木の下でかくれんぼ
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#301 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

スズキアサミは口の端をつり上げて笑う。

そして勢いよくムラカミサエコの机に手を置き、すごみながら低い声で言った。

「いい? 絶対にきてよね。来なかったら、それこそ許さないんだから。分かった?」

「うん……」

⏰:08/08/21 11:42 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#302 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

聞き逃しそうになるほどの小さな声で、ムラカミサエコは了解の返事をした。

うつむいていたために、表情は分からない。

けれどすすり泣く嗚咽だけは聞こえてきていた。

⏰:08/08/21 11:43 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#303 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

私は黒板消しを終えたフリをして、自席へと戻った。

スズキアサミが教室から出ていったところで、ササキアキコが口を開いた。

「サエコ、あんた本当にカミヤマくんと付き合ってたりするの?」

⏰:08/08/21 11:44 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#304 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

ムラカミサエコは静かに首を横にふった。

その際に絹のような黒髪がさらさらと揺れた。

ササキアキコはストーブの上に座り込み足ぐみをしてムラカミサエコを見下ろした。

⏰:08/08/21 11:45 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#305 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「つまんない。でもさ、あんたカミヤマくんを狙ってるのは確かだよね」

とり巻きの一人が分かるぅ、と相づちをうった。

「ヒトの彼氏盗ろうとするなんて最悪でしょ。マジ、反省してんのアンタ」

「…………」

「ねえ、なんでカミヤマくんに手出そうなんて思ったわけ?」

⏰:08/08/21 11:46 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#306 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

ササキアキコらに責め立てられて、ムラカミサエコは我慢ならない、というようにとうとう机につっぷした。

小さな肩が上下に揺れている。

ササキアキコは満足そうに微笑むと、教室から出ようとしたらしくストーブから飛び降りた。

⏰:08/08/21 11:47 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#307 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

その時だった。

彼女は凍ったように教室のドアに目を向けたまま動かなくなったのである。

何事かと遅れて私ととり巻きは同じところを見た。

私達も息が止まるほど驚いた。

そこには、大学ノートをいくつか抱えて愉快そうに笑うカミヤマミヤトが立っていた。

⏰:08/08/21 11:49 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#308 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「…………」

聞いていたのだろうか。

それを私たちは訊くことなく、カミヤマミヤトは姿を消した。

教室に、沈黙のなかムラカミサエコのすすり泣く声だけが響いていた。

⏰:08/08/21 12:46 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#309 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]



「アンドウさん、ちょっといいかな?」

先ほどの騒ぎがおさまりササキアキコらとり巻きが教室から出ていったころ、カミヤマミヤトが私に声をかけた。

読んでいた小説から目をはなして焦らすようにゆっくりと彼を見上げる。

⏰:08/08/23 14:27 📱:L704i 🆔:enqIgMv2


#310 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

できるだけ平然を装った。

「なにかしら?」

私はなぜか至極緊張していた。

小説を持つ手には冷や汗がにじみ、声は小さく震えた。

もはや私の耳にはクラスメイトのざわめきは消え去り、カミヤマミヤトの小さな笑い声だけが聞こえていた。

⏰:08/08/23 14:28 📱:L704i 🆔:enqIgMv2


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