○アダムの唄○
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#164 [紫陽花]
その礫は前を走っていた傳のを追い越し、高くそびえ立っていた樹に命中した。

それを見て傳は叫ぶ。

「央里、絶対にこの礫に当たんなよ!!毒が塗ってあるからな!!」

そして同時に傳の表情が一層厳しいものになった。

それでも、アダムの唄を使わず走っているということは、赤いスーツの男に裏技は通用しないと知っているのだろう。

⏰:08/09/05 22:37 📱:F905i 🆔:uLrgapLA


#165 [紫陽花]
「つ…たえ!!お前、し、知り合いなのか?」

息が切れて上手くしゃべれない。

だけど、あの男と傳の関係は聞かなければならない。

二人に何があったかは知らないが、央里が命の危機に晒される理由などないのだから。

⏰:08/09/05 22:38 📱:F905i 🆔:uLrgapLA


#166 [紫陽花]
「あ、いつは……ネイクの“三鬼心”の内の一人……」

「さん、き、しん?」

前を見て走っていた傳が一瞬だけ後方にいる央里を見た。

「あと…で話す…から、とりあえず…今は、逃げろ!!アイツはヤバいんだ!!!!!」

そう言って視線を前に戻した傳は、急に目の前に現れた赤いものに驚き足を止めてしまった。

⏰:08/09/05 22:39 📱:F905i 🆔:uLrgapLA


#167 [紫陽花]
「やぁ、野胡瀬 傳君。久しぶりだね」

いつの間にか赤スーツの男は央里と傳の前方に回り込んでいた。

180はゆうに越えているであろう長身と、その身長の真ん中まである長髪。

一見、赤いスーツに身を包んだ長髪の男はホストのようにも見える。

だが、ホストのような闇のオーラではなく、この男はどこか落ち着きのある穏やかなオーラを持っていた。

⏰:08/09/05 22:41 📱:F905i 🆔:uLrgapLA


#168 [紫陽花]
「紅(クレナイ)……」

「僕の名前を覚えていてくれたんですね。光栄です」

紅と呼ばれた赤スーツの男は軽く会釈をして微笑む。

けれど、目が笑っていない。

「傳の隣にいるのが央里君でしょうか?初めまして紅といいます。あなたを殺すために参上いたしました」

一瞬耳を疑いたくなるような言葉をサラリと言ってのけた。

⏰:08/09/05 22:43 📱:F905i 🆔:uLrgapLA


#169 [紫陽花]
「……はぁ?」

この男は物腰の柔らかそうな口調で自分を殺すという。

傳はネイクの使者だと言っていたが、今までの黒スーツの奴とは明らかにオーラが違う。

黒の奴らは感情をむき出しにして真っ直ぐに央里をねらった。

だが、この男はすぐに殺そうとはせず、むしろ余裕をもって央里に接近してくる。

⏰:08/09/06 23:15 📱:F905i 🆔:gpGf0D62


#170 [紫陽花]
“お前ごとき、すぐに殺せる”
とでも言っているように。


紅が央里とにらみ合っている間、傳はどうやってこの状況を回避するかを考えていた。

ちらりと央里を見てみても、自分を殺しに来たと言われたのにも関わらず、それほど焦ってはいないようだ。

⏰:08/09/06 23:16 📱:F905i 🆔:gpGf0D62


#171 [紫陽花]
半年ほど前の、まだ肌寒さの残る春のはじまりに傳は紅と一戦交えたことがあった。

その時は真っ正面から戦いを挑んだのだが、アダムの唄を使って逃げる暇もなく何発も礫を体にくらい、傳は紅にかすり傷一つ負わすことが出来なかった。

痛みと殺されるという恐怖で傳の意識が朦朧とする中、紅はある提案を傳に持ちかけた。

⏰:08/09/06 23:17 📱:F905i 🆔:gpGf0D62


#172 [紫陽花]
「これからお前が探しに行く『宇峰 央里』と接触するな。そうすればお前は殺さない」

「…………」

無言のまま紅を睨む。
その行為は紅の提案を拒絶するということでもある。

「なるほど……。でもまぁ今回は貴方のその強気な態度に免じて見逃しましょう。けれど、次あったときは……」

そう言い残して紅はゆっくりと傳に背を向け立ち去った。

⏰:08/09/06 23:19 📱:F905i 🆔:gpGf0D62


#173 [紫陽花]
今思い出してもあの時の恐怖感が体を駆けめぐる。

傳は一種のトラウマのようなものを紅に感じていた。

「傳君。あのときの約束、覚えてますよね?今ならまだ許します。央里君を置いてここから去りなさい。忠告はここまでです」

紅は腕を組み《最後》の忠告をした。

⏰:08/09/09 00:04 📱:F905i 🆔:j46ZM4TM


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