木の下でかくれんぼ
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#307 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

その時だった。

彼女は凍ったように教室のドアに目を向けたまま動かなくなったのである。

何事かと遅れて私ととり巻きは同じところを見た。

私達も息が止まるほど驚いた。

そこには、大学ノートをいくつか抱えて愉快そうに笑うカミヤマミヤトが立っていた。

⏰:08/08/21 11:49 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#308 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「…………」

聞いていたのだろうか。

それを私たちは訊くことなく、カミヤマミヤトは姿を消した。

教室に、沈黙のなかムラカミサエコのすすり泣く声だけが響いていた。

⏰:08/08/21 12:46 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#309 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]



「アンドウさん、ちょっといいかな?」

先ほどの騒ぎがおさまりササキアキコらとり巻きが教室から出ていったころ、カミヤマミヤトが私に声をかけた。

読んでいた小説から目をはなして焦らすようにゆっくりと彼を見上げる。

⏰:08/08/23 14:27 📱:L704i 🆔:enqIgMv2


#310 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

できるだけ平然を装った。

「なにかしら?」

私はなぜか至極緊張していた。

小説を持つ手には冷や汗がにじみ、声は小さく震えた。

もはや私の耳にはクラスメイトのざわめきは消え去り、カミヤマミヤトの小さな笑い声だけが聞こえていた。

⏰:08/08/23 14:28 📱:L704i 🆔:enqIgMv2


#311 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

カミヤマミヤトの目が妖しく細められる。

「アサミとサエコさんのことなんだけど……」

「…………」

私は息を飲んだ。

「アンドウさん、なにか知らないかい?」

⏰:08/08/23 14:29 📱:L704i 🆔:enqIgMv2


#312 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]

知らない。

そう答えれば、なにか恐ろしいことが起こるような気がした。

けれど、暇潰しのイベントにはどんな些細なことでも関わりたくはない。

⏰:08/08/29 21:01 📱:L704i 🆔:YrPmToZ.


#313 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]

あくまでも私は安全にイベントを監視して楽しめる観客席に居たいのである。

苦悩するのはステージで踊る役者だけでいい。

関わればイベントではなく、ただのモメゴトに変わる。

折角見つけた暇潰しを逃したくはない。

⏰:08/08/29 21:05 📱:L704i 🆔:YrPmToZ.


#314 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「……知らないわ。アサミさんとサエコさんのことだなんて、まったくなんのことだか分からないわね。どうしてそんなことを訊くの?」

これでいいのだ、と私は再び小説に目を向けた。

しばらくしてもカミヤマミヤトの反応がないので見てみる。

⏰:08/08/29 21:06 📱:L704i 🆔:YrPmToZ.


#315 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]

そこには叫び声をあげたくなるほどの、恐ろしい虚無に満ちた目をジッと向けた彼がいた。

私を見ている。

ただ、見ている。

彼はゆっくりと口を開いた。

⏰:08/08/30 06:53 📱:L704i 🆔:7BwVXeEI


#316 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「嘘だよ」

あきれたような眼差しで私を見ながら、カミヤマミヤトはつぶやくように言った。

「君はアサミがサエコに屋上に来るように告げた時、確かにその場にいた。黒板消しなんて下手な芝居をしながら。ササキアキコがサエコをなじった時に一緒に笑ってた、サエコが泣いた時も笑ってた」

⏰:08/08/30 06:55 📱:L704i 🆔:7BwVXeEI


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