・・万華鏡・・
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#101 [果樹]
そんなことをしている間に授業は終わっていた。
――――――――・・・・
私が冴木先輩を好きになったのは一年生の時。
まだ入学したての私は、校内で迷ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・
ここはどこなのよー!
:08/06/03 07:52
:P902iS
:☆☆☆
#102 [果樹]
理科室はどこ?
っていうかここはA棟なの?B棟なの?
もーどっちよー!?
どこに行ったらいいかもわからない私は廊下のど真ん中で立ち往生。
さっきから同じ場所を行ったり来たりしている。
うちの学校はA棟もB棟も同じ造りをしていて、渡り廊下で繋がっている。
:08/06/03 07:53
:P902iS
:☆☆☆
#103 [果樹]
A棟に一、二年生の教室があって、B棟に三年生の教室と特別教室があるらしいが、外見が同じすぎてわけがわからない。
途方に暮れた私は、とりあえずまた歩くことに。
一時間さ迷い続けたらどうしよう・・・。
そんなことを思いながら歩いているといきなり後ろから声が聞こえた。
「あれ?迷子がいる」
:08/06/03 07:54
:P902iS
:☆☆☆
#104 [果樹]
天の助けだ!と思いばっと後ろを振り向くと、そこにいたのは、緑のネクタイを締めた綺麗な男の人。
男の人に綺麗って言葉は変かもしれないけど、でも本当に綺麗で、纏っているオーラが違う。
私がみとれていると男の人はクスッと笑った。
「どうしたの?迷子じゃないの?」
「へ?あっはい!迷子です!」
:08/06/03 07:55
:P902iS
:☆☆☆
#105 [果樹]
私がシャキンと背筋を伸ばし直立で答えると、男の人はまたクスクスと笑い出す。
「そんなに大きな声でカミングアウトしなくても」
あ・・・。
私は何だか急に恥ずかしくなった。
「どこに行きたいの?」
目にうっすら涙を溜めて聞いてきた男の人に、「理科室です!」と言うと「ん、じゃあおいで」と手招きをされたので、私は素直についていった。
:08/06/03 07:57
:P902iS
:☆☆☆
#106 [果樹]
「着いたー!!」
教室の上には“理科室”の文字。
間違いなくここは理科室。
私が一人でばんざいをしていると、男の人がまたクスクス笑った。
「ん、良かったね」
笑った顔はあまりにも綺麗で、ついまたみとれてしまう。
:08/06/03 07:57
:P902iS
:☆☆☆
#107 [果樹]
「じゃあ俺はこれで。勉強頑張って」
そう言って男の人は、私に手をひらひらと振ってから歩き出した。
「あ、あのお名前は?」
私がその後ろ姿に声をかけると男の人は少し振り向いてにこっと笑うと、「冴木滉太。またね神田涼子ちゃん♪」と言って歩いて行ってしまった。
:08/06/03 07:59
:P902iS
:☆☆☆
#108 [果樹]
私は、その後ろ姿を見送ってから理科室に入り、先生に謝って席についた。
前では先生が何か実験の説明をしていたが、私はさっき会った冴木先輩のことで頭がいっぱいだった。
冴木滉太先輩・・・。
緑のネクタイって事は二年生かぁ。
かっこよかったなぁ。
:08/06/03 11:28
:P902iS
:☆☆☆
#109 [果樹]
あ!そういえば私お礼言ってない!
うわー非常識な奴って思われたかも。
しかもまたねって・・・。
あれ?そういえば何で私の名前知ってたんだろう・・・?
結局、私が冴木先輩のことで頭がいっぱいな内に授業は終わった。
:08/06/03 11:30
:P902iS
:☆☆☆
#110 [果樹]
後で、その話を友達の由香にしたら「ノートに名前書いてあるからそれ見たんじゃない?」と言われた。
よくよく見てみると私のノートには“神田涼子”とご丁寧にふりがなまで振ってあった。
・・・・・・・・・・・・・・
その時の事を思い出して私はついふっと笑ってしまう。
:08/06/03 11:30
:P902iS
:☆☆☆
#111 [果樹]
瞼を閉じればあの時の様子が、鮮明に思い出せるから不思議だ。
一年の片想いか・・・。
ううん、もうすぐ二年だ。
長い長い片想い。
私はもう一度目を閉じる。
今は昼休み。
:08/06/03 11:31
:P902iS
:☆☆☆
#112 [果樹]
天気がいいため、私はこの渡り廊下で昼食をとり、今は寝そべって太陽の光を浴びている。
カシャッ
ん・・・?
