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#153 [「君と魔法」向日葵(1/2)]
上を向けば涙は流れない。
そう言った筈なのに涙が流れていく。

そう言った君は、ここにはもういない。

夜中の突然の知らせ。

君の事だった。

必死に病魔と言う敵と戦ってた君は、最後の最後まで力一杯抵抗したけど……負けてしまったんだね。

空を見上げれば、君が見えると思ったけど、煙しか見えない。

あんなに温かかった君は、もう今じゃ白い塊。

⏰:08/03/09 23:03 📱:SO903i 🆔:HufwFHOk


#154 [「君と魔法」向日葵(2/2)]
病室は狭かったけど、今の部屋の方がよっぽと狭いよね。

あちらへ行けば、一面お花畑なのかな?

どうしよう。
君の魔法、効かないよ。

ずっとずっと効いてたのに、効かないよ。

急に降ってきた雨みたいに、山奥にある滝のように、滴が頬に流れていく。

喉の奥が苦しい。息が出来ない。

君と笑い合った日々が、何故か次々に溢れてくるんだ。

いつか、そんな事あったなって、君の魔法が効く日がやってくるのかな。

それはそれで、寂しいな……。

⏰:08/03/09 23:08 📱:SO903i 🆔:HufwFHOk


#155 [夕闇と少年(1/3)天音]


「ぼくはこの世界に絶望したよ。もう本当に、何もかもが疎ましくて無意味に思えてくる。今すぐに空を自由に飛び回る鳥を撃ち落としてやりたいよドチクショウ」

気づくと、ぼくは河川敷で夕日に向かいそう叫んでいた。叫ぶ前に何をしていたかは覚えていない。

ジョギングをしていた中年男性は驚いて振り返り、痛々しいものを見る目でぼくを見たあと足早に去っていった。

⏰:08/03/10 00:38 📱:L704i 🆔:2fderNsg


#156 [夕闇と少年(2/3)天音]


ぼくは無意識のうちにごめんなさいごめんなさいと泣きながら謝っていた。

何故なら中年男性のぼくを見る目はぼくに折檻をする父にそっくりだったからである。

他人にみた父の面影に怯えるなんて。ぼくはぼくがますます嫌いになった。

⏰:08/03/10 00:45 📱:L704i 🆔:2fderNsg


#157 [夕闇と少年(2/3)天音]


絶望しているうちに、ぼくはじわじわと夕闇に飲み込まれていった。怖くはなかった。闇にすっぽりと包まれると、安堵にも似た感覚に侵された。そのいいしれぬ安堵感に、ぼくはまだ見ぬ母の姿と永遠の眠りを垣間見た気がした。


そんな、夢をみた。

⏰:08/03/10 00:55 📱:L704i 🆔:2fderNsg


#158 [我輩は匿名である]
ついてない。
あたしの今日一日は、その一言で表される。

朝から寝坊はするし、電車は混んでるし、上司には叱られるし、一人で残業させられるし……

そして極めつけが、これだ。

あたしは、会社の窓から雨が降りしきる町を見て溜め息をついた。

⏰:08/03/10 01:19 📱:P702iD 🆔:jviBZqKc


#159 [我輩は匿名である]
……カサ、持ってきてたっけ?

持ってきてる訳がない。朝から忙しかったんだから。

何度目かの馬鹿らしい自問自答。繰り返すほど憂鬱になっていく。

……もう嫌だ。
残業なんてどうでもいい。上司にどう思われようと知ったことじゃない。

⏰:08/03/10 01:20 📱:P702iD 🆔:jviBZqKc


#160 [我輩は匿名である]
帰ろう。


そう思い立って席を立とうとした時、

「三井?残業?」

って後ろから若い男の声が聞こえた。

……ああ、この声はよく知ってる。

同期で入社した男、大野の声だ。





3レスじゃこれが限界ですたww

⏰:08/03/10 01:21 📱:P702iD 🆔:jviBZqKc


#161 [◆vzApYZDoz6]
>>158-160
おkw

参加者&投下が増えてくれて主としては嬉しいが、読む暇がないorz
今から読みます

⏰:08/03/10 03:52 📱:P903i 🆔:tHds.fh2


#162 [お題を全部使って(1/3)◆vzApYZDoz6]
都心部の駅から降りてすぐのところにある、スクランブル交差点。
人でごった返す横断歩道を渡った先に、私の勤めるオフィスがある。
今日も私は電車に揺られた後、その横断歩道を渡って仕事へ行く。
でも、あまり仕事に乗り気がしないのは、私が疲れてるからだろうか。
降り頻る雨。信号待ちの人混みの中で佇む私の体は連日の残業が祟ってひたすら重く、気分はあまり弾まない。
傘を差しながら憂鬱に青信号を待つ私の視線は、自然と地面を向く。

その時に初めて、足下に1匹の猫が居たことに気が付いた。
茶色と黒の駁模様が、コンクリートで固められた地面によく映える。
都会のど真ん中にも野良猫がいるのか、等と薄く考えていると、猫の首輪に目が止まった。
白い首輪。それが首輪ではなく首輪に結ばれた手紙である事に気付くのに、たいした時間は要らなかった。
ちょうど神社の木にくくりつけられてるおみくじのように、両端が結ばれている。
私の視線に気付いたのか、猫は私を一瞥して横断歩道へ踏み出した。

「あっ、まだ赤…」

私の不明瞭な呟きを掻き消すように、周りの人も歩き出す。
どうやら、たった今信号が青に変わったらしい。
人混みを掻き分けて歩く私は、気が付くと視線が数メートル先の猫を向いて、足は歩く猫を追っていた。

⏰:08/03/10 15:36 📱:P903i 🆔:tHds.fh2


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