・・万華鏡・・
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#452 [果樹]
私はタオルを少しずらして電話中の柴浦の背中を見る。

「わかってるよ。用件は何だ?」

あ・・・ちょっと不機嫌。

『・・・・・でよ。あの時・・・・謝る・・・・・』

女の人・・・?

「今更だな。別れたいって言ったのはそっちだろ?」

⏰:08/09/08 16:36 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#453 [果樹]
『・・・もう一回・・・・まだ・・きなの・・・忘れ・・・・』

「無理だ。俺はもう忘れた。用件がそれだけなら切るぞ」

『・・・待って・・・要!』

プツッ・・ツーツー

女の人の叫び声は携帯の無機質な音によって遮られた。

「大丈夫なの・・・?」

「ん?あぁ、悪かったな」

⏰:08/09/08 16:38 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#454 [果樹]
私の声に気付き柴浦がこちらを向く。
その手に携帯はもう握られてなかった。

「昔の・・・彼女さん?」

「え?」

「話声が聞こえたから・・・」

気まずそうな顔をする柴浦。

言ってはいけないと思いつつも、私の口が止まることはなく何故か次から次へと言葉が出てくる。

⏰:08/09/08 16:38 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#455 [果樹]
「よかったじゃん。ヨリ戻したいって話なんでしょ?戻してあげなよ。元カノさん必死だったし。柴浦もいい年なんだからいい加減身を固めたり・・・」

バンッ!

私の止まることのなかった口は柴浦が私の横の壁をおもいっきり叩いた音によってようやく止まる。

「俺はお前が好きなんだよ。俺の気持ちが迷惑だったらそう言え。こんな遠回しにいってんじゃねぇ・・・」

⏰:08/09/08 16:39 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#456 [果樹]
最後の方は聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声が私の耳に届いた。

「ちゃんと冷やせよ」

それだけ言うと柴浦は私の頭をぽんぽんと軽く叩いて保健室を出ていった。

「・・・・・・・」

残された私は暫く放心状態のまま固まっていたがハッとして私はすぐ柴浦の後を追い掛けたがもう姿はなかった。

⏰:08/09/08 16:40 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#457 [果樹]
傷付けた。

その言葉だけが私の頭の中に響いた。

最後に見せたあの切なそうな今にも泣きそうな顔が頭から離れない。

好きだって言ってくれたのにそれを信じられなかった。

自分の中でブレーキかけて柴浦に惹かれている自分を無視し続けた。

⏰:08/09/08 16:40 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#458 [果樹]
恋シテハイケナイ相手。

自分の中でそう決めつけて自分の心と向き合おうともしなかった。

本当ハイツノ間ニカ好キニナッテイタ癖ニ。

臆病な私がそこにいた。

もう傷付きたくない。
これ以上苦しい思いはしたくない。

そんな風に思っていたから柴浦をあんな形で傷付けてしまった。

⏰:08/09/08 16:41 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#459 [果樹]
私は再び保健室に入り放課後がくるのを待った。

―――――――――・・・・・

キーンコーンカーンコーン

『校舎内に残っている生徒は速やかに下校して下さい』


「・・・・寝過ぎた」

起きたら空は茜色に染まっていてもう薄暗くなる手前だった。

⏰:08/09/08 16:42 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#460 [果樹]
私はベッドから降りて鞄を取りに教室に向かう。

渡り廊下を歩けば、校庭から部活動をする生徒の活気ある声と下校し始めた生徒が校門をくぐっていくのが見えた。

私はそれを横目で見ながら教室へと歩みを進めた。


―――――――――・・・・・

「やっと起きたか」

⏰:08/09/08 16:43 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#461 [果樹]
声がして振り向けば、教室のドアにもたれかかるようにして柴浦が立っていた。

「さっき起きたの」

私は柴浦と話ながら鞄に荷物を詰める。

「気を付けて帰れよ」

その言葉に振り向けば、柴浦はもうそこにはいなかった。

⏰:08/09/08 16:46 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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