「タイトルは『眠れる森の女子高生』でどやろ?」
カメラを手に、にひっと笑うのは上條先輩。
私は上体を起こし、隣に立っている上條先輩を見上げる。
:08/06/03 20:02
:P902iS
:☆☆☆
#113 [果樹]
「上條先輩。ネーミングセンス悪すぎです」
「えぇ!?そないな言い方酷いわ涼ちゃーん」
私がはっきり言うと上條先輩は顔を歪ませてしゃがみこんでしまった。
この人のこういうところは可愛いなー。
「なんですか?昼休みまで」
:08/06/03 20:03
:P902iS
:☆☆☆
#114 [果樹]
私が顔を伺うように覗き込むと、上條先輩は顔を上げ、また笑った。
「教室から涼ちゃんが見えてんやんかー。せやから飛んで来た♪」
「――――っ!!」
いきなりの言葉に私は戸惑い、顔が赤くなって行くのがわかる。
上條先輩って一見軽そうだけど、面白いしかっこいいから何気に憧れている人は多い。
:08/06/03 20:04
:P902iS
:☆☆☆
#115 [果樹]
そんな人にいきなり笑顔で、あんな事を言われたら誰だって顔が赤くなる。
「あれ?涼ちゃん顔赤いで?熱でもあるんちゃう?」
「へ?あ・・・いや大丈夫です」
あなたのせいです・・・。
そしてお願いだからそれ以上近付かないでー!!
:08/06/03 20:05
:P902iS
:☆☆☆
#116 [果樹]
顔が赤くなる私をお構い無しに上條先輩は顔を近付けてくる。
「ほんまかいな?無理したらあかんで?」
「は・・・はい」
私はこれ以上顔が見られないようにうつ向いて返事をした。
「あ、ほんなら俺行くさかいに。またなっ」
そういって上條先輩はぱたぱたと走っていった。
:08/06/03 20:06
:P902iS
:☆☆☆
#117 [果樹]
一人になった渡り廊下に私は寝転び心臓のある左側の胸を上から触る。
「はー。心臓の音が止まないよ・・・」
――――――――・・・・
「失礼しまーす。上條先輩?」
私は今、写真部の部室に来ている。
なぜかって?
:08/06/03 20:07
:P902iS
:☆☆☆
#118 [果樹]
それは遡ること今日の朝。
いつものように冴木先輩のストーキングをしていたら上條先輩が来て、「涼ちゃんに見せたいもんあんねん。せやから放課後写真部にきてやぁ」とだけ言って、上條先輩は私の返事を聞かぬ内に行ってしまった。
そして冒頭に戻るわけで。
:08/06/03 20:07
:P902iS
:☆☆☆
#119 [果樹]
写真部のドアを開けて上條先輩を呼んでるが、上條先輩の姿はない。
「上條せんぱーい」
私は中に入り、もう一度上條先輩を呼ぶ。
すると部屋の奥のドアがガチャッと開き、上條先輩が顔を出した。
「あ、涼ちゃん!はよはよぉ。今出来たとこやねん」
「へ?あ・・・はぁ」
:08/06/03 20:10
:P902iS
:☆☆☆
#120 [果樹]
手招きをする上條先輩に誘われるように、私は今上條先輩が顔を出した部屋に入る。
中に入るとそこは赤い照明の為か、部屋全体が赤く色付いていた。
上條先輩はピンセットで写真らしきものを水に浸している。
「それで現像してるんですか?」
:08/06/03 20:11
:P902iS
:☆☆☆
#121 [果樹]
「せやでー。もっと簡単な方法もあんねんけど俺はこれが好きやねん」
そう言っている上條先輩の顔は楽しそうだった。
「あ、これな♪」
ぽんと掌に置かれたのはいくつかの写真。
でも部屋の照明のせいで、何が写っているのかはっきりわからない。
:08/06/03 20:11
:P902iS
:☆☆☆
#122 [果樹]
「ここじゃアレやから。あっちで見ようや」
そういって私たちは赤い部屋を出て、さっきの部室に戻った。
「うっわぁ・・・」
部室に戻って掌に置かれた数枚の写真を見て、私は思わず声を上げる。
「でやっ?」
:08/06/03 20:13
:P902iS
:☆☆☆
#123 [果樹]
隣では上條先輩が私の顔を覗き込んでいるが、私の目は写真に釘付けにされている。
「綺麗ー・・・」
写真には、青空が夕暮れの赤い空に変わる時の写真やピンク、紫、紺の色が同じ空の中に写し出されたものがあった。
どれも幻想的で思わず見惚れる。
「ほんま?」
:08/06/03 20:13
:P902iS
:☆☆☆
#124 [果樹]
「うんうん!すごい!」
私はついはしゃいでしまう。
「何や嬉しいなぁ。きばって撮った甲斐があったわ」
「え?!これって先輩が?」
