*柴日記*
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#55 [向日葵]
柴はじっと私を見つめた。
私は笑顔で見つめ返す。

柴はまた軽くため息をつくと、いつの間にか寝てしまった苺を片手で抱いて、空いてる方の手を私の手に絡めた。

大きな柴の手は私の手をあっという間に包んでしまう。

「本当はもっと怒りたいけど……カッコイイって言ってくれたからいいや……」

そう言って柴は微笑む。

柴がそうやって微笑んでくれると私も嬉しい。
柴が私の近くで、過去に囚われず幸せを感じてくれてるのだと思うから……。

⏰:08/03/23 03:24 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#56 [向日葵]
フワフワした雰囲気で返っていると、後ろから私を呼ぶ声が。

「神田さん!」

振り向くと、自転車に乗った立川君が近づいてくる。

「立川君!どうして……」

「自転車の鍵、落としてたでしょう。だから届けに来ました。自転車ごと……」

そうなのだ。
実は帰る間際、自転車置き場に行こうと鞄のポケットに手を入れたけど、いつもある筈の鍵がなくて軽くパニックを起こしていた。

⏰:08/03/23 03:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#57 [向日葵]
どうしても見つからなかったから、諦めて徒歩で帰ろうと思ったのだ。
帰れない距離でもないし、少し遠いけどなんとかなると思って、自転車は置いてきたのだ。

「ありがとうー……!良かったよー鍵があってー」

すると立川君は手を繋いでいる柴に目線を動かした。

「こちらは……」

「ああ、うちで住んで……」

「越言わなくていいから行こう」

柴は乱暴に私の手を引く。

⏰:08/03/23 23:46 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#58 [向日葵]
「あ、ちょっと待って柴!」

柴の手を振り払って、立川君が乗って来てくれた私の自転車を受け取る。

籠に鞄を入れて、私はもう1度立川君にお礼を言った。

「本当にありがとう。部活頑張ってね。また明日」

「いえ……また明日」

立川君は私に微笑んでからまた柴をチラリと見て走って行ってしまった。

私もチラリと柴を見ると、せっかく治りかけていた柴の機嫌がまたもとに戻って悪くなっていた。

あちゃー……と内心頭を抱える。

自転車を押しながら、また帰りだす。

「さっきの奴……誰」

⏰:08/03/23 23:47 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#59 [向日葵]
「同じクラスの子だよ。学級委員一緒にやっててね」
「知らない奴に俺の事ペラペラ喋るのやめてよ。俺は今の家と…………越が知ってくれてたら、それでいい……」

「柴……」

それじゃ柴の世界が狭くなってしまわないだろうか……。
もっと色んな事を知ったり、色んな人に自分を受け入れてもらった方が、きっと柴の幸せに繋がると思うのに……。

でも、柴が自分でそう言うようになってからでいいのかもしれない。
柴にとって、今他人と触れ合うのは少し怖いかもしれないから……。

⏰:08/03/23 23:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#60 [向日葵]
「うん……ごめんね柴……」

柴は視線だけで私を見ると、少しうつむいた。
そしてクスリと笑う。

「なんか、今日越謝ってばっかりだね。」

それは柴のせいじゃん……。

「でも越に謝られるって……なんかグッとくるなー」
柴って……ドS……?

柴の新たなる人格(?)が分かったと思いながら、夕暮れ時の街を歩いて帰った。

家に帰ると、空と桜がもう帰っていた。

「お姉ちゃんお帰りー。遅かったね」

「あ、柴!早く昨日のゲームの続きやろうよ!」

空に引っ張られるので、柴は苺を私に渡して空と2階へ行ってしまった。

⏰:08/03/23 23:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#61 [向日葵]
桜はエプロンしているから、遅くなった私の代わりに晩御飯を作ってくれてたらしい。

私も着替えを済ませると、桜の手伝いをする為エプロンをつける。

「ごめんね遅くなって」

「いいよこれくらい。あたしもたまたま早かったから。今日はカレーとサラダだよ」

カレーに入れる野菜を炒めてる横で、私はサラダにするキュウリを刻む。

「でも今日なんで柴も一緒だったの?」

桜が聞いて来たので、柴が私をわざわざ迎えに来た経緯を話した。

⏰:08/03/23 23:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#62 [向日葵]
話し終えた時、桜はなんとも言えない顔をしていた。

「お姉ちゃん……やるね」

「え?キュウリの輪切り?そりゃ桜よりは慣れて」

「あー違う違う違う……。……てかお姉ちゃん、分からないの?」

「何が」

この時桜が「鈍感だとは思ってたけどここまで鈍感てはっ!」と心の中で衝撃を受けていたなんて私は知らない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「たっだいまぁぁ!」

⏰:08/03/23 23:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#63 [向日葵]
皆でカレーを食べてる時、陽気なお母さんの声がした。

こういう声の時は100%酔ってる……。
でもそこまで酔うって事は、何か嫌な事があったのかもしれない。

そうでなければ7時半と言う酔うには早い時間にここまでベロベロにはならないだろう。

私達が食事をしているリビングに、お母さんを抱き上げているお父さんが顔を出した。

「ごめんね皆。お母さんこのまま寝かしてくるから気にせず食べてて」

「ハーイ」

お父さん達が部屋に行ったと同時に柴が呟いた。

「祐子さんのキャラ濃すぎて一朗さんが薄く見える……」

⏰:08/03/23 23:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#64 [向日葵]
因みに祐子(ユウコ)とはお母さん、一朗(イチロウ)とはお父さんの事である。

元気で男っぽいお母さんとは違い、お父さんは優しくてもの静かな。

2人のなれそめを聞けば、やっぱりと言うか告白したのはお母さんかららしい。

「越姉、明日お粥作った方がいいかもよ。また母さん気分悪いとか言いそうだし。」

空の忠告に、素直に私は頷く。

「おかあさんだいじょうぶー?」

「大丈夫よ苺。母さん強いから」

苺が心配しているのを、桜がなだめる。
やっぱり小さい子って、雰囲気とかを敏感に感じとっちゃうのかなー……。

⏰:08/03/24 00:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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