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#219 [紫陽花[とある動物の話(1/3)]]
「めんどくせ〜…」
それが僕の飼い主様の口グセ。
言葉の意味はよく分からないけど、その言葉のせいで大好きな散歩に行けなかったり、エサをもらえなかったりすることが、たまに、本当にたま―にだけどあったりする。
でも僕はそんな飼い主様が大好き!!暖かくて大きな手で僕を撫でてくれたり、僕が指示通りにに動けばお日様みたいなキラキラした笑顔を見せてくれる。
それに……。
飼い主様は忘れてると思うけど、僕にとって忘れることの出来ない凄く凄く飼い主様を好きになる出来事が前に起こった。
――――………
―――――――………
人間単位で3年ほど前、1年で1番外の景色がピンクに染まる季節に僕はこの家にやってきた。ちょっと人見知りがちな僕が恐る恐る家に足を踏み入れるやいなや、暖かい手の少年がキラキラとした笑顔で首輪を付けてくれた。(その時は首が窮屈でしかたなくて、外そうと頑張ってたな。)
:08/03/19 17:28 :F905i :☆☆☆
#220 [紫陽花[とある動物の話(2/3)]]
当時はエサもたっぷり貰って散歩も飼い主様が連れて行ってくれた。その時間がたまらなく大好きでついつい吠えちゃったり、噛みついちゃったりして、飼い主様を困らせることもしばしば……。
そんな散歩の途中、僕は道に変な丸いのが落ちてるのに気付いた。初めて見るものでその丸い物の正体が物凄く気になった僕は飼い主様に見せようと、何も考えずに口の中に入れた……。
次の瞬間
何でか分からないけど、それを僕は飲み込んでしまった。
(くる……ッしい……!!ぃ……ッいき……ができ……なッ………………!!)
あぁ……、僕はここで死ぬんだァ。もっと散歩したかったァ……。遊びたかったなァ――…。
死を受け入れ今にも涙があふれ出しそうな目を閉じようとした時、急に体が宙に浮いた。
「待ってろ!スグに病院に連れて行ってやるからなッッッ!!」
:08/03/19 17:29 :F905i :☆☆☆
#221 [紫陽花[とある動物の話(3/3)]]
…………飼い主様だァ。でも病院って「ちゅうしゃ」って痛いのする所でしょ?行きたくないな―。でも飼い主様が一緒なら痛くないのかな?
―――――………
そこで僕の意識は途切れた。
後から聞いたんだけど僕は「ぺっとぼとるのきゃっぷ」って言うのを飲み込んだらしい。
「なんでも飲み込んじゃ駄目だろ!!!」おもいっきり僕を叱った飼い主様の目はウサギみたいに真っ赤だった。ごめんなさいを言わなきゃと口を開いた瞬間暖かい手が僕を抱きしめた。
「生きてて良かった――…」
飼い主様は誰にも聞こえないように小さな声で言ったみたいだけど僕は耳がいいから聞こえちゃったんだ。
これが飼い主様の事が大好きになった理由の一つ。いつも「めんどくせ」って言ってる飼い主様。でも僕の大切な飼い主様。
これからも大好きだよ!!
あっ!でも……。
エサと散歩は
忘れてほしくないなァ――…。
ーーーendーーー
:08/03/19 17:29 :F905i :☆☆☆
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