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#505 [タイトル未定(1/3)英]
夏が終わり、雨が降り続いた。
雨が降る度に風は徐々に冷たいものへとなり、秋が始まったのだ。



久々に晴れた空は青く清々しかったが、私の心は空のように清々しくはなかった。

進学、就職。
そんなものまだ先の話と思って何も考えず過ごしていたら、あっという間に高校三年の二学期が始まってしまった。いや、もう三学期へと時は進んでるんだけど…そう思うと深い溜め息が出てくる。

鉛のように重たい足を引きずり、学校から家へと帰る途中にある、小さな公園へと入った。
たった一つだけのベンチに腰掛け、私は何をするわけでもなくただボーッと空を見上げていた。冷たい風と一緒に流れて小さい子達の楽しげな声。


昔はよく此処で遊んだっけ…。


学校や家とは違い、進路の事を言ってくる者も焦りや不安、苛立ちを与えてくる者も居なく、とても落ち着ける。

⏰:08/10/04 15:29 📱:W53T 🆔:VPxnXd7.


#506 [タイトル未定(2/3)英]
どの位時間が経ったのか…相変わらず空を眺めている私の元に、黒のランドセルを背負った幼い少年が歩み寄って来た。
無言のまま私の隣りに座る少年。だが、その瞳はずっと私の方へと向けられた。

じぃっと見られているのに耐えられなくなった私は相手が小学生だと言うのに不機嫌丸出しで口を開いてしまった。


「…何よ」
「別に」


あれだけ見ていたくせに返ってきたのはたった一言。
最近の小学生は生意気だな…なんて心で悪態をついていると、今度は少年が口を開いた。

「お姉さん、高校生でしょ……サボり?」

何を言うかと思えばコイツは…。まあ確かに…昼前で、しかも公園で暇そうにボケッとしている女子高生を周りが見たらサボっているように見えるのかもしれない。


「…今日は午前で学校は終わりなのよ」
「ふーん」


そこからまた無言。
私がさっきまでしていたように少年も空を見上げていた。
――変な子。
なんて思うが、邪魔だとかウザイとか、そんな言葉は全く出てこなかった。

⏰:08/10/04 15:49 📱:W53T 🆔:VPxnXd7.


#507 [タイトル未定(3/3)英]
"

「ねえ、飴食べる?」
「苺味以外なら」
「ごめん。私苺味しか買わない人間だから」


相当苺味が嫌いなのか…少年は吐く様な顔をしたので嘘だと言って色んな色の飴玉を渡した。

「君、いつも此処にくるの?」
「たまーに」
「そっか」

今日、此処に来たのは気紛れだったのだろうか。もしそうだとしたら、その気紛れが今日向いてくれて良かったと思えた。


「僕これからママとお出かけだから帰るね」
「うん、バイバイ」


ベンチから下りると少年は手を振る私を見て、右手を差し出してきた。
何だ何だと思いその小さな手を見て見ると、そこには私があげたモノとは違う飴玉が一つ。

「有難う」

受け取って御礼を言うと、少年の顔が生意気なものから可愛らしい笑みへとなり、公園から出て行った。



貰った飴玉を口に入れれば広がる、大好きな苺味。そしてそのままもう一度空を見上げれば私の頬は自然と緩んでいった。

「また会えるかな」

また、あの不思議な少年に。


一人笑みを零し、自分も帰宅しようと立ち上がると重かった足はとても軽くなっていた。

⏰:08/10/04 16:32 📱:W53T 🆔:VPxnXd7.


#508 [英]
>>505
冷たい風と一緒に流れてくる小さい子達の楽しげな声。
です。間違えました;

⏰:08/10/04 16:41 📱:W53T 🆔:VPxnXd7.


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