・・悪魔なキミ・・
最新 最初 全 
#501 [みい]
腕を掴まれていた痛さが消える。
不思議に思って恐る恐る顔を上げると、目の前に蓮が立っていた。
よく見ると、蓮がさっきまで私の腕を掴んでいたデブの腕をねじり上げている。
「すいません、こいつ俺の女なんすよ」
蓮の声はこういう時でさえ至って冷静だ。全く抑揚がない、いつもどおりの落ち着いた声。
:08/08/02 00:33
:SH905i
:T7ettLIc
#502 [みい]
「いっ…!何すんだおま…え…」
デブの目が、蓮を捕えた瞬間驚いたように大きく見開かれた。
「んだよ?」
蓮が不審そうに言うと、そのデブははっとしてからまたにやりと笑い、
「彼女いいじゃん、ちょっとだけ貸してよ」
なんて言ってくる。
:08/08/02 00:34
:SH905i
:T7ettLIc
#503 [みい]
「…いい加減にしろよ」
蓮は今度は、私も聞いたことのないくらい低い声で凄むと、掴んでいたデブの腕をぐっと引っ張る。
よろけた巨体の耳元に顔を近付ける蓮。どうやら何か言っているようだ。相手の顔が怯えたように歪む。
それから蓮は相手を突き放し、
「わかったなら失せろ、デブが」
:08/08/02 00:35
:SH905i
:T7ettLIc
#504 [みい]
と吐き捨て、私の腕を引っ張ってデブの横を通り過ぎていく。
すれ違いざまに相手の顔を見ると…さっきの表情を余韻に残しながらも、不気味ににやけていたような気がした。
「蓮っ!さっきの人、知り合い!?」
ずんずんと歩いていく蓮に必死についていきながら私は聞く。
「は?知らねえよあんなデブ」
:08/08/02 00:36
:SH905i
:T7ettLIc
#505 [みい]
あっちは蓮のこと、知っていそうな雰囲気だったけど…まあ気のせいか。
それにしても。
「も、もうちょっと言い方ってもんがあるでしょ…」
そりゃ私だって思ったし、心の中では散々デブ呼ばわりしたけど、まだ口には出してないもん!
「デブにデブって言って何が悪い。つーかお前さ、ぼーっとしてんなよ。あーゆうの面倒くせえ」
:08/08/02 00:37
:SH905i
:T7ettLIc
#506 [みい]
「ご、ごめんなさい…」
面倒くせえって…。彼女がナンパされてたのよ!?下手したらあのまま変なとこ連れてかれちゃうかもしれなかったのよ!?
もっとさ、もっと…「無事でよかった」とか、そうゆう優しい言葉とかないわけ?
…まあ、所詮悪魔だし。そんなの要求しても無理って話だよね…。
…こないだのおでこにキスは優しさを感じたけどさ…//
:08/08/02 00:38
:SH905i
:T7ettLIc
#507 [みい]
「何顔赤くしてんだよ」
蓮がいかにも気味悪そうに私の顔を横目で見る。
「いっ、いやいや!//」
あの朝のことを思い出してたなんて言えない!//だって蓮はあの時私が寝てたと思ってるわけでしょ!?
私が起きてたって知ったら蓮、どうするんだろう…?焦るかな?焦る蓮…うわ、見てみたい〜!!
…まあ、これはとっておきの楽しみとして大事にとっておくか…♪
:08/08/02 00:39
:SH905i
:T7ettLIc
#508 [みい]
心の中でむふふと笑った後、私は気になっていた質問を蓮にぶつけた。
「さっきなんて言ったの?ほら、耳元で」
あの強気勘違いデブ(あ、私も言いすぎか?)を一瞬でだまらせる文句とは一体…?と。
「…『てめえの汚ねえど頭(ドタマ)かちわってそっから手え突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろかごらあ』」
「ひいっ!!」
淡々と言う蓮が逆に怖い…;
:08/08/02 00:40
:SH905i
:T7ettLIc
#509 [みい]
「そ、そんなのどこで…」
覚えたの?と言い終わる前に、蓮が答える。
「向こうの高校の連れの口癖」
…ははあ、すごい人とつるんでたんだなあ…;
「えっと、一応聞くけどその人って…」
「族とかじゃねえよ。最近念願の女と付き合えて浮かれてるただのあほだ」
:08/08/02 00:41
:SH905i
:T7ettLIc
#510 [みい]
「あ、意外とかわいらしいお方で…」
好きだった女の子と付き合えて浮かれる男の子の口癖があんなだなんて、あまり想像できないけど…;
「最近彼女といると理性吹っ飛んじまってやばいっつってたぜ?それでもかわいらしいか?」
にやりと笑う蓮。
…男ってやつはどいつもこいつも〜!//
:08/08/02 00:42
:SH905i
:T7ettLIc
#511 [みい]
「かわいくないっ!//」
蓮はそいつに言っといてやるよ、と笑いながら答える。
この時、私達はまだ気付いていなかった。
忍び寄る第2の悪魔の影に…。
「誰がデブだ…!にしても…へへっ、おもしろいもん見つけちまったな…」
:08/08/02 00:43
:SH905i
:T7ettLIc
#512 [みい]
