・・万華鏡・・
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#155 [果樹]
「涼ちゃんは気付かんかったと思うけど俺、涼ちゃんに話かける前からずっと俺、渡り廊下で昼寝しててんで?」

白い歯を見せて笑う上條先輩はどこかやっぱり悲しみを纏っていた。

なんでこの人はこんな悲しそうに笑うの・・・?

「まぁ、涼ちゃんの目ぇはいつも滉太に向いててんから気付かんでもしゃーないんやけど・・・」

先輩はまたうつ向いてしまった。

⏰:08/06/04 02:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#156 [果樹]
「・・・正直羨ましかってん」

「え・・・?」

ぼそりと言った上條先輩の言葉の意味が分からず、私は聞き返す。

すると先輩は顔を上げ、ふっと笑って、ゆっくり口を開いた。

「あんなキラキラした目ぇで涼ちゃんに見られてた滉太が俺は羨ましかってん。いつのまにか、その目で俺を見て欲しゅうなった」

⏰:08/06/04 02:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#157 [果樹]
「せんぱ・・・」

語尾まで言葉が続かない。
体が震える。


「せやからあの日涼ちゃんに声かけてん。赤の他人で終りたなかったから」

先輩は相変わらず笑っている。

悲しそうに、辛そうに笑っている。

⏰:08/06/04 02:17 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#158 [果樹]
「毎日毎日涼ちゃん撮ってる間にいつのまにかあんなに溜ってしもてんなぁ」

上を軽く見上げて上條先輩は、ははっと自潮ぎみに笑いを溢した。

「ごめんな。嫌な思いさせて。写真は気味悪いやろから全部捨てる」

私に向かって真剣な顔で言う先輩。

先輩の手が私の方に延びてきたが、先輩は途中でその手をピタッと止めて、握り拳を作ると、だらんと下に垂らした。

⏰:08/06/04 14:59 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#159 [果樹]
先輩の顔を見るとなんだか眉間に皺を寄せて眉毛を垂らし、顔を歪めていた。

「せんぱ・・・」

「ほんまごめん!」

机から下りた先輩が私の言葉を遮って頭を下げて私に謝る。

「顔・・・あげてください」

私は、震える声でそれだけ言う。

⏰:08/06/04 15:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#160 [果樹]
「最後に一つだけ聞いてくれるか?」


顔を上げた先輩は私をじっとみて真剣な顔で言った。

私は首を縦に振るだけで精一杯だった。

でも先輩はそんな私をみて優しく、ふっと笑うと椅子に腰を下ろした。

⏰:08/06/04 15:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#161 [果樹]
「あんな、俺は涼ちゃんが好きやねん。ずっとずっと好きやった。もしかしたらあの日、シャッターを切った時から好きやってんかもなぁ」

真っ直ぐ私を見つめていう先輩。

私の頬を目から溢れた涙が伝う。

「せんぱ・・・っ」

言葉にならない。

私は今あなたになんて返せるの?

⏰:08/06/04 15:01 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#162 [果樹]
「あぁ泣かんといてや?ごめんな?いきなし言うてもうて。返事はいらんから」

優しい声で言ってくれる先輩に私はさらに涙が溢れた。

「ほんまごめんな?」

そう最後に言って先輩は教室から出て行った。

最後にまた私に手を伸ばしたが、結局先輩が私に触れることはなかった。

⏰:08/06/04 15:02 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#163 [果樹]
「ふっ・・・うぅ・・・」

先輩が出ていってしまった教室の中では私の声だけ響いている。


私はなんで泣いているの・・・?

なんでこんなに胸が苦しいの?


「痛・・・っ痛いよぅ・・・グスッ・・・先輩・・・っ」

⏰:08/06/04 15:03 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#164 [果樹]
それすらもわからないまま私は泣き続けた。


――――――――・・・・


あれからずいぶん時が経った。

私は日課のごとく行っていっていた渡り廊下にも行かなくなった。


上條先輩と会うのが怖いんじゃない。

⏰:08/06/04 15:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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