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#6 [奇怪な電話(1/2)◆vzApYZDoz6]
「まいったなー…」
男は頻りにそう呟きながら、自分の家をあちこち見回していた。
2階建1軒家の1階を、2階で眠る妻や息子を起こさないように、そっと。だがしかし焦ったように探しまわる。
ふと壁に掛けられた時計を見ると、時刻は朝6時。
家に帰ってきたのは5時頃だ。
友達の家で呑み明かした後タクシーで帰り、家に着いてから風呂に入り、朝飯を食べて、さぁ今から寝よう、という時に気が付いた。
携帯電話が見当たらない。
男はかれこれ10分程ずっと探し回っている。
家に帰ってから2階には1度も行ってないのだから、2階にあるはずはない。
たがいくら探そうとも1階にも見当たらない。
「しまったな…あいつんちに忘れてきたかな?」
男はまいったというように後頭部を掻きながら、家の電話の子機を手に取る。
その時に最初からこうしていれば良かった事に気が付いた。
恥ずかしかったのだろうか。男が振り返って、誰に見られてる訳でもないのに後ろを見回した。
自嘲ぎみに鼻で笑い、登録された自分の携帯電話に電話する。起きていれば友達が取るはずだろう。
受話器を当てた右耳から流れるコール音は、なかなか途切れない。
:08/03/03 02:14 :P903i :zBYy/l0.
#7 [◆vzApYZDoz6]
「もう寝ちまったか…」
また掛けなおすか、と耳から受話器を離す。
だが終話ボタンを押そうとする前に、僅かな大きさだがバイブ音が聞こえてきた。
どうやら自分の家にあったらしい。男はバイブの音を辿って歩き回った。
しかし、どうやら部屋の中には無いようだ。
いったん廊下に出ると、バイブ音が少し大きくなった。電話は近い。
しかし、不審な事にそれは2階から響いているようだ。
2階には1度も行ってない筈なんだが。そんなに酔ってたかな…
とりあえず2階に上がり、そろりそろりと廊下を歩く。
廊下の端に%8
:08/03/03 02:15 :P903i :zBYy/l0.
#8 [[最期の花]ふむ(1/1)◆PppyzxIHxs]
玉砕覚悟…
なんと良い響きだろうか。
数多の咆哮と足音が混沌とする世界で、我の前にある蝋燭の灯が静かに揺らめいて壁を怪しく照らした。
壁の向こうには既に火が放たれているのだろうか。
ゆらゆらと茜色に染まっている障子が目に映れば、そんなことが頭を過ぎった。
傍らにある白紙に包まれた小刀に手を掛ける。
鋭い刃は灯の僅かな揺らめきを吸い込んで、時折鈍い輝きを放っていた。
外にはどれくらいの従者が生き残って闘っておるのかのう…。
小さく息を吐くように漏らせば白装束を整える。
堂々たる構えで座せば、自然と装束が足に巻き込まれる形になった。
玉砕覚悟…
なんと良い響きだろうか。
生命尽きるまで、この身が果てるまで奮闘する姿は…鬼人が如くの気迫を漂わすであろうな。
最期まで敵にひれ伏さぬ生き様は、さぞかし天晴れであろうな。
さて、そろそろ…
我も逝くかね。
小刀を腹部に当てれば、躊躇うことなく深々と自らの腹に突き立てた。
鋭い痛みが全身に広がるように襲う。
じわりと脂汗が額に滲んだ。
仰向けに倒れそうになるも、巻き込まれた白装束がそれを許さない。
紅い鮮血が白装束を染めた。
玉砕覚悟で最期まで闘うなぞ、なんと浅ましいことよ…
荒い呼吸のまま、力を振り絞り小刀を横へ薙ぐ。
尖った刃が肉を引き裂き鮮血を流れ出させる。
我は敵の手に掛かって無惨に死ぬるくらいなら…自らの手でこの生命を絶とうぞ…
口元に笑みを含みながら、燃え往く寺の中で男はゆっくりと絶命した。
:08/03/03 02:15 :SH905i :☆☆☆
#9 [奇怪な電話(2/2)◆vzApYZDoz6]
>>7?
「もう寝ちまったか…」
また掛けなおすか、と耳から受話器を離す。
だが終話ボタンを押そうとする前に、僅かな大きさだがバイブ音が聞こえてきた。
どうやら自分の家にあったらしい。男はバイブの音を辿って歩き回った。
しかし、どうやら部屋の中には無いようだ。
いったん廊下に出ると、バイブ音が少し大きくなった。電話は近い。
しかし、不審な事にそれは2階から響いているようだ。
2階には1度も行ってない筈なんだが。そんなに酔ってたかな…
とりあえず2階に上がり、そろりそろりと廊下を歩く。
廊下の端に近付くにつれ、バイブ音がよく聞こえる。
だが、廊下の端に辿り着いても携帯電話が見当たらない。否、廊下の端からバイブ音が聞こえる訳ではない。
だがバイブ音が聞こえる一番近い場所は廊下の端。
「………?………」
男が、ゆっくりと視線をあげる。
ちょうど天井まで向かった時に、終話ボタンを押した訳でもないのにバイブ音が止まった。
垂れ下げた手に握る受話器から、微かに聞こえる友達の声。
「…これお前の携帯だろ?とりあえず今は眠いから後で持っていってやるよ…」
電話が切れた。
耳をすますと、荒く小さな呼吸音が聞こえてくる。
――そこに居るのは、誰だ?