………………………………
――*蓮Side*――
最近、とゆうか柚と映画を見に行ったあの日以来、誰かにつけられている気がしてならない。
登下校中、気配を感じる。何者かに盗み見されているような気分なのだ。
「まじかよ、おい、大丈夫なのか?」
そう漏らすと、珍しく矢野が真剣な顔をして聞いてくる。
:08/08/02 00:45
:SH905i
:T7ettLIc
#513 [みい]
「お前に心配されるほど柔じゃねえよ」
いつもどおり毒づくが、矢野は眉間に皺を寄せたまま。
「蓮は男だから大丈夫だろうけど、柚ちゃんは…」
「わかってる。できるだけ1人で行動させねえようにしとく」
そう、問題は柚だ。
どこのどいつだかも、目的が何なのかも知らないが、柚に何かあったらもちろんただじゃおかねえ。
:08/08/02 00:46
:SH905i
:T7ettLIc
#514 [みい]
「蓮…」
矢野の震える声が聞こえ顔を上げると、いつかのように勢いよく肩を掴まれる。
「なんだよ?」
「俺が柚ちゃん守りたかったあ〜!なんでお前なんだよ!さっきのかっこいい台詞、俺に譲れ!」
この期に及んでこの男は…。まじどうしようもねえ奴。
泣き叫ぶ矢野を尻目に、俺はまだ見ぬ敵に思いを馳せていた。
:08/08/02 00:47
:SH905i
:T7ettLIc
#515 [みい]
………………………………
「知らねえ奴来ても絶対玄関開けんなよ」
「うん」
「宅配便だったら俺んちに預かってもらうように言え」
「うん」
「変な電話かかってきたらすぐ切れ」
「はいはい」
「一人でふらふら出歩くな」
「はーい」
「…ちゃんと聞いてんのか」
:08/08/02 00:48
:SH905i
:T7ettLIc
#516 [みい]
「聞いてるってば!てゆうかもう暗記しちゃったし…。最近、蓮そればっか言うんだもん」
柚が不服そうに口を尖らせる。
俺はそんな柚の文句を無視し、さらに念を押した。
「外歩いてるとき、怪しい奴にはついてくなよ」
「幼稚園児じゃないんだからそれくらいわかってる!バイバイ!」
もう、と頬を小さく膨らませながら柚は家に入っていった。
:08/08/02 00:48
:SH905i
:T7ettLIc
#517 [みい]
…まあ、家にいれば何されることもないだろうし安心なんだけど。万が一何かあったらすぐ連絡するように言ってあるし。
RRR……
ポケットの携帯が震え、少しドキっとした自分が情けなくなる。
画面を見ると、『石川弘樹』の文字。
…ちょうどよかった。こないだこいつの口癖が役立ったことに礼でも言っておくか。
:08/08/02 00:49
:SH905i
:T7ettLIc
#518 [みい]
俺は通話ボタンを押した。
…………………………………
――*柚稀Side*――
私は夕刊を取りに階段を降りていく途中、最近の蓮について考えていた。
蓮ったら、最近何を思ってあんな口うるさく言ってくるんだろ。
「なんで?」って聞いても「なんでも」って言って取り合ってくれないし…。
:08/08/02 00:50
:SH905i
:T7ettLIc
#519 [みい]
「もーう、蓮ったら…」
私だって子供じゃないんだから、何を今更…とぶつぶつ言いながらポストに手を突っ込んでいると、
「俺がなんだって?」
…背後に悪魔さんの気配…;
恐る恐る振り向くと…やっぱりいました。腕組みして立っておられます。何度見てもなかなか迫力ある出で立ちでございます、はい。
:08/08/02 00:51
:SH905i
:T7ettLIc
#520 [みい]
「あ、いや、あの…」
どぎまぎと口ごもる私を見て、蓮は、
「まあ何でもいいや。ちょっと付き合え」
と言って私の腕を掴み歩き出す。
「ちょっ、こんな時間からどこ行くの!?」
時計塔の長針はとっくに夕方6時を回っているのだ。
:08/08/02 00:52
:SH905i
:T7ettLIc
#521 [みい]
「んー、ちょっとな」
そう答える蓮の横顔が、少しいつもと違うように見えたのはやはり見間違いではなかったと、私は後に悔やむことになるのだ…。
………………………………
「蓮?ここって…」
蓮に連れて来られたのは、近所の工事現場の倉庫。
蓮は無言で掴んでいた私の腕を放し、私の肩を思い切り押す。
:08/08/02 00:53
:SH905i
:T7ettLIc
#522 [みい]
「痛っ…!」
蓮に押された衝撃に、そのまま倒れ込み、足をくじいてしまった。
「れ、蓮…?どうしたの…?」
足の痛みのせいで立ち上がれない私を、冷たく見下ろす蓮。背筋がぞくっとする。
無表情なのはいつもと同じこと。でも、何かがいつもの蓮と違う。
何?一体何が起こったの…?
:08/08/02 00:54
:SH905i
:T7ettLIc
#523 [みい]
見上げると、冷たく無表情だった蓮の口元がふっと緩み、
「俺は蓮じゃねえよ、柚稀ちゃん」
という言葉と、鼻で笑う音が耳に響いた。
……レンジャ、ナイ…?