先輩の方を見ると、先輩は少し照れたように頭をかいた。
「せやでー。まぁ素人の遊びに毛ぇ生えたようなもんやけど」
:08/06/03 20:14
:P902iS
:☆☆☆
#125 [果樹]
「でもすごい・・・」
私はまた写真に目を戻す。
見ていると、まるで吸い込まれるような写真に惹き付けられるような不思議な感覚になる。
「先輩って写真が本当に好きなんですね♪」
そう笑いかけると上條先輩は顔を反対方向に向けて「ん・・・まぁな」と何だか歯切れ悪く言った。
:08/06/03 20:15
:P902iS
:☆☆☆
#126 [果樹]
先輩の様子が気になったが、とりあえずその日は写真を貰って私は帰った。
――――――――・・・・
「おっはー涼ちゃん♪」
「おはようございます上條先輩」
渡り廊下の向こうから歩いてくるのは上條先輩。
上條先輩とは出会ってから何故か毎日顔を会わせている。
:08/06/03 20:17
:P902iS
:☆☆☆
#127 [果樹]
でも最近私はこの時間が、とても楽しい。
「毎日毎日ご苦労やなぁ」
「日課ですから♪」
そう!今日もやっぱり私は冴木先輩のストーキング中。
「日課・・・なぁ」
「上條先輩?」
「ん?なん?」
:08/06/03 20:17
:P902iS
:☆☆☆
#128 [果樹]
上條先輩の顔が少し曇った気がしたので、名前を呼ぶとすぐにいつもの笑顔になっていた。
私はそれを見て安心して、ほっと胸を撫で下ろした。
「今日も写真部行ってもいいですか?」
「ええでー」
「ありがとうございます!じゃあまた後で!」
:08/06/03 20:18
:P902iS
:☆☆☆
#129 [果樹]
私は笑顔で上條先輩に手を振って渡り廊下を後にした。
「負けへん・・・」
一人残った渡り廊下で、上條先輩が呟いた言葉は、私の耳には届かず、青い空に溶けた。
――――――――・・・・
「失礼しまーす」
:08/06/03 20:19
:P902iS
:☆☆☆
#130 [果樹]
「はーい。あれ?」
写真部のドアを開けると、緑のリボンをした女の人が小首を傾げてこちらを見てきた。
「あ、すみません私・・・」
「あなた涼ちゃんね!」
へ・・・?
自分で名前を言う前に女の人に言われてしまった。
:08/06/04 00:25
:P902iS
:☆☆☆
#131 [果樹]
「はい。そうですけど・・・」
私が眉間に皺を寄せながら言うと女の人は可愛い顔で笑った。
「やっぱりー♪実物見れて嬉しーい!私はリカ。あっ座って座って」
緑のリボン・・・。
上條先輩と同じ三年生。
勧められるままに椅子に座る私に背中を向けて、リカ先輩は何か作業をしている。
:08/06/04 00:28
:P902iS
:☆☆☆
#132 [果樹]
「今お茶入れるからねー」
あ、お茶かーってなごみそうになる自分を叱咤して、頭に疑問府を浮かべる。
なんで私の名前を知っているの?
しかも実物って何?
私の頭では理解できないことばかり。
「あのー・・・何で私の事知ってるんですか?」
:08/06/04 00:28
:P902iS
:☆☆☆
#133 [果樹]
「え?あ、それはねー・・・きゃっ!!」
お茶を入れたらしいコップを手に、振り向こうとしたリカさんは机につまづき、バサッと本が落ちるような音がした。
「あっ大丈夫ですか!?」
幸いにもお茶は溢れなかったが、床にはたくさんの写真が散らばった。
「うん・・・ごめんねぇ」
:08/06/04 00:29
:P902iS
:☆☆☆
#134 [果樹]
私はリカさんと一緒に写真を拾おうとしゃがむ。
そこで“ある事”に気付いてしまった。
「これ・・・」
私が手に撮った写真を見て、リカさんは苦い笑いを溢す。
「あ・・・。あーこれね、全部上條が撮ったものなの」
「上條先輩が・・・?」
:08/06/04 01:56
:P902iS
:☆☆☆
#135 [果樹]
私は写真から目を離さず聞く。
「あいつってさぁ好きなものをひたすら撮るクセがあって、涼ちゃんの写真も気付いたらこんなにいっぱい。すごいでしょ?」
リカさんはそう言ったが、これはすごいなんてものじゃない。
床に散らばるのは、数えきれないほどの私が写っている写真。
:08/06/04 01:58
:P902iS
:☆☆☆
#136 [果樹]
どれも朝、冴木先輩が登校してくるのを待っている横顔や後ろ姿のものばかり。
「ほーんと馬鹿なんだから」
ぼそっとリカさんがそんなことを言ったが、私の頭は今それどころじゃなかった。
なんで・・・?