:08/03/03 02:16 :P903i :zBYy/l0.
#10 [あの頃の思い出(1/2)]
なあ、憶えているか?心地よく吹くこの風の匂いを。
なあ、憶えているか?秋茜が飛ぶこのススキの原を。
なあ、憶えているか?あの日俺とお前2人で見た、赤く染まった夕焼けの空を。
『ここの風景は、きっと何よりも綺麗よね』
俺は、憶えている。お前が夕焼け空を仰ぎながらそう言ったのを。
俺は、憶えている。そう言ったお前の横顔が、一番綺麗だと思ったのを。
俺は、憶えている。あの日、お前と交わした小さな約束。
:08/03/03 02:33 :P903i :zBYy/l0.
#11 [あの頃の思い出(2/2)]
『次もまた見たいな。もちろん、私とあなた2人で、ね』
お前と交わした指切りげんまん。
俺はその指切りの約束を果たすために、ずっとここで待っている。
お前がどこへ行こうとも。
お前が帰ってくるのを、ずっと、ずっと。
「…………だから、帰ってこいよ。いつでも…待ってるからさ」
お前と2人で夕焼けを見た、このススキの原で。
:08/03/03 02:34 :P903i :zBYy/l0.
#12 [ギャグカオスなシュール(1/1)]
「オババババババババババババハ!!!wwwwwwwwwww」
「ワヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwwwwwwwww」
「ギヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒwwwwwwwwww」
「アーッハッハッハッハッハッハッハッ!!!wwwwwwwwwww」
「………」
「………」
「………」
「次の授業なんだっけ?」
「国語だよ」
「あー宿題やってねーw誰か貸してw」
「やだよバーロw」
完…?
:08/03/03 02:44 :P903i :zBYy/l0.
#13 [[世界の真実]ふむ(1/2)◆s8/1o/v/Vc]
目が覚めた。
僅かに身震いするような肌寒さに瞼を開ければ、覚醒しきっていない頭で考える。
どうやら俺は寝てしまったらしい。
今は何時だろうか…。
カーテンが閉められていない窓から見える外は、既に日が没しており真っ暗な闇の世界を作り出していた。
室内も電気が就いておらず薄暗かった。
枕元の電子時計が緑色の字を発色させて12:37の文字を象っている。
「夜中か…」
寝過ぎたと後悔しつつも、のろのろと起き上がれば室内を明るくしようと電灯の電源に手を伸ばす。
カチリ…、と短い音を立ててスイッチが入れ代わった。
しかし、電灯は光らない。
部屋は不気味な薄暗さを保っていた。
「んだよ…電球切れてんのか?」
愚痴を零せば少しだけ苛々が込み上げてくる。
テレビに近付くとおもむろに手を伸ばし電源を入れる。
テレビは依然として真っ黒を画面に映し出している。
「何だよ…停電かよ…」
小さく舌打ちすれば一人納得し、暗いままの室内のベッドに腰を下ろした。
携帯を取り出すと無造作に開く。
僅かな携帯の眩しさに目を細めれば、待受画面には12:39の文字。
そして電話が一件来ていた。
それを確認しようと中身を開いた瞬間であった。
一瞬砂嵐になったかと思った矢先、画面は真っ黒になって電源が落ちた。
:08/03/03 02:48 :SH905i :☆☆☆
#14 [梓 [真夜中の着信](1/2)]
〜〜♪
携帯を開くと、登録外の番号からの着信。私は、見なかったことにして携帯をポケットにしまった。
知らない番号…ではなかった。存在を消したくてデータを消した。それでも覚えている番号。忘れられなかった。
自分の鼓動が聞こえる。
好きでたまらなかった。好きで好きで、好きで好きで好きで好きで。
…こんな関係、うまくいく訳がなかった。
別れて半年。新しい彼女ができたと噂に聞いた。
私の中で、何かが壊れる音がした。
.
:08/03/03 03:06 :SO703i :☆☆☆
#15 [梓 [真夜中の着信](2/2)]
電話は、見なかった事にしよう。後で履歴も消しておこう。そうすれば無かった事にできる。今まで通りの生活が送れる。
―本当にそれでいいの?
だって私はまだ思い出にできていない。
―会いたいんじゃないの?
会うべきじゃないの。
―まだ好きなの?
冗談じゃないわよ、あんな奴もう好きじゃないわ。
―じゃあ電話くらいいいじゃない。
…声を聞いたら会いたくなっちゃうじゃない。
私はそっとポケットから携帯を出した。一昔前の曲が静かな部屋に鳴り響く。
彼が好きだと言っていた、あの曲。
私はじっと携帯を見つめていた。
---END---
:08/03/03 03:07 :SO703i :☆☆☆
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