:08/08/02 00:57
:SH905i
:T7ettLIc
#524 [みい]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新
Stop
します

また弘樹出しちゃいまし
た、、
知らない方、すみ
ません
・・恋愛模様・・
を見てもらえるとわかり
ます(軽く宣伝←)


感想等よかったらもらえ
ると嬉しいかぎりです
お待ちしております

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
:08/08/02 01:01
:SH905i
:T7ettLIc
#525 [みい]
何…どうゆうこと…?
だって、顔が…顔が、蓮にそっくり…。
いや、そっくりなんてもんじゃない。
「全く一緒」だ。
目の前の蓮が、「俺は蓮じゃない」って言っている。でも…どう見たって……。
:08/08/04 21:57
:SH905i
:obrxLMmQ
#526 [みい]
「俺は、蓮の双子の片割れ」
混乱した頭に、衝撃的な事実がエコーをかけて響く。
双子…?蓮、双子だった…の?
嘘よ、だって私は蓮が小2の時に引っ越してきた頃から知っている。
…それ以前のことは、知らないけど…。
「初耳だ、って顔してんな。やっぱ聞いてなかったんだ。…ま、そりゃそうか」
:08/08/04 21:59
:SH905i
:obrxLMmQ
#527 [みい]
彼はくくっと渇いた声で笑ったあとしゃがんで、驚きで声も発せない私に目線を合わせる。
「俺はなあ、親父に捨てられたんだよ」
頭を金づちか何かで強く打たれた気分だった。
親父って…蓮のお父さん?小さいとき、何回か会ったことがある。蓮とは違って優しそうで、ほんわかしてて…
そんなあのおじさんが、捨てた?この人を?
:08/08/04 22:01
:SH905i
:obrxLMmQ
#528 [みい]
「まだ俺が5歳のとき、あのくそじじい…蓮と2人で消えたんだ。そのあとの俺は、アル中の母さんとふたりきり」
自嘲気味に笑う彼を見て、私ははっと思わず息を飲む。
そんな…そんなことがあったなんて…。
「で、ここに双子のうち出来の悪い方、雨宮淕(アマミヤ リク)の誕生ーってわけ」
ふんっ、と鼻で笑うと、淕…は立ち上がって私を見下ろす。
:08/08/04 22:05
:SH905i
:obrxLMmQ
#529 [みい]
「…柚稀ちゃん。俺はね、許せないんだよ。俺を見捨ててのこのこ生きてる親父が。…染谷蓮が、ね」
憎しみがこもった言葉とは裏腹に、淕の声には抑揚がない。
「こっちに戻ってきてるって小耳に挟んでさ。この上ない復讐のチャンスだと思った」
にやりと口角を上げる淕に、胸がざわつく。蓮が…蓮の身が、危ないかもしれない。
足の痛みを我慢し、弾みをつけて立ち上がる。
:08/08/04 22:07
:SH905i
:obrxLMmQ
#530 [みい]
でも、またすぐに強く押され、倒れ込んでしまう。
「悪いけど、柚稀ちゃんにはちょーっとばかし手伝ってもらうよ」
淕はそう言い、
「おい、そろそろいいぞ、出てこい」
と誰にともなく招集をかけ始めた。
すると、ごちゃごちゃした物の影から一人、また一人と男が出てくる。
:08/08/04 22:11
:SH905i
:obrxLMmQ
#531 [みい]
その中には、1週間ほど前、私に話し掛けてきた巨体男の姿があった。
「久しぶりだね、お嬢ちゃん」
この人だ…この人が淕に、言ったんだ…。蓮に会ったことを。
「い、や!来ないで!」
どうにか立ち上がり、必死で逃げるものの、引きずる足が邪魔をして上手く走れない。
:08/08/04 23:12
:SH905i
:obrxLMmQ
#532 [みい]
ポケットから携帯が落ちる。でも、それを拾う余裕もない。
「なんで逃げるの〜?俺らと楽しいことしようよ、ね?」
ケラケラ笑いながら追い詰めてくる連中。私はもう、恐怖に頭がおかしくなりそうだった。
………………………………
――*蓮Side*――
あんなに注意したのにっ…!
:08/08/04 23:12
:SH905i
:obrxLMmQ
#533 [みい]
30分前、柚の母さんから電話があって俺は家を飛び出した。
夕刊取りに行ったついでにコンビニにでも行っただけだと思いたいが…
前回と同じように、柚が行きそうな場所を当たってみるが、あいつの姿はない。
道に突っ立って周りを見渡していたとき、携帯が鳴った。
:08/08/04 23:14
:SH905i
:obrxLMmQ
#534 [みい]
発信元を見ると、「早瀬柚稀」になっている。俺は直ぐさま通話ボタンを押した。
「柚かっ!?おい、今どこに…っ」
『残念!柚稀ちゃんではありませーん』
しかし俺の声に応えたのは柚ではなく、嘲笑を含んだ男の声。
「…誰だお前」
「…マジでわかんねーの?」
最初の声は高くてわからなかったが、二言目で気付いた。
:08/08/04 23:16
:SH905i
:obrxLMmQ
#535 [みい]
こいつ…俺と同じ声してやがる…!
思い当たるふしが出てきた。でもまさか、そんな…。なぜ今更?
