・・万華鏡・・
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#317 [果樹]
「総!?」
下を覗き込むと平気そうな顔で総手を広げて笑っていた。
「おいで、つかさ」
あの時と同じ台詞・・・。
行きたい!!
ギュッとテラスの柵を握り締めてテラスから飛び降りようとするが、後ろから低く地を這いずるような声に名前を呼ばれると身体がビクッと跳ねて身動きがとれなくなる。
:08/06/30 05:20
:P902iS
:☆☆☆
#318 [果樹]
「つかさ」
お父様の方を振り向くとお父様は一度だって見せたことのない柔和な優しい顔で笑っていた。
「行きなさい」
お父様の口から出た言葉は信じられないくらい優しく暖かいものだった。
私の目からは自然に涙が溢れ、気が付けば私はお父様に抱きついていた。
「ありがとうございます・・・。お父様」
:08/06/30 05:20
:P902iS
:☆☆☆
#319 [果樹]
わんわんと子供みたいに泣く私の頭を優しく撫でるお父様の手は暖かく“愛情”を感じた。
一頻り泣いた後、私はお父様から離れテラスの柵に手をかける。
「行って参ります!」
お父様に向かって笑顔で言ってから私はテラスから総の胸の中に飛込んだ。
――――――――・・・・
「よろしいんですか?旦那様」
:08/06/30 05:21
:P902iS
:☆☆☆
#320 [果樹]
萩野は数歩下がった所から自分の主人に声をかける。
「あぁ。いいんだ」
本当ならつかさの婚約者を選ぶ為に開かれたパーティだ。
しかしつかさはもう最愛の人を見つけて愛の逃避行をしてしまった。
メインがいなくなってはパーティは成立しない。
つかさの父が大恥じをかくのはわかっているはずなのに当の本人は柔和にそれは優しく笑っていた。
:08/06/30 05:22
:P902iS
:☆☆☆
#321 [果樹]
そんな主人をみて萩野もまた笑みを溢すのであった。
つかさのあんなに真剣な目を見たのは初めてだ。
それにあの笑顔・・・。
何年振りに見たことか。
それもあの男のお陰か。
ふっと笑いを溢して、つかさの父は萩野と共にパーティへと戻って行った。
――――――――・・・・
「つかさの父親ならぜってぇ許してくれると思ったんだ」
:08/06/30 05:22
:P902iS
:☆☆☆
#322 [果樹]
夜道を歩きながらネクタイを緩めた総がカラカラと笑う。
「どうしてですか?」
総が自信たっぷりに言うものだからつい目を見開いてしまう。
すると総は笑ったまま私の方をちらりと見てすぐ前を向く。
「つかさの父親と母親も駈け落ちしたからだよ」
「え?!」
:08/06/30 05:23
:P902iS
:☆☆☆
#323 [果樹]
総の口から出た信じられない言葉に私の足が止まる。
それに合わせるように総も足を止めて私の前に立つ。
「つかさの父親と母親は周りから見ても本当に幸せそうだったらしい。だから俺たちもきっと幸せになれる。いや、なるんだ!」
力強くそう言った総の言葉に私は涙を流しながら何度も頷く。
そんな私を抱き寄せて力強く総は私を抱き締める。
:08/06/30 05:24
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:☆☆☆
#324 [果樹]
総から伝わるぬくもりが暖かくて心地好くて私はまた涙を流した。
――――――――・・・・
ねぇ総?
籠の鳥は籠の中で生きている方が幸せだって誰かが言っていたけれどそれは間違いだったみたい。
なんで?
だって籠の外だって私はこんなに幸せに満ち溢れているもの。
:08/06/30 05:25
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:☆☆☆
#325 [果樹]
貴方のお陰で私は再び羽を伸ばす事ができたの。
自由はもう憧れでも夢でもなくなったのよ。
これって私にとっては凄い事だわ!
ありがとう総。
あ、でもね。
飛ぶだけじゃ疲れちゃうからたまには休ませて。
休む・・・?
:08/06/30 05:26
:P902iS
:☆☆☆
#326 [果樹]
うん!
貴方の胸の中が一番私が羽を休めて落ち着けるところだから。
大好きよ・・・。
【自由に憧れた鳥】
―END―
:08/06/30 05:26
:P902iS
:☆☆☆
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