど…
でもそれだと、住民が消えた事を説明できない気がするけど」

⏰:11/03/06 18:16 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


#277 [我輩は匿名である]
「それはもう1つのスキルを使えばできるんじゃない?」

ラスカが、後ろでお手上げのジェスチャーをするジェイト兄弟を尻目に、人差し指を立てる。
ラスダンは「それはそうなんだけど」と答えながら片眉を少し上げた。

「BOTがあるなら、わざわざ住民を移動させる必要もないと思うんだ」

パンデモに対する攻撃を意に介さなくなるBOT。

それは逆に言えば、敵がどれほどの大軍で侵攻しようとも、パンデモの住民は何もする必要が無かった。

⏰:11/03/06 18:17 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


#278 [我輩は匿名である]
BOTの効果である、害意ある存在の『無効化・非接続』。
それにより銃弾は誰にも当たらなくなり、スキルの効果は発現されなくなる。

しかし、発射された銃弾は無くなるし、体力の減少などスキルによって生じるマイナス効果は普通に発生する。
つまり、敵の戦力は何もせずともどんどん消費されていくのだ。

それなら放っておけば敵は崩壊するし、効果は得られないが戦力の浪費が発生する事に敵が気付く頃には、もはや敵に撤退以外の道は無くなっているだろう。
パンデモ住民は逃げる事はもちろん、場合によっては反撃の必要すら無くなる。

BOTの効果は、それほどまでに絶大なのである。

⏰:11/03/06 18:18 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


#279 [我輩は匿名である]
「逃げずとも、反撃せずとも敵が退く。
それなのになぜパンデモ住民は消えたのか、それがわからない…ってか?」

ハルキンはその質問が来ると思っていた、とでも言いたげに、ラスダンに向かってニヤリと口角を吊り上げた。
それを見たラスカが呆れたふうに顔をしかめる。

「なによその顔は…だいたい敵も味方もいっぺんに地球に行ったんでしょ? 一体何のためよ?」

「もし…敵の戦力が無限かつ甚大で、無効化だけでは埒が明かないとしたら?」

⏰:11/03/06 18:19 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


#280 [我輩は匿名である]
「敵の戦力が無限かつ甚大…?
ウォルサーがそれほど大規模とは思えないけど…っていうか大規模だと色々困るしね」

ラスダンが眉根を寄せて呟く。

通常では無限の戦力などはまず存在しないが、レンサーの場合はあり得ない話ではない。
例えば攻撃役数人に対して再生回復スキルを持つ者が数十、あるいは数百人いれば、
ローテーションで体力回復を続けて無限に攻撃し続ける事は可能である。

だが仮にも半年前に壊滅しかけたウォルサーにそれほどのレンサーがいるとは思えないし、
レンサーの戦力が甚大な物であってもそれは同様。

結局はBOTに阻まれるため、まったく意味がないのだ。

⏰:11/03/06 18:19 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


#281 [我輩は匿名である]
「それがあるんだよ。BOTによる無効化をすり抜けて、攻撃を可能にしてしまう手段が」

「その手段っていうのは?」

「『SED』だ」

「「…!」」

同時に息を飲むラスカとラスダン。
ジェイト兄弟は、2人の様子を見て顔を見合わせ、またお手上げのジェスチャーをした。

⏰:11/03/06 18:20 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


#282 [我輩は匿名である]
「『SED』による攻撃でも、BOTならリモートで無効化する事は可能だ。
だが次から次へと設定を変えてくる攻撃を無効化するのは、容易な事ではない。いつかは『管制役』の体力が無くなる。
そこで『管制役』は、敵を地球に転送したんだよ。それ以外に敵味方が一辺に消えた理由は考えられん」

「でも何で地球? そもそも味方まで転送したら本末転倒なんじゃないの? 何でそんなことするのよ?」

「地球に転送した理由はそこにある。…今回は、パンデモの連中も本気らしいな」

ハルキンは、そこでまたニヤリと笑みを浮かべた。

⏰:11/03/06 18:21 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


#283 [我輩は匿名である]
 
ハルキンからバッシュへの無線通信。
それが途絶えたのはトビーの結界による影響だったが、BOTの効果でそれは無効化され、無線はすぐ復旧するはずだった。
では、なぜ無線は不通のままだったのか。

その理由は、『管制役』が無効化の対象からトビーの結界を外したため。
対象から外した理由は、ハルキンに僅かな不信を抱かせて、パンデモに向かわせるため。
ハルキンをパンデモに向かわせた理由は、自分達が敵と一緒にワープした事を伝えるため。


ハルキンが感じた“確信”。
それは、これら全てがパンデモの…族長バッシュと『管制役』の残した、共戦への誘いである、というひとつの事実。
 

⏰:11/03/06 18:22 📱:P08A3 🆔:Mq.0sahk


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