短編集
最新 最初 🆕
#202 [◆LOSh2yD9/c]
「……雨宮川慧弥」

「え?」

「俺の名前」

「慧弥…さんね。おっけー!でも珍しい名字だな」

慧弥さんは、「さん」付けされるのは聞き慣れないから呼び捨てで良いと言っていたけど、やっぱ年上だしそれは…ねぇ?



こうして、俺たちは無事?に自己紹介が出来たのだった。

…遅すぎだっつーの!

⏰:09/04/20 02:44 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#203 [◆LOSh2yD9/c]
そしてまた沈黙が続く。

静かなこの公園には、ペンの音だけが聞こえる。

邪魔をしないように、気を散らせないように、俺は只時の流れに身を委ねた。


――暫くして


「…終了」

ふぅ、と大きく息を吐くと奴は、…もとい、慧弥さんは、俺にスケッチブックを差し出した。

「え?」

⏰:09/04/21 21:35 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#204 [◆LOSh2yD9/c]
差し出されたままにスケッチブックに手を伸ばすと、そこには完成されたモノクロの世界が広がっていた。

「うっわ…すげー……」

その絵を前に、鳥肌が立った。

絵が人をこんなに感動させることが出来るなんて知らなかった。


「…それ、気に入ったんならやるよ。いらなかったら捨てて」

「ばっ?!なっ??捨てる訳ねーだろ!額縁に入れて飾るわ!!」

「はは、そりゃどーも」

⏰:09/04/21 21:43 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#205 [◆LOSh2yD9/c]
慧弥さんは笑ったけど、まじでそうしようと思った。

部屋に飾ってみんなに自慢したいぐらいだ。

「つーか今日見た雑誌の絵も凄かったけど、これも同じぐらい凄すぎだし!プロになれるって絶対!!」

「…あぁ、俺「あ、ごめん電話だ」

慧弥さんが何かを言いかけたみたいだっけど、俺の携帯には"母"という文字が。

母さんは今日残業もなく、家にすぐ帰って来るそうだ。

「ごめん慧弥さん!俺帰ります!」

「…急ぎ?」

⏰:09/04/21 21:50 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#206 [◆LOSh2yD9/c]
「あ、はい!ちょっと料理を…」

「料理?」

「はい…あの、俺明日も此処に来るんで、慧弥さんも来て下さい!」

「…うん?」

「約束ですよ!」

「ああ…」

少し戸惑い気味の慧弥さんを置いて、すまんと思いつつバイクの元へ走って向かう。


母さんに少しでも楽してもらいたい…

そう思うから、俺は自宅へと急いだ。

⏰:09/04/24 04:11 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#207 [◆LOSh2yD9/c]
――次の日


学校に着くと、昨日絵画雑誌を持っていた友人が、昨日とは別の絵画雑誌を見ていた。

「はよ。今日も見てんの?」

「おう!昨日のとはまた違う本だけどな」

「ふーん。なぁ、俺にも見せてくれない?」

慧弥さんの影響もあってか、俺は絵に興味を持ち始めていた。

「何、お前興味沸いたの?!」

「うん、ちょっと気になる」

⏰:09/04/24 04:12 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#208 [◆LOSh2yD9/c]
「まじか!ならこれ貸してやるよ。俺見終わってるし」

そう言って友人は昨日の絵画雑誌を俺に渡した。

「サンキュー。お、これ昨日のか」

「やっぱお前も気に入ったの?その人の絵」

「まぁ、色んな絵も見てみたいなーと」


友人は、"そっかそっか〜"と上機嫌だ。

身近に絵が趣味な奴、いないのかな

俺も慧弥さんと出会ってなかったら、きっと興味が沸くこともなかっただろうな

⏰:09/04/24 04:14 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#209 [◆LOSh2yD9/c]
「雨宮川が気に入ったら言って。まだ家にいくつか雑誌あるから」

「…は?」


……今、コイツは何と??


「あぁ、その人雨宮川慧弥っつーの」

一瞬、俺の思考は停止した。

「………」

「どうした?」

……はは、

どうしたもこーしたもねーよ!!?

⏰:09/04/24 04:16 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#210 [◆LOSh2yD9/c]
雨宮川慧弥だと?

え、同姓同名ですか?

………んなワケねぇえええだろ??!


そんな珍しい名字早々いるもんじゃないし、名前まで一緒だし、やっば顔似てるし…

それに!!

思えば絵だってプロ並みに上手かった……


…いや落ち着け俺!

そんな偶然ってあるのか?

やっぱり他人の空似だろ、うん。

⏰:09/04/24 04:18 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#211 [◆LOSh2yD9/c]
「湊?」

「…え?あっ!と、兎に角、雑誌ありがとう借りてくな!」

「?ああ」

俺は動揺を何とか隠しながらその場を去った。



―――結局

その日の講義は全く集中出来なかった。

休憩時間の合間に借りた雑誌を見て、改めて俺はパニクっていたからだ。

⏰:09/04/24 04:20 📱:F906i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194