宝物。
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#663 [みぉり]
「あ・・・」

・・・・・まだ見てるのに、と思ったけれど


森くんがさっさとアルバムをしまったのを見て、口をつぐんだ


カップに手を伸ばして、少し冷めてしまった紅茶を口に運ぶ


「・・・・・でも、結局意味なかった」

⏰:09/07/12 21:17 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#664 [みぉり]
ひどくトーンの落ちたその声に、ふと視線を向けると


頬杖をついて目を閉じた森くんがいた



「・・・・・・・意味がなかった・・・って・・・?」



聞き返す私に、森くんは目を閉じたまま口を開く



「結局、飛び級扱いで楓と同じ学年になれたわけだけど・・・・・傍にいられるようになっても、何も意味がなかったんだよ」

⏰:09/07/12 22:46 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#665 [みぉり]
カチャン・・・・と静かにカップを置いて、その続きを待つ



「同じ学年になったのは・・・・楓が3年ん時。
春から正式に3年のクラスにいたんだけど・・・・
周りは面白がって近寄ってくる奴らばかりだったし、
肝心の楓と同じクラスじゃなくて・・・・
むしろ、あいつは俺とあまり話をしようとはしなくて、
却って遠くなったと思うくらいだった」


「・・・・・そりゃ、いきなり幼なじみが有名人になっちゃったんなら・・・・仕方ないんじゃない・・・?」


きっと、私ならそう思う。
凪が遠くなってしまったら、
今までと同じように、、、なんて戸惑ってしまう


そう思って話すと、森くんは目を閉じたまま首を横に振った。

⏰:09/07/12 22:51 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#666 [みぉり]
「いや・・・楓は校外ではいつも通りだったんだ。
校内にいるときは、俺と一緒にいないようにしてたんだよ。」


じゃあ別に遠くになったわけではないと思うんだけど・・・と感じて
口を開いた。


「?それなら、別に遠くなったわけじゃ・・・・」
「校内だからこそ、俺は一緒にいたかったんだよ」


切実につぶやいたその声に、ぐっと黙ってしまった

⏰:09/07/12 23:15 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#667 [みぉり]
「・・・・・わけわかんなくてな・・・・どうして校内だとあんなによそよそしいんだろうって考えてたある日、その理由を知った」


「・・・・・聞いてもいいの・・・?その理由・・・・」


聞きたいけれど、なぜだか聞いてはいけないような、
そんな気がして確認の言葉をかけた


「・・・・・楓には好きなやつがいたんだ」

⏰:09/07/13 02:23 📱:PC 🆔:Bqns71es


#668 [みぉり]
「ーーっ・・・・・・」


返す言葉がなくて、黙ってしまった


そんなの・・・・・つらすぎる


「しかも、俺の友だち。
もちろん学年は1つ上だったけど・・・・
妙に馬があって、そいつだけは俺を特別に扱わなかったから結構一緒にいたんだ・・・・。
今、思い返せばそいつと一緒にいるときだけは、楓も一緒に笑ってたんだ。」

⏰:09/07/13 02:27 📱:PC 🆔:Bqns71es


#669 [みぉり]
長いこと閉じていた目を開いた森くんは、遠くを見るような眼差しをしていた


「・・・・好きなやつに誤解されたくなくて、
俺と一緒にいないんだってわかったとき、
俺のやってきたことは意味がなかったんだって思い知った。」


「俺はさ、もっと別のことをするべきだったんだよ。
傍にいるために努力することよりも、
あいつの気持ちをどうにかして自分に向けるための方法を考えるべきだったんだろうと思う」

⏰:09/07/13 02:32 📱:PC 🆔:Bqns71es


#670 [みぉり]
森くんはふっと笑って、再び目を閉じた


「そいつのために容姿を気にして、
ダイエットしたり髪を伸ばしたり・・・・
一生懸命な楓を見てむちゃくちゃにしたいと思ったり、
・・・・・初めてみる”女”の楓を可愛いと思ったり・・・・

あの時期が一番、つらかったかもしれねぇな」


黙って森くんの言葉をひとつひとつ聞いていた


何か言葉をかけるなんて、そんな大それたことができるわけもなくて・・・・

⏰:09/07/13 03:08 📱:PC 🆔:Bqns71es


#671 [みぉり]
「・・・・・自分の気持ちにけりをつけたくて気持ちを伝えようと考えたりもしたけど・・・・
結局、楓と幼なじみの関係を断ち切ることが怖くて
・・・・そのままでいようと決めたのに
あまりに無防備な楓を押し倒してぇ
なんて感情も生まれてきて
わけわかんなくて、自分の気持ちがパンクしかけた」


あぁ・・・・そうか
前に話していたときに言っていた


『あいつを傷つけるくらいなら、いっそ離れてしまえばいいと思ったんだ』


あの言葉の裏には・・・・こんなにたくさんの想いや出来事があったんだ

⏰:09/07/13 03:20 📱:PC 🆔:Bqns71es


#672 [みぉり]
「だから・・・・・全部、やめることにしたんだ
勉強も運動も、人並み程度にしかしないようにしたり
学年を戻してもらったりして・・・・学校での距離をとった

・・・・そのタイミングで、楓に彼氏ができて
家に来ることもどんどん少なくなって・・・・あっという間に離れちまった」



身体を起こして、ケトルのお湯を新しい茶葉を入れたティーポットに注ぐ森くん


「・・・・・で、今の状態に至る・・・・ってわけ」

⏰:09/07/13 03:29 📱:PC 🆔:Bqns71es


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