・・万華鏡・・
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#277 [果樹]
総・・・?

「つかさ」

名前を呼ばれ顔を上げると、総が虚ろな目で私を見ていた。

「お前は家に帰れ」

「え・・・?」

総の口から信じられない言葉が発せられて、私は身体から力が抜けるのを感じた。

「家に帰って今までの生活に戻るんだ。それが普通だ」

⏰:08/06/09 22:17 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#278 [果樹]
総が何を言ってるのかわからない。

何を言ってるの総・・・?
なんで家に戻れなんて。

「そんな・・・。だって言ったじゃないですか」

だらんと身体の力が抜けた私を萩野の腕が支えている。

でもそんなことはどうでもいい。
私は振り絞るようにして精一杯の声を出す。

⏰:08/06/09 22:17 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#279 [果樹]
「総言ってくれたじゃないですかっ。私に自由をくれるって・・・!」

私の目からは、いつの間にか大粒の涙が流れて、頬をめいっぱい濡らしていた。

「総っ!!」

叫んでも叫んでも総に声は届かない。

総はまるで私の声を遮断するように顔を背けている。

⏰:08/06/09 22:18 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#280 [果樹]
「行きますよ」

萩野に押し込まれるように私は車に乗り込み、それを確認して車は発車した。

家に着くまでの時間、私の頬はずっと濡れていて、それが乾くことはなかった。




「つかさ・・・ごめんな」

⏰:08/06/09 22:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#281 [果樹]
一人その場に取り残された総一郎はもういないつかさの名前を呼び、涙が地面を濡らしていた。


――――――――・・・・


「お嬢様。ご夕食のお時間です」

「いらない。食べたくないの」

「しかし・・・」

「いらないったらいらない!」

⏰:08/06/09 22:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#282 [果樹]
ドアに向かって投げた枕がぼふっと音を立ててあたり、床にずり落ちる。

私はそれを見届けてからベッドにうつ伏せになるように飛び込む。
ギシっとベッドのスプリングがしなる。

「総のばかぁ・・・っ」

あんなに涙は流したはずなのにまだ出るのね。
頬を伝う涙が嫌なものにしか思えない。

⏰:08/06/09 22:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#283 [果樹]
ねぇ、総。
あの時あなたが言った言葉は嘘なの?
あの言葉は信じてもいいものなの・・・?

ねぇ、総・・・!


――――――――・・・・


「お嬢様、旦那様がお呼びです」

萩野の声がドアの外から聞こえる。

⏰:08/06/09 22:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#284 [果樹]
「お父様が?・・・今行きます」

私は支度をしてから、部屋を出て、お父様の部屋へ向かった。


コンコン

「つかさです」

「入りなさい」

相変わらず迫力たっぷりの声だ。
つい背筋がピッと伸びる。

⏰:08/06/10 04:59 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#285 [果樹]
「失礼します」

私は深呼吸をしてからドアノブを回し、一礼して部屋に入る。
お父様は、革張りの椅子に座って葉巻を吹かしている。
相変わらず怖い顔をして、私を見ている。

「つかさ。明日お前には婚約者を決めてもらう」

「婚約者?私はそのような話聞いていません!」

⏰:08/06/10 05:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#286 [果樹]
淡々と告げられた婚約者の言葉に驚愕する。

「既に決まったことだ。明日パーティを開く。50人程婚約者候補を用意してやるからその中から選びなさい」

「でもお父様・・・っ!」

「口答えはならん」

納得がいかないと反論をしようと思ったが、ピシャリと一喝されてしまった。

「・・・すみません」

⏰:08/06/10 05:03 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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