...虹色Romance
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#28 [Loki弥]
「それよりさ」
話題を打ちきって、京次郎がずいっと俺に顔を寄せた。
「なんでお前、沙耶の姉貴と仲良いわけ?」
「沙耶…?」
たぶん、彩音さんの妹のことだろう。
思い至ると、京次郎はジト目でこっちを見た。
:08/07/21 11:37 :SO903i :xefjfxCc
#29 [Loki弥]
「まさかお前、人妻を…」
「ちっがう!」
それは、俺の方が先に考えたことだ。
否定すると京次郎は笑った。
「としたら、娘の方か…なかなか特殊な性癖をお持ちで」
「アホ!お前じゃねーんだからそんな変なこと考えねぇよ!」
「へー」
嫌味も交えたつもりだったが、京次郎は軽く流した。
:08/07/21 16:41 :SO903i :xefjfxCc
#30 [Loki弥]
そのまま二人して部屋に帰ったのだが、何も話が聞けないまま京次郎は寝てしまった。
はらいせとばかりにギターを引くが、起きない。
(ホントに疲れてんだな…まったく、どんだけ遊び回ってんだ)
窓から入る風は熱風で暑苦しい。
俺はギターを片付けると、京次郎の横に転がって寝た。俺も夜はバイトがある。
:08/07/21 17:39 :SO903i :xefjfxCc
#31 [Loki弥]
目が覚めると、京次郎はもう出掛けていた。
バイトなのか、また遊び回ってるのか…あるいは、もっと別のことか。それは判らないが、時刻は既に19時をさしていた。
「やっべ、遅れる」
身の回りを片付けて、部屋を出ようとした。
そこで気付くのだが、着ていなかった筈の布団を俺は着ていたようだ。
:08/07/21 20:52 :SO903i :xefjfxCc
#32 [Loki弥]
(……こんな所は優しいのに)
ますますアイツのことが分からなくなった。
アイツは自分の素性を一切話さない。何処か田舎から出て来たのかとか、地元の奴だとか、そんなのも知らない。
ましてや、沙耶さんとどんな付き合いをしているかなんて。
「………」
俺は無言で部屋を出た。
:08/07/21 20:55 :SO903i :xefjfxCc
#33 [Loki弥]
チャリをとばしてバイト先に向かう。
だんだんと道も暗くなって、街灯がうっすらつき始めた。
「……?」
公園に、誰かいる。
それも小さい影。
まさかと思い目を凝らすと、やはりそれは。
「奈央…?」
:08/07/21 21:21 :SO903i :xefjfxCc
#34 [Loki弥]
駆け寄ると、奈央はジャングルジムに寄りかかっていた。
「奈央ちゃん」
声を掛けると、奈央はぱっとこっちを向いた。そして安堵したように顔を明るくする。
「また…ひとり?」
「うん」
とりあえず、バイトは遅れる。これは時間からして決定項だった。
:08/07/21 23:08 :SO903i :xefjfxCc
#35 [Loki弥]
もしかしたら京次郎がまた行ってるのかも、と話を聞いてみると、今度は沙耶さんと言い合いをしているらしい。
「奈央ちゃんも困るよな」
「怖いおかーさん嫌い」
「…そうだよな……」
うちの親は、俺がガキの頃に離婚した。その頃は毎日口喧嘩が絶えなくて、怖かったことを覚えている。
たぶん、そんな感じなのだろう。
:08/07/22 06:56 :SO903i :JKtyHCzs
#36 [Loki弥]
うん、このままじゃいかんよな。
奈央にとっても、彩音さんにとっても…京次郎にとっても。
「今日はとりあえず、おうちに帰りな」
「えー、いやあ」
自転車を突きながら、また俺は彩音さんの家に向かった。
…静かだ。
きっと言い合いは終わったのだろう。
「…ほら、奈央ちゃん」
:08/07/24 17:22 :SO903i :5THbKbSA
#37 [Loki弥]
渋々家に帰る奈央。
俺はバイト先に欠席の連絡をし、自転車を飛ばした。
(……アイツが行きそうなとこって、何処だろ…)
月が徐々に高い位置に昇って来る。俺は目的地もなくやみくもに漕いだ。
見つかる可能性の方が低いというのに、路地や裏道も入って。
(……あ)
い、た。
:08/07/24 17:35 :SO903i :5THbKbSA
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