短編集
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#2 [◆LOSh2yD9/c]
『君とあたしとあんたの赤い糸』
〜♪〜♪〜♪〜
突然携帯が鳴りだした。
誰からの着信か、画面を見なくてもあたしにはわかる。
このメロディーは一人しかいない。
あたしは大好きなお笑い番組から視線を外し、いつもの調子で電話に出た。
:08/09/21 02:12
:F906i
:☆☆☆
#3 [◆LOSh2yD9/c]
「もしもぉ〜し!」
「…あ、ゆっきー?」
「うん!陽菜、どぉしたの〜?」
「あはは、急にごめんねぇー」
「全然だよ!どしたぁ」
いつもと変わらない口調。
あたしたちは大の仲良し。
要するに、親友だ。
また他愛のないお喋りが始まるのだと思い、陽菜の言葉を待ちながら視線をTVに戻した。
:08/09/21 02:27
:F906i
:☆☆☆
#4 [◆LOSh2yD9/c]
丁度、あたしの好きな芸人のコントが始まった。
「………もぉ、嫌」
「…え?」
あたしはTVに意識がいき、陽菜が何を言ったのか一瞬わからなかった。
そして次の瞬間、もうTVの声はあたしに届くことはなかった。
「ゆっきー、もう陽菜限界!嫌だよぉ…!」
:08/09/21 02:39
:F906i
:☆☆☆
#5 [◆LOSh2yD9/c]
突然切羽詰まった陽菜の声が、受話器越しにあたしに訴える。
「え?何、どうしたの??」
あたしはまるで状況が掴めない。
電話に出た時、陽菜はいつも通りだったよね…?
「…今、直人と一緒にいるの。もうこいつ、許せないよ…!」
陽菜、泣いてるの…?
良く聞けば、微かに声が震えているのがわかった。
:08/09/21 02:46
:F906i
:☆☆☆
#6 [◆LOSh2yD9/c]
「え?直くんと一緒にいるの?」
直くんとは陽菜の彼氏で、あたし達より一つ年下だ。
もう付き合って一年は経ったと思う。
あたしも何度か逢っていて、一緒に遊んだこともある。
「グスッ………、うん…」
とうとう陽菜は弾かれた様に、声を出して泣き出した。
「え、え?えと、何がどうしたか良くわかんないけどさぁ…」
:08/09/21 02:57
:F906i
:☆☆☆
#7 [◆LOSh2yD9/c]
あたしはあたふたする。
え、どぉーしよ…
喧嘩、だよねぇ…
てか陽菜がこんな泣いてあたしに電話してくるなんて初めてじゃあ…?
あたしはどうしたもんかと考えていると、受話器の遠くの方で、直くんであろう声が聞こえた。その後直ぐ、声を荒げた陽菜の叫びが響く。
「…ッ、煩いなぁ!謝って済むもんじゃないんだよっ…!!」
:08/09/21 03:10
:F906i
:☆☆☆
#8 [◆LOSh2yD9/c]
「陽菜っ!!…」
今度は直くんが声を荒げ、何かを叫んでいた。
ちょっ…話が聞こえん!
てか、そもそもこの喧嘩の原因は何だよ!!
と、陽菜に聞こうと口を開きかけた瞬間…
「別れる!!もう終わりだよっ陽菜たちは…!!」
ちょっちょっ、ちょっと待てー!!
おい話を勝手に進めるなぁー!
:08/09/21 03:20
:F906i
:☆☆☆
#9 [◆LOSh2yD9/c]
てか何、あたしに電話して来たこと覚える?陽菜ちゃん。
別れ話をあたしに聞かせる為じゃないでしょ?
そうだよね?
てか昔から君はそーゆー所があるんだよね、まぁそこが好きだったりする訳で…
いや今はそんな場合じゃないだろ!
