○アダムの唄○
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#24 [紫陽花]
“くそっ!!!逃げるしか……ないな!!”

そう思うのと、央里の体が動くのは同時だった。
右足に力を入れて右に駆け出す。もちろん黒スーツの男から視線は外していない。
それに続いて銃を構えていた男も右側へ腕を旋回させ――…

パンッッッ!!

打った。
弾丸は央里の左足元に着弾し、ガキンと鈍い音を鳴らす。

⏰:08/07/27 00:11 📱:F905i 🆔:8Tr2lYKI


#25 [紫陽花]
「キャ――――!!」

女性の叫び声が聞こえ、それを合図に人々は急に騒ぎ出し、狂ったようにその場から走り去った。

「逃がしません……」


黒スーツの男は首をキョロキョロと振り央里の姿を探すが、突然の銃声で人が波のように逃げ出したため姿を追うことは不可能に近いことは目に見えていた。

⏰:08/07/27 00:12 📱:F905i 🆔:8Tr2lYKI


#26 [紫陽花]
それに耳を澄ませばサイレンがだんだん近づいてくるのがわかる。

「チッ……」

スーツの男は舌打ちに近いものを発して、騒ぎ立てる人混みの中へ影のように静かに姿をくらました。

⏰:08/07/27 00:13 📱:F905i 🆔:8Tr2lYKI


#27 [紫陽花]
―――――――………

―――――………

「あ――!!死ぬかと思った……俺が何したってんだよ!!!!!」

無事に人混みに紛れ逃げることが出来た央里は家の近くの道を歩いていた。
全力疾走して逃げたのだ、央里は肩で息をし、呼吸も荒々しい。
拭っても拭っても、額から、頬から、背中から汗が噴き出し薄っぺらいシャツを濡らしていく。

⏰:08/07/28 00:16 📱:F905i 🆔:RrJlWcGc


#28 [紫陽花]
「とりあえず、帰るか」

そう呟いて央里は夕日の沈む方へとまた足を進めた。

―――――――………

―――――………

「ただいまー」

「あら、お帰り。おうちゃん」

ここは、結構な金持ちたちが住む住宅地の一角であり、同時に央里とその家族の住む一軒家のある場所だ。
周りはアスファルトでできた家々が立ち並び、個々の持つ庭の季節にあわせた花々が凛々と咲き誇っている。

⏰:08/07/28 00:17 📱:F905i 🆔:RrJlWcGc


#29 [紫陽花]
>>28 訂正
× 周りはアスファルトで
○ 周りはコンクリートで


なんてミスだ……

⏰:08/07/28 00:19 📱:F905i 🆔:RrJlWcGc


#30 [紫陽花]
「おうちゃんって呼ぶなよ、お袋」

「え〜いいじゃない」

央里の母、真紀は台所で夕飯のカレーを作りながら、息子をからかうようにケタケタと笑いながら答えた。

カレーの少し辛い臭いの充満した台所で、笑う度に小刻みに揺れるショートカットが真紀が央里に背を向けていても、からかうことを心から楽しんでいる様子を連想させる。

⏰:08/07/28 00:19 📱:F905i 🆔:RrJlWcGc


#31 [紫陽花]
「それより、おうちゃん。病院行ってきた?今日は検査の日でしょ」

靴を脱ぎ、靴下までも脱いでいた央里の動きが一瞬止まる。

「い、いや……行こうとしたんだけど「ふ〜ん。行こうとしただけなんだ」

まさに蛇に睨まれた蛙。央里は目を泳がせ、背を向けている真紀に苦笑いをする。

⏰:08/07/28 00:21 📱:F905i 🆔:RrJlWcGc


#32 [紫陽花]
「大変だったんだよ!!ホントに色々あって……」

そこまで言って央里は口を閉じた。

“殺されそうになったなんて言えるかよ……”

親にこれ以上、心配をかけたくない。それが央里の本心だった。

「あんたね――…」

はぁ、と真紀は大きなため息を吐く。

⏰:08/07/28 00:23 📱:F905i 🆔:RrJlWcGc


#33 [紫陽花]
央里は半年に一度、病院へ通っている。
生まれた時から肋骨が一本欠けており、それを不思議に思った医者は半年に一度病院へ来てレントゲンを撮るように央里の両親に話していた。

「まぁいいわ……着替えてきなさい。すぐ夕飯にするから」

「……おう」

央里は煮え切らない表情で台所を通り抜け自分の部屋へと進んだ。

「ついにあの子もアイツらに見つかってしまったのね……」

央里のいなくなった台所で真紀は呟いた。
その顔はどこか悲しげで、やりきれない、といったものだった。

⏰:08/07/28 00:24 📱:F905i 🆔:RrJlWcGc


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