○アダムの唄○
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#142 [紫陽花]
――――――………

――――………

夏も終わりに近づき、刺すような日差しが少しだけ柔らかくなった8月中旬。

ようやく出発の日が決まった。

⏰:08/08/26 23:49 📱:F905i 🆔:wRVlfP.Q


#143 [紫陽花]
時刻は9時13分。
央里、傳の二人は玄関で最終チェックを受けていた。

「おうちゃん!!ハンカチ、ちり紙持った!?」

「…………」

「傳君!!“アダムの唄”持ったかい?」

「…………はい」

必要以上に世話を焼く二人。

何かしてないと落ち着かない、そういったかんじだ。

⏰:08/08/26 23:50 📱:F905i 🆔:wRVlfP.Q


#144 [紫陽花]
白のTシャツにジーパンの央里の手荷物は、今はいているジーパンの中の携帯と財布のみ。


ボタンをあけた紺に白の細いボーダー柄のシャツを着た傳も同じ様に、スーツケースのような大きな荷物は持っていない。

かわりに小さな白地に緑のロゴの入ったエナメルバックを肩から下げているだけだった。

「なぁ、本当にこれだけでいいのかよ?」

⏰:08/08/26 23:52 📱:F905i 🆔:wRVlfP.Q


#145 [紫陽花]
荷物はできるだけ少ない方がいいだろうが、さすがの央里もこの少なさには焦りを隠せなかった。

「大丈夫。これ見せればみんな協力してくれる……」


傳はエナメルバックを指差す。
エナメルの中身は間違いなく“アダムの唄”。

「……はぁ?」

央里ひ信じられないとでも言うように首を傾げた。

⏰:08/08/28 23:28 📱:F905i 🆔:kt91UOxg


#146 [紫陽花]
「さぁさぁ、二人とも時間だ」
だが、そのことにそれ以上ふれることなく、衛が出発を促した。

「じゃあ、さくさくっとイヴ見つけて帰ってくるから」

央里は衛、榎久を見た後真紀をゆっくりと見てからピースサインを向ける。

真紀の瞳には今にもあふれ出しそうなほどの涙が。

⏰:08/08/28 23:29 📱:F905i 🆔:kt91UOxg


#147 [紫陽花]
だが、その滴で自分の頬を濡らさぬよう精一杯の笑顔を作り

「いってらっしゃい」

とだけ言った。


「傳兄ちゃんも気をつけてね!!」

両手でガッツポーズを作り榎久はエールを傳に送る。

「ありがと……」

照れくさそうに左手で鼻を擦りながら傳も笑顔で答えた。

⏰:08/08/28 23:30 📱:F905i 🆔:kt91UOxg


#148 [紫陽花]
「疲れたらすぐに帰っておいで。おまえたちの家は此処なんだから」

「おう!!じゃあ、いってきまーす!!!」

元気よく玄関の扉を開けると、澄み切った青空が広がっている。

空も央里たちを応援するかのように眩しく煌めく。

こうして運命を背負った二人は“イヴ”を探すという運命の歯車を回し始めた。

⏰:08/08/28 23:32 📱:F905i 🆔:kt91UOxg


#149 [紫陽花]
――――――…………

―――――……

「衛さん。親が待ってるだけなんて寂しいわね……」

「なぁに、あいつ等は運命を変えて、すぐに帰ってくるさ!!」

二人は央里たちの出て行った玄関を見つめながら、そっと寄り添った。



「ねぇ父ちゃん……」

「ん?何だ榎久?」

⏰:08/08/28 23:33 📱:F905i 🆔:kt91UOxg


#150 [紫陽花]
「兄ちゃんに“宇峰”の姓のこと話してないよ。
“14番目”のことも“ネイク”のことだって話してないけど、よかったの?」

「……あ゙あ゙ぁぁぁぁ!!言うの忘れてた!!」

衝撃を受けている衛をよそに、真紀と榎久は呆れたようにため息を吐き、冷たい視線を送った。

⏰:08/08/28 23:35 📱:F905i 🆔:kt91UOxg


#151 [紫陽花]
「だ、大丈夫!!
央里たちが向かった場所で誰かが話してくれるよ!!!!」

目を泳がせながら、衛は逃げるように一歩また一歩と後退りする。

「こんな親父で、可哀想な兄ちゃん……」






………央里と傳の前途多難な旅は、始まったばかりである。

⏰:08/08/28 23:36 📱:F905i 🆔:kt91UOxg


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