あたしは陽菜の突然の別れ宣言を受け、この一瞬の内にそりゃあもう様々なツッコミと言うか何というかをした。
そして今度はあたしが弾かれた様に声を荒げた。
:08/09/21 03:31
:F906i
:☆☆☆
#10 [◆LOSh2yD9/c]
「ちょっと待ってよ!そんな簡単に決めていいの?!今から行くから、そこで待ってて!二人で!!」
「…う、うん」
突然のあたしの大声に、陽菜は少し驚いたようだった。
「で、今どこにいんの?」
「………ラブホ」
「………どこの」
「……ゲーセンの裏にある路地を曲がった所…」
:08/09/21 03:47
:F906i
:☆☆☆
#11 [◆LOSh2yD9/c]
「…あぁ、あそこね」
「うん…今は、外にいるから…」
「わかった。じゃあ今から飛ばして行くから、道路も空いてるだろうし、十分弱ってとこかな。」
「うん…ごめんね」
「何で謝るの。いいから、そこで待っててね」
「うん…」
陽菜は落ち着きを取り戻した様だ。
:08/09/21 03:56
:F906i
:☆☆☆
#12 [◆LOSh2yD9/c]
あたしは電話を切り、TVを消し、そのまま玄関へと向かった。
今日は仕事も休みで一日中家でゴロゴロしてたから、化粧もしてないし服も超寛ぎスタイルだったが、親友の一大事だし夜だし、まぁいいかと気にしないことにした。
歩きながらヘルメットと被り、キーを用意して足早にバイクへと向かった。
:08/09/21 04:08
:F906i
:☆☆☆
#13 [◆LOSh2yD9/c]
―――――
――――
頬に当たる風が冷たい。
バイクに乗っているから余計そう感じるのか、あたしは何か羽織ってくれば良かったと思った。
信号が赤に変わる。
止まっても尚、風は冷たかった。
「…もう冬、かぁ」
あたしはポツリと呟いた。
:08/09/21 07:07
:F906i
:☆☆☆
#14 [◆LOSh2yD9/c]
不意に、不安があたしを襲った。
あたしが行った所で、あの二人は仲直りするのだろうか。
あたしが行った所で、何が出来るのだろうか。
そんな不安は、信号が青に変わったことで、風と共に吹き抜けた。
…急ごう。
:08/09/21 07:27
:F906i
:☆☆☆
#15 [◆LOSh2yD9/c]
思った通り道路は空いていて、ゲーセンまで思ったより時間がかからなかった。
そりゃそうだよな、真夜中だもん。
このゲーセンも結構古い付き合いで、良く暇潰しに遊んだもんだ。陽菜と。
最近はその中に直くんも加わっている時がある。
あたしはその時が一番好き。
…別に場所はゲーセンじゃなくても良いんだけどね。
:08/09/21 07:41
:F906i
:☆☆☆
#16 [◆LOSh2yD9/c]
とにかく、陽菜とは絶対一緒が良い訳で。
あたしは陽菜と笑っている時が一番好き。
約一年前、陽菜に彼氏が出来たと聞かされた時は一緒に喜んだし、心から祝福した。
と同時に、少し寂しかった。
だって、陽菜はあたしの親友で、もう二十年近くの付き合いだもん。
だから、陽菜を泣かせる奴は許さない。
陽菜には、幸せになって欲しいから…
:08/09/21 12:17
:F906i
:☆☆☆
#17 [◆LOSh2yD9/c]
そんなことを思っている内に、あたしは裏路地を抜けていた。
角を曲がった先には、ピンクの光に照らされた二人がぎこちなく立っていた。
陽菜と直くんだ。
二人に近付くにつれ、何とも言えない微妙な空気が嫌でも伝わってくる。
「おーい」
でもあたしはそんなのお構いなしに、呼びかけと共に大きく手を振った。
:08/09/22 16:53
:F906i
:☆☆☆
#18 [◆LOSh2yD9/c]
…だって気まずいじゃん!