だって上條先輩とはこの間会ったばかりなのに。
:08/06/04 01:58
:P902iS
:☆☆☆
#137 [果樹]
こんなたくさんの写真撮れるはずがない。
それにまだ今よりも顔が少し幼い私もいる。
いつから・・・?
上條先輩はいつから私を知っていたの?
頭の中にそんな疑問ばかりが浮かんでいた時、部室のドアがカチャと開いた。
「ちーぃす。お?涼ちゃん来てたんやぁ」
:08/06/04 01:59
:P902iS
:☆☆☆
#138 [果樹]
上條先輩っ!!
部室に入ってきたのは上條先輩だった。
「あ、あのっ私帰ります!すみません!!」
私はすくっと立って、鞄とブレザーを持つと上條先輩と一度も目を合わせないで先輩の前を通りすぎ、部室を出る。
「え?涼ちゃん?!」
:08/06/04 02:00
:P902iS
:☆☆☆
#139 [果樹]
後ろでは戸惑った感じで上條先輩の声が聞こえたが、それを振り切るように私は走った。
――――――――・・・・
あのまま走って家に帰ってきた私は、着替えもしないままベッドにうつ伏せに倒れこんだ。
「どうしよう・・・」
ベッドに伏せても考えるのは、上條先輩のことと写真のことばかり。
:08/06/04 02:01
:P902iS
:☆☆☆
#140 [果樹]
なんで?
どうして私の写真があんなにたくさんあったの?
ねぇ、あなたはいつから私を見ていたの?
何で私は今まで気付かなかったんだろう・・・?
「私はどうしたらいいの・・・?」
:08/06/04 02:02
:P902iS
:☆☆☆
#141 [果樹]
結局一睡も出来ぬまま、枕を抱き締めながら私は朝を迎えた。
――――――――・・・・
「あ、涼子おはよ」
クラスに入ると一番に由香が手を上げて挨拶をしてくれた。
「おはよー・・・」
眠れなかったせいで目がショボショボする。
:08/06/04 02:03
:P902iS
:☆☆☆
#142 [果樹]
私は由香に挨拶してから席につく。
「あれ?今日は渡り廊下行かないの?」
由香が私の近くに来て、机に手をつき顔を覗き込んできた。
「うん。ちょっとね・・・」
うつ向く私に由香は不思議そうだったが、それ以上は聞いてこなかったので、由香に感謝した。
:08/06/04 02:03
:P902iS
:☆☆☆
#143 [果樹]
私はその日、一日中ぼーっとして過ごした。
もちろん授業なんか頭に入るわけもなく、頭は上條先輩のことで支配されていた。
――――――――・・・・
放課後
・・・帰ろう。
私は早々に帰る支度をして、鞄を持つ。
:08/06/04 02:06
:P902iS
:☆☆☆
#144 [果樹]
はぁと一つ溜め息をついて席を離れようとしたところで、「涼ちゃんおったー!!」とクラス中に響いた声に肩をビクッと震わせる。
「上條先輩!!」
教室の前のドアの見ると上條先輩が立っていた。
私は、考える余裕もなく鞄を持ち教室を飛び出した。
――――――――・・・・
「なんで追ってくるんですか―?!」
:08/06/04 02:07
:P902iS
:☆☆☆
#145 [果樹]
「涼ちゃんが逃げるからやろ?!」
うう・・・そんなこと言われたって。
教室を飛び出してから約10分。
私は校内をぐるぐる駆け回っている。
後ろからは上條先輩がついてくる。
やば、疲れてきちゃった・・・。
:08/06/04 02:08
:P902iS
:☆☆☆
#146 [果樹]
さすがに全力で駆け回っただけあって私はもう体力の限界だった。
「あ・・・れ?」
ダダダダダッという上條先輩の足音がいつの間にか止んだことに気付き、私は足を止めて後ろを振り返るが上條先輩の姿はない。
諦め・・・た?
