○アダムの唄○
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#101 [紫陽花]
父親譲りの切れ長の細い目を少しつり上げて央里は問う。
真紀は下唇を軽く噛み、いつもはクリクリと可愛らしく動いている瞳をギュッと瞑り、ゆっくりと重い口を開いた。
「央里、あなたの才は……」
真紀は今にも泣きそうな顔で央里を見つめる。
たった数秒の躊躇いが央里を何故か不安にさせた。
“なに躊躇ってんだよ!?”
そしてまたも数秒躊躇ってから真紀は意を決したように前を、央里を見据え叫んだ。
「あなたの才は……『運命を変える才』なのよ……!!」
:08/08/14 23:23
:F905i
:Ex7GHojw
#102 [紫陽花]
 ̄
「……はぁ?運命?」
:08/08/15 21:32
:F905i
:.7hhoXCo
#103 [紫陽花]
「央里、さっきアダムの予言の話したよね?あれには続きがあってさ……」
今度は傳が口を開いた。
パサリと乾いた音を立て、またも“アダムの唄”をめくり、指である一点を示す。
「アダムの唄の最後に……そう、この頁に『夏が終わる頃、地球は滅びる』って書いてあるんだ……」
「はぁ?本当にその予言あたんのかよ?外れないわけ!?」
:08/08/15 21:33
:F905i
:.7hhoXCo
#104 [紫陽花]
目を大きく見開き、半ば叫ぶように声を荒げた央里とは反対に、この部屋にいる央里以外の全ての者が静かに俯いた。
「兄ちゃん……今のところ、この本の予言は外れたことがないんだよ。だから、外れる可能性は……すごく低い」
榎久はそれだけ言うと、キュッと唇を結び、クリクリのかわいい目を伏せて静かに俯いた。
:08/08/15 21:34
:F905i
:.7hhoXCo
#105 [紫陽花]
「榎久……なぁ親父。なんとかなんねーのかよ!?このまま死ぬなんて俺、嫌だぜ!!」
叫び声と共に、バンっと両拳で机を叩いた音が響く。
央里は自分の中に収まりきらない苛立ち、不安を外へ投げだそうとしたのだろう。
いきなりに突きつけられた世界滅亡の話は彼にとって信じがたいものだった。
だが“アダムの唄”の不思議な移動能力や、記された予言を目の当たりにした央里には完全に否定することは不可能だったのだ。
:08/08/15 23:46
:F905i
:.7hhoXCo
#106 [紫陽花]
「央里……お前の才は何だったか覚えてるな?」
衛はゆっくりと央里を宥めるように穏やかに語りかけた。
「俺の才は……運、命を変え……る」
「そうだ。この揺るぎない運命を変えることが出来るのはお前だけなんだ!!!」
衛も真紀も榎久も傳も突き刺すように央里を見つめる。
:08/08/15 23:47
:F905i
:.7hhoXCo
#107 [紫陽花]
まるで何か巨大な力に祈りを捧げるように、すがりつくように視点を一点にあわせる。
「そんなこと言われたって……」
周りに聞こえるか聞こえないかギリギリの音量で央里は呟いた。
“自分にはできない”
“運命を変えるなんて……”
「央里。これは現実であり同時に真実でもあるんだ……」
小さいながらもハッキリと芯のある声で傳は、言った。
:08/08/15 23:48
:F905i
:.7hhoXCo
#108 [紫陽花]
 ̄
“宇峰 央里”という人物の運命の歯車はこの日から壊れてだして、いや、動き出していたのかもしれない。
:08/08/15 23:49
:F905i
:.7hhoXCo
#109 [紫陽花]
:08/08/18 23:58
:F905i
:TWD9QkBw
#110 [紫陽花]
「運命ねぇ……」
時刻は6時48分。
央里はベッドの上で枕元の時計をのぞき込みながら呟いた。
今日は日曜日ということで学校は休みなのだが、毎日の習慣というものは恐ろしく、央里はいつもの起床時間に目が覚めてしまっていた。
昼間の焼き付けるような太陽の光とはうって変わって、カーテンから溢れ出す早朝の太陽は、寝起きの央里の目を優しく刺激する。
:08/08/18 23:59
:F905i
:TWD9QkBw
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