もっと良い登場の仕方があったかなぁ…
うー、でもこれがあたしの精一杯だよぉー
あたしの声に気づき、陽菜がパッとこっちを向いた。
一瞬ニコッと笑って、悲しそうに微笑んだ。
直くんは、ちらっとこっちを向くと、すぐにそっぽを向いてしまった。
:08/09/22 17:09
:F906i
:☆☆☆
#19 [◆LOSh2yD9/c]
あたしはバイクから降りた。
辺りはひっそりとしていて、只この微妙な雰囲気に似合わない程の明るい光が、ピカピカ照らしているだけだった。
時折直ぐ隣にある道路で走り去る車の音が響いている。
「…陽菜、大丈夫?直くんも…。どうしたの?」
「………ごめんねゆっきー、来てもらっちゃって…」
:08/09/23 23:46
:F906i
:☆☆☆
#20 [◆LOSh2yD9/c]
目が赤い。
鼻声だし、化粧も崩れてるみたい。
相当泣いたのかな…
「いいんだって!てかビックリしたよー。慌てて飛び出したから、こんな姿でごめんねっ」
あはは、と陽菜が笑う。
あたしは少しほっとした。
横目でちらっと直くんを見ると、相変わらずそっぽを向いていた。
「…で、何があったの?」
:08/09/23 23:55
:F906i
:☆☆☆
#21 [◆LOSh2yD9/c]
「………」
陽菜は黙ったまま鼻を啜っている。
あたしは陽菜が話し出すまで待った。まずは落ち着かないとね。
「…………あのね、」
「うん」
「……直人が、」
「うん」
「…また裏切ったの!」
:08/09/24 00:01
:F906i
:☆☆☆
#22 [◆LOSh2yD9/c]
「は?」
「っ、だから違うんだって!!」
陽菜が言い終わったと同時、それまで黙っていた直くんが抗議の声をあげた。
「え?」
「何が違うって言うのよ!同じ事ばっか繰り返してっ」
あー、もしかしてあれかなぁ…
段々、何となく話が見えてきたあたし。
:08/09/24 00:07
:F906i
:☆☆☆
#23 [◆LOSh2yD9/c]
「…何あれ…ヒソヒソ…」
「ヒソヒソ…あはは…」
何やら声が聞こえた。
振り返ると若いカップル(だと思う)が、こっちを見て(明らかに)笑っている。
そりゃそうだよね。
ラブホの前で男女三人で突っ立ってんだもん…
うん、怪しいよね。
:08/09/24 00:25
:F906i
:☆☆☆
#24 [◆LOSh2yD9/c]
そしてそのカップルは暗闇に消えて行った。
何かちょっと笑えてきた。
客観的になるあたし。
「…場所変えよっか」
すると陽菜が苦笑しながら言った。
「そうだね」
あたしも笑いながら答えた。
あたしはバイクを押し、直くんが自転車を押しながら、あたし達はその場を去った。
:08/09/24 02:05
:F906i
:☆☆☆
#25 [◆LOSh2yD9/c]
少し歩いた所に、小さな公園を見つけた。
「此処でいっか?」
「うん」
あたしと陽菜はブランコに跨り、直くんはあたし達から見て正面のブランコを囲んでいる棒に腰掛けた。
「ゆっきー、直人がね、また女と逢ってたんだよ」
公園にはあたし達以外誰もいない。道路からも離れているので、陽菜の声だけが重く響く。
:08/09/24 02:16
:F906i
:☆☆☆
#26 [◆LOSh2yD9/c]
「…ふーん……」
内心やっぱりか、と思った。
最近、「直人が他の女とメールしてるみたいなの。嫌だっていってるのに」みたいな事、良く聞いてたし。
とにかく陽菜は嫉妬深い。
いくら只の友達でも、嫌な人なのだ。
「…それは、直くんが悪いよねぇ…?本当なの?」
若干言いにくかったが、ズバッと言ってやった。
直くんも言い訳したいだろうし。
:08/09/24 02:30
:F906i
:☆☆☆
#27 [◆LOSh2yD9/c]
恐らく陽菜は、聞き耳を持たなかっただろう…
それに、我慢の限界だったんだろうな…
「本当だよっ」
隣で陽菜が小さく吐いたけれど、直くんの言葉を待った。
「…それは、本当だけど…買い物に付き合って欲しいって言われたからで…別に何もないし…」
