○アダムの唄○
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#71 [紫陽花]
「まぁまぁ、礼儀正しい子ね。話は聞いてるわよ。さぁ、上がって……って鍋火にかけっぱなしだったわ!!」
真紀は傳に得意の凛々とした笑顔で微笑む暇もなくバタバタとリビングへと舞い戻った。
「央里のお袋さん、元気な人だね……」
「まぁな」
央里は少し呆れながら真紀の元気さを肯定して、「でも自慢のお袋だよ」と付け足した。
:08/08/06 20:52
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#72 [紫陽花]
――――――………
―――――……
「ちょ、お前どんだけカレー好きだよ」
央里は隣に座り黙々とカレーを食べる傳を見ながら呟いた。
「激ウマ……」
食べる手を休めずに傳は感嘆の声を漏らす。ちなみに今食べてるカレーは大盛で3杯目。
:08/08/08 00:25
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#73 [紫陽花]
「カレーは世界で一番美味しいですよね。真紀さんのカレー本当に美味しいです……」
「あらあら、美味しいって言ってくれるなんて母さん嬉しい〜!!おかわりいかが?」
「すいません。頂きます……」
そして傳は4杯目に突入した。
「遠慮ってものを知れよ」
「カレーは僕の大好物なんだよ……」
深いため息をはきながら、もういいやと言うように央里は首を振った。
:08/08/08 00:26
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#74 [紫陽花]
「おうちゃんも食べれるときに食べときなさい。腹が減っては戦は出来ぬってね!!」
「はぁ?戦ってなんだよ。戦って」
渋々、央里は傳や真紀に突っかかることを止め一口一口ゆっくりとカレーを頬張った。
甘口のはずのカレーが口の中をピリピリと刺激する。
:08/08/08 00:27
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#75 [紫陽花]
「ただいま〜!!あれ、兄ちゃんのお友達さん?」
母譲りの元気な声で帰宅したのは、央里の弟である榎久(カク)だった。
切れ長の目を持つ央里とは反対にクリクリとした瞳を持ち、それと同時に、野球部でもある榎久は頭もクリクリの坊主である。
「まぁ、友達……かな」
制服のままに駆け寄ってきた榎久の頭を撫でながら苦笑いで傳のことを説明する。
央里にとって榎久は、いや、榎久のクリクリ坊主頭は癒しそのものであった。
:08/08/08 00:28
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#76 [紫陽花]
「かくちゃん〜ご飯食べる前は手洗いうがいでしょ。いい子なんだから早く手洗っといで」
榎久の分のカレーをつぎながら真紀は指示を出す。
「あ〜い!!ったくもう、すぐ子供扱いするんだから」
プリプリと不満を漏らしながら榎久は洗面所へと姿を消した。
:08/08/08 00:31
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#77 [紫陽花]
「弟さん……?」
今まで4杯目のカレーにラストスパートをかけていた傳が、榎久の向かった洗面所へと目線だけ動かし口を開いた。
「あぁ、坊主可愛いだろ?」
ニカっと笑う央里を横目に、傳はカレーに最後のラストスパートをかけていた。
:08/08/08 00:32
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#78 [紫陽花]
―――――………
――――……
「なぁ、そろそろアダムの何とかって本の秘密教えてくれよ!!」
「ダメ!!まだ衛さんが帰ってきてない……」
「親父になんの関係があんだよ〜」
央里と傳は、もう3回ほどこの会話を繰り返していた。
:08/08/09 23:43
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#79 [紫陽花]
家族そろうまでアダムの唄の話をしないなんて絶対におかしい。
家族会議でもしなければならないのか?
央里の本に対する疑問は更なる疑問を招き、考えれば考えるほど謎は深まるばかりだった。
「ただ〜いま〜「親父だ!!」
やはり一番早く衛の帰りに気付いたのは央里である。
ちょうどいいタイミングで風呂に入っていた榎久も風呂から上がり、真紀も食器をなおし終え、衛もリビングへと姿を現した。
:08/08/09 23:45
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:zljB7mjM
#80 [紫陽花]
衛はカッターシャツのボタンをニ三個外し、右手に持ったタオルで額を拭く。
かけていた黒縁のめがねを取り、汗でくっついた前髪をかきあげると央里とそっくりな切れ長の瞳が現れた。
そして衛の少し出っ張り始めたお腹が、どこか憎めないコロコロとした優しい印象を与える。
:08/08/11 21:42
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