「…柚稀をどこにやった」
とりあえず今は相手が誰かなんてどうでもいい。柚が第一だ。
『ああ…柚稀ちゃん?柚稀ちゃんならうちの奴らがかわいがってくれてるよ…』
:08/08/04 23:17
:SH905i
:obrxLMmQ
#536 [みい]
何だと…っ!?
耳に神経を集中させると、後ろに聞こえる騒がしい声。
「柚っ!?おい柚稀!」
『聞こえるわけねーじゃん』
ククッと笑う相手。俺は怒りに携帯を握りつぶしてしまいそうだった。
くそっ…どこにいんだよ…!
:08/08/04 23:18
:SH905i
:obrxLMmQ
#537 [みい]
震える拳を握りしめ、精神を落ち着かせて耳をすます。
やけに響く声と、鉄骨が倒れるような音…
…!あそこかっ…!
『ま、あの女が大事なら、急いだほうがいいぜ。じゃーな』
甲高い笑い声と共に電話が切れると同時に、俺は一目散に駆け出した。
:08/08/04 23:18
:SH905i
:obrxLMmQ
#538 [みい]
どうかっ…、どうか、間に合ってくれ…!
柚…っ!
………………………………
――*柚稀Side*――
私は薄暗く、だだっ広い倉庫の中でひたすら逃げ回っていた。
「やめてよっ!来ないでったら…!」
:08/08/04 23:20
:SH905i
:obrxLMmQ
#539 [みい]
「お嬢ちゃーん、そろそろ鬼ごっこは終わりにしねえ〜?」
巨体率いる7、8人の集団が、壁で行き止まりになってしまった私ににじり寄ってきた。
「来ないでったら!」
息を切らしながらそこら辺に転がっているものを手当たり次第に投げ付けるが、そんなの何の効果もない。
淕が遠くの壁にもたれたまま、こっちを見て笑っているのが目に入った。
:08/08/04 23:21
:SH905i
:obrxLMmQ
#540 [みい]
…悪魔だ。あの人こそ、正真正銘の悪魔…。
そんなことを考えながら、最後の鉄屑を投げた時だった。
ガシャーン!!
派手な音と共に、倉庫の扉が開く。逆光で顔は見えないけど、あの人影は……
「柚稀はどこだ」
蓮だ…。蓮が、来てくれた…。
:08/08/04 23:36
:SH905i
:obrxLMmQ
#541 [みい]
蓮はつかつかと倉庫の中に足を踏み入れてゆく。
淕が蓮の前に立ちはだかった。
「久々だね、兄さん」
「…ああ」
双子の兄弟の…十数年ぶりの、再会。同じ顔でも全く異なる表情。淕はにやにやと笑い、かたや蓮は無表情。
感動も糞もない。私はよくわからないけど、何故かすごく悲しくなった。
:08/08/04 23:43
:SH905i
:obrxLMmQ
#542 [みい]
「…柚っ!!」
静まった空間に、途端に蓮の声が響いた。
どうやら、奥にいた私の存在に気付いたらしい。叫びすぎて声が掠れてしまった私は、口パクで大丈夫、と繰り返した。
「ってめえ…!」
逃げ回ったせいで散々乱れた私の着衣や、転んでできた擦り傷を見遣ると、蓮は淕の胸倉につかみ掛かる。
:08/08/04 23:44
:SH905i
:obrxLMmQ
#543 [みい]
淕がその弾みでよろけると、
「おい、うちの淕に何してくれてんだよ」
さっきまで私を追いかけ回していた連中が、そう言いながらいつのまにか蓮達の横に立っていた。
「つーか何!?マジ超そっくり〜!ウケんだけど!」
「淕〜、こいつが例のお兄様かよ〜?」
「兄弟でいがみ合うなんて、皮肉だねえ〜♪」
:08/08/04 23:45
:SH905i
:obrxLMmQ
#544 [みい]
「だろ!?俺もこないだ会った時さ、一瞬淕が制服コスプレしてんのかと思ったし!」
様々な冷やかしの声が上がる中、淕が、
「…黙れ」
と一言命令すると、一気にその場が静まり返った。
「兄さん、元気だった?」
胸倉を掴まれたまま、淕が口を開く。
:08/08/04 23:48
:SH905i
:obrxLMmQ
#545 [みい]
「……」
蓮は答えず、淕を睨みつけるだけだ。
「…俺は元気だったよ、お蔭さまでね」
淕は皮肉混じりにそう言うと、力が緩んだ蓮の腕を振り払う。
「小学校では母子家庭で、しかもその母親がアル中ってことでいじめられて、中学入った頃から荒れ始めて…」
:08/08/04 23:49
:SH905i
:obrxLMmQ
#546 [みい]
「高校にも行かずにふらふらしてる俺に比べて、兄さんなんて今は高校生してるんだもんね。偉いねえ〜」
わざとらしく溜息をつき、蓮を見る淕。
「…何が目的だ」
蓮は淕のことは見ず、私のほうを見ながら淕に問う。
淕も同じ様にこちらをちらっと見遣ったあと、
「…まあ、とりあえず…」
:08/08/04 23:50
:SH905i
:obrxLMmQ
#547 [みい]
口元に笑みを浮かべ、顎に手をやったまま考え込む淕。
次の瞬間、淕はまるで名案とでも言うように、手を叩きながら「目的」を蓮に告げた。
「土下座してよ、ここで」
蓮の眉がぴくりと動くのが、遠くからでもわかった。
「聞いてんの?どーげーざ!」
:08/08/04 23:51
:SH905i
:obrxLMmQ
#548 [みい]
淕は楽しそうにケラケラと笑う。他の連中も笑っている。
蓮が私に再び目を向ける。私は、何度も強く首を横に振った。
そんなこと、する必要なんかない…!私なら自力で逃げれるから、気にしないで…!