直くんは言いにくそうに、区切りを付けて話し出した。
:08/09/24 02:42
:F906i
:☆☆☆
#28 [◆LOSh2yD9/c]
「何もなくたって何で二人で買い物なんか行くんだよ!それを隠してたのも許せないし!!」
「そいつ彼氏いるよ!隠してたのは悪いと思ったけど…だって、陽菜知ったら怒るじゃん…」
「当たり前じゃん!それに彼氏いるから何だって言うのよ!?逆に怪しいだろっ」
陽菜は凄い剣幕で直くんを見上げている。
「………」
直くんは黙ってしまった。
:08/09/24 02:56
:F906i
:☆☆☆
#29 [◆LOSh2yD9/c]
「…直くん、隠すから余計陽菜が怒るんだよ?何も疚しい事ないんだったら、陽菜に話すべきだよ。」
まぁこんな事言わなくたってわかってるだろうけどさ…
陽菜は他の女の事になると、直ぐ頭に血が上っちゃうから言い辛いって言うのもあるかもしれないけどね。
「………」
再び黙り込む直くん。
「大体、今に始まった事じゃないじゃん!陽菜はずっと嫌だって言ってるのに!!」
:08/09/24 03:10
:F906i
:☆☆☆
#30 [◆LOSh2yD9/c]
陽菜の目には再び涙が溢れていた。
「前だって他の女とメールしてたしね」
足だけを使ってゆらゆらとブランコを動かしながら、陽菜は冷たく言い放った。
「だからっ…それも、只陽菜の事とかで相談に乗ってもらおうとしただけだし、高校でずっと同じクラスだったから単に仲良かっただけで…」
声が弱々しい。
段々直くんも涙ぐんできたみたいだ。
:08/09/24 19:37
:F906i
:☆☆☆
#31 [◆LOSh2yD9/c]
てか、あたしがいる事による微妙な気まずさもあるんだろうな…
カップルのいざこざに、いくら彼女の親友だからって首を挟まれたくないよね…
二人の問題だし、ね?
しかも格好悪い所なんて、彼女以外見せたくないよね?
あ、彼女だからこそ見せたくないのか?
あれ?どうしよう、あたしめちゃくちゃ気まずいんですけど。
:08/09/24 19:48
:F906i
:☆☆☆
#32 [◆LOSh2yD9/c]
もしかして、いや、もしかしなくても、来ない方が良かった?
あたし場違いじゃね?
空気読めてない?
ぎゃーどうしよう!
「女に相談したいならゆっきーがいるじゃん!陽菜の事一番良く理解してくれてるし」
一人悶々としていると、あたしの名が上がった事で、ハッと我に返った。
:08/09/24 19:57
:F906i
:☆☆☆
#33 [◆LOSh2yD9/c]
「…え?あ、そうだよね」
落ち着けあたし。
「……ゆっきーは、陽菜の味方じゃん」
直くんが拗ねたように口を尖らす。
え?そりゃあ…まぁ、味方と言うか、もし相談メールが来たら、あたしはきっとダメ出し一杯するだろうな…
「…そりゃあ、味方?かもしんないけど、あたしは二人がうまくいく為なら何でもするし、相談に乗れると思うよ?」
:08/09/24 23:58
:F906i
:☆☆☆
#34 [◆LOSh2yD9/c]
あたしはニコッと笑った。
…そりゃあ、陽菜の味方だけどさ、陽菜は直くんが好きなんだよ。
話を、顔を見ていればわかる。本当に直くんが大切なんだなぁって、そう思える。
一年付き合ってるんだから、そんな事くらい直くんだってわかってる筈だよ。
だから、あたしはこんな事で(って言ったら二人は怒るか)二人が終わって欲しくないの。
…もっと、素直になりなよ。
初めの頃の気持ちを思い出してさ。
正直に、自分の気持ちを…
:08/09/25 00:07
:F906i
:☆☆☆
#35 [◆LOSh2yD9/c]
言葉に出来ない思いを巡らせる。
どうやって伝えよう。
考えが上手くまとまらない…
「もう………耐えらんない。」
少しの沈黙の後、陽菜が声を振るわせて言った。
「……もう、疲れたよ」
「どうしていつも……陽菜は他の男とメールしないのに…ツ」
「直人…、もう別れよう。」
あぁ…まずいぞこれ…!!
