○アダムの唄○
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#172 [紫陽花]
「これからお前が探しに行く『宇峰 央里』と接触するな。そうすればお前は殺さない」

「…………」

無言のまま紅を睨む。
その行為は紅の提案を拒絶するということでもある。

「なるほど……。でもまぁ今回は貴方のその強気な態度に免じて見逃しましょう。けれど、次あったときは……」

そう言い残して紅はゆっくりと傳に背を向け立ち去った。

⏰:08/09/06 23:19 📱:F905i 🆔:gpGf0D62


#173 [紫陽花]
今思い出してもあの時の恐怖感が体を駆けめぐる。

傳は一種のトラウマのようなものを紅に感じていた。

「傳君。あのときの約束、覚えてますよね?今ならまだ許します。央里君を置いてここから去りなさい。忠告はここまでです」

紅は腕を組み《最後》の忠告をした。

⏰:08/09/09 00:04 📱:F905i 🆔:j46ZM4TM


#174 [紫陽花]
「……………」

だが傳は前と同じで、拒絶を表すように紅を睨むだけ。

しばらく沈黙が続いた。

「またも私は傳君からのよい返事を聞けないのですね。残念です……」

諦めたように組んでいた腕をほどき、そのまま右手を胸ポケットに滑らす。

ポケットから取り出したのは小さな10センチほどのナイフ。

⏰:08/09/09 00:05 📱:F905i 🆔:j46ZM4TM


#175 [紫陽花]
そのナイフは、この森の中のわずかな日の光を自らに集め、ギラギラと鈍い光を放つ。

そして紅はその刀身を傳の首筋にピタリと当てた。

このまま一気にナイフをスライドさせれば、傳の首は痛いだけではすまされない事態に陥るだろう。

傳の瞳が恐怖にゆがむ。

⏰:08/09/09 00:07 📱:F905i 🆔:j46ZM4TM


#176 [紫陽花]
「おっと、央里君も死にたくなかったら動かないで下さいよ」

紅は、必ずこの場から傳を助け出そうとするであろう央里も“殺す”という脅しをかけて動けないようにする。

「さようなら、傳君……」

手に持ったナイフを手前にスライドする……
と、その瞬間、急に投げ込まれた何かが紅のこめかみに命中した。

「なっ……石!?」

⏰:08/09/09 00:08 📱:F905i 🆔:j46ZM4TM


#177 [紫陽花]
瞬時に紅は央里を見る。

だが、央里は一歩も動いていないし、むしろ突然視界に入ってきた石に驚いていた。

「傳君……。仲間がもう一人居たんですね。それは予想してませんでしたよ」

眉をつり上げ、悔しそうに言い放つその言葉に、今度は傳が疑問の表情を作る。

「傳君の仲間でもないんですか……?」

そう言った直後、今度は紅の顔が怒りに変わっていく。

⏰:08/09/09 00:10 📱:F905i 🆔:j46ZM4TM


#178 [紫陽花]
「隠れてないで出てこい!!」

紅の声は光と闇の交差する森に何度となく、こだました。

「うっさいわね!!叫ばなくても聞こえてますから!!」

急に傳の右側から声がした。
あまりにも突然すぎて傳もビクッと驚いたように肩を揺らす。

「君は……?」

⏰:08/09/11 19:58 📱:F905i 🆔:DkKI2DMA


#179 [紫陽花]
傳が不思議そうに右側を見ると、そこには黒いスカートに白のポロシャツを着た女の子がたっていた。

この森の暗闇のせいで他のところはよく見えない。

「話は後!!援護するからアダムの唄を使ってあそこで突っ立ってる奴と單柵村に入りなさい!!」

そして言い終わらない内にスカートのポケットから丸いピンポン球のような何かを取り出し、地面に叩きつけた。

⏰:08/09/11 19:59 📱:F905i 🆔:DkKI2DMA


#180 [紫陽花]
次の瞬間、あたりに灰色の煙が広がる。

「なっ!!煙幕か!!!!」


紅が叫んだところで灰色の煙は濃くなっていくばかり。

おさまる気配などまったくない。

灰色の煙が薄くなってきた頃には、紅の視野からは央里と傳そして謎の女の影も形も消えてなくなっていた。

⏰:08/09/11 20:01 📱:F905i 🆔:DkKI2DMA


#181 [紫陽花]
――――――――…………

――――――………

「もう!!だから制服のままあの森に入るの嫌だったのよ!!制服がドロドロだわ……」

央里、傳を助けた女は單柵村に着くなりキーキーと、かなりき声をあげ文句をこぼした。

移動で生じたアダムの唄の泡を払いながら、央里と傳はまじまじと女を観察していた。

⏰:08/09/13 18:11 📱:F905i 🆔:1P.Qublk


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