ギンリョウソウ
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#510 [向日葵]
彼女はにこりと笑ってから頷いた。

(初めまして、要さん)

椿の母はもういない。
そこにいるのは魂。
つまりは幽霊。
それなのに動揺する事もなく話しているのは、怖く感じないからだろう。
だから要は普通に会話する。

「こちらこそ、初めまして。改めまして、葵 要と申します」

(椿がとてもお世話になっています。今も……)

椿の母は別荘がある方へ目をやる。

(あんな、臆病な子になってしまったのは、私のせいです。私がもっと、体が丈夫でしたら、あんな心配や重荷を背負わずのびのびと生きれたでしょうに……)

⏰:08/10/15 01:24 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#511 [向日葵]
「あなたのせいでは……。それに椿は、あなたの事を本当に尊敬しています」

(要さんは優しいのね……。あの子が好きになる筈だわ……)

要は少し照れてから、まっすぐ彼女を見つめる。

どうしても、確かめたい事があったのだ。

「僕が、椿と結婚する事を許して頂けますか?」

椿は自分は要と結婚してもいいのかと問うてきた。
要は構わなかった。
椿がそばにいてくれるのならと。
ならば自分は?

最初は不純な動機で交わした約束。
そのまま気持ちを重ねて婚約したが、自分こそ、椿と結婚してもいいのかと思い始めた。

⏰:08/10/15 01:30 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#512 [向日葵]
あまりに、自分は勝手すぎたかもしれなかった。

椿の母は、微笑んでいるが真剣な顔つきになる。
そしてゆっくり口を開く。

(駄目よ)

要はズキンと胸を痛める。
しかしここで引き下がる訳にはいかない。
どう考えても自分は椿とは離れたくないからだ。

「認めて頂けないなら……認めて頂けるよう成長します」

その答えを聞いた彼女は微笑みを深くして要に近づいてくる。
近づけば更に彼女の姿が分かった。

幽霊の筈なのに、触れられそうだ。

⏰:08/10/16 21:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#513 [向日葵]
(冗談よ)

彼女は片目を瞑ってみせる。
要は何が何だか分からなくて間抜けな顔になってしまった。
そんな彼の表情を面白そうに笑ってから椿の母は更にもう1歩要に近づく。

(椿が求めている相手を私が否定する訳ないじゃないですか。……いいえ、椿には要が必要です。だからそばにいてあげて下さい)

微笑んでいても、母が椿を思う気持ちはひしひしと伝わってくる。
要は神妙に頷き、頭を深々と下げる。

「大切にします」

少し間をおき、楽しそうに「フフ」と笑う声が聞こえた。
要が頭を上げた時には、そこには椿の母の姿はなく、彼ただ1人になっていた。

⏰:08/10/16 21:45 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#514 [向日葵]
――――――――…………

別荘に帰れば、リビングに美嘉と大久保がテレビを見ていた。

それを一目見てから要は階段を上がる。
ゆっくりと椿の部屋に入れば、ベッドの上で椿は体を起こしていた。

「椿っ」

「あ……要さま……」

「まだ寝てなきゃ駄目だろ」

肩を掴んで寝かせようとする要の手に自分の手を重ねて椿は拒否する。

「あの、それが……熱は下がったみたいで……」

⏰:08/10/16 21:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#515 [向日葵]
強がりを言ってるのかと疑った要は椿の額に手を当てる。
本当に熱が下がっている。
その理由はさっき会った椿の母のおかげなのでは?と思ってしまう。

そう思えばさっきは貴重な体験をしたなと思った。

「椿、君のお母様は綺麗だね……」

ベッドに腰かけた要は呟くように言った。
椿は少し首を傾げるも、不思議そうな顔はしなかった。

「さっき、会ったんだ……」

そこで椿は驚いた顔をする。

「わ、私も……っ」

⏰:08/10/16 21:54 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#516 [向日葵]
「え?」

「夢かどうかわからなかったんですが、ひんやりした母の手が私のおでこに触れたら熱がひいていったのです」

すると椿の目から、涙が溢れはじめる。
ポロポロと落ちる涙を気にする事なく、椿は柔らかく微笑む。
その顔が、彼女の母にそっくりだと愛おしいそうに要は目を細める。

「お母様……」

要は椿の肩を抱き寄せる。

「僕も、お会い出来て嬉しかった。僕達を認めて下さるとおっしゃってくれたよ」

「そうですか……」

⏰:08/10/16 22:01 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#517 [向日葵]
要に身を任せる椿に愛おしさが増す。
気がつけば、彼の手は椿の濡れた頬に触れていた。
導かれるように椿は顔を上げる。