荒くなっていた息を整えながらそんことを考えると胸がチクンと痛んだ。
:08/06/04 02:08
:P902iS
:☆☆☆
#147 [果樹]
なんか・・・痛い。
「涼ちゃん」
「へ?」
胸の辺りを擦っていたら、いきなり後ろから名前を呼ばれ振り向く前に脇の間から手が延びてきて、後ろからガッチリと掴まれてしまった。
「つかまえた」
声の主は上條先輩。
:08/06/04 02:09
:P902iS
:☆☆☆
#148 [果樹]
「きゃあ!上條先輩離してくださいー!」
上條先輩は先回りしていたらしい。
ジタバタと暴れるが、上條先輩の腕はなかなか剥がれない。
「嫌や。話し聞いてくれるまで離したらへん」
密接しているためか、耳に直接声が流れ込んで、体が熱くなる。
「聞きます聞きますからー!!」
:08/06/04 02:10
:P902iS
:☆☆☆
#149 [果樹]
そういうと手はパッと離れた。
私はなるべく上條先輩から距離を取ろうと、少し後ろに下がる。
すると、上條先輩に手首をパシッと掴まれてしまった。
「逃げたい気持もわかんねんけどな。とりあえず話聞いてや・・・」
そういう上條先輩の声はどこか震えていて、金色の髪の間から見える目が悲しそうに私を見ていた。
:08/06/04 02:10
:P902iS
:☆☆☆
#150 [果樹]
私は胸が締め付けられているような気がして、こくりと小さく頷くことしかできなかった。
「ありがとう」
そういうと上條先輩はふわっと笑って、私を人気の少ないB棟の特別教室へと誘導した。
――――――――・・・・
教室に入り、私は椅子に、上條先輩は机に腰を下ろし、私達は向き合う形に座った。
:08/06/04 02:12
:P902iS
:☆☆☆
#151 [果樹]
そして開口一番に上條先輩は昨日のことを口にした。
「ごめんな写真のこと・・・。リカから全部聞いてん。きもいやんなぁ。あんなん見せられたら」
うつ向いているため、上條先輩の表情までは分からなかった。
でも声は、私の胸を締め付けるくらい切ないものだった。
:08/06/04 02:13
:P902iS
:☆☆☆
#152 [果樹]
「俺な、実は涼ちゃんのことずっと前から知っとってん」
顔を上げた上條先輩が軽く笑顔を作る。
「ずっと前から・・・?」
「せや。そやなぁ・・・もう一年くらい前やったかな?毎朝毎朝渡り廊下にいて、なんや幸せそーな顔して目ぇキラキラさせてる涼ちゃんが印象的やってん。せやからついシャッター押してもうた」
:08/06/04 02:13
:P902iS
:☆☆☆
#153 [果樹]
上條先輩はその時のことを思い出すように遠くを見つめて話す。
「俺な、自分が綺麗と思うたもんはカメラに納めな気が済まん質やねん。せやから涼ちゃんを見たとき迷わずシャッターを押してん」
上條先輩の目が私を捕える。
胸が早鐘を打つように高鳴っているのがわかる。
:08/06/04 02:14
:P902iS
:☆☆☆
#154 [果樹]
なんで?
なんでこんなにドキドキするの?
「それからやったかな?俺は毎朝渡り廊下に行ってん。そこには必ず涼ちゃんが居って、相変わらずキラキラした目ぇで滉太のこと見とった」
少し悲しそうに上條先輩が笑う。
:08/06/04 02:15
:P902iS
:☆☆☆
#155 [果樹]
「涼ちゃんは気付かんかったと思うけど俺、涼ちゃんに話かける前からずっと俺、渡り廊下で昼寝しててんで?」
白い歯を見せて笑う上條先輩はどこかやっぱり悲しみを纏っていた。
なんでこの人はこんな悲しそうに笑うの・・・?
「まぁ、涼ちゃんの目ぇはいつも滉太に向いててんから気付かんでもしゃーないんやけど・・・」
先輩はまたうつ向いてしまった。
:08/06/04 02:16
:P902iS
:☆☆☆
#156 [果樹]
「・・・正直羨ましかってん」
「え・・・?」
ぼそりと言った上條先輩の言葉の意味が分からず、私は聞き返す。
すると先輩は顔を上げ、ふっと笑って、ゆっくり口を開いた。
「あんなキラキラした目ぇで涼ちゃんに見られてた滉太が俺は羨ましかってん。いつのまにか、その目で俺を見て欲しゅうなった」
:08/06/04 02:16
:P902iS
:☆☆☆
#157 [果樹]
「せんぱ・・・」
語尾まで言葉が続かない。
体が震える。
「せやからあの日涼ちゃんに声かけてん。赤の他人で終りたなかったから」
先輩は相変わらず笑っている。
悲しそうに、辛そうに笑っている。
:08/06/04 02:17
:P902iS
:☆☆☆
#158 [果樹]
「毎日毎日涼ちゃん撮ってる間にいつのまにかあんなに溜ってしもてんなぁ」
上を軽く見上げて上條先輩は、ははっと自潮ぎみに笑いを溢した。
「ごめんな。嫌な思いさせて。写真は気味悪いやろから全部捨てる」
私に向かって真剣な顔で言う先輩。
先輩の手が私の方に延びてきたが、先輩は途中でその手をピタッと止めて、握り拳を作ると、だらんと下に垂らした。
:08/06/04 14:59
:P902iS
:☆☆☆
#159 [果樹]
先輩の顔を見るとなんだか眉間に皺を寄せて眉毛を垂らし、顔を歪めていた。
「せんぱ・・・」
「ほんまごめん!」
机から下りた先輩が私の言葉を遮って頭を下げて私に謝る。
「顔・・・あげてください」
私は、震える声でそれだけ言う。
:08/06/04 15:00
:P902iS
:☆☆☆
#160 [果樹]
「最後に一つだけ聞いてくれるか?」
顔を上げた先輩は私をじっとみて真剣な顔で言った。
私は首を縦に振るだけで精一杯だった。
でも先輩はそんな私をみて優しく、ふっと笑うと椅子に腰を下ろした。
:08/06/04 15:00
:P902iS
:☆☆☆
#161 [果樹]
「あんな、俺は涼ちゃんが好きやねん。ずっとずっと好きやった。もしかしたらあの日、シャッターを切った時から好きやってんかもなぁ」
真っ直ぐ私を見つめていう先輩。
私の頬を目から溢れた涙が伝う。
「せんぱ・・・っ」
言葉にならない。
私は今あなたになんて返せるの?
