・・万華鏡・・
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#312 [果樹]
「こっちの方が動きやすいものですから」
へらっと笑う総にお父様は更に厳しい顔をしてから私の方をちらりと見る。
お父様の目に見つめられると私は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまう。
「つかさこっちへ来なさい。将来お前の夫となる者の紹介をしよう」
お父様の言葉には逆らえない・・・。
:08/06/24 05:43
:P902iS
:☆☆☆
#313 [果樹]
私が一歩歩みだそうとするとそれを総が止める。
驚いて総を見ると総は笑っている。
「申し訳ありませんがそれは出来ません」
「貴様には関係のないことだ」
ピシャリと総の言葉を払い除けるように言うお父様。
「そうもいかないんです。つかささんは僕の物ですから」
「っ!!」
:08/06/24 05:44
:P902iS
:☆☆☆
#314 [果樹]
私の前にまるでかばうように立つ総に私は何故か涙が出そうになる。
「何をふざけたことを」
お父様がふっと笑う。
このままじゃいけない。
総の後ろにばかり隠れていたら何も進まない・・・!
私はおずおずと総の後ろから出て総の横に並ぶ。
今から言うことに冷汗なのか脂汗なのかわからない汗が額に滲む。
ぎゅっと握った拳は力が入りすぎてもう感覚がない
:08/06/24 05:44
:P902iS
:☆☆☆
#315 [果樹]
「お父様ごめんなさい。私は総と一緒に生きていきます」
強い意思表示の為かお父様への恐怖からか握った拳が震える。
真っ直ぐにお父様を見つめる私にお父様も真っ直ぐ私を見返すが迫力の違いに少し腰が引けるが、足に力を入れて崩れないように踏ん張る。
「クッ・・・ククッ」
「?!」
:08/06/30 05:19
:P902iS
:☆☆☆
#316 [果樹]
ふいに聞こえた笑い声に隣を見ると総が口許を抑えてはっきりとしない笑いを漏らしていた。
私が眉間に皺を寄せると総は笑ったまま私の頭をポンポンと叩き目線を動かしお父様を見据える。
「そういうわけでつかさは貰って行きます」
そういって身を翻して総はいきなりテラスから下に飛び下りた。
それはまるであの時・・・。
私を家から連れだした時のように。
:08/06/30 05:19
:P902iS
:☆☆☆
#317 [果樹]
「総!?」
下を覗き込むと平気そうな顔で総手を広げて笑っていた。
「おいで、つかさ」
あの時と同じ台詞・・・。
行きたい!!
ギュッとテラスの柵を握り締めてテラスから飛び降りようとするが、後ろから低く地を這いずるような声に名前を呼ばれると身体がビクッと跳ねて身動きがとれなくなる。
:08/06/30 05:20
:P902iS
:☆☆☆
#318 [果樹]
「つかさ」
お父様の方を振り向くとお父様は一度だって見せたことのない柔和な優しい顔で笑っていた。
「行きなさい」
お父様の口から出た言葉は信じられないくらい優しく暖かいものだった。
私の目からは自然に涙が溢れ、気が付けば私はお父様に抱きついていた。
「ありがとうございます・・・。お父様」
:08/06/30 05:20
:P902iS
:☆☆☆
#319 [果樹]
わんわんと子供みたいに泣く私の頭を優しく撫でるお父様の手は暖かく“愛情”を感じた。
一頻り泣いた後、私はお父様から離れテラスの柵に手をかける。
「行って参ります!」
お父様に向かって笑顔で言ってから私はテラスから総の胸の中に飛込んだ。
――――――――・・・・
「よろしいんですか?旦那様」
:08/06/30 05:21
:P902iS
:☆☆☆
#320 [果樹]
萩野は数歩下がった所から自分の主人に声をかける。
「あぁ。いいんだ」
本当ならつかさの婚約者を選ぶ為に開かれたパーティだ。
しかしつかさはもう最愛の人を見つけて愛の逃避行をしてしまった。
メインがいなくなってはパーティは成立しない。
つかさの父が大恥じをかくのはわかっているはずなのに当の本人は柔和にそれは優しく笑っていた。
:08/06/30 05:22
:P902iS
:☆☆☆
#321 [果樹]
そんな主人をみて萩野もまた笑みを溢すのであった。
つかさのあんなに真剣な目を見たのは初めてだ。
それにあの笑顔・・・。
何年振りに見たことか。
それもあの男のお陰か。
ふっと笑いを溢して、つかさの父は萩野と共にパーティへと戻って行った。
――――――――・・・・
「つかさの父親ならぜってぇ許してくれると思ったんだ」
:08/06/30 05:22
:P902iS
:☆☆☆
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