「早くしないと、柚稀ちゃんがどうなるかわかんないよ?」
淕の言葉を合図に、巨体男がこちらへ近付いてきた。
:08/08/04 23:53
:SH905i
:obrxLMmQ
#549 [みい]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新
Stop
します

あまり面白くない展開か
もしれませんが
感想
もらえるととても嬉しい
ので、どうかよろしくお
願いいたします、、


>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
:08/08/04 23:56
:SH905i
:obrxLMmQ
#550 [´゚ω゚`]
:08/08/05 00:29
:SO702i
:IDGAKT62
#551 [我輩は匿名である]
:08/08/05 01:10
:SH903i
:uAwVNVbE
#552 [くぴ]
あげ

:08/08/06 17:08
:P705i
:N7qaU0MY
#553 [ayaka]
あげちゃうぜw
:08/08/06 17:33
:PC
:nWS/TAzU
#554 [そら
]
:08/08/06 21:42
:P903i
:☆☆☆
#555 [我輩は匿名である]
:08/08/07 20:31
:W51P
:.3Sb9.RY
#556 [夜蝶]
あげる
:08/08/07 23:40
:911T
:uIqAaxmo
#557 [みい]
>>548
私は、あんたなんか恐くもなんともないんだからっ!という目でデブのことを睨みつける。
デブが冷やかすように「お〜怖っ!」と笑いながら私に歩み寄ってきていた時…
「わかった」
突然蓮の声が響いた。
「へ……?」
:08/08/08 11:58
:SH905i
:V2IHnmoY
#558 [みい]
さっきまで出なかった声が、掠れて自分の喉元を通り自分の口から零れたのがわかった。
なに…?蓮、何が「わかった」の?何に同意したの…?
「だから、そいつには近付くな」
そう言い、デブに睨みをきかす蓮。デブは鼻で笑ったあと、再び蓮のいる方へ歩き出した。
「…柚、目え閉じろ」
:08/08/08 12:00
:SH905i
:V2IHnmoY
#559 [みい]
蓮が私を見ないまま命令する。
何?私が目を閉じたら、あなたは何をするの?…淕に、土下座…する、の?
そんなの嫌だ。蓮がそんなことしなくたっていいじゃない。どうしてそんなことする必要があるの?
蓮は視界の隅に映った、いやいや、と首を横に振る私に気付き、
「早く閉じろっつってんだよ!」
と声を荒らげる。
:08/08/08 12:01
:SH905i
:V2IHnmoY
#560 [みい]
私はその声にびっくりして、思わず目をぎゅっとつぶった。
しーんとした真っ暗闇の中、
「悪かった」
と蓮の声が響く。
ああ…。今、あのプライドの高い悪魔が、屈辱に耐えながらも実の弟に…ひざまづいているんだ…。
:08/08/08 12:02
:SH905i
:V2IHnmoY
#561 [みい]
蓮のそんな姿なんか見たくない。想像だってしたくない。
私は閉じた瞳にさらに力を入れ、唇を噛み締めた。
「…いー眺め」
馬鹿にしたような口調…。同じ声だけど、これは淕のものだろう。
コツコツと、足音が近付いてくる。その音は、私の前で止んだ。
「ねえ柚稀ちゃん。見なよ、あいつの無様な姿」
:08/08/08 12:03
:SH905i
:V2IHnmoY
#562 [みい]
…淕だ。
私は強く頭を横に振った。だって蓮はそんな姿、私に見せたくないに決まってる。だから命令したのだ。
すると、舌打ちが聞こえ、
「見ろっつってんだろーがよ!ぁあ!?」」
と脅すような口調で肩をがしっと掴まれ、そのまま強く揺さ振られる。
「そいつには触んな!」
:08/08/08 12:06
:SH905i
:V2IHnmoY
#563 [みい]
蓮の怒鳴り声に、薄く目を開けると、既に立ち上がっている蓮が向こうに見えた。
「…兄さん、ちょっとそいつらと遊んでてよ」
淕が言い終わらないうちに、デブを始めとする連中が後ろから蓮に飛び掛かったのがわかった。
「蓮っ!」
私は蓮の元へ駆け寄ろうとしたが、淕に押さえ込まれてしまう。
:08/08/08 12:07
:SH905i
:V2IHnmoY
#564 [みい]
「…っ何すんのよ!放してっ!」
もがいてもあがいても、男の力になんか到底敵いっこない。
「柚稀ちゃんはその間俺と遊んでよーよ。どうせ同じ顔じゃん」
「あんたなんかっ…あんたなんか、蓮の足元にも及ばない!このカス!クズ!」
思い切り睨みながらそう吐き捨てると、淕は目を丸くし、そのあと笑い出した。
:08/08/08 12:08
:SH905i
:V2IHnmoY
#565 [みい]
「兄さんってこんな女が趣味なんだ…。俺、こんな気の強い女はパスだわ」
こっちだってあんたみたいな最低男なんか願い下げだ。
でも…と淕は私の顎に手をかけ、
「染谷蓮のものは、全て奪う」
と私の耳に口づける。
私は、あまりの気持ち悪さに全身が震え、吐き気まで催した。
:08/08/08 12:09
:SH905i
:V2IHnmoY
#566 [みい]
「兄さんとはどこまでいったの?もうヤっちゃった?」
「そんなのっ…あんたに関係ないっ!」
吐きそうなのを我慢してどうにか答えると淕は、
「ふーん…その様子だと…まだ、だね」
とニヤついた。
図星で、不覚にも顔が熱くなる。
:08/08/08 12:10
:SH905i
:V2IHnmoY
#567 [みい]
「じゃあ兄さんには悪いけど…俺がお先に柚稀ちゃんをいただこうかな」
淕は私に顔を近付けてきた。
嫌だ…嫌だよ。蓮とじゃなきゃ。蓮以外の人となんか…。
「…イタダキマス」
面白がるような淕の声が間近で聞こえ、私は強く目を閉じる。
その時だった。
:08/08/08 18:28
:SH905i
:V2IHnmoY
#568 [みい]
バキイッ!
