Castaway-2nd battle-
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#291 [我輩は匿名である]
「………でも……強化服までは…いらないと思う……」
「お仕事を楽しくするには、刺激ってぇーやつが必要なのよぉ。なぁー、おめーら?」
「はっ、仰る通りです!」
ロモが後ろを振り返ると、誰もいなかったはずのそこに、いつの間にか十数人の人影があった。
全員、ロモがコートの下に着ている物と同じ、周囲に溶け込むような黒の身体強化用ラバースーツを着ている。
ロモの直属の戦闘員たちは、皆一様にロモに向かって敬礼していた。
「んで、どーよ手筈は?」
「万端整っております」
戦闘員の一人が答える。
ロモは満足げに前を向いて煙草を燻らし、その様子を見ていたトビーは無表情に明後日のほうを向いた。
トビーの視線の先には、だいぶ低い位置に沈んだ満月が輝いている。
雲ひとつない、綺麗な月夜。それもあと一時間もせずに明けるだろう。
もうすぐ、ロモの『仕事』が始まる。
:12/02/04 06:12 :P08A3 :/TXcO8aQ
#292 [我輩は匿名である]
「……また…一緒にゲームしたいな…」
「ま、そいつぁー本人次第だろうよぉ。雇われモンは、手前の仕事をこなすのみさぁー」
「……ロモは…仕事ねっしん……」
「それでこそ俺よぉー。…さーて、そいじゃー景気付けに、一発かますとするかねぇー」
煙草をくわえ、人差し指と親指でフィルターをつまみなおす。
もう片方の手は自分の首筋についた強化服のアタッチメントに触れていた。
:12/02/04 06:12 :P08A3 :/TXcO8aQ
#293 [我輩は匿名である]
「さぁーて…お前ら。お仕事の、時間だぜ」
「はっ! 全員、投与開始!」
「「投与開始!」」
同様に、背後の戦闘員たちも首筋に手を当て、ロモの言葉に合わせてアタッチメントを操作する。
動脈と繋がったナノサイズのシリンジから、感覚鋭敏化の薬剤が投与され、瞬く間に全身に行き渡る。
「さぁ行くぞぉー。二束三文稼ぐために」
強化服は全員が装備済み。五感も強化された。戦闘準備は万端。
ロモが、煙草を根元まで深く吸う。
それを合図に、戦闘員がビルから散り散りに飛び降りていく。
短い煙草を空中に向け、そして弾き飛ばした。
「今宵もせっせと大爆発、っと」
爆音が、静寂を破る。
爆炎に照らされたロモの歪んだ口元を、トビーが静かに眺めていた。
:12/02/04 06:14 :P08A3 :/TXcO8aQ
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