愛の在り処
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#64 [果樹]
ただのゴミか。と思って通り過ぎようとした時、微かに聞こえた音。
これからだよね?
聞こえた音を辿って、視線を再度ダンボールに移して、まじまじと見るが何も変わったところはない。
気のせいか。と足を進めようとしたが、今度こそはっきり聞こえた音に私の足は止まる。
:08/06/19 02:04
:P902iS
:☆☆☆
#65 [果樹]
ダンボールの中から聞こえる音が気になり、ダンボールの前にしゃがみこんで蓋を開けると、中ではまだ生まれたばかりの子猫が自分の存在を主張するように鳴いていた。
ミャアミャア
本来は白いはずのその子猫は汚れて灰色っぽくなっていた。
「お前一人なの?」
手を伸ばして頭を撫でると子猫は嬉しいのか目を細めた。
:08/06/19 02:04
:P902iS
:☆☆☆
#66 [果樹]
:08/06/19 02:05
:P902iS
:☆☆☆
#67 [果樹]
この子捨てられたんだ。
でも飼ってあげられない。
一つの命を育てるなんて私には無理だ・・・。
「ごめんね。もっと良い飼い主に拾われなよ」
ぽんぽんと子猫の頭を叩いてから私は立ち上がって、子猫を背に家へと歩き出す。
――――――――・・・・
「ただいまー」
:08/06/20 01:39
:P902iS
:☆☆☆
#68 [果樹]
ガチャンと玄関の鍵を閉めて真っ先に自分の部屋に向かう。
パタンとドアを閉めると鞄をベッドに放り投げてすぐに写真の前に行く。
「お父さんお母さんただいま」
写真の中の父と母に笑いかける。
習慣を終えるとブレザーをハンガーにかけてから部屋を出てリビングに向かう。
:08/06/20 01:39
:P902iS
:☆☆☆
#69 [果樹]
「ふぅ・・・」
一息つくように私はソファに身体を沈めて目を閉じる。
シーンと静まりかえった部屋の中では時計の音が妙にはっきり聞こえた。
その音に混じるようにパチパチと言う音が少しずつ大きくなる。
「雨・・・?」
目を開けて窓を見ると、雨がパチパチと音を立てて窓ガラスを濡らしていた。
:08/06/20 01:40
:P902iS
:☆☆☆
#70 [果樹]
ふと、帰り道で会った猫の事を思い出した。
さっきの猫大丈夫かな。
きっともう誰かに拾われてるよね。うん。
自己完結をするも目が行くのは窓の外。
・・・・・・・・。
・・・・・。
・・・。
ああもうっ!
私はすくっと立ち上がると急いで風呂場に行ってタオルを掴む。
バタバタと廊下を走り、傘を持って鍵もそこそこに急いで家を出た。
:08/06/20 01:41
:P902iS
:☆☆☆
#71 [果樹]
「はぁはぁ」
雨の中走ったせいで足元や肩がほんの少し濡れてしまったが、そんなのも気にせず私は猫が入ったダンボールに駆け寄る。
いませんように。と祈った私の願いも虚しく、子猫は身体を震わせながらダンボールの中で蹲っていた。
「ごめんね」
私はその子猫の姿と自分の姿が重なって悲しい気持ちになった。
:08/06/20 01:42
:P902iS
:☆☆☆
#72 [果樹]
そっと持ってきたタオルで子猫を包み抱き上げる。
暖かいものに包まれたからなのか、子猫は目を細めて気持ちが良さそうだ。
そんな子猫の姿に私は心が締め付けられるようなでも暖かいものを感じた。
「その子飼うの?」
え・・・?
:08/06/20 01:44
:P902iS
:☆☆☆
#73 [果樹]
突然横槍を入れるように聞こえてきた声に振り向けば、背の高い黒髪の優しそうな顔をした男が傘を差して立っていた。
「その子。今君が抱いてる子猫。飼うの?」
男は私の隣に来て、首を傾げながら子猫を指差す。
「わかんない。雨で濡れるのが心配で来ちゃっただけだし」
「ハハッ」
:08/06/20 01:49
:P902iS
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