短編集
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#72 [◆LOSh2yD9/c]
こうちゃんとは、私達の病院に入院している患者様で、皆(スタッフ)のアイドル的存在なのだ。

笑顔の可愛いお爺ちゃんで、いつもニコニコしてる。

どんなに疲れてても、

『ありがとう』

と言う笑顔で、すぐ元気になれちゃうんだよね。



「…あんた、何一人でニヤニヤしてんのよ」

⏰:08/11/09 07:23 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#73 [◆LOSh2yD9/c]
「ぶっ!!?」

口元に運んであったコーヒーカップがカチャッと音をたて、突然降って来た声に、危うく吹く所だった。

慌てて顔を上げると、向かいの席にままが不適な笑みを浮かべて立っていた。

「ちょっ…吐くとこだったじゃん!」

ままはクスクスっと笑うと、ホットコーヒーとサンドイッチを乗せたトレイを置いて、椅子に座った。

「ねぇ、やっぱやばかった?私」

⏰:08/11/09 17:22 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#74 [◆LOSh2yD9/c]
「かなりね」

そう言ってままはコーヒーを一口飲んだ。

「…えーまじどうしよ。てかこうちゃんが悪いんだよっ!」

ちょっとまずかったかな、と思いながら、全部こうちゃんの所為にする私。

…だって、本当だもん。

……………うん。

「またこうちゃん?今日も可愛かったの?」

こうちゃんの名前が出て、ままは呆れたように楽しむように笑った。

⏰:08/11/09 17:47 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#75 [◆LOSh2yD9/c]
「うん!今日もちょー可愛かったよ。羊羹♪羊羹〜♪♪って」

「本当に羊羹が好きなのねー」

私達は一斉に笑った。

「何かさぁ、どんなに忙しくても、こうちゃんのおやつの時間はちゃんと守りたいんだよね」

「あら、贔屓は駄目よ〜」

「わかってるけどさぁー…。やっぱ、こうちゃんが一番可愛いや!」

「ふふ。こっちにも、こうちゃんみたいな人がいたらいいのに」

⏰:08/11/09 23:48 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#76 [◆LOSh2yD9/c]
「本当だね。癒されるよ〜」

「相変わらず楽しい職場だこと。ね?」

そう言って意地悪く笑い、サンドイッチに手を伸ばした。


―そう。

私のままも看護師。

だから、私もままのような看護師になることが、小さい頃からの夢だった。

…なんて、そんなの大きな間違い。寧ろその逆。

看護師なんて、絶対なりたくなかった―

⏰:08/11/10 00:20 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#77 [◆LOSh2yD9/c]
「うん。楽しいよ」

私は何の迷いもなく即答した。

ままは一瞬きょとんとした後、ふっと鼻で笑った。

恐らく予想外の反応だったのだろう。

「…もう二年目だものねぇ」

「早いよね」

「……実紗が看護師になるって言い出した時は、流石に驚いたけどね」

「あはは…そうだよね。まぁ自分自身が一番びっくり、みたいな」

⏰:08/11/10 17:11 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#78 [◆LOSh2yD9/c]
私は苦笑いしながら夜勤用の余りのお菓子を口に放り込んだ。

「…しかも私さ、ままにハッキリ断言してたもんね。"私は看護師にはならないからね"って」

「しかも随分昔からね」

「…う、うん」

最早苦笑いしか浮かべられない。

そう。

あの時の私は、将来看護師になりたいなんてこれっぽっちも思ってなかった。

⏰:08/11/13 01:21 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#79 [◆LOSh2yD9/c]
「でも今じゃ立派な、でもないか?看護師さんね」

ままはまたクスリと笑う。

「ちょっとー!それ誉めてないよねー?」

私も笑いながらまたコーヒーを飲む。


―――いつからだろう。

私が看護師になろうと決意したのは…

―――あぁ、高校最後の夏か…

我ながらふざけてるよなぁ。
それまで本当に何も考えてなかったんだから…

⏰:08/11/13 01:29 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#80 [◆LOSh2yD9/c]
中学…高校って、将来のことを聞かれた時、特別夢がなかった私は、いつも"え〜まだ良くわかんないよ〜"って答えてた。

興味のあることや好きなことは勿論あったけど、それを仕事にしたいとか思えなかったし、私自身、将来について真剣じゃなかったんだよね。きっと。
てかそうか。

でも昔から"看護師にはなりたくない"って考えはハッキリあった。

"何で?"って言われたらハッキリ答えられなかったけどさ。
自分でも良くわからなかった。

⏰:08/11/13 01:41 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#81 [◆LOSh2yD9/c]
今でも何でそう思ってたんだろう、って思う。

でも、高校3年にもなればみんな将来のこととかちゃんと決まってる時期だし、それに向けて動き出して一生懸命になっている友達を見て、流石に私も焦った。
それじゃ遅いんだけどね。

何となく漠然と考えてはいたけど、"まぁ何とかなる"って現実から目を反らしてた。

成績はそんな悪くはなかったし、やっぱり遊んでる時の方が楽しいもんね。

⏰:08/11/13 01:51 📱:F906i 🆔:☆☆☆


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