*柴日記*
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#385 [向日葵]
「早代……っ!なんで……」
体を離しながら柴が言う。
この人が、早代さん……っ。
「探したのよ!あれからずっと……。どうして何も連絡をくれなかったの……っ!」
うつ向いて顔を覆う早代さん。
柴に負けないくらい綺麗なこげ茶色の長い髪の毛をさらりと垂れる。
「俺は勘当された身だよ。今更連絡なんてする訳ないじゃないか」
「ううん大和君。旦那様はまだ正式にはしてないって仰ってるの。旦那様も大和君を探してるわ……っ!だから帰りましょう……」
:08/06/25 00:24
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#386 [向日葵]
:08/06/25 00:26
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#387 [向日葵]
柴は私を見る。
私はどうしたらいいか分からないから柴を見つめ返すしかなかった。
そして柴はまた早代さんに視線を戻す。
「帰らないよ、早代……。俺はもう、あの家には帰らない。絶対……、帰りたくないんだ……」
早代さんは涙を流したまま柴を見つめる。
「私がいても……?私がいるから、変わらず貴方を愛するわ。……息子としてだけれど……だから」
「早代」
静かな、だけど強い口調で柴は早代さんを呼ぶ。
「無理だ。早代はまだ俺の事を息子として見てない。また父さんの怒りを買うだけだ……。帰ってくれ」
:08/06/25 00:30
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#388 [向日葵]
早代さんは一際涙を流すと、踵を返して走って行ってしまった。
そんな早代さんを見てから、柴を見る。
柴の表情は厳しくて、悲しそうだった。
柴……貴方もしかして、まだ早代さんが好きなの……?
今の柴は柴じゃない……。
伊勢屋 大和。
過去の柴だ。
そんな柴を、このまま家にいれる訳にはいかない。
そう思った。
「柴、追いかけなきゃ……」
:08/06/25 00:34
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#389 [向日葵]
柴は驚いたように私を見る。
「なんで?」
「早代さんが、気になるんでしょ?」
「そんな事……」
「嘘つかないで」
柴の言葉を遮る。
困ったように柴は眉を寄せた。
でもそんな表情ですら柴でないような気がしてならなかった。
そしてそう思えば思うほど、私の心は段々と不安になっていくのだった。
:08/06/25 00:37
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#390 [向日葵]
柴……貴方の好きなのは本当に私?
貴方は私を早代さんと重ねてはいない?
ああ、柴……、偉そうな事言ってごめんなさい。
何が“変化を怖れないで”よ……。
今、柴が違うように見えただけで、私はとても怖れている。
いつか柴の本当に好きな人が私ではないかと気づいてしまったら……。
「早く、行って!」
震えないように、毅然と柴を見つめて言う。
柴はやはり困っていた。
:08/06/25 00:43
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#391 [向日葵]
お願い行かないで……。
そのまま困って、私のそばにいて……。
お願い、柴……。
「……分かった。行ってくる」
そう言って柴は、早代さんが走って行った方へと行ってしまった。
ホラね……。
大切で、特別だと思った人は、やっぱり皆私から去っていく。
ううん違う。
行かせたんだ、私が……。
私の事はいいから、幸せになってと、自らその引き止めるべき手を離していたんだ……。
:08/06/25 00:46
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#392 [向日葵]
柴も……お母さん達も……。
「柴……」
私がつけてあげた名前……。
視界が突然滲む。
涙が次から次へと流れていった。
どうしてだろう。
もう見えないのに、柴が走って行った方向を見つめながら思った。
どうしてだろう……。
もうね、柴が、ここへは戻ってこないような気がするの……。
「バイバイ……」
この言葉しか、出てこないの……。
:08/06/25 00:49
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#393 [向日葵]
:08/06/25 00:50
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#394 [向日葵]
でもいいや……。
柴が幸せになるなら、笑って毎日が過ごせるようになったら……。
そこに私達はいないけれど……。
いいの。
柴。
柴は自分の幸せを祈って。
もう悲しまないように……。
「お姉ちゃん!」
後ろから声が聞こえてきた。
でも私は振り向く事が出来なかった。
「お姉ちゃんただいま!どうかした?向こう向いて」
:08/06/29 01:49
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