:08/09/25 00:19
:F906i
:☆☆☆
#36 [◆LOSh2yD9/c]
「…………嫌だ……グスッ」
これまで涙を必死に堪えていたであろう直くんは、ついに声に出して泣き出した。(大泣きじゃないけど)
…あちゃー…。
泣いちゃったよね、これ。
本当ごめんね直くん。
あたしいてごめんね。
「……ツ…何で泣くんだよ…グスッ…泣きたいのは、…こっちだし…」
陽菜もつられてか、直くんと同じように泣き出す。
:08/09/25 00:35
:F906i
:☆☆☆
#37 [◆LOSh2yD9/c]
…あのさぁ、泣く程お互い好きなんだよねぇ?
それわかってる?
それもうはっきり証明してるから。
後は…
あたしが今思った事を二人に訴えようとしたその時。
「…ツ俺は陽菜が好きなんだよ!陽菜以外考えられない!別れるなんて絶対嫌だ!!」
ちょっ…
うぎゃー!恥ずかしい!!
あたしが恥ずかしい!!!
そーゆーのは余所でやれっ
:08/09/25 00:43
:F906i
:☆☆☆
#38 [◆LOSh2yD9/c]
…と、内心パニクっていたが、普段顔に出ないあたしは冷静に陽菜に向き直り、優しく尋ねた。
「直くんはあー言ってるけど、陽菜はどうなの?本当に、別れたいの?」
「……ツ…」
「………グスッ…」
静寂な闇に、二人の涙音だけが響いている。
「……陽菜だって…、本当は、別れたくないよぉ…」
:08/09/25 00:50
:F906i
:☆☆☆
#39 [◆LOSh2yD9/c]
…やっぱりそうなんじゃん。
じゃあ、やるべき事は一つだね。
あたしは隣で泣きじゃくる陽菜を宥めるように、ポンポン…っと軽く頭を叩いた。
直くんに目をやると、予想だにしていなかったのだろうか、驚いた表情をして陽菜を見ていた。
「…ねぇ直くん。どうして直くんは、あんなに陽菜が嫌がる事をしちゃうの?」
「………」
:08/09/26 00:15
:F906i
:☆☆☆
#40 [◆LOSh2yD9/c]
「直人は女好きだもんね。誘われればほいほいついて行っちゃうような奴だよ」
あたしは陽菜の発言には何も触れず、直くんに再度問い掛ける。
「そんなに直くんは、女友達と遊びたい訳?」
直くんの反応はないままだ。
「それならそれで陽菜に言うべきだよ。隠して女と逢うなんて、浮気と変わんないんじゃない?逆にされたらどう思う?」
「……ごめん」
:08/09/26 07:41
:F906i
:☆☆☆
#41 [◆LOSh2yD9/c]
「誘いを受けたなら受けたで、陽菜にちゃんと言う。陽菜も頭ごなしに怒んないで、直くんの話をちゃんと聞く。」
相手が知らなければ、誰と逢おうがなかったこと。
秘密が増える。
例え何もなかったとしても、普通誰だって怒るし、悲しいよね。
陽菜みたいな人は特に。
だから余計言いづらくなって、ずるずる引きずってしまう。
悪循環。
:08/09/27 13:27
:F906i
:☆☆☆
#42 [◆LOSh2yD9/c]
【直人はさ、優しすぎるんだよ…。陽菜にも、周りにも。あんまり断れない性格だし、陽菜の我が儘も何だかんだで聞いてくれて…。】
いつかの陽菜の言葉が再生される。
あぁ、そんな事良く言ってたよね。
胸の内を話す時の陽菜は、いつも苦しそうに笑ってたっけ…
……わかってるんだ。
:08/09/27 22:40
:F906i
:☆☆☆
#43 [◆LOSh2yD9/c]
本当は、全部わかってるんだ。
陽菜は。
だけど、独占欲が、意地が、プライドが、色んなものが邪魔してしまうんだろう。
だから…わかってしまった時、爆発する。
あくまであたしの推測だけど、近いんじゃないかな。
:08/09/27 22:49
:F906i
:☆☆☆
#44 [◆LOSh2yD9/c]
…あー
何か焦れったくなって来た。
何であたしがあれこれ考えてんだ。
二人は相変わらず無言のまま。
そろそろまとめちゃっても良いかな?