:08/06/04 15:01
:P902iS
:☆☆☆
#162 [果樹]
「あぁ泣かんといてや?ごめんな?いきなし言うてもうて。返事はいらんから」
優しい声で言ってくれる先輩に私はさらに涙が溢れた。
「ほんまごめんな?」
そう最後に言って先輩は教室から出て行った。
最後にまた私に手を伸ばしたが、結局先輩が私に触れることはなかった。
:08/06/04 15:02
:P902iS
:☆☆☆
#163 [果樹]
「ふっ・・・うぅ・・・」
先輩が出ていってしまった教室の中では私の声だけ響いている。
私はなんで泣いているの・・・?
なんでこんなに胸が苦しいの?
「痛・・・っ痛いよぅ・・・グスッ・・・先輩・・・っ」
:08/06/04 15:03
:P902iS
:☆☆☆
#164 [果樹]
それすらもわからないまま私は泣き続けた。
――――――――・・・・
あれからずいぶん時が経った。
私は日課のごとく行っていっていた渡り廊下にも行かなくなった。
上條先輩と会うのが怖いんじゃない。
:08/06/04 15:04
:P902iS
:☆☆☆
#165 [果樹]
ううん、違う。
あたしは怖がってる。
でもそれ以上に、渡り廊下に行かない理由がある。
それは・・・必要を感じなくなってしまったから。
今まで、私が渡り廊下に行っていたのは冴木先輩を見たいがためだった。
でも今は、別に見たいと思わない。
:08/06/04 15:05
:P902iS
:☆☆☆
#166 [果樹]
なんで・・・?
それ以上に考えなきゃいけないことがあるから?
いくら考えても結局その答えは出なかった。
あの日、告白された日。
上條先輩は返事はいらないといった。
でもそんなわけにはいかない。
ちゃんと答えを出さなくちゃ。
:08/06/04 15:07
:P902iS
:☆☆☆
#167 [果樹]
でも考えれば考えるほど、足から黒い沼に埋まっていってしまうように、考えがまとまらなくなる。
私が答えを出せないまま明日、三年生は卒業式を迎える。
「涼子?うんうん唸ってどうしたの?」
上から声が聞こえたので、顔を上げると由香が心配そうな顔で立っていた。
「あ・・・別に」
:08/06/04 15:08
:P902iS
:☆☆☆
#168 [果樹]
「じゃないんでしょ?」
私は心配をかけまいと、平静を装った。
でも由香は私の言葉を遮り、顔をズイッと近付けてきて私の額を指で小突いた。
「最近渡り廊下にも行ってないし。なんか悩んでるっぽいし。心配してんだよ?これでも。話してよ」
優しく笑う由香になんだか私は癒された。
:08/06/04 15:12
:P902iS
:☆☆☆
#169 [果樹]
そして少しずつ上條先輩のことや自分の気持ちを話した。
由香は私の前の席に座って、私が話し終わるまで黙って聞いてくれた。
「つまり涼子は上條先輩に返事をしなければいけないんだけど、考えがまとまらなくて返事ができないのよね?」
私は由香の言葉にこくりと頷く。
:08/06/05 00:45
:P902iS
:☆☆☆
#170 [果樹]
「でも、冴木先輩を見ても今は前みたいにときめかないと?」
また一回頷く。
「んで、なんでこんな気持ちになってるのかわからないってことよね?」
核心をつく由香の言葉に私は何回も頷いて、教えてほしいという目で由香を見る。
すると由香は、はぁーと少し長い溜め息をついて、私と向き合って真剣な顔で私を見る。
:08/06/05 00:46
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#171 [果樹]
「あのね涼子。心っていうのは頭にあるんじゃなくて、ここにあるのよ?」
“ここ”と言って由香が指したのは心臓がある左側の胸。
「頭にない自分の心をいくら頭で考えたってわからないの。素直に感じとった気持ち。それが自分の心なの」
優しい声色で言う由香。
:08/06/05 00:46
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#172 [果樹]
素直に感じとったのが自分の心・・・。
私は由香の言葉を心の中で復唱する。
「目を閉じて一番に浮かぶ顔は誰?笑顔をみたいと思うのは誰?」
浮かぶ顔・・・?