静まりかえって聞こえる音は、どちらの鼓動だろう。

そんな事をぼんやり考えながら、ゆっくりと顔を近づけ、唇を寄せる。
柔らかく触れれば、椿は少し体を硬直させるも抵抗はしなかった。

離れて間近で見る彼女の顔はみるみる赤くなっていく。
そんな椿に、つい自分までもが赤くなった要は、顔を隠す為に椿をギュッと抱き締めた。

彼女の髪から香る匂いが、またドキドキさせる。

⏰:08/10/24 00:12 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#518 [向日葵]
「……もう怖くなくなった?」

「え……」

「あの人の1件があったからさ……」

聖史の事だ。
椿には辛い記憶。
嫌がる彼女の唇を2度も無理矢理に奪い、要自身も椿に酷い事をした。

そう思えば、照れ隠しに自分から言ったものの、歯をぐっとくいしばる。

「恐くは……ないです。でも……恥ずかしいです……。だから……」

椿は離れると要の少し苦しそうな顔を見てフワリと笑う。

⏰:08/10/24 00:17 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#519 [向日葵]
「そんな顔しないで下さい。私分かった事があるのです。恥ずかしいのは、きっと、要さまへの気持ちを触れられる度再確認して、くすぐったくなるからですわ」

まっすぐに見つめて、優しげな目が凛とするから、要はハッとして、そして微笑む。

母親と、同じ顔をする。

「ならね、もう1度、くすぐったい思いしてくれるかな……?」

両手で椿の頬を包んだ要は、また彼女の唇に触れる。

自分も、椿への気持ちを再確認するように……。

⏰:08/10/24 00:22 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#520 [向日葵]
[第12話]

今日は見事な晴天だと思いながら、美嘉はバルコニーへ出て背伸びをする。

寒い空気は寝起きの体には丁度良い。
体の中からリフレッシュするようだ。

「おはようございます」

背伸びの格好のまま後ろを振り返れば、もう完璧に着替えた要の従者がいた。

名前はなんだったか……。

目元のほくろが少しいやらしいなと思うが、本人はとてもいい人なのであまり気にしない。

「おはようございまっす。いい天気っすねぇ!」

⏰:08/10/24 00:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#521 [向日葵]
従者はニコニコして頷く。

「お体を冷やしますから、そろそろ入ってはいかがですか?」

美嘉は一瞬キョトンとするとアハハハと笑い出した。
すると今度は従者の方がキョトンとした。

「美嘉を気遣うなんて無駄ですよ。美嘉この17年間風邪引いた数なんて片手で足りちゃうんですから」

それにそうやって気遣うのは椿や越、家族の他にはいた事がない。自分がボーイッシュな性格と外見をもちあわせているのは理解してるし、女扱いされたいだなんて願望さえ持った事はなかった。

だから従者の一言はとても珍しいものだった。

⏰:08/10/24 00:34 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#522 [向日葵]
「でも朝ごはんの用意しなくちゃですし、中に入りますよっ」

軽い足どりで中に入れば、外よりかは幾分暖かい。
しかし寒いのは嫌いではないので後で散歩にでも出掛けようかと考える。

するて肩に暖かさが宿る。
フワリとした感触は毛糸で編まれた美嘉のカーディガンだった。
さっき外へ出るまではおっていたが、朝早くの空気を楽しみたくてソファーにかけておいたのだ。

それを従者がかぶせてくれた。

「私もお手伝いさせて頂きます」

にこりと笑うその顔は、大人の男性を感じさせるものだった。

⏰:08/10/24 00:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#523 [向日葵]
―――――――――…………

「クリスマスを一緒に過ごせない?」

起きてしばらくしてから要が椿に話をした。
どうやら彼が隠したかったのはこの事らしかった。

恋人(婚約者)となって初めて過ごすクリスマスなのに、要は仕事で年始まで海外へまた行かなければならなかった。

その事実を知れば、椿が悲しんでしまうのではないかと思った要はもう少ししてから話すつもりだったらしい。

「それをどうして美嘉ちゃんにまで口止めなさってたのですか?」

美嘉が知る必要もないだろうに。

⏰:08/10/24 00:45 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#524 [向日葵]
*アンカー*

>>472

*感想板*

>>504

⏰:08/10/24 00:46 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#525 [向日葵]
>>522

誤]するて
正]すると

⏰:08/10/24 00:47 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#526 [向日葵]
「彼女にクリスマスはどうするのか言われて、ありのまま話したんだ。話し終わってからもし君の耳に届いたら駄目だと思ってね」