物凄い音が聞こえ、私を押さえ付ける力が急になくなったのだ。
驚いて目を開けると、淕の姿もない。
そして、淕の代わりに私の視界に入ってきたのは…
「無事かっ…?」
紛れも無い、蓮だった…。
:08/08/08 18:29
:SH905i
:V2IHnmoY
#569 [みい]
「れ、蓮…っ」
あまりの安堵感に、我慢しきれず涙をこぼす私を、蓮は優しく抱きしめてくれた。
「今のうちに、お前は早く逃げろ」
よく見ると、蓮は傷だらけだ。あれだけの人数を相手にしたのだ、まだマシなほうだろう。
「なんで?蓮も一緒に…」
:08/08/08 18:30
:SH905i
:V2IHnmoY
#570 [みい]
行こうよ、と言いかけた私を、蓮の言葉が遮った。
「俺は…まだ、こいつに伝えなきゃなんねえことがあるから」
そう言い、うずくまる淕を見る蓮。
「そんなのいいよ!こんな人に何言ったって無理だもん!」
こんな人、相手にするだけ時間の無駄だよっ…。
:08/08/08 18:32
:SH905i
:V2IHnmoY
#571 [みい]
私の必死の説得にも、蓮は首を縦に振ろうとしない。
「何をっ…」
何をそんなに伝えたいの?そう言いかけた時だった。
「よくも…やってくれたね、兄さん」
淕が立ち上がり、他の連中もボロボロになりながらも、いつの間にか私達を囲むように立っていたのだ。
:08/08/08 18:33
:SH905i
:V2IHnmoY
#572 [みい]
「柚っ!逃げろ!」
蓮の言葉に急いで逃げようとしたが、間に合わなかった。
「おーっと、逃がさないよ。まだまだお楽しみはこれからだからね」
淕に捕まえられてしまったのだ。
「兄さん。柚稀ちゃんを無事に家に帰したいならさ…」
淕がそこまで言うと、二人の男が蓮を取り押さえた。
:08/08/08 18:34
:SH905i
:V2IHnmoY
#573 [みい]
蓮はそのまま淕を見据えている。
「…抵抗しちゃダメだよ。一切…ね」
淕が言い切った瞬間、デブが蓮のお腹にパンチを食らわせた。
顔を歪めた蓮の口の端から、血が流れる。
「蓮っ!!」
「ショーはこれからだよ、柚稀ちゃん」
何人もの男が、一斉に蓮に飛び付いた。
:08/08/08 18:36
:SH905i
:V2IHnmoY
#574 [みい]
いや…蓮が、蓮が…。
時折見える蓮の姿は、もう血まみれだった。
「かっこいいね〜。そんなに柚稀ちゃんのこと、大切なんだ」
無関心そうに言う淕に、私は必死に訴えた。
「お願い、もうやめて…!このままだとっ…蓮、死んじゃう…!」
口に出すのすら恐ろしい。蓮が死んでしまう、なんて…。
:08/08/08 19:00
:SH905i
:V2IHnmoY
#575 [みい]
しかし、私の懇願への返事はあまりに残酷なものだった。
「死ぬ…?ああ、それもいいかもしれないね。どうせなら殺しちゃおっか」
楽しそうに笑う淕。
…この人、狂ってる…。
あまりに非情な言葉に、目眩がした瞬間だった。
凄まじい音と共に、何台ものバイクが入ってくる。
:08/08/08 19:01
:SH905i
:V2IHnmoY
#576 [みい]
<Font Size="-1">
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新

Stop

します

よかったら感想等もら
えると本当励みになる
ので、是非感想板のほ
うへお願いします

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
/Font>
:08/08/08 19:03
:SH905i
:V2IHnmoY
#577 [†未来†]
とっても続きが気になります

無理をなさらず頑張って下さい


:08/08/08 21:44
:SH904i
:B0dN6uZM
#578 [我輩は匿名である]
:08/08/08 21:50
:W53T
:☆☆☆
#579 [みい]
沢山のバイクが私達の目の前で止まり、ぞろぞろと人が降りて近付いてくる。
「どこのどいつだおめえら。今から集会なんだよ、退け」
頭(カシラ)のような人が私達に向かって言い放つ。
淕は怪訝そうに舌打ちをした。
先程まで蓮を袋だたきにしていた連中は指示を待つように淕の顔色を窺っている。
:08/08/10 00:44
:SH905i
:stLV/.GY
#580 [みい]
「…なんだ、フクロか。狡い手使いやがって。おい、大丈夫か兄ちゃんよ」
