○アダムの唄○
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#98 [紫陽花]
アダムは人間だ。
だからいずれ死を迎える。
そこら辺のことを考えてアダムはイヴと共に、生きているうちに沢山の子孫を残していった。
といっても、せいぜい10人程度だったらしいが……。
たが、そこで大事なことはアダムたちが子を作ったってことじゃない。
その子孫たちにアダムの素晴らしい才能が分け与えられたってことだ。
:08/08/14 23:13
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:Ex7GHojw
#99 [紫陽花]
アダムは唯一の神から生まれた人間。
だから神も自分の持つ才能を全てとはいかないが、数多く与えた。
「は?才能って?」
黙って話を聞いていた央里だが思わず疑問を口に出していた。
「ん〜……例えばクラスに一人は、ずば抜けて足の速い人いるでだろ?その人はアダムの『俊足の才』を持ってるんだよ」
頭のいい人は『勉学の才』
話が上手い人は『話術の才』
とか色々才の種類はある。
そして必ず一人一つ才を受け継ぐようにアダムの血のシステムが、我々の体の中には造られているんだ。
:08/08/14 23:14
:F905i
:Ex7GHojw
#100 [紫陽花]
「じゃあさ、俺にもその才ってのがあんの?」
「もちろんさ!!」
得意そうに衛は断言した。
切れ長の目を不自然なぐらい少し垂らしながらではあったが。
だが、そんな衛を横目に見ながら央里は一瞬真紀の瞳が悲しげに曇ったことを見逃さなかった。
「じゃあ聞くけど、お袋。俺の才って何なの?」
:08/08/14 23:18
:F905i
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#101 [紫陽花]
父親譲りの切れ長の細い目を少しつり上げて央里は問う。
真紀は下唇を軽く噛み、いつもはクリクリと可愛らしく動いている瞳をギュッと瞑り、ゆっくりと重い口を開いた。
「央里、あなたの才は……」
真紀は今にも泣きそうな顔で央里を見つめる。
たった数秒の躊躇いが央里を何故か不安にさせた。
“なに躊躇ってんだよ!?”
そしてまたも数秒躊躇ってから真紀は意を決したように前を、央里を見据え叫んだ。
「あなたの才は……『運命を変える才』なのよ……!!」
:08/08/14 23:23
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#102 [紫陽花]
 ̄
「……はぁ?運命?」
:08/08/15 21:32
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#103 [紫陽花]
「央里、さっきアダムの予言の話したよね?あれには続きがあってさ……」
今度は傳が口を開いた。
パサリと乾いた音を立て、またも“アダムの唄”をめくり、指である一点を示す。
「アダムの唄の最後に……そう、この頁に『夏が終わる頃、地球は滅びる』って書いてあるんだ……」
「はぁ?本当にその予言あたんのかよ?外れないわけ!?」
:08/08/15 21:33
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#104 [紫陽花]
目を大きく見開き、半ば叫ぶように声を荒げた央里とは反対に、この部屋にいる央里以外の全ての者が静かに俯いた。
「兄ちゃん……今のところ、この本の予言は外れたことがないんだよ。だから、外れる可能性は……すごく低い」
榎久はそれだけ言うと、キュッと唇を結び、クリクリのかわいい目を伏せて静かに俯いた。
:08/08/15 21:34
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#105 [紫陽花]
「榎久……なぁ親父。なんとかなんねーのかよ!?このまま死ぬなんて俺、嫌だぜ!!」
叫び声と共に、バンっと両拳で机を叩いた音が響く。
央里は自分の中に収まりきらない苛立ち、不安を外へ投げだそうとしたのだろう。
いきなりに突きつけられた世界滅亡の話は彼にとって信じがたいものだった。
だが“アダムの唄”の不思議な移動能力や、記された予言を目の当たりにした央里には完全に否定することは不可能だったのだ。
:08/08/15 23:46
:F905i
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#106 [紫陽花]
「央里……お前の才は何だったか覚えてるな?」
衛はゆっくりと央里を宥めるように穏やかに語りかけた。
「俺の才は……運、命を変え……る」
「そうだ。この揺るぎない運命を変えることが出来るのはお前だけなんだ!!!」
衛も真紀も榎久も傳も突き刺すように央里を見つめる。
:08/08/15 23:47
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#107 [紫陽花]
まるで何か巨大な力に祈りを捧げるように、すがりつくように視点を一点にあわせる。
「そんなこと言われたって……」
周りに聞こえるか聞こえないかギリギリの音量で央里は呟いた。
“自分にはできない”
“運命を変えるなんて……”
「央里。これは現実であり同時に真実でもあるんだ……」
小さいながらもハッキリと芯のある声で傳は、言った。
:08/08/15 23:48
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