ギンリョウソウ
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#517 [向日葵]
要に身を任せる椿に愛おしさが増す。
気がつけば、彼の手は椿の濡れた頬に触れていた。
導かれるように椿は顔を上げる。
静まりかえって聞こえる音は、どちらの鼓動だろう。
そんな事をぼんやり考えながら、ゆっくりと顔を近づけ、唇を寄せる。
柔らかく触れれば、椿は少し体を硬直させるも抵抗はしなかった。
離れて間近で見る彼女の顔はみるみる赤くなっていく。
そんな椿に、つい自分までもが赤くなった要は、顔を隠す為に椿をギュッと抱き締めた。
彼女の髪から香る匂いが、またドキドキさせる。
:08/10/24 00:12
:SO906i
:☆☆☆
#518 [向日葵]
「……もう怖くなくなった?」
「え……」
「あの人の1件があったからさ……」
聖史の事だ。
椿には辛い記憶。
嫌がる彼女の唇を2度も無理矢理に奪い、要自身も椿に酷い事をした。
そう思えば、照れ隠しに自分から言ったものの、歯をぐっとくいしばる。
「恐くは……ないです。でも……恥ずかしいです……。だから……」
椿は離れると要の少し苦しそうな顔を見てフワリと笑う。
:08/10/24 00:17
:SO906i
:☆☆☆
#519 [向日葵]
「そんな顔しないで下さい。私分かった事があるのです。恥ずかしいのは、きっと、要さまへの気持ちを触れられる度再確認して、くすぐったくなるからですわ」
まっすぐに見つめて、優しげな目が凛とするから、要はハッとして、そして微笑む。
母親と、同じ顔をする。
「ならね、もう1度、くすぐったい思いしてくれるかな……?」
両手で椿の頬を包んだ要は、また彼女の唇に触れる。
自分も、椿への気持ちを再確認するように……。
:08/10/24 00:22
:SO906i
:☆☆☆
#520 [向日葵]
[第12話]
今日は見事な晴天だと思いながら、美嘉はバルコニーへ出て背伸びをする。
寒い空気は寝起きの体には丁度良い。
体の中からリフレッシュするようだ。
「おはようございます」
背伸びの格好のまま後ろを振り返れば、もう完璧に着替えた要の従者がいた。
名前はなんだったか……。
目元のほくろが少しいやらしいなと思うが、本人はとてもいい人なのであまり気にしない。
「おはようございまっす。いい天気っすねぇ!」
:08/10/24 00:29
:SO906i
:☆☆☆
#521 [向日葵]
従者はニコニコして頷く。
「お体を冷やしますから、そろそろ入ってはいかがですか?」
美嘉は一瞬キョトンとするとアハハハと笑い出した。
すると今度は従者の方がキョトンとした。
「美嘉を気遣うなんて無駄ですよ。美嘉この17年間風邪引いた数なんて片手で足りちゃうんですから」
それにそうやって気遣うのは椿や越、家族の他にはいた事がない。自分がボーイッシュな性格と外見をもちあわせているのは理解してるし、女扱いされたいだなんて願望さえ持った事はなかった。
だから従者の一言はとても珍しいものだった。
:08/10/24 00:34
:SO906i
:☆☆☆
#522 [向日葵]
「でも朝ごはんの用意しなくちゃですし、中に入りますよっ」
軽い足どりで中に入れば、外よりかは幾分暖かい。
しかし寒いのは嫌いではないので後で散歩にでも出掛けようかと考える。
するて肩に暖かさが宿る。
フワリとした感触は毛糸で編まれた美嘉のカーディガンだった。
さっき外へ出るまではおっていたが、朝早くの空気を楽しみたくてソファーにかけておいたのだ。
それを従者がかぶせてくれた。
「私もお手伝いさせて頂きます」
にこりと笑うその顔は、大人の男性を感じさせるものだった。
:08/10/24 00:40
:SO906i
:☆☆☆
#523 [向日葵]
―――――――――…………
「クリスマスを一緒に過ごせない?」
起きてしばらくしてから要が椿に話をした。
どうやら彼が隠したかったのはこの事らしかった。
恋人(婚約者)となって初めて過ごすクリスマスなのに、要は仕事で年始まで海外へまた行かなければならなかった。
その事実を知れば、椿が悲しんでしまうのではないかと思った要はもう少ししてから話すつもりだったらしい。
「それをどうして美嘉ちゃんにまで口止めなさってたのですか?」
美嘉が知る必要もないだろうに。
:08/10/24 00:45
:SO906i
:☆☆☆
#524 [向日葵]
:08/10/24 00:46
:SO906i
:☆☆☆
#525 [向日葵]
:08/10/24 00:47
:SO906i
:☆☆☆
#526 [向日葵]
「彼女にクリスマスはどうするのか言われて、ありのまま話したんだ。話し終わってからもし君の耳に届いたら駄目だと思ってね」
なるほど、と椿は相づちをうつ。
と同時に、そこまで自分を想ってくれる要が嬉しかった。
そろそろ自分も下へ降りて、朝食の準備をと、椿はドアに歩み寄る。
しかし、それは要によって遮られる。
「待って」
椿の前に立ち、ドアを背にして通せんぼする。
危うく要にぶつかりそうになった椿は慌てて距離をとる。
要を見上げれば、意地悪くニヤリと笑っている。
:08/10/30 15:48
:SO906i
:☆☆☆
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