・・万華鏡・・
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#161 [果樹]
「あんな、俺は涼ちゃんが好きやねん。ずっとずっと好きやった。もしかしたらあの日、シャッターを切った時から好きやってんかもなぁ」

真っ直ぐ私を見つめていう先輩。

私の頬を目から溢れた涙が伝う。

「せんぱ・・・っ」

言葉にならない。

私は今あなたになんて返せるの?

⏰:08/06/04 15:01 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#162 [果樹]
「あぁ泣かんといてや?ごめんな?いきなし言うてもうて。返事はいらんから」

優しい声で言ってくれる先輩に私はさらに涙が溢れた。

「ほんまごめんな?」

そう最後に言って先輩は教室から出て行った。

最後にまた私に手を伸ばしたが、結局先輩が私に触れることはなかった。

⏰:08/06/04 15:02 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#163 [果樹]
「ふっ・・・うぅ・・・」

先輩が出ていってしまった教室の中では私の声だけ響いている。


私はなんで泣いているの・・・?

なんでこんなに胸が苦しいの?


「痛・・・っ痛いよぅ・・・グスッ・・・先輩・・・っ」

⏰:08/06/04 15:03 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#164 [果樹]
それすらもわからないまま私は泣き続けた。


――――――――・・・・


あれからずいぶん時が経った。

私は日課のごとく行っていっていた渡り廊下にも行かなくなった。


上條先輩と会うのが怖いんじゃない。

⏰:08/06/04 15:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#165 [果樹]
ううん、違う。

あたしは怖がってる。

でもそれ以上に、渡り廊下に行かない理由がある。


それは・・・必要を感じなくなってしまったから。

今まで、私が渡り廊下に行っていたのは冴木先輩を見たいがためだった。

でも今は、別に見たいと思わない。

⏰:08/06/04 15:05 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#166 [果樹]
なんで・・・?

それ以上に考えなきゃいけないことがあるから?

いくら考えても結局その答えは出なかった。


あの日、告白された日。

上條先輩は返事はいらないといった。

でもそんなわけにはいかない。

ちゃんと答えを出さなくちゃ。

⏰:08/06/04 15:07 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#167 [果樹]
でも考えれば考えるほど、足から黒い沼に埋まっていってしまうように、考えがまとまらなくなる。


私が答えを出せないまま明日、三年生は卒業式を迎える。

「涼子?うんうん唸ってどうしたの?」

上から声が聞こえたので、顔を上げると由香が心配そうな顔で立っていた。

「あ・・・別に」

⏰:08/06/04 15:08 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#168 [果樹]
「じゃないんでしょ?」

私は心配をかけまいと、平静を装った。

でも由香は私の言葉を遮り、顔をズイッと近付けてきて私の額を指で小突いた。

「最近渡り廊下にも行ってないし。なんか悩んでるっぽいし。心配してんだよ?これでも。話してよ」

優しく笑う由香になんだか私は癒された。

⏰:08/06/04 15:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#169 [果樹]
そして少しずつ上條先輩のことや自分の気持ちを話した。

由香は私の前の席に座って、私が話し終わるまで黙って聞いてくれた。



「つまり涼子は上條先輩に返事をしなければいけないんだけど、考えがまとまらなくて返事ができないのよね?」

私は由香の言葉にこくりと頷く。

⏰:08/06/05 00:45 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#170 [果樹]
「でも、冴木先輩を見ても今は前みたいにときめかないと?」

また一回頷く。

「んで、なんでこんな気持ちになってるのかわからないってことよね?」

核心をつく由香の言葉に私は何回も頷いて、教えてほしいという目で由香を見る。

すると由香は、はぁーと少し長い溜め息をついて、私と向き合って真剣な顔で私を見る。

⏰:08/06/05 00:46 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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