頭が蓮を仰向けにした瞬間、
「いやあっ!」
「…!」
私は蓮のあまりにひどい姿に思わず悲鳴を上げた。
その時、なぜか頭も同じ様に息を飲んだのがわかった。
「矢野さん、どーしたんすか?」
:08/08/10 00:45
:SH905i
:stLV/.GY
#581 [みい]
…矢野?矢野って、まさか…。
「…俺のダチだ。おい、早くこいつ病院に連れてけ」
手下らしき人ははいっ!と返事をすると、もう力のない蓮をバイクの後部座席に座らせ、走っていった。
「…おい。てめえらをしきってんのはどいつだ」
「…俺だけど?」
頭の質問に淕が私を放し、声を上げる。
:08/08/10 00:46
:SH905i
:stLV/.GY
#582 [みい]
頭に近付いていく淕。
私は、目を凝らして頭の姿を見た。
いつもはゴムで縛ってある前髪が、今は下ろしてある。
教室での人懐こそうな笑顔なんて全く感じさせない、険しい表情。
そして、私のよく知る調子のよさそうな声の代わりに、低く相手を威嚇するような声色。
全てが普段と真逆だけど…あなたはもしかして…矢野君?
:08/08/10 00:48
:SH905i
:stLV/.GY
#583 [みい]
「…は?お前…」
淕の姿を目の当たりにした頭は、眉を寄せる。
「あんたのお友達の片割れだけど?」
淕は少し戸惑った様子の頭を見て、楽しそうに笑った。
「ふーん…そっか、そりゃ初耳だな」
頭がそう言い、辺りを見回した瞬間、私と目が合う。
:08/08/10 00:49
:SH905i
:stLV/.GY
#584 [みい]
「柚ちゃんっ!?」
私の姿を見て、声を上げる頭。
ああ、やっぱしあの矢野君だったんだ。あの、うちのクラスのお調子者の矢野君…。
「なんで、こんなところに…?」
「こっちの台詞だから!銀次、柚ちゃんも病院に…!早く!」
銀次と呼ばれた男の人が、淕から力ずくで私を取り上げた。
「大丈夫すか?」
:08/08/10 00:50
:SH905i
:stLV/.GY
#585 [みい]
銀次さんの問い掛けに、私は小さく首を縦に振った。
「すぐ着くんで、しっかり捕まってて下さい」
銀次さんは私を蓮のときと同じように後部座席に座らせる。
「矢野君…」
私が矢野君のほうを振り向くと、
「後は任せて。柚ちゃんは蓮の傍にいてあげな。ね?」
:08/08/10 00:50
:SH905i
:stLV/.GY
#586 [みい]
矢野君はそう言ってウインクをした。
「…うん…!」
私が返事をすると同時に、バイクが走り出す。
蓮…、蓮…!
どうか、どうか無事でいて…
あなたに何かあったら、私は…
私は……
:08/08/10 00:51
:SH905i
:stLV/.GY
#587 [みい]
…………………………
「…大丈夫っすよ」
「……」
私と銀次さんが病院に着いた時、蓮は既に手術室の中だった。
病院特有の暗い廊下に備わった、長いベンチに二人で腰掛ける。
「こんなに自分のこと思ってくれてる人がいるんすもん、そう簡単には逝けるはずないっす」
銀次さんは私に気を遣ってくれているのか、ひたすら私を励まそうとしてくれている。
:08/08/10 00:52
:SH905i
:stLV/.GY
#588 [みい]
「私がとろいから…逃げられなくてっ…、それで蓮が…っ」
そう。元はといえば私が逃げ損ねたせいで、蓮は無抵抗を余儀なくされ、殴り続けられたのだ。
「私のっ、私のせいでっ…」
「自分を責めちゃ駄目っす。蓮さんだってそんなこと思ってないすよ」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を両手で覆うと、背中に温かい手の平の感触が生まれた。
:08/08/10 00:53
:SH905i
:stLV/.GY
#589 [みい]
それはきっと、金色の髪の毛を立たせ、頬に古傷をこさえた銀次さんのものだろう。
「柚さん、疲れてるんすよ。自分起きてるんで、柚さんは寝てて下さい」
何かあったらすぐ起こしますから、と背中を摩られる。
蓮の大事な時だ、寝るものか、と意地になって目に力を入れたが、夕方からの出来事で思った以上に体力を消耗していた私は、いつの間にか眠りに落ちてしまった。
:08/08/10 00:55
:SH905i
:stLV/.GY
#590 [みい]
……………………………
「…ずさん、ゆずさん」
…誰…?誰かに呼ばれている。私を呼んでいるのは…誰?