なるほど、と椿は相づちをうつ。
と同時に、そこまで自分を想ってくれる要が嬉しかった。

そろそろ自分も下へ降りて、朝食の準備をと、椿はドアに歩み寄る。
しかし、それは要によって遮られる。

「待って」

椿の前に立ち、ドアを背にして通せんぼする。
危うく要にぶつかりそうになった椿は慌てて距離をとる。
要を見上げれば、意地悪くニヤリと笑っている。

⏰:08/10/30 15:48 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#527 [向日葵]
少し不安になり、困ったように眉根を寄せる。

「僕の隠し事は話した。さて、君の隠し事は、一体何なのかな?」

あ、と椿は目を見開く。
指を組み合わせて落ち着きなく少し体を揺らす。

「そ、その、えと……昨日言ったような話だったんです」

「昨日?何を話したっけ?」

「えと、要さまが好きと再確認してしまうと、こそばゆくなるとか」

「あぁ、それが大久保とどう……?」

まったく結びつく気配がないので要は宙を見て考える。

⏰:08/10/30 15:54 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#528 [向日葵]
椿はその時の会話を話す。
やがて要は「あぁ」と言い、おかしそうに笑う。

「君の恥ずかしがる度合いが分からないよ」

椿が赤くなってうつむけば、要は彼女の腕を引き腕の中に閉じ込める。

「そんなだから、君を手放す事が出来ないんだろうけどね」

穏やかな口調に椿は胸が高鳴る。要を見上げれば、口調と同じくらい穏やかな笑みを向けていた。
自然に顔が近づいてくる……。

「ラブラブ中にごめんねーっと」

要がおさえていた筈のドアをいとも簡単に美嘉が開く。

⏰:08/10/30 16:00 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#529 [向日葵]
おさえていた要は弾かれ椿と共に転ぶ。
幸い椿は要が咄嗟に庇ったので体が痛くなる事は無かった。

「君はノックも出来ないのか……」

「ノックしただけじゃ無視しそうな雰囲気だったから。当たってるんじゃない?万年発情男くん」

にっこり笑う美嘉をムスリとしながら睨みつける。
彼女が言ってる事をあながち否定出来ないからだ。

美嘉は椿だけに手を貸して立たせてやる。

「ご飯出来たよ。降りてらっしゃいな」

―――――――――…………

運動部的な見た目や性格だから料理ももっとすごいものだと勝手な想像をしていた要や大久保は朝食を見て驚く。

⏰:08/10/30 16:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#530 [向日葵]
トーストにスクランブルエッグ、控えめにあるベーコン、ちぎったレタスのサラダには綺麗に三日月型に切ったトマトがそえられ、寒い体を温める野菜スープまでもがある。極めつけはフルーツが入ったゼリー。
これは昨日夜に作ったのだとか。

「僕、黒こげになった料理しか出てこないか、もっと雑なものが出てくると思った」

美嘉をじっと見ながら言う。
昨日の夕食は大久保が作ったもので、美嘉は手伝いしかしていなく、その実力を見る事は無かった。

「あのね、美嘉はこう見えて料理が好きなの。学校のお弁当だって毎日自分で作ってるんだから」

⏰:08/10/30 16:14 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#531 [向日葵]
この時、要や大久保が購買で勇ましくもパンを勝ち取る姿しかイメージ出来なかったのは言うまでもない。

要は飛び級なのでそんなシーンは滅多に見ないが、たまにどこかの学校の前を通り過ぎる時、パン屋らしい車の前で生徒が争うように血眼でパンを買っていたのを見た事がある。

なので美嘉にはそのイメージしかなかった。

「君にも女の子らしいとこがあったんだね」

「アンタ美嘉をなんだと思ってたの」

「野生児」

「野菜スープぶっかけられたい?」

⏰:08/10/30 16:21 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#532 [向日葵]
本当にぶっかけるつもりなのか、おたまと野菜スープが入った小さな鍋を持ってじりじり寄ってくるものだから、椿と大久保は慌てて止めなくてはならなかった。

そんな事がありながらも、4人で楽しく朝食を食べ、一息ついた。

―――――――――…………

1時間程すると、要と椿が散歩へ出ていった。
幸せそうな2人の背中を見送りながら美嘉はホッとする。

「美嘉さま」

振り返れば、要の従者が立っていた。

「美嘉さまも散歩はしなくてよろしいのですか?」

⏰:08/10/30 16:26 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#533 [向日葵]
「美嘉は掃除でもしてますよ」