「涼子はどうして上條先輩に告白された時、泣いたの?」
どうして・・・?
:08/06/05 00:47
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#173 [果樹]
「心で感じて、一番強く想うのは誰?」
それだけ言うと由香はにっこり笑って席を離れた。
私は一人になった席で目を閉じる。
笑顔が見たいと思うのは・・・。
私があの時泣いたのは・・・。
一番強く想うのは・・・。
:08/06/05 00:48
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#174 [果樹]
心で感じる人は・・・。
―――――っ!!!
ねぇ・・・。
私分かったよ。
――――――――・・・・
卒業式当日
「由香!私行ってくる!」
:08/06/05 00:49
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#175 [果樹]
「うん!行っておいで」
卒業式が終わってから、私は急いで由香の元に向かいそう告げると、由香はにっこり笑って送り出してくれた。
ありがとう由香!
私は学校中を走り回った。
たった一人の・・・大切な人に会いたいから。
:08/06/05 00:49
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#176 [果樹]
教室、渡り廊下、屋上、中庭、体育館。
ありとあらゆるところを回ったのにあの人はいない。
帰っちゃったとか・・・?
校門の方では三年生が学校との別れを惜しむ姿が見える。
私の頭に不安がよぎるが、私は頭をぶんぶんと横に振ってその考えを頭の片隅に追いやった。
:08/06/05 00:51
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#177 [果樹]
そして必死に探してない場所を考える。
あと行ってないのは・・・。
そこである場所が頭に浮かんだ。
もしかしたら・・・!
藁にもすがるような思いで私はそこに走った。
――――――――・・・・
「先輩っ!?」
:08/06/05 00:51
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#178 [果樹]
カチャっとドアを開け、中に勢いよく入るが、室内はガランとしていた。
ここにもいなかったらもうどこにいるかわからない・・・。
弱まりそうになる涙腺をしっかり引き締めて、私はもう一度校内を探そうとドアに手をかける。
その時、奥の部屋からカシャンと金属が落ちるような音が聞こえた。
「え・・・?」
:08/06/05 00:52
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#179 [果樹]
まさか・・・!
私は恐る恐るそこに近付き、ドアノブに触れてそれをゆっくりと回す。
部屋から赤い光が漏れた。
「先輩・・・?」
「涼・・・ちゃん・・?」
中を覗くと、先輩が驚いた表情でこっちを見ていた。
:08/06/05 00:53
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#180 [果樹]
「やっと見つけた」
私は中に入り、ドアを閉める。
狭い暗室に二人だけになった。
「見つけたって・・・え?」
先輩は固まったまま今の状況が上手く飲み込めていないようだ。
「告白の返事をしに来ました」
「え?あっ・・・ちょ・・ちょっお待って」
:08/06/05 00:54
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#181 [果樹]
私が言うと先輩は物凄く慌てた感じで、動きも挙動不審になっている。
私はスゥっと息を吸い込む。
「私は・・・」
「ストップ!!」
いいかけた言葉を先輩の大きな声に遮られた。
私は一先ず黙ることにした。
:08/06/05 00:56
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#182 [果樹]
「とりあえずここから出よか。お茶・・・入れたるさかいに」
「はい・・・」
先輩に促されるまま私たちは暗室を出て、隣の部屋で話をすることにした。
――――――――・・・・
「はい」
「ありがとうございます」
:08/06/05 00:57
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:☆☆☆
#183 [果樹]
私の目の前に湯気のたったたお茶が出された。
私は喉の乾きを抑えるために一口、口にする。
暖かくておいしい。
「俺、返事はいらへんて言うたよね?」
私がなごんでいると先輩が真面目な顔をしながら聞いてきた。
先輩は私の方を見ずに、じっと机を見ていた。
:08/06/05 00:57
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#184 [果樹]
「でも言いにきました」
コトッと机にお茶を置き、先輩の方に向き直る。
「あんま聞きたない・・・」
何かいじけるような感じで言う先輩がなんだか可愛く思えてしまう。
「先輩・・・私ね。たくさん考えました。でも考えても考えても答えが出なかった」
:08/06/05 00:58
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#185 [果樹]
「なんであの時泣いたのかもわからなかったんです。
でもね・・・。やっと答えが出ました。
私は、あなたが・・・。」
:08/06/05 01:00
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#186 [果樹]
.
「上條先輩が好きです」
.