「柚さん」
うっすらと目を開けると、見慣れない金色の頭が映る。
「…ぎ、んじさん…?」
ああ、そうだ。昨日、私…。
:08/08/10 00:55
:SH905i
:stLV/.GY
#591 [みい]
そこまで思い出した途端、はっと頭が冴え渡る。
「蓮!蓮はっ…!?」
「手術自体は夜中に終わったんす。で、さっき麻酔が覚めて…」
縋り付く私に、銀次さんは落ち着いた口調で説明してくれた。
「蓮さん、無事っすよ」
その一言を聞いた瞬間、足の力が一気に抜け、その場にへたりこんでしまう。
:08/08/10 00:57
:SH905i
:stLV/.GY
#592 [みい]
蓮…無事だった…。
そう心の中で繰り返すだけで、自然と涙がこぼれる。
「柚さん、早く病室行ってあげましょう?」
にこっと笑う銀次さんに涙を拭いて頷くと、私達は蓮の病室へ向かった。
………………………………
「柚稀ちゃん!?」
:08/08/10 00:58
:SH905i
:stLV/.GY
#593 [みい]
病室までの廊下を急いでいると、向こうから歩いてきた夫婦に声を掛けられる。
「おばさん…、おじ、さん……」
それは蓮の両親だった。
「柚稀ちゃん…恐かったわね、もう大丈夫よ」
おばさんが涙ぐみながら私の頭を撫でる。
「私の…私のせいで、すみません…っ」
:08/08/10 00:59
:SH905i
:stLV/.GY
#594 [みい]
「いやだ、柚稀ちゃんのせいなんかじゃないわよ!」
「近頃は変な連中が多いからな」
おばさんに続いておじさんが発した言葉に、私は胸が痛んだ。
おじさん…、あなたの、息子なんだよ…?蓮を襲ったのは…。
「もうぴんぴんしちゃって、すっかり元気なのよ」
顔出しに行ってあげて、とおばさんに促され、私達は再び足を動かす速度を速めた。
:08/08/10 01:00
:SH905i
:stLV/.GY
#595 [みい]
………………………………
「…ここっす」
601号室。看護婦さんの字で「染谷蓮」と書かれたプレートがはめられている。
「じゃあ俺はここで」
「ま、待って…」
踵を返した銀次さんを呼び止めた。なんだか、二人では会いづらい…。
「俺、邪魔じゃないすかね?」
:08/08/10 01:01
:SH905i
:stLV/.GY
#596 [みい]
困ったように聞く彼に、私は少し罪悪感を覚えた。
「邪魔なんかじゃ…。面倒臭いこと頼んでごめんなさい」
私が謝ると、銀次さんは焦ったようにいやいや、と首を振る。
「…じゃ、入りますよ?」
ドアに手をかける銀次さんの後ろに隠れるようにして、病室に入った。
:08/08/10 01:02
:SH905i
:stLV/.GY
#597 [みい]
「失礼します」
「…誰?」
個室のベッドの上に…蓮がいる。外を見つめているようで、私達のほうを見ないままだ。
「……れ、ん?」
上擦る声を振り絞って呼びかけると、蓮はゆっくりとこちらを向いた。
「…よお、ばかゆず」
そう言ってニヤつく蓮の姿が、涙でよく見えない。
:08/08/10 01:03
:SH905i
:stLV/.GY
#598 [みい]
「ふえっ…蓮…?ほんとに蓮…?」「俺以外に誰だっつんだよ」
意地悪な笑顔も、憎まれ口も、ほんのちょっとだけ優しい目も…蓮だ。蓮が、ここにいる。
「…っ、蓮〜っ!」
私は全力で蓮のベッドまで駆け寄ると、思い切り蓮に抱き着いた。
「大声出すな、傷口に響く」
キツイ文句とは裏腹に、蓮は私の頭を優しく撫でてくれる。
:08/08/10 01:04
:SH905i
:stLV/.GY
#599 [みい]
蓮が、生きてる。生きて、こうして私を抱き留めてくれている。
それを実感するだけで次から次へと涙は溢れ、私の頬を濡らした。
「ところで、そいつ誰?」
蓮にそう聞かれるまで、失礼なことに私はすっかり銀次さんの存在を忘れていた。
銀次さんの前で蓮に抱き着いたことがとても恥ずかしく感じられ、私は咄嗟に蓮から離れる。
:08/08/10 01:04
:SH905i
:stLV/.GY
#600 [みい]
「銀次さん。私をここまで連れてきてくれて、ずっと一緒にいてくれたの」
銀次さんには感謝の一言に尽きる。彼がいなかったら、きっと私は取り乱して、収拾がつかない状態になっていただろう。
私に紹介されぺこりと頭を下げた銀次さんを、蓮は興味なさそうにふーん、と見遣り、
「こいつが世話になったな。…悪いけど出てけ」
:08/08/10 01:06
:SH905i
:stLV/.GY
#601 [みい]
と感謝の言葉と同時にまさかの邪魔物扱い。
「蓮!なんてこと…」
「いやいやいいんすよ、柚さん」
蓮への非難の言葉を、苦笑した銀次さんが遮る。
じゃ、お大事にと笑顔で再び頭を下げ、銀次さんは病室を後にした。
「なんでそんなひどいこと言うの!?」
:08/08/10 01:07
:SH905i
:stLV/.GY
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194