「なら、それは私がいたします」

「あなたこそ、ちょっとは休めばどうですか?働き詰めはよくないと思いますけど」

「いえそんな。私はいいのです」

「じゃあ美嘉もいいです」

そんな言い合いをして数分。
ラチがあかないと美嘉は黙る。
同じ事を思ったのか、従者も黙った。

しばらくして、美嘉が両手をパンと合わせる。

「じゃあ2人で散歩しましょう」

「えぇっ!?」

⏰:08/10/30 16:30 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#534 [向日葵]
うろたえる大久保をよそに、美嘉はさっさと用意を始めていく。

「たまにはアイツの事なんか忘れて、のんびり過ごす事も大切だと思いますよ。ホラッ!」

美嘉は強引に大久保の手を引く。
大久保は抵抗する間もなく、外へと連れていかれてしまった。

――――――――…………

どこへ行くかなどは決めず、のんびりと林の中を歩く。
暖かく柔らかな日差しが心地よく感じる。
美嘉は落ち葉を踏み、パキパキと鳴るその感触を楽しんでいた。

「美嘉さまは、いつから椿さまとお友達で?」

⏰:08/11/16 01:37 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#535 [向日葵]
「ずーっと昔からです。たまたまいた近所の公園にいて、それから。あんな大きな家に住んでるのにわざわざ外へ出るなんて、変わってる子ですよね」

大久保は静かに微笑む。
大久保より数歩先を歩いていた美嘉は、片足を軸にくるりと回って大久保の方を向く。

「大久保さんは?いつからアイツのとこへ?」

「父が要さまのお父様の従者をしてまして、私も父に連れられて、要さまとは幼い頃から交流がありましたので」

「従者って言うよりは、親しげですよね、あなた」

「それは……大変光栄にございます」

⏰:08/11/16 01:43 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#536 [向日葵]
本当に嬉しそうに笑うものだから、美嘉もつられて笑顔になる。

そして再び歩き出す。

「そういえば、アイツの両親って……」

「お2人共、海外で暮らしてらっしゃいます。ご多忙な為、要さまとお会いするのは3年に1度ほどなのです」

「それは、小さい頃から?」

「はい」

じゃあ、要の自己中心的な所は、小さい頃つもりつもった両親に対する寂しさからくるものなのだろうか。
と美嘉は首を傾げる。
そして思う。

そういう人だから、椿の事を理解してくれたのかもしれない、と。

⏰:08/11/16 01:49 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#537 [向日葵]
しかし過度な愛情表現は如何なものか……。
それも仕方のないこと?

どちらにしても第三者である美嘉はなんとも言えなかった。
いや、椿が困っていたらそれなりに止める事も出来るが、最近の椿はまんざらでもない様子なので、美嘉も言うに言えなかったりする。

だから子供っぽくも、2人の邪魔をしてみたり。

「そういえば美嘉さま、ギンリョウソウと言うのをご存知ですか?」

「ギンリョウソウ?」

どこかで聞いた事があると思えば、まだ椿の婚約が決まりたての頃、椿から訊かれたものだった。

⏰:08/11/16 01:54 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#538 [向日葵]
分からないから一瞬で忘れた美嘉は特に気にした事もなかった。

「それが、何か?」

「要さまが、椿さまをそのように表現してらしたので」

「で、何かは分かりましたか?」

「植物である事は分かりました。……ただ」

大久保の表情が少しくもる。
美嘉はじっと彼の顔を見つめる。

「……あまり、いい印象を受けないものでして……」

美嘉は明らかに苛立った顔をした。

⏰:08/11/16 01:59 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#539 [向日葵]
どういう事だ。
仮にも要は婚約者だ。
その婚約者が、どうして椿をそんな風に称すのか。

「あ、でも、要さまにも何かお考えがあるのかも……。今のは聞かなかった事にして下さい」

椿は“ギンリョウソウ”を知っているのだろうか……。

「……椿は不幸にはなりませんか?それを、保証出来なければ、美嘉は納得しません」

大久保は一瞬驚いた顔をした後、いつもの彼らしく優しく笑う。

「主人だからという贔屓目を抜いたとしても、要さまは椿さまを大切になさって下さると思います」

大久保は美嘉に並ぶ。
美嘉はまだ不安げな顔で大久保を見ていた。

⏰:08/11/16 02:05 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#540 [向日葵]
「私は今まで、あんなに穏やかに笑う要さまを1人を除いては見た事がありません」

「1人?」

「ご兄妹であります唯子さまでございます」

美嘉は頷く。

「要さまは、いつも孤独に戦ってらしたように思います。ご存知かとは思いますが、要さまは有名ブランドのデザイナーであります。そして、要さまのお父上であります旦那さまも、デザイナーなのです」

美嘉はまた頷く。
大久保のいつもの柔らかな表情は消え、固く厳しいものになっていた。

⏰:08/11/16 02:10 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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