・・万華鏡・・
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#171 [果樹]
「あのね涼子。心っていうのは頭にあるんじゃなくて、ここにあるのよ?」

“ここ”と言って由香が指したのは心臓がある左側の胸。


「頭にない自分の心をいくら頭で考えたってわからないの。素直に感じとった気持ち。それが自分の心なの」

優しい声色で言う由香。

⏰:08/06/05 00:46 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#172 [果樹]
素直に感じとったのが自分の心・・・。

私は由香の言葉を心の中で復唱する。


「目を閉じて一番に浮かぶ顔は誰?笑顔をみたいと思うのは誰?」

浮かぶ顔・・・?

「涼子はどうして上條先輩に告白された時、泣いたの?」

どうして・・・?

⏰:08/06/05 00:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#173 [果樹]
「心で感じて、一番強く想うのは誰?」

それだけ言うと由香はにっこり笑って席を離れた。


私は一人になった席で目を閉じる。


笑顔が見たいと思うのは・・・。

私があの時泣いたのは・・・。

一番強く想うのは・・・。

⏰:08/06/05 00:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#174 [果樹]
心で感じる人は・・・。



―――――っ!!!



ねぇ・・・。

私分かったよ。


――――――――・・・・


卒業式当日

「由香!私行ってくる!」

⏰:08/06/05 00:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#175 [果樹]
「うん!行っておいで」


卒業式が終わってから、私は急いで由香の元に向かいそう告げると、由香はにっこり笑って送り出してくれた。

ありがとう由香!



私は学校中を走り回った。

たった一人の・・・大切な人に会いたいから。

⏰:08/06/05 00:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#176 [果樹]
教室、渡り廊下、屋上、中庭、体育館。

ありとあらゆるところを回ったのにあの人はいない。

帰っちゃったとか・・・?

校門の方では三年生が学校との別れを惜しむ姿が見える。

私の頭に不安がよぎるが、私は頭をぶんぶんと横に振ってその考えを頭の片隅に追いやった。

⏰:08/06/05 00:51 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#177 [果樹]
そして必死に探してない場所を考える。

あと行ってないのは・・・。

そこである場所が頭に浮かんだ。

もしかしたら・・・!

藁にもすがるような思いで私はそこに走った。


――――――――・・・・


「先輩っ!?」

⏰:08/06/05 00:51 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#178 [果樹]
カチャっとドアを開け、中に勢いよく入るが、室内はガランとしていた。

ここにもいなかったらもうどこにいるかわからない・・・。

弱まりそうになる涙腺をしっかり引き締めて、私はもう一度校内を探そうとドアに手をかける。

その時、奥の部屋からカシャンと金属が落ちるような音が聞こえた。


「え・・・?」

⏰:08/06/05 00:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#179 [果樹]
まさか・・・!


私は恐る恐るそこに近付き、ドアノブに触れてそれをゆっくりと回す。

部屋から赤い光が漏れた。


「先輩・・・?」

「涼・・・ちゃん・・?」

中を覗くと、先輩が驚いた表情でこっちを見ていた。

⏰:08/06/05 00:53 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#180 [果樹]
「やっと見つけた」

私は中に入り、ドアを閉める。

狭い暗室に二人だけになった。

「見つけたって・・・え?」

先輩は固まったまま今の状況が上手く飲み込めていないようだ。
「告白の返事をしに来ました」

「え?あっ・・・ちょ・・ちょっお待って」

⏰:08/06/05 00:54 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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