この公園に来てから気付いた事がある。
…結構寒いんだよね。
君達は、寒くないの?
:08/09/28 07:32
:F906i
:☆☆☆
#45 [◆LOSh2yD9/c]
…まぁ、それどころではないか。
「………仲直り、する?」
あたしは静かに聞いた。
「………」
「………」
「…………俺は、仲直りしたい。陽菜と別れたくない」
「………………これで最後だよ。次やったら本当に別れるから」
「…うん。ごめん……」
:08/09/28 16:41
:F906i
:☆☆☆
#46 [◆LOSh2yD9/c]
「……それからっ、もう隠し事はしないで!陽菜も、少しは大人になれるよう努力するから…」
陽菜は拗ねたように言葉を続ける。
「…陽菜だって、直人と別れたくないし」
途端、直くんの顔がパッと華やいだ気がした。
「クスッ…」
あたしは思わず小さく笑った。
:08/09/29 23:27
:F906i
:☆☆☆
#47 [◆LOSh2yD9/c]
何か可愛いなぁって。
良かったなぁって。
そう、思ったから…
やっぱりあたしが来なくても、この二人は大丈夫だったかな…。
「…良かったよ。これで一件落着って事で、いいんだよね?」
あたしは満面の笑みで問い掛ける。
「うん…。ゆっきー、ありがとう。…本当に、来てくれてありがとう。」
:08/09/29 23:38
:F906i
:☆☆☆
#48 [◆LOSh2yD9/c]
「え、そんな、全然だよっ!てか寧ろごめんね、何か勝手に来ちゃって…」
陽菜にありがとうって言われて焦るあたし。
だってあたし何もしてないしさ、少しでしゃばった感あるし…。
「ううん!謝るのはこっちだよ…。巻き込んじゃってごめんね。でもゆっきーのお陰で仲直り出来たよ…」
「あたしは大丈夫だよ。でも、本当に良かったよ。電話来た時はまじびびったかんね!どーしようかと思った。こんなの初めてだしさ」
:08/09/29 23:51
:F906i
:☆☆☆
#49 [◆LOSh2yD9/c]
「あはは…陽菜もう頭に血がのぼりまくっててさ、気付いたらゆっきーに電話してた」
そう言ってえへっと照れ笑いをする陽菜。
あたしもつられて笑う。
そして直くんが若干気まずそうにあたしを見る。
「…ゆっきー、俺もごめんな。ありがとう」
「あたしはいいから、陽菜を大事にしてあげてね。今度泣かしたら許さないよ?」
「おう…!」
:08/09/30 00:02
:F906i
:☆☆☆
#50 [◆LOSh2yD9/c]
「あたしの許可があって付き合えている事、忘れないでよ?」
あたしは意地悪く直くんを指差しながら言った。
「そうだよ直人っ!!」
「え?そうなの?!…あ、はい」
あたし達は一斉に笑った。
空は未だ暗く、肌寒いままだ。
けれどさっきとは違い、暖かい空気があたし達を包んでいるようだった。
「てかさ、ちょっと寒いよね?」
:08/09/30 00:09
:F906i
:☆☆☆
#51 [◆LOSh2yD9/c]
「陽菜も思ってたぁー」
「…確かに」
「あたし達笑えるね。何時間此処にいんだ?」
「てか今何時?」
「3時過ぎだ」
「まじかよ〜4時間近くはいるのか」
さっきの張り詰めていた空気はどこへやら。
談笑を始めるあたし達。
:08/09/30 00:18
:F906i
:☆☆☆
#52 [◆LOSh2yD9/c]
「よし。じゃあ…ずっと此処にいるのも何だし、行くか!」
「え?何処に?」
「あたしんち!こーなったら三人で朝まで遊ぶよっ」
「えっ?!」
「心配するな。ゲームなら家に一杯ある」
「いやそーじゃなくて…」
「つべこべ言わずにさぁ立った立った!あ〜何か気が抜けたら腹減って来ちゃったよ〜。あ、食べ物もあるから安心してね」
:08/09/30 00:27
:F906i
:☆☆☆
#53 [◆LOSh2yD9/c]
「えー、ちょっとゆっき〜…」
後ろで何か聞こえたけど、そんなのは知らない。
だって何か嬉しいじゃない?
