・・万華鏡・・
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#165 [果樹]
ううん、違う。

あたしは怖がってる。

でもそれ以上に、渡り廊下に行かない理由がある。


それは・・・必要を感じなくなってしまったから。

今まで、私が渡り廊下に行っていたのは冴木先輩を見たいがためだった。

でも今は、別に見たいと思わない。

⏰:08/06/04 15:05 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#166 [果樹]
なんで・・・?

それ以上に考えなきゃいけないことがあるから?

いくら考えても結局その答えは出なかった。


あの日、告白された日。

上條先輩は返事はいらないといった。

でもそんなわけにはいかない。

ちゃんと答えを出さなくちゃ。

⏰:08/06/04 15:07 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#167 [果樹]
でも考えれば考えるほど、足から黒い沼に埋まっていってしまうように、考えがまとまらなくなる。


私が答えを出せないまま明日、三年生は卒業式を迎える。

「涼子?うんうん唸ってどうしたの?」

上から声が聞こえたので、顔を上げると由香が心配そうな顔で立っていた。

「あ・・・別に」

⏰:08/06/04 15:08 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#168 [果樹]
「じゃないんでしょ?」

私は心配をかけまいと、平静を装った。

でも由香は私の言葉を遮り、顔をズイッと近付けてきて私の額を指で小突いた。

「最近渡り廊下にも行ってないし。なんか悩んでるっぽいし。心配してんだよ?これでも。話してよ」

優しく笑う由香になんだか私は癒された。

⏰:08/06/04 15:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#169 [果樹]
そして少しずつ上條先輩のことや自分の気持ちを話した。

由香は私の前の席に座って、私が話し終わるまで黙って聞いてくれた。



「つまり涼子は上條先輩に返事をしなければいけないんだけど、考えがまとまらなくて返事ができないのよね?」

私は由香の言葉にこくりと頷く。

⏰:08/06/05 00:45 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#170 [果樹]
「でも、冴木先輩を見ても今は前みたいにときめかないと?」

また一回頷く。

「んで、なんでこんな気持ちになってるのかわからないってことよね?」

核心をつく由香の言葉に私は何回も頷いて、教えてほしいという目で由香を見る。

すると由香は、はぁーと少し長い溜め息をついて、私と向き合って真剣な顔で私を見る。

⏰:08/06/05 00:46 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#171 [果樹]
「あのね涼子。心っていうのは頭にあるんじゃなくて、ここにあるのよ?」

“ここ”と言って由香が指したのは心臓がある左側の胸。


「頭にない自分の心をいくら頭で考えたってわからないの。素直に感じとった気持ち。それが自分の心なの」

優しい声色で言う由香。

⏰:08/06/05 00:46 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#172 [果樹]
素直に感じとったのが自分の心・・・。

私は由香の言葉を心の中で復唱する。


「目を閉じて一番に浮かぶ顔は誰?笑顔をみたいと思うのは誰?」

浮かぶ顔・・・?

「涼子はどうして上條先輩に告白された時、泣いたの?」

どうして・・・?

⏰:08/06/05 00:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#173 [果樹]
「心で感じて、一番強く想うのは誰?」

それだけ言うと由香はにっこり笑って席を離れた。


私は一人になった席で目を閉じる。


笑顔が見たいと思うのは・・・。

私があの時泣いたのは・・・。

一番強く想うのは・・・。

⏰:08/06/05 00:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#174 [果樹]
心で感じる人は・・・。



―――――っ!!!



ねぇ・・・。

私分かったよ。


――――――――・・・・


卒業式当日

「由香!私行ってくる!」

⏰:08/06/05 00:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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