【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#26 [◆BBhDve0Trg]
 
「えー・・・ではやっと全員揃ったので」

三宅が言う横で、中井は慌ててかぶっていたニット帽を取る。

「みんな、飲み物の準備はいいですかー?」

「おー!!」

そこでみんな、それぞれの飲み物を手に持つ。

俺のとこには、すでにコップにつがれたジュースがあったのでそれを持つ。
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⏰:08/09/14 13:25 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#27 [◆BBhDve0Trg]
 
「え!?私持ってないよぉ」

と言いながら焦る中井に、そばに座っていた美穂が飲み物を渡しているのが見えた。

「それでは!!今日全員揃って集まれたことを祝して!!」

「「かんぱーい!!」」

結局、全部三宅が仕切っていた。

・・・中井が前に出た意味はあったのか?

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⏰:08/09/14 13:26 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#28 [◆BBhDve0Trg]
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「・・・はー、さみぃ」

俺は一人店から出て空を見上げた。

中の盛り上がりは最高潮で、熱気もすごい。

温まった体に、外の寒さは身に染みた。

空には二三個星が見えるだけで、他は黒。

その黒さが、吐いた息の白さを際だたせる。

息は徐々に色を失い、他の空気と混ざり、溶けて消えた。
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⏰:08/09/14 13:27 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#29 [◆BBhDve0Trg]
 

美穂と進藤は、超が付くほどお似合いだった。

周りの奴らは俺を気遣ってか何も言わなかったけど、俺から見てそうなんだから、他の奴らから見てもそうなんだろう。

視界の隅に時々うつる美穂の笑顔は、昔と変わらずまぶしかった。

・・・あの頃、俺に向けられていた笑顔。

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⏰:08/09/14 13:28 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#30 [◆BBhDve0Trg]
 

俺は今日、本当は、付き合っていた頃のように普通に話せることを期待してた。

あ久しぶり、とか言って。

何事もなかったかのように。

けど実際は、視界の隅に映る二人を見るのが精一杯で、目すら合わせられなかった。

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⏰:08/09/14 13:29 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#31 [◆BBhDve0Trg]
 

別によりを戻したいとか思ってるわけじゃない。

いや、そうなるのを全く期待していなかったって言ったら嘘になる。

けど今日、幸せそうな美穂を見て、進藤の隣で笑う美穂を見て、そんなことは有り得ないんだって実感した。

そして、あの頃の思い出と、優しい言葉をかけられなかった後悔だけが残った。

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⏰:08/09/14 13:30 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#32 [◆BBhDve0Trg]
 

最後の最後にあんなに冷たかった俺を、美穂は嫌いになっただろうか?

俺と付き合ったことを、後悔しなかっただろうか?


カランッ

店のドアの開く音がした。

どうせ知らない人だろう、と俺は後ろを振り向きもしない。
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⏰:08/09/14 13:31 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#33 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・一輝」

声が、聞こえた。

聞き慣れていたはずの声。

(・・・これって)

まさかと思いながら、俺はゆっくりと振り向く。

「・・・美穂」

そこには、美穂がいた。

驚く俺をよそに、美穂は俺の隣に並ぶ。
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⏰:08/09/14 13:32 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#34 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・一輝、変わってないね」

冷たい風に長い髪をなびかせながら、美穂は言った。

「・・・美穂もな」

俺は、平然を装って答える。


いや、むしろ綺麗になったよ。

そんなこと言えないけど。

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⏰:08/09/14 13:33 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#35 [◆BBhDve0Trg]
 

美穂は髪を押さえて、ふふっと笑った。

俺はそんな美穂を、今日初めて正面から見た。


・・・あぁ、美穂だ。

笑った顔も、一つ一つの仕草も、何もかもが大好きだった。

大好きだった。

なのに・・・
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⏰:08/09/14 13:34 📱:D904i 🆔:☆☆☆


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