・・万華鏡・・
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#760 [果樹]
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ねえ、先輩。
先輩はあたしのこと好きですか?



Story.7

【 先輩へ 】

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⏰:08/12/02 22:55 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#761 [果樹]
私、柏木幸香の日課。
それは、私の彼氏である冴木滉太先輩の寝顔を毎朝拝むこと。

冴木先輩は、今では大学生だけど、半年前までは私と同じ楠行高校に通っていた。

約一年前、入学したての私は、かっこいいと噂の冴木先輩に一目惚れ。

猛アタックの末、付き合うことになったのが3ヶ月前。

⏰:08/12/02 22:55 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#762 [果樹]
高校生と大学生じゃ時間帯がずれてしまってなかなか会えないため、私はこうして秘かに会いに来ているのだ。


今日も先輩かっこいい〜。
っとやばい!遅刻しちゃうっ!

先輩の寝顔に見とれて時間を気にしていなかった私は、急いで鞄を持ち、先輩の部屋を静かに出ていく。

⏰:08/12/02 22:57 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#763 [果樹]
大学入学と同時に、一人暮らしを始めた先輩に貰った部屋の鍵を閉めてポケットにしまう。

「いよっし!」

軽い気合いを入れて、私は学校に向かった。

――――・・・

「結女おはよー」

「おはよう幸香」

⏰:08/12/02 22:58 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#764 [果樹]
教室に入って、私が一番に挨拶をするのは親友の結女。

一見可愛い顔立ちなのに、冷静沈着でさっぱりした性格の結女に、私はいつも助けられていて、正真正銘の親友だ。

「今日も冴木先輩のとこに行ってきたの?」

「もちろん♪」

「相変わらずだね」

⏰:08/12/02 22:59 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#765 [果樹]
若干飽きれ気味に言われるが、私からは幸せな笑顔しか溢れないことを結女は知っている。

しかし、次の瞬間私の気分は一気に地の底まで沈む。

「幸せなのはいいけど、一限から数学の小テストだよ」

「・・・・。忘れてたー!!!」

「だと思った」

⏰:08/12/02 22:59 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#766 [果樹]
はぁと溜め息をつく結女の横で、私はアワアワと一人焦る。

もちろん数学の小テストは言うまでもなく無惨な結果で終わった。

――――・・・

昼休み、結女とお弁当を食べていると制服のポケットの中で携帯が震えた。

⏰:08/12/03 11:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#767 [果樹]
携帯を開くと冴木先輩からメールが来ていた。


今日うち来て。
鍋食いたい。


メールの文章は、毎度の事ながら至ってシンプル。

それでも私の顔は緩む。
そんな私の表情を見逃さない結女。

⏰:08/12/03 11:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#768 [果樹]
「冴木先輩から?」

「うん!鍋食べたいんだって」

「鍋?この時期に?」

私の言葉に、結女が怪訝な顔をする。

確かに、と思いながら私は苦笑いを溢した。

⏰:08/12/03 11:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#769 [果樹]
――――・・・

スーパーで鍋に入れる食材を買った私は、今、先輩の家で、鍋をテーブルの真ん中に置き、向かい合って座っている。

箸で鍋の中の食材に手を伸ばす先輩は、楽しそうで可愛かったが、私は結女と話していた時から疑問に思ってた事を口にする。

⏰:08/12/03 11:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#770 [果樹]
「先輩・・鍋って普通冬にやるものですよね・・?」

「うん」

「今夏ですよね?」

「うん」

「暑くないですか?」

「夏だからね」

私の問掛けに普通に返す先輩。

⏰:08/12/03 11:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#771 [果樹]
鍋が食べたいと言うのは別にいい。
人それぞれ好きなものもあるし、それは好みだと思う。

でも夏に鍋。
しかも1ルームの小さな部屋で、二人だけで鍋。

暑いときに熱いものの組み合わせ。

普通は素麺とかサラダうどんとかが定番のはずじゃ・・。

⏰:08/12/03 11:17 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#772 [果樹]
いや、でも先輩くらいになるとまた違うのか・・・?


私が一人考えを巡らせていると、向かいに座っている先輩が吹き出す。

「ぷっ・・何百面相してんの」

「し、してないですよ!」

恥ずかしくなった私は、誤魔化すように鍋に手を伸ばす。

⏰:08/12/03 11:17 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#773 [果樹]
「そう?」

「そうです」

「ふーん」

納得したのかしてないのか、先輩はそれ以上何も聞いてこなかった。

――――・・・

時計の針が9時を回った頃、私は鞄を手に玄関へと向かう。

⏰:08/12/04 06:28 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#774 [果樹]
私はローファーをはいて、くるりと先輩の方を向く。

「それじゃあ帰ります」

「本当に送っていかなくていいのか?」

眉根を下げて心配そうにしている先輩。

帰る数分前、送っていくという先輩の申し出を、私は断固として断った。

⏰:08/12/04 06:28 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#775 [果樹]
理由は、私なりの心遣い。

先輩は大学が終わったあと、深夜遅くまでアルバイトをしている。

だからアルバイトが無い日くらい、ゆっくり休ませてあげたかったのだ。

まぁ、先輩には理由は話さずに、堅くなに拒否し続けただけだったが、その結果、結局先輩が折れたのだ。

⏰:08/12/04 06:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#776 [果樹]
でも、心配されるのはやはり嬉しい。