まるで自分の事のように嬉しいの。
君はあたしの親友。
あんたはあたしの親友の彼氏。
二人共、大切だし大好きだよ。
これからも、この先も、この思いは変わらない。
:08/09/30 00:34
:F906i
:☆☆☆
#54 [◆LOSh2yD9/c]
あたしはブランコから立ち上がり、お尻をパンパンッと払った。
そしてくるりと後ろを振り返り、陽菜に左手を差し出す。
初めは頭にハテナを浮かべていたが、直ぐにニコッと笑って陽菜は右手を伸ばした。
「はい。直くんも」
陽菜が立ち上がったのを確認して、次は直くんにあたしの右手を差し出した。
「え…?」
「ほらっ…」
:08/09/30 00:47
:F906i
:☆☆☆
#55 [◆LOSh2yD9/c]
直くんは少し戸惑っているようだったが、おずおずと左手を伸ばして来たので、あたしはそれをパシッと勢い良く取った。
「え、な、何だよ…」
動揺の声が聞こえてきた。
「だから帰んの!」
「このままぁ?!」
素っ頓狂な声が聞こえた。
「そう、このまま」
「はあぁ?!!」
絶句と共に笑い声が混じる。
:08/09/30 00:55
:F906i
:☆☆☆
#56 [◆LOSh2yD9/c]
「良いじゃん。誰も見やしないよ、こんな時間だし」
「そりゃ、そーだけど…。でも何だこれっ」
直くんも笑い出す。
「…たまには、良いんじゃない?」
あたしも自分でやってて、この異様な光景に客観視して笑えてきた。
「仲直りした、記念?」
「何だそれっ」
:08/09/30 01:02
:F906i
:☆☆☆
#57 [◆LOSh2yD9/c]
「なら俺は陽菜と手繋ぎたいよー」
「あはは確かに。でも今日はこれで良いの〜っ」
「陽菜はこれで全然良いけどね!」
寒い公園に笑い声が響く。
あたしは寒いけど、これなら暫く此処にいても良いかな、なんて思った。
違う意味で温かいから。
「じゃあ行こっか!」
「うん!」
あたし達は出口の方へと向かう。
:08/09/30 01:10
:F906i
:☆☆☆
#58 [◆LOSh2yD9/c]
ねぇ陽菜。
あたしはね、陽菜が笑ってくれれば嬉しい。
悲しんでる姿は見たくないの。
涙を流して、傷付いている陽菜を見るのはあたしも辛いの。
だからね、陽菜が笑ってくれるなら、あたしは何処にでもいくし、何でもするよ。(出来る範囲であれば)
:08/09/30 16:43
:F906i
:☆☆☆
#59 [◆LOSh2yD9/c]
だって陽菜はあたしの唯一無二の親友だもん。
陽菜もあたしと同じ気持ちだって自信、あるよ。
そして、ちょっと我が儘で自己中な、寂しがり屋で優しい陽菜の事が、直くんに負けないくらい大好きだよ。
百歩譲って任せるけどさ!
:08/09/30 17:02
:F906i
:☆☆☆
#60 [◆LOSh2yD9/c]
だからどうか笑っていて。
陽菜が幸せならあたしも幸せ。
この赤い糸が解けそうになったら、あたしがいくらだって繋きとめるよ。
あたしは手で繋がれた見えない赤い糸を、もう二度と切れないようにしっかりと握り締めた。
:08/09/30 17:15
:F906i
:☆☆☆
#61 [◆LOSh2yD9/c]
…そう。
これは、陽菜とあたしと直くんの赤い糸。
*END*
「…あ!そいや俺達、バイクとチャリだったよな……?」
「ああぁーっっ!!」
「ちょー忘れてたぁ〜!」
「あはは…」
:08/09/30 17:44
:F906i
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