:08/06/05 01:01
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#187 [果樹]
あの時私が泣いたのは、あなたが泣きそうな顔をしていたか。
あなたが辛いと私も辛かった。
胸が苦しくて仕方がなかった。
だから涙が出たの。
先輩・・・私はね。
「あなたが好きです。上條先輩」
:08/06/05 01:02
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#188 [果樹]
「ほ・・・んま?」
口を開いて間抜けな顔で私を見る上條先輩がなんだかおかしくて、私は笑いながらコクンと頷く。
「うっそんぷーとかなしやねんで?!ほんまにほんま?」
立ち上がって、先輩はみぶり手振りで何かを表現したい様だが、慌てているのか全然わからない。
:08/06/05 01:07
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#189 [果樹]
「大好きですよ」
私が笑っていうと先輩はへたりと床に座り込んでしまった。
「上條先輩!?」
「あかん・・・。手ぇ震えて力入らへん・・・」
先輩の元に駆け寄ると先輩はへらっと笑っていた。
見ると先輩の手は本当に震えていた。
:08/06/05 01:22
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#190 [果樹]
そんな先輩が私は何だか無償に可愛くてしかたがなくなった。
「ほんまに俺でええの?」
首を傾げて聞く先輩。
「何回言わせるんですか?私は上條先輩が―――・・・キャッ」
「わかった!もうそれ以上はええ!頭おかしなってしまう・・・」
:08/06/05 01:22
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#191 [果樹]
“好きです”の言葉を言う前に私は上條先輩の体にすっぽりと包まれてしまった”
先輩・・心臓の音が速い・・・。
「俺も大好きや」
ダイレクトに耳に囁かれた言葉に、私の心臓は跳ね上がり、上條先輩と同じ速さで刻み始めた。
「上條先輩・・・」
:08/06/05 01:23
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#192 [果樹]
「あ・・・!」
しばらくそのままの体勢でいたら、上條先輩がいきなり大きな声を出した。
「どうしたんですか?上條先輩」
何事かと先輩を見上げて聞くと先輩が私の方を見る。
「それ!」
「え?」
:08/06/05 01:24
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#193 [果樹]
何・・・?
「その上條先輩っていうのやめようや」
上條先輩をやめる・・・?
「え?でも・・・」
“何て呼べば?”と言おうとしたら上條先輩がにっこり笑う。
「隼人」
「え・・・?」
:08/06/05 01:25
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#194 [果樹]
「俺の名前は上條隼人。言うて?」
言うてって・・・。
先輩が無邪気に言うものだから断れなくなってしまった。
「隼・・・人」
小さく先輩の名前をつむぐ。
:08/06/05 01:26
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#195 [果樹]
「もっかい」
私をじってみて言う先輩の顔が近い。
「隼人」
私はさっきより少し大きな声で言う。
「え・・・ちょ隼・・・っ」
「大好きや涼子」
再び引き寄せられ、耳に流れ込んできた優しくて愛しい声。
:08/06/05 01:26
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#196 [果樹]
「あたしも・・・隼人が好き」
目を閉じた時、笑顔が見たいと思うのも、一番強く想うのも、私の心が求めているのも。
全部全部あなただけだよ?
隼人。
:08/06/05 01:27
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#197 [果樹]
あ!そういえばこの間、隼人の部屋で大量の写真を見つけたの。
その写真ていうのがどれも私の横顔や後ろ姿ばっか。
しかもその中には、あの時写真部の部室で床に散らばったやつもあって・・・。
隼人を問いただしたら、「やってー涼ちゃんが写ってる写真やってんからなんや捨てるに捨てれんくて・・・」としゅんと小さくなってた。
:08/06/05 01:29
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#198 [果樹]
「でもこれ、冴木先輩を好きな時のやつだよ?」と私がいうと隼人は、「それは確かに嫌やねんけどー。今は俺にその目ぇが向いてるさかいにええねん」と笑っていた。
ねぇ隼人・・・?
私の目があなたに向いてるのは今だけじゃないよ?
:08/06/05 01:31
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#199 [果樹]
10年先も20年先もずっとずっと私の目はあなたに向いているよ。
これからもたくさんの思い出をそのカメラに刻もうね。
カシャッ
【レンズ越しの恋】
―End―
:08/06/05 01:32
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#200 [果樹]
父に呼ばれて居間に行くと、知らない男の人がソファに座り父と話をしていた。
「つかさ。今日からお前に勉強を教えてくれる時田先生だ。挨拶しなさい。」
ああ新しい人・・・。
私はぺこっとお辞儀をして簡単な挨拶を済ます。
すると男の人は、にこっと綺麗な顔に笑みを作った。
:08/06/05 14:59
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#201 [果樹]
「こんばんは、つかさちゃん。僕は時田総一郎。よろしくね。」
これがこれから私の家庭教師となる時田総一郎との最初の出会いだった。
Story 3
【自由に憧れた鳥】
:08/06/05 15:00
:P902iS
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