「大丈夫ですよ!先輩明日もバイトがあるんですからゆっくり休んで下さい」

にこっと笑う私の頭を、ぽんぽんと先輩が優しく叩く。

「わかった。じゃあ家着いたらメールして」

⏰:08/12/04 06:30 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#777 [果樹]
そう言いながら先輩の顔が近付いてきた。

大好きな先輩の顔が近付いてくるのに、戸惑いながらも、目を閉じるとちゅっと首筋にキスをされた。

「へ・・?」

てっきり口にキスをされると思っていた私は呆気にとられる。

目を開けると目の前に先輩の顔があって、悪魔のような笑顔で笑っていた。

⏰:08/12/04 06:30 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#778 [果樹]
「期待した?」

心を見透かしたような先輩の言葉にカァッと顔が赤くなる。

「してませんっ」

「そう?」

恥ずかしくて強めに言うと、先輩は口に手を当ててククッと笑う。

もうっと先輩を軽く叩いくと頭をぽんぽんと軽く叩かれた。

⏰:08/12/04 06:31 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#779 [果樹]
「家着いたらメールして」

優しい笑顔で言う先輩にはいと返事をして、私は先輩の家を後にした。

――――・・・

無事家に着いた私は、すぐに携帯を開き、メールの新規作成画面を開く。

⏰:08/12/04 20:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#780 [果樹]
家に着きました!
今日は楽しかったです☆
明日バイト頑張ってください!
じゃあおやすみなさい


メールを送った後、パチンと携帯を閉じて、服を着替える。

ふと鏡を見て、首筋にある赤い痣に目が止まる。

何これ?

⏰:08/12/04 20:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#781 [果樹]
不思議に思いながら指先で赤い痣に触れる。

ここは先輩がキスした場所・・・。
まさか・・これってキスマーク?!

赤い痣の正体がわかった途端、私の顔は、ボボッと沸騰したかのように赤くなる。

「先輩のばか・・」

⏰:08/12/04 20:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#782 [果樹]
悪態をつきながらも顔の緩みは隠せない。

恥ずかしく思いながらも、私はそんな小さなことに幸せを感じていた。

だからこそ、こんな幸せな日々に終りが来るなんて、この時の私には想像も出来なかった。


ねぇ、先輩?
先輩はこの時、私のことどう思っていたの?

⏰:08/12/04 20:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#783 [果樹]
――――・・・

「今日も先輩のところ?」

放課後、ルンルン気分で帰り支度をしていると、結女がピトッと私に寄り添うようにくっつく。

「うん!ご飯作って待ってようかと思って」

笑顔で言う私とは正反対に、結女はしゅんと悲しそうな顔をした。

⏰:08/12/05 08:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#784 [果樹]
「たまには私とも遊んでね?」

そんな可愛いことを上目使いで言う結女に、キュンと胸を射ぬかれる。

結女の頭をいいこいいこするように撫でて、「当たり前でしょ」と言うと、結女は可愛い笑顔を見せた。

先輩と仲良くね、と、手を振る結女にバイバイをして、私は教室を出る。

⏰:08/12/05 08:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#785 [果樹]
――――・・・

「牛肉、玉葱、人参、じゃが芋。ルーも入れたし生クリームもバッチリ!」

スーパーに来た私は、今日の夕食のビーフシチューに使う食材が、入ったカゴの中を確認する。

「後はー・・あ!飲み物」

足りない飲み物を買い足すために私はドリンクコーナーに足を向ける。

⏰:08/12/05 08:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#786 [果樹]
「よしっ!オッケー」

ビーフシチューを作るための食材がそろったところでレジに向かいお会計を済ませる。

――――・・・

スーパーの袋を右手にアパートの階段を上る。

鞄から鍵を出し、先輩の部屋のドアを開けると玄関には、靴が何足も並んでいた。

⏰:08/12/05 08:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#787 [果樹]
あれ?今日バイトって言ってたのに・・・。

不思議に思いながらも、家の中に入ると台所と部屋を仕切るドアの向側からたくさんの声が聞こえた。

ドアの向こうは、ガヤガヤと賑わっているようだ。

私は、何の疑いもなく、バイトを休んで友達といるのだろうと思った。

邪魔しちゃ悪いかな。

⏰:08/12/05 08:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#788 [果樹]
一先ず食材を冷蔵庫に入れるため冷蔵庫を開ける。

今日は帰った方が良さそう。


冷蔵庫に食材を入れながら、ドアの向こうの音に、聞耳をたてていると先輩の声が聞こえた。

「友美飲んでるかー?」

私以外の知らない女の名前を呼ぶ先輩。

⏰:08/12/05 08:23 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#789 [果樹]
続いて知らない女の声が聞こえた。

「飲んでるー。ていうか滉太って彼女いるのー?」

甘ったるい猫撫で声で喋る女に少し苛立ちを覚える。

でも次の瞬間、私は幸せな気持ちに包まれる。

「いるよー」

「どんな子ー?」

⏰:08/12/05 08:24 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#790 [果樹]
「どんなってー2個下の高校生」

先輩が、ちゃんと私のことを話してくれたことが、すごく嬉しかった。

先輩の彼女として、ちゃんと自分ができてるかすごく不安だったから、嬉しかった。


でもそれは、ほんの一時だけで、次の瞬間、私の気分は深い谷底へと落ちていった。

⏰:08/12/05 08:26 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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