ギンリョウソウ
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#95 [向日葵]
差し出されたのは、黒い日傘で、上品にレースがついてある綺麗な物だった。
「え、でも……」
「伝言もあります」
「伝言?」
「「すまなかった」とだけ、言っておりました」
椿は目を見開いた。
どうして謝るの……?
「要さまは、今から1週間程イギリスへ向かわれます。何かお伝えする事はありますか?」
渡された日傘に目を落とす。
これだって、要の作戦かもしれない。
:08/06/30 01:07
:SO903i
:☆☆☆
#96 [向日葵]
けれど、直接伝えてこない不器用な言葉や、ただ返せばいい日傘を買ってきて返す心遣いに、なんとなく胸が温かくなる。
「お気をつけて、とだけ、お伝え願えますか……?」
「かしこまりました」
それだけ言うと、従者は素早く身を翻し行ってしまった。
椿は、貰った日傘を差してみた。
日光に透けたレースを見ると、その柄は小さいけれど椿の形をしていた。
これは作戦?
……それとも。
:08/06/30 01:11
:SO903i
:☆☆☆
#97 [向日葵]
:08/06/30 01:15
:SO903i
:☆☆☆
#98 [向日葵]
携帯変えましたが、向日葵です

:08/07/07 00:19
:SO906i
:☆☆☆
#99 [向日葵]
「椿ー!そんなとこで何やってんのー?」
「あ……いえっ、今戻りますっ」
そう言って椿は美嘉の元へと駆け出した。
椿柄のレースが入った、日傘をさして……。
:08/07/10 21:28
:SO906i
:☆☆☆
#100 [向日葵]
[第3話]
今日は生憎の雨。
どうやら台風が近づいて来ているらしい。
そんなジメジメした空気なのに、椿は広い書庫で探し物をしていた。
体育祭も終わり、今日は代休だ。
ゆっくり休めばいいものの、椿には気になる事があった。
それは、友人である越の家族、“柴”と名乗る男性の事だ。
体育祭で見た彼は、走る為に邪魔なのか、少し長い髪の毛を1つにまとめていた。
それでも椿には見た事がある顔だった。
余計な事だとは分かっている。
でも越に確かめて欲しかったのだった。
もしその人が、自分が知っている人ならば、何の為に越の元にいるのかと……。
:08/07/10 21:35
:SO906i
:☆☆☆
#101 [向日葵]
アルバムをさっきから探して写真とにらめっこするも、彼は写真が嫌いなのか写っているものが見つからない。
「んー……」
越を混乱させたくはないし、これは椿が勝手にやっている事だ。
もう諦めようか……。
椿はそう思い、立ち上がる。
「家宅捜査でもやっているのか?」
振り返れば、要がそこらに散乱しているアルバムを踏まないようにしてこちらに来ている。
「葵さま……。いらっしゃいませ」
椿は深々とお辞儀をしてから「あれ?」と思った。
:08/07/10 21:44
:SO906i
:☆☆☆
#102 [向日葵]
「今日は都内で会合とお聞きしたのですが……」
「何だか知らないけどどこかの重役が予定入ったから中止になったらしいよ。まったく、勝手もいい所だよね」
「で」と要は続ける。
「この騒ぎは何?探し物?」
「あ、ハイ……。友人に柴さまと言う方がいらっしゃいまして、気になる事があったんです……」
それを聞き終えると、要は眉を寄せて難しい顔をした。
椿は首を軽く傾げて、どうしたのかと思う。
「……気になる?」
「あ、ハイ……」
:08/07/10 21:55
:SO906i
:☆☆☆
#103 [向日葵]
「何気になるって」
要は椿に詰め寄る。
椿は目をまんまるくさせてから瞬きを何度か繰り返す。
「え、特には……意味は……」
「婚約者がいると言うのに堂々と浮気する気なの?君は誰のものか分かっているのか?」
そこまで言われ、椿は何故要の機嫌が悪いのかが分かった。
慌てて弁解する。
「そういう事ではありません……っ。恋愛感情って事ではなく、どこかで見た事があるから気になるって意味です」
要は椿をジーッと見つめる。
前のめりに見つめてくるので、徐々に椿の体がのけ反っていく。
「本当に?」
「は、はい……本当です……」
:08/07/10 22:06
:SO906i
:☆☆☆
#104 [向日葵]
「なんだか……返事が曖昧だ……」
それは要のせいだろう。
「そんな事は……」
「無い」と言いかけると、少しずらした足に、散らかしていたアルバムが当たる。
と同時に、のけ反っていた椿の体が更にのけ反った。
「キャッ……!」
「あぶ……っ」
ドスンと大きな音を立てて倒れる。
椿は目をギュッと瞑り、衝撃が来るのを待った。
しかし、いつまでたっても衝撃どころか、痛みすらこない。
:08/07/10 22:12
:SO906i
:☆☆☆
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