○アダムの唄○
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#118 [紫陽花]
「なるほど。まさに未知の生物って奴ね。……なぁ、さっきから聞こうと思ってんだけど榎久は何でそんなにこの話について詳しいんだ?」
「ほぇッッッ?」
榎久はいきなり話題を降られたことでビクッと肩を揺らした。
クリクリの目をさらに驚きに丸める。
:08/08/19 23:45
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#119 [紫陽花]
「えっとね、“アダムの唄”のこととかは学校で習ってるんだ。小学校の時からずっと」
「あれ?でも俺習ってないよ?今初めて聞いたし」
「兄ちゃんはほら……
この話の当事者だから、先生達も兄ちゃんが分別のある年になるまで秘密にしとこうって言ってたよ」
「分別、ねぇ……普通こんな大切なこと秘密にするか?」
央里は呆れたように首を横に振る。
:08/08/22 01:00
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#120 [紫陽花]
「仕方ないよ。“運命を変える才”を持つのは世界で兄ちゃんだけだし、何より未来を変える救世主だからね!!」
榎久は目を輝かせ、兄である央里のことを誇らしげに言う。
「はぁ……
で、親父と榎久の話からすれば、俺はイヴってやつを探せばいいのか?そうしたら地球滅亡の運命は変わるんだろ?」
「そうだ。少なくとも、今までの研究ではそれが一番確率の高い地球滅亡の回避方法だと言われている」
:08/08/22 01:02
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#121 [紫陽花]
衛は間髪入れずに央里の意見を肯定する。
まるで央里がその答えにたどり着くのを待っていたかのように素早い応答。
「そこでだ!!準備が出来次第、央里は傳君と共に旅にでてもらう」
「はぁぁぁああ!?」
「すいません、お茶を注いでいただけますか?」
驚きを隠せず目を丸める央里とは対照的に、傳は真紀にお茶を要求するほど落ち着き払っていた。
:08/08/22 01:04
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#122 [紫陽花]
「目的地は傳君が知ってる。だから央里は、ついて行くだけでいいよ」
「兄ちゃん、旅するなんてうらやましいなぁ〜。救世主っぽいよ!!なんか色々と頑張ってね!!」
追い打ちをかけるように、榎久までも央里に無邪気な笑顔でエールを送る。
“もう、引き返せない……”
その夜、央里には落胆のため息を吐くことしかできなかった。
:08/08/22 01:05
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#123 [紫陽花]
――――――………
――――………
「くそっ。あのバカ親父。勝手に決めやがって……」
衛への行き場のない怒りはピークを迎え、ついには溜め息しか出てこなくなった。
時刻は7時6分。
“日曜だし、どうせだれも起きちゃいないだろうな”
と一度は思ったものの、早朝から予想以上に泣きわめく腹のムシを黙らせるために台所へと向かった。
:08/08/24 23:39
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#124 [紫陽花]
「あら、おはよう。おうちゃん起きてたの?」
父の趣味である観葉植物たちが立ち並ぶリビングを通過し、台所へと足を踏み込むと真紀の姿があった。
「はよ……。目、覚めちゃってさ。それよりなんか食べるもんある?」
だが、よく見れば真紀は赤いチェックのパジャマ姿。
真紀も今起きたばかりなのだろう。
そんな母に起きてすぐ食べ物を要求するなんて……。
央里は俯き、自分の食い意地にほとほと呆れた。
:08/08/24 23:40
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#125 [紫陽花]
「お腹すいたのね。何か作るわ」
「ん……。ありがと」
しばらく冷蔵庫を漁る真紀を見ていたが、
「なに見てんのよ……」
とドスの利いた声と共に睨まれた央里は、仕方なく衛の観葉植物たちに水をやることにした。
日曜の朝と言うこともあり、外から全く音がしない。
:08/08/24 23:41
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#126 [紫陽花]
たまに何か聞こえたかと思っても、台所からの真紀の鼻歌ぐらいのもので、心地良い静けさが央里の耳を包んでいた。
数分後、台所からは何かを炒めるような油の音と、食欲をそそる香ばしい匂いが。
「おうちゃーん!!出来たよ〜!!」
水やりをしていた手を止め、央里はいそいそと台所へ向かう。
:08/08/24 23:42
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#127 [紫陽花]
「……うまそっ!!」
央里の目に、テーブルの上に温かい湯気を出しながらも美味しそうな匂いを放っている目玉焼きと白ご飯が飛び込んできた。
「はい、ケチャップ」
央里は醤油派でもソース派でもなく、胡椒のたっぷりかかった目玉焼きにケチャップをかける派だった。
:08/08/24 23:42
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