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#484 [こころ*グラフ(1/1)あんみつ]
 

「人間の感情って、よく分かんないよね」

「うん?」

「好きとか嫌いとか、さ」

「例えば?」

「例えば・・・すっごい嫌いな人がいたとするでしょ」

「うん」

「嫌いなはずなのに、たまに優しくされたり話して楽しかったり・・・そんなことがあると、むしろ好き?って思っちゃう」

「へー」

「そいつのことばっか考えちゃうし・・・けどね、そいつすっごい意地悪なの」

「は?」

「人が真剣に話してるっていうのに・・・うんとかへーしか言わないし、にやにやこっち見てくるし」

「・・・」

「嫌いって思うのに・・・考えるのは、そいつのことばっかで・・・」

「・・・つまりさ、結局の所どうなの?」

「・・・すっごい好き」

「俺も」

.

⏰:08/09/15 11:49 📱:D904i 🆔:LqzOrwVE


#485 [東脂ヤ]
>>484
このお話とっても好きです(´∀`)

私もそろそろ投下したいなぁ☆
毎度駄作ですがorz


アゲます\(^_^)/

⏰:08/09/15 13:29 📱:W52P 🆔:Fyuk0N.k


#486 [◆vzApYZDoz6]
あーげ

⏰:08/09/18 00:01 📱:P903i 🆔:TTf2D1yg


#487 [イツワリ(1/3)◇東脂ヤ転
「"人の為"と書いて"偽り"と成る」

「は?」

「いや…ニュアンスは違ったかな…でも確かこんな感じの言葉だ」

「いやだから、急に何?
教科書の見過ぎで頭変になった?」

彼女の言葉にカチンときたのか、彼はムッとした表現を浮かべると徐に顔を上げた。

「今朝見た日めくりカレンダーに書いてあったんだよ。あれなかなか良いこと言ってるよな」

そう言って一人軽く頷くと、彼はまた教科書に視線を落とした。

「なーんだ、ただの漢字の創りの話じゃん。」

そんな彼の言葉を小馬鹿にするように彼女は笑った。そしてその彼女の態度を彼は見逃していなかった。

⏰:08/09/18 11:39 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#488 [イツワリ(2/3)◇東脂ヤ転
「本当にお前は馬鹿だな。何で俺が今このタイミングでその言葉を発したのか分かってないだろ?」

「…分かりたくもないけど」

「例を一つ上げよう」

彼は彼女の言葉を無視して話を続ける。

「さっきから何でお前はここに居るんだ?
図書室は勉強する奴が居る所で、お前みたいな勉強嫌いが居る場所じゃないぞ?」

一見、物凄く冷たく聞こえる彼の言葉に、慣れているのか彼女は真顔で返答する。

「そんなの決まってるじゃん。アンタがあたしと一緒に居たいと思って付き合ってあげてんの」

「俺の為に?」

「そ!アンタの為に」

⏰:08/09/18 11:43 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#489 [イツワリ(3/3)◇東脂ヤ転
「それが"偽り"だって言ってんだよ。誰がいつそんなこと頼んだ?」

「…あ………」

ここで初めて彼女の言葉が途切れた。
一方彼は「勝った」とでも言いたげな笑みを浮かべる。
しかし、

「ナルホド…分かった」

「?」

その時彼女が閃いたように身を乗り出した。

「あたしがココに居るのはアンタの為じゃなくて、あたしの為だ」

「…は?」

思いがけない答えに彼は困惑する。
しかしそれとは逆に彼女は自信たっぷりに言う。

「だってあたしがアンタの側に居たいから、その為に居るんだよ。
これなら"偽り"じゃないでしょ?」

満足げに笑う彼女を見ながら、彼は呟く。

「本当、お前にはかなわねぇよ」

偽りの無い笑顔がそこにあった。

⏰:08/09/18 11:46 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#490 [◆vzApYZDoz6]
勢いが衰えてきたな…

思いついたらなんか書こう

⏰:08/09/22 03:04 📱:P903i 🆔:7iMRmRKM


#491 [梓◇星空(1/3)]
――ねぇ、武志。あたしはあの空の星になるよ。



――…‥


彩奈はいなくなった。



人は死んでも、星になんかならない。

いなくなってしまえば、あの笑顔を見る事も、手を繋ぐ事も、髪を撫でる事も、キスする事も、抱き合う事も、できない。
すねた彼女の機嫌をとるためにラムレーズンのアイスを買ってあげる事も誕生日にサプライズで喜ばせる事もつまらない話を聞いてあげる事も俺の腕の中の寝顔を見る事も寝ている彼女に好きだと囁く事もできないもう俺は彩奈を見れない触れられない聞こえない彩奈はもういないいないいないいない――――



.

⏰:08/09/22 13:03 📱:SO703i 🆔:☆☆☆


#492 [梓◇星空(2/3)]
俺は彼女に生きていて欲しかった。それは彼女がまだ若くて将来があったからではなく、彼女の夢を応援していたからではなく、彼女の周りのみんなを悲しませるからではなく、俺が寂しいからだ。それだけの理由だ。



自分勝手だ。
治療が辛いと泣く彼女の気持ちより、俺は残される俺の事ばかり考えていた。でも、みんなそうだろう?

倒れた彼女を腕に抱いて「助けてください」だなんて叫んだ奴も、彼女を助けて欲しかったんじゃなくて押し潰されそうになる自分を助けて欲しかったんだ。

でも、俺はそんな事できなかった。葬式で彼女にすがりついて泣く事もできなかった。無駄だとわかっていたから。
祈りなんてものは、自分の心の捌け口でしかない。神がいるかどうかは知らないが、それは大抵、何もしてくれない。

⏰:08/09/22 13:25 📱:SO703i 🆔:☆☆☆


#493 [梓◇星空(3/3)]
それでも、もしかしたら、俺はそうするべきだったのかもしれない。すがりついて、泣き叫んで、死んじゃ嫌だ、と。それもまた、祈りなのだろう。
祈るという行為は、その祈りが誰かに向けたものだったとしても、結局は自分のための行為に他ならない。





彼女が残してくれた優しい嘘は、残される人にとって幾らかの救いとなった。

俺は今日も星空を見上げ、彩奈が幸せであるようにと、祈る。

⏰:08/09/22 13:35 📱:SO703i 